風間伸次郎(採録・訳注).1996.『オロチ語基礎資料』(ツングース言語文化論集7,鳥取大学教育学部)より

12.ングーティルク

ӈээтиркэакин-ǯибагди-ха-њи.аак-њихувэн-тихуликтэ-и-њи.
ングーティルクは兄と暮らしていた。兄は森へ歩き回る。
бэjу-мэваа-ӈна-си-и-њи,сугǯасаваа-и-њибэjу-м(э)
大型の獣を獲りに行く、魚を獲る、獣を
ваа-ӈна-си-и-њи,ӈээтиркэǯӱг-дӱби-и-њи.ǯӱг-дӱ~
いつも獲りに行く、ングーティルクは家にいる。家で、
иколоǯи-и-њи,ааки-м(и)хаǯӱ-ми-њисии-и-њи,туубагди-ха-ти,
煮炊きをする、兄の衣服を洗う、そうして暮らしていた。
ǯуу њии-кээ=дээ.ǯуу њии-кээнбагди-ха-ти,ааки-њ(и)
二人っきりである。二人っきりで暮らしていた、兄は
туубэjу-мэваа-и,хувэн-тихуликтэ-и,туубагди-ха-ти.
そうして獣を狩り、森へ歩き回る、そうして暮らしていた。
ӈээтиркэ,иколоǯи-и,эмнэ,ааки-њиӈэнэ-хэ-њихувэн-ти.
ングーティルクは煮炊きしていた、ある時、兄は出かけた、森へ。
бэjу-м(э)ваа-ӈна-ха-њи.ӈээтиркээмукээǯӱг-дӱ.ӈээтиркэ
獣を獲りに行った。ングーティルクは一人きりだ、家に。ングーティルクは
ӈэнэ-хэ-њи.ӈиас(и)эу-хэ-њи.эу-хэ-њиӈиаси,муу-вэ
出かけた。川の方へ下りた。下りた、岸の方へ、水を
ӈэннэ-хэ-њи[или]jааваӈэннэ-хэ-њи.ули-тиӈэнэ-хэ-њи.
取りに行ったか、または何を取りに行ったんだか。川へ行った。
муу-вэӈэннэ-си-хэ-њибиǯэњ(и)=гињи,ико-ло-и.ичэ-ки-њи,
水を取りに行ったんだろう、煮て料理するために。そして見た、
дээли-и-ти,ǯаан ǯуу гаса.ǯаан ǯуугаса,дээли-и-ти,
飛んでいる、十二羽の水鳥。十二羽の水鳥、飛んでいる、
тээ-хэ-ти,муу-лэ,муу-лэтээ-хэ,хаǯӱ-магаам
舞い降りた、水に、水の上に舞い降りた、服を全部
ачӱ-кта-и,тэи аӈигаса,хаталаочи-ги-ха-ти.ӈээтиркэ
脱いだ、その水鳥、娘たちに変身した。ングーティルクは
ичэчи-и-њи,хили-ха-њи,ичэчи-и-њи.эббэси-хэ-ти.[и]ӈээтиркэ
見ている、隠れた、見ている。水浴びしていた。そしてングーティルクは
гунэ-и-њи,њуу-хэ-њиӈээтиркэ,"солодээсолодээ,"ӈээтиркэ
言う、出て来た、ングーティルクは「こんちは、こんちは、」とングーティルクは
гунэ-и-њи,ӈээтркэ-вэичэ-хэ-ти,тэихатала-са.
言う、ングーティルクを見た、その娘たち。
аjаӱ-ха-ти,ӈээтиркэ-вэ.ӈээтиркэ[хэску](1) би-чи-њи.
好きになった、ングーティルクを。ングーティルクは髪の毛など汚らしかった。
ӈээтиркэхэвэти-хэ-њи,ǯӱк-ти,тэихатала-ва-са.
