風間伸次郎(採録・訳注).1996.『オロチ語基礎資料』(ツングース言語文化論集7,鳥取大学教育学部)より

1.伝説1

биибагди-ха-мидаатан-дӱ.та-дӱби-чи-тиэњи-ми,ами-ми,
私は生まれた、ダータに。そこにはいた、私の母、私の父、
сэгдээ,сагда-ми.буубагди-ха-мӱлучаǯӱба-дӱ-њи.
祖母、私の祖父。私たちは暮らしていた、ロシア式の家に。
туэами-миби-чи-тихуэн-ду.ǯӱа,сӱгдаса-вабӱта-ха-ти,
冬、私の父はいた、森に。夏、魚を獲った、
даатан-дӱ,тоамибуу,би-чи-миǯӱаӈка-дӱ.та-дӱ,
ダータで、それから、私たちは暮らした、ジョアンカで(1)そこで、
бӱта-ха-тињэктэ-вэ,око-во,дава-ва,гаса-ва.
獲った、イノシシを、カラフトマスを、鮭を、水鳥を、
асанта-са,хитэкэсэ-сэл,окоǯикимами-ваjаако-ва,
女たち、子供達は、カラフトマスでキマミを(2)ヤーコを、
сило-ва.даатан-дӱ,бууби-чи-миэгдиаӈа-њи,тоами
焼き魚を(作った)。ダータに、私たちはいた、長い年月、それから
буу,багдӱ-на-за-мӱ,ӱсӥан-дӱ.
我々は引っ越した、ウースチ・オロチスカヤに。

(1)ダータより若干南の、やはり海岸沿いにある村。

(2)民族語彙を参照されたい。