風間伸次郎(採録・訳注).1996.『オロチ語基礎資料』(ツングース言語文化論集7,鳥取大学教育学部)より

4.伝説2(ガンはなぜ黒くなったか)

эињимапӱ-ватээлумучи-хэ-ти,сагдигэту-сэ,сагди
この話を語ったのは、年輩の人々。年輩の
гэту-сэгообагди-ха-ти,эгди-вэсаа-ха-ти.намӱ
人々たちは長く生きた、たくさんのことを知っていた。海の
киа-дӱ-њиоо-хо-тиǯӱбба-ва,кава-ва,[барачку]-ва
岸に作った、家を、小屋を、干し魚の倉を。
хусэ-сэбӱта-ха-ти,хувэн-ду,ӱсакта-ва,ӱли-кан-дӱ
男たちは獲った、森で、獣を、小川で
согзаса-ва.аса-саби-чи-тиǯӱӱг-дӱ.тоо-ваилачи-ха-ти,
魚を。女たちはいた、家に。火をおこした、
ико-хо-тиǯэу-вэ.омоаӈа-њиби-чи-тињӱӈња,эгди
煮て作った、食べ物を。あるいた、ガンが、たくさんの
њуӈња.њуӈњадээли-ха-ти.ǯӱббаӱjан-дӱли-њињӱӈња
ガン。ガンが飛んで来た。家の上に沿ってズラリとガンが
би-чи-тичээкэчээкэ.тоовињааичэ-хэ-ти,њуӈња-ва.
いた、白く白く。それから再び見た、ガンを。
њӱӈња би-чи-тисакаисакаи.саӈња-ǯисакана-ха-ти.тадӱ
ガンは真っ黒黒であった。煙で黒くなったのだ。その時
орочи би-чи-тихээмэгди.тӱӱчаа=каањӱӈњаоча-ха-ти
オロチはとても多かった。そのようにしてガンはそうなったのだ、
сака-ми.
黒く。