ングーティルクは呼んだ、家へ、その娘たちを。
хэвэти-хэ,тэихатала-ва-санӱӈа-ма-њи,дээбби, дээббэ-вэ-њи
呼んだ、その娘たちは彼女を、その顔を
сикки-ха-ти,тэихатала-ва-са.ӈээтиркэдээббэ-вэ
洗った、その娘たち。ングーティルクの顔を
сикки-ха-ти,њуктэ-вэ-њидили-вањиигди-ги-ха-ти,дили-ва-њи
洗った、髪の毛を頭を櫛でとかした、頭を
игди-ги-ха-ти.дээли-ги-хэ-ти.аки-масаа-и-ти.тэи
とかした。(そして)飛び去った。兄を知っているのだ。その
хаталасаа-и-тинӱӈањиаки-њиби-и-вэ-њи."акин-тиэ-ǯи
娘たちは知っている、彼女に兄がいることを。「お兄さんへは決して
тээлумучи-jэ,"гуӈ-ки-ти."акин-тиэ-ǯитээлумучи-jэ,буу
話さないでね、」と言った。「お兄さんへは決して話さないでね、私達が
би-чи-му,эвэсихуликтэ-хэ-му."тууинэӈутаӱн-дӱ
いたことを、ここへやって来たことを。」そうして毎に
хуликтэ-и-ти,тэихатала-са.дээли-и-ти,тууӈээтиркэ-ти
やって来た、その娘たち。飛んで来る、そうしてングーティルクの所へ
эмэ-и-ти.њаадээббэ(-вэ-њи)сикки-и-ти~, аӈи-ва-њи,
来る。再び顔を洗い、
њуктэ-вэ-њи,игди-и-ти,инэӈу таӱн-дӱи-њиинэӈу таӱн-дӱи-њи.
髪の毛をとかす、日毎に日毎に。
аки-њиэмэ-ги-и,мэичи-и-њи,"оон би-и-њитэи,њии,
兄は戻って来て、考える、「どういうことだ、これは、誰かが
аӈи-и-ти,игди-ги-и-њидээббэ-њисикки-и-њи,ӈээтиркэ-вэ."аки-њи
髪をとかしている、顔を洗っている、ングーティルクを。」兄は
агдӱвачи-и-њи,"сии,њииэмэ-ктэ-и-њисунти."ӈээтиркэ
訊ねる、「おい、誰が来てるんだ、おまえの所へ。」ングーティルクは
э-си-њ(и) гунэ-э."њии=даамааки,"гунэ-и,"њии=даамааки.
言わない。「誰もいない、」と言う。「誰もいない。
њии=дааэ-си-њ(и) хуликтэ-э."ӈээтиркэтуугунэ-и-њи.
誰もやって来たりしない、」と。ングーティルクはそう言う。
ааки-њимэичи-и-њи,"њиаэмэ-и-т(и)биǯээ,"мэичи-и-њи.
兄は考える、「誰だか来ているようだ、」と考える。
ааки-њ(и)мэичи-и-њи.эмнэ,эмнэаки-њ(и) э-чи-њ(и)
兄は考える。ある時、ある時兄は
ӈэнэ-jэ,мээнэгунэ-и-њи,"аӈи, бэjу-м(э)ваа-ӈна-ǯа-и,
出かけなかった、自分では言っていた、「獣を獲りに行って来る、
ӈэн(э)-ǯэ-и,"гуӈ-ки-њи.мээнэ-ǯиэ-чи-њ(и) ӈэнэ-jэ.
出かけてくるぞ、」と言った。が、自身は本当は行かなかった。
хили-ха-њи.хили-ха-њи,ичэ-лэ-и,тавагаам=даа.
隠れた。隠れた、見るために、事の次第を全て。
ичэ-хэ-њи,тэихатала-ва-саичэ-хэ-њи.тэиӈээтиркэ-вэ
見た、その娘たちを見た。そのングーティルクを
аӈи-вааӈи-ваичэ-хэ-њигаам.нӱӈатитэти-ги-ли-хэ-ти.
洗うのをとかすのを見た、全て。彼らは服を着始めた。
тэиааки-њи,ӈээтиркэааки-њи,ǯава-ха-њитэггэ-вэ,омо
その兄は、ングーティルクの兄は、奪った、服を、一人の
хаталатэггэ-вэ-њи.тэггээ-си-њ(и) би-э,гунэ-иава,
娘の服を。じゃあない、何というそれを、
чӱппӱ.гасачуппу-вэ-њ(и)ǯава-ха-њи.
覆い。水鳥の覆いを奪い取った。
[и]ǯаjа-ха-њи.мээнǯаjа-ха-њи,мээнду.гаам
隠した。自分で隠した、自分の場所に。
дээ-ли-ги-хэ-тиомокооэ-си-њ(и) баа-ги-jа.гээ,тэи
飛び立ち始めた、一羽だけ(服が)見つからない。さあ、その
хатала-ваǯава-ха,ǯӱк-тигаи-ха-њи.асала-ха-њи.
娘をつかんだ、家へ連れて行った。妻にめとった。
тава=гдала,гасачӱппӱм-ба-њичопǯаjа-ха-њи.ӈээтиркэ
それは、水鳥の覆いは見えないように隠した。ングーティルクは
саа-и-њи.илэǯаjа-ма-њи,аки-њи,тэичӱппӱ-ва.
知っている、どこに隠したのかを。兄が、その覆いを。
аки-њ(и)гуӈ-ки-њи,"э-ǯигунэ-jэ."тэиӈээтиркэ,
兄は言った、「決して言ってはならない、」と。さてングーティルク、
хитэ-вэбаа=ха-ти,[уже]тэиаки-њихитэбагди-ха-њ(и),
子供が生まれた、もう、その兄の子供が生まれたのだが、
хусэ,хусэ-мэ хитэ.хусэ-мэ хитэ-вэ,тэиэкки-њи,
男、男の子だ、男の子をその姉(兄嫁)、
эки-њибӱа-ладэӈси-и-њи=гињи,jаава=гда~дэӈси-и-њи.хитэ
姉は外で働いていたのである、何をだか、働いている。子供は
соӈо-и,омо-дӱ.лиассоӈо-и-њисоӈо-и-њи,лиас
泣く、揺り篭で。ひどく泣く、泣く、ひどく。
ӈээтиркэ,тагда-ха-њи.э-си-њ(и)=дээ,лиассоӈо-и-њи=а
ングーティルクは頭にきた。どうにもだめだ、ひどく泣く、
соӈо-и-њи,ӈээтиркэтууэмучи-и-њи эмучи-и-њи,ӈээтиркэ
泣く、ングーティルクはそうして揺り篭を揺すってあやす、ングーティルクは
эмучи-и-њи.эмучи-м(и)=дэээси,jада-ха-њи.тагда-ха-њи.
あやす。あやすのだが、もう、疲れた。腹をたてた。
"хэмэби-вэ,"гунэ-и-њи."хэмэби-вэ,хэмэочо-ка,
「静かにしろ、」と言う。「静かにしろ、静かになれ、
хэмэочо-ка,биигун-ǯэ-и=эсинти,бииаки-миилэ
静かになれ、私は言ってやろう、おまえに、私の兄さんがどこに
ǯаjа-ха-њи,сииэњи-с(и) аӈи,чӱппӱм-ба-њи."хэмэ
隠したのか、おまえの母さんの、覆いを。」静かに
очи-ги-ха-њи,хитэ.хитэхэмэочи-ги-ха-њи.экки-њи
なった、子供は。子供は静かになった。姉が
ии-ги-хэ."ӈээтиркэ.иимихитэхэмэочи-ги-ха-њи?
入って来た。「ングーティルク、どうして子供は静かになったのか?
иим(и)э-си-њи соӈо-jо?э-си-њи соӈо-jо,э-си-њи
どうして泣かないのか?泣かないのか?騒がないのか?
мӱра-jа?гуӈ-кэ,ооњиjаавагуӈ-ки-сиэси,гуӈ-кэ
言え、どのように何を言ったのか、今、言え、
jаавагуӈ-ки-си."ӈээтиркээ-си-њ(и) гунэ-jэ.ӈээтиркэ-вэ
何を言ったの。」ングーティルクは言わない。ングーティルクを
чакаачи-ли-ха-њи.лиасчакаачи-ха-њи,лиасчакаачи-ӈки-њи=дээ
くすぐり始めた。ひどくくすぐった、ひどくくすぐったらば
гуӈ-кинтэиӈээтиркэ,"гун-ǯэ-и=jэаjа,э-ǯи чакаачи-jа,
言った、そのングーティルク、「言うわ、もういい、くすぐらないで、
эсигун-ǯэ-и=э."туугуӈ-ки-њи,тээлумучи-хэ-њи,илэ
言うわ。」そうして言った、語をした、どこに
ǯаjа-ха-ми-њи.аки-њи=даахувээ-тиӈэнэ-хэ-ти.баа-ги-ха-њи,
隠したのかを。兄も森へ行ってしまっていた。見つけた、
тава,ӈээтиркэгуӈ-ки-мэ-њи.аӈи-ха,тэти-ги-хэ,
それを、ングーティルクが言った物を。どうした、着た、
хитэ-вихитэ-виǯава-и,ǯава-ги-и-њихитэ-ви, омо,
子供を、自分の子供をつかんだ、つかむ、自分の子を、
[и]дээли-ги-хэ.дээли-ги-хэ,аки-њиэмэ-ги-хэ-њи,аки-њи
飛んだ。飛んだ、兄が戻って来た、兄が
эмэ-ги-хэ-њи,"ӈээтиркэ,авас(и)ӈэнэ-хэ-ти,jаава=даа."
戻って来た、「ングーティルク、どっちへ行った、いったいどうしたんだ。」
ӈээтиркэгаамтээлумучи-ги-хэ-њи.гээ,аки-њиӈэнэ-и-њи.
ングーティルクは全部話してきかせた。さあ、兄は行く。
ӈэнэ-и-њинамӱ-ти,намӱ-тиӈэнэ-и-њи."ӈээтиркэ,эмукээ
行く、海へ、海へ行く。「ングーティルク、一人で
би-ǯэ-си.эиуктэ-вэ,аjауктэ-вэњаӈгаǯэп-пэ,окки
いるのだ、おまえは。この肉を、良い肉を少し食べろ、悪い
уктэ-вэǯэб-ǯэ-си.аjаǯэву-вэ[потом]ǯэб-ǯэ-си.эси
肉を(まず)食べるのだ、良い食べ物をそれから食べるのだよ。今、先に
оккиǯэву-вэǯэб-ǯэ-си.биигооби-ǯэ-и=э."гээ,
悪い食べ物を食べるのだ。私は遠くへ行くだろうから。」さあ、
аки-њ(и)ӈэнэ-хэ,гээ,аки-њ(и)ӈэнэ-хэ,ӈээтиркээмукэ очи-ги-ха-њи.
兄は行った。さあ、兄は行った、ングーティルクは一人になった。
аки-њ(и)аса-м(а)гэлэ-ктэ-м(и)ӈэнэ-хэ-њи.гэлэктэ-м(и)ӈэнэ-и-њи
兄は妻を探して行った。探して行く
ӈэнэ-и-њиӈэнэ-и-њиӈэнэ-и-њи,ӈэнэ-эки-њ(и)=дээӈэнэ-м(и)=дээ
行く、行く行く、行ったらば、行って
ӈэнэ-м(и)=дээбаа-ха-њи аӈи-ва,баа-ха-њи,ӈэнэ-м(и)=дээ
行って、見つけた見つけた、行く
ӈэнэ-м(и)=дээбаа-ха-њиаӈи-ва,омокава,омокава-дӱ,омо
行く、そして見つけた、何を、一軒の小屋を、一軒の小屋から、一人の
мамачаањуу-хэ-њи.тэи ааки-њигунэ-и-њи,"солодээсолодээ,
おばあさんが出て来た。兄は言う、「こんちは、こんちは、
сииичэ-хэ-с(и)=нуу, тива?"тэимамачаагунэ-и-њи,"эси~
あなたは見なかったか?」そのおばあさんは言う、「たった今まで
би-чи-њи,эсиаса-с(и)эсидээли-ги-хэ-њи,"гунэ-и-њи.
いた、おまえの妻は出発したところだ、」と言う。
эмэ-ги-хэ-њиааки-њи,ичэ-хэ-њи,ичэ-хэ-њи,тэидээли-ги-и,
(家に)戻って来た時兄は、見た、見た、その飛んで行くのを、
аса-м(и)дээли-ги-и-вэ-њи,[и]гаппӱла-ха-њи.хитэ-и,
自分の妻が飛んで行くのを、そこでその時、弓で射た。自分の子供の、
чумчукэ-лэ-њигаппӱла-ха-њи,сээксэ."тэисээксэ-вэ
小指を射た、血が流れた。「その血を
оӈко-ӈно-ми=а,"гунэ-и,"оӈко-ӈно-си-хо-ми,эси
流して捨てに行くところだったんだよ、」と言う、「流しに来たんだ、たった今
дээли-ги-хэ-њиаса-си.ээду би-чи-њи,"гунэ-и-њи,"њаӈга~
飛んで行ったとこだよ、おまえの妻は。ここにいたんだ、」と言う。「ちょっと
чай-ваӱми-ха,гуулиӈ-ги-хэ-њи.гуулиӈ-ги-хэ-њи,"гунэ-и,
お茶を飲んだ、で、出発したんだ。出発した、」と言う、
"аса-си."њӱӈањи=а,њааӈэнэ-и-њи.том(и)њаабаа-и-њи
「おまえの妻は。」彼は、さらに行った。すると再び見つける、
аӈи-ва,кава-ва,омокавањаабаа-и-њи,омомамачаа.
小屋を、一軒の小屋をまた見つける、一人のおばあさん、
[тоже так же,]илаан-дӱњаакавабаа-ги-и-дӱтуу
やはり同じように、三度繰り返しまた小屋を見つけるとそのように
гунэ-и-ти,мамачаа-са.эмумамачаагуӈ-ки-њи,[что-то]
言う、おばあさんたちは。一人のおばあさんが言った、そして何かを
буу-хэ-њи,нӱӈан-дӱи-њи,аӈи-ва."элээ,"гунэ-и-њи,
くれた、彼に、(何だったっけ)。「もうすぐ、」と言う、
"намӱ-ваичэ-ǯэ-си,тэинамӱ,намӱ-дӱ,хитэ-си, аӈи,
「海をおまえは見るだろう、その海、海におまえの子が、
намӱаӈи-дӱ-њи."тэи ӈээтир(кэ)ааки-њи,тэимамачаабуу-хэ-њи,
海の岸にいる。」ングーティルクの兄に、そのおばあさんはくれた、
jавабуу-хэ-њи,буу-хэ-мэ-њи, аӈ-ва, [и]хэвэти-ǯэ-си,"
ミルクをくれた、「この私のやった物を(岸に置いて、)子を呼ぶがよい、」
гунэ-и-њи,"хитэ-вэ,хитэ-и,хэвэти-ǯэ-си,эмэ-ǯэ-њи
と言う、「子供を、自分の子供を呼ぶのだ、来るであろう、
хитэ-сиэмэ-ǯэ-њи,тавауми-ӈнэ-ǯэ-њи.[и] тадӱ=мак(и)
おまえの子は来るだろう、これを飲みに来るだろう。そこで
сииǯава-ги-ǯа-си,хитэ-ви."[вот]ӈэнэ-хэ,тэи,
おまえはつかまえるがよい、自分の子を。」さて行った、彼は、
мӱра-и-њи."эмэ-кэ~эвуси,эмэ-кэ~эвуси."тэихитэ
叫ぶ。「来い(2)こっちへ、来い、こっちへ。」その子供は
эмэ-хэ-њи,таваӱми-ӈна-ха-њи,[и]ǯава-ги-ха-њихитэ-вэ.
やって来た、それを飲みに来た、そしてつかまえた、子供を。
аса-њиичэ-хэ-њиэди-ви.аса-њиичэ-хэ-њиэди-ви.
妻は見た、自分の夫を。妻は見た、自分の夫を。
"гээ,"гунэ-и-њи,"баа-ги-ха-си,хитэ-ви,аса-ми."
「さあ、」と言う、「再び合うことができた、我が子に、我が妻に。」
"гээ,"эди-њигунэ-и-њи,"гээӈэи-ǯэ-пи,ǯӱк-ти,"туу
「さあ、」夫は言う、「さあ、帰ろう、家へ、」そうして
ӈэи-хэ-ти.тууӈэи-хэ-ти,нӱӈањ(и)аса-м(а)баа-ги-ха,
去った、そうして立ち去った、彼は自分の妻を見つけた、
хитэ-вэбаа-ги-ха.тууӈэ-хэ-ти.эмэ-ги-и-ти,
子供を見つけた。そうして去った。戻って来る、
эмэ-ги-хэ-ти,ǯӱг-дӱла.ǯӱг-дӱлаэмэ-ги-и-ви,ӈээтиркэ-вэ
戻って来た、家の所に。家に戻って来て、ングーティルクを
баа-ги-и-ти.элээбудэ-и-њи.лали-м(и)элээбудэ-и-њи,
見つける。今にも死にそうである。飢えて今にも死にそうである、
ӈээтиркэ.тэиӈээтиркэ-вэХэвэ-куӈ-ки-ти.гээтуу
ングーティルクは。そのングーティルクを食べさせてやった。さあそうして
багди-ли-ха-ти.илаа њии.элээ.
暮らし始めた。三人は。終わり。

(1)この単語は思い出せなくて、後で意味をきいている時に思い出し、つけ加えたもの。

(2)本来ならここで、子供を呼ぶ歌があったのだが、思い出せない、という。