風間伸次郎(採録・訳注).1996.『ウルチャ口承文芸原文集1』(ツングース言語文化論集9,鳥取大学教育学部)より

3. нӥӈма2

民話2

гээ,бииалдачӱ-й=табал(а)наа〜бал(а)наа,минам-бӥ〜
さあ、私は語ろう、私の父が、
даада-ӈгӱ-йӥ〜,алдачӥ-хам-ба-н(ӥ)бии
おばあさんが語ってくれたものを私が
алдӱрӱ-й=тасӱнтӥ.гээ,баланаа〜баланааби-чин,ӱм
話してあげよう、おまえに。さあ昔にあった、一軒の
хагдӱ,наа-дӱ,ӱмнаа-дӱби-чи-ти,хасӱ=аха〜гдӱ〜,хасӱ=а
家が、ある所にあった、何軒かの家があり、何人かの
њии〜.гээтӥӥнаа-дӱби-м(и)ӱмхагдӱ,мапа-ǯӥ,
人がいた。さあその地に  いた、ある家に、じいさんと
мама.пиктэ-ни,ӱмээктэ,ӱмхусэ.тӥӥби-чэ-л,тӥӥ-сал
ばあさんが。子供は、一人の女の子と、一人の男の子。そうしていた、彼らは
тӥӥби-мээр(и),хай-ва=даахум,усэлтэ-вэ〜=чхай-ва=даахум
そうして暮らしていて、何でも全て、肉をも何でも全て
ваа-кта-й〜,вайсӥэу-риитӥӥ-дӱ[рыба-ва] чӱк,тӥс
獲る、川岸へ下りればそこではちょうど食べるくらい、たっぷり
ваа-рӥӥ,сӱгдата-ватӥӥваа-ва тӥӥ=мэ,улээнǯэпт-ии,
獲る、魚をそうして獲る、良く食べる、
улээн-ǯиби-йта-м(ӥ) тӥӥби-чи-титӥӥ-сал.та-раа[аа]
良く暮らす、そうして暮らしていた、彼らは。そして
наан-дӱ-н(ӥ)=(г)далааби-чинӱмээктэпиктэ.ǯиӈ(ǯ)иӈтӥсхай,
彼らにはいた、一人の女の子供。とてもよく
урп-йчэ-й-н(и)тӥстӥӥурп-йчэ-й-н(и)ǯиӈǯиӈӥрга-ва-н(ӥ)тӥс
縫い物をする、とてもよく縫い物をする、とても、模様も良く
ӥргаала-й-н(ӥ), хай,сӱгдата-ваанǯӱ-й-нӥ,тӥӥсӱгдата-ӈгӱ-нӥ
模様を縫いつける、魚を縫って作れば、その魚は
элээӈэнэ-й=мэт би-й, хай,буйум-бэанǯӱ-м(ӥ)урпу-й-н(ӥ)=дээ
今にも動き出しそうである、獣を作って縫っても
буйун=дэээлээпуктулу-й,тӥӥгаса анǯӱ-й-н(ӥ)=даавэн-дээ,
その獣も今にも走り出しそうである、水鳥を作ったと言えば、
гаса=дааэлээпуктулу-й,гээтӥӥ=мээти=лэ,би-й-ǯи-н(и),[так
その水鳥も今にも飛び立ちそうである、さあそのように、暮らしていると、
её]тӥӥ=мээти=лээс(и),[шил она такой рукоделие.]тараа
そのようであると今、(彼女はそのように手芸に優れていた)そうして
таваӈчӥ=гдал,тӥӥээктэ, ээктэтӥстӥӥ-дӱурпу-чи-м(ӥ)
それから、その女は、たくさんそこで縫い続けて
би-м(и)=дээ,тӥӥамӥ-нӥнаам-ба-н(ӥ)эни-ниамӥ-нӥ
いたのだが、彼女の父は彼女を、母も父も
баа-тӥњээ-ри-н(и)осӥнӥгэсэњээ-ри,тӥӥээктэ
外へ出るとなれば一緒に出る、その娘を
хасасӱ-м(ӥ),хай-ва, њии-ǯи=дээӱрчӱлӱн-дэси〜,ӱрчӱлӱм-бӱвэн-дэсӥ〜,
追って、(娘は)他の誰とも話さないし、(親が)話させないのだ、
њии-вэ=дээичэ-вэн-дэси,тӥӥ=мэтби-вэн-ди-ти,мээн-ти
他の人をも見させもしない、そのように生活させていた、自分の家へ
ии-вэ...баа-тӥњээ-вэн(-ди)очӥ(нӥ),чээчи-ӈдэ-й-ниосӥнӥ,гэсэ
入る時も、外へ出させたならば、小便をしに行くならば、一緒に
чээчиӈдэ-м(и)ӈэнэ-й,гэсэииву-й-ǯи,тӥӥ тӥӥби-вэн-чи-ти,тӥӥ
小便をしに行く、一緒に入るように、そうして生活させていた、その
њии-вэ,тӥӥээктэ-вэ.тӥӥби-мээр(и)=дээ〜ӱмтӥмай-н(ӥ)эни-н(и)
人を、その女を。そうしていたが、ある母が
тээ-хэ-н(и),тээ-рээичэ-й-н(и),тӥӥээктэпиктэ-вэ-йи,
起きた、起きて見る、その娘を、
кэвэ,хай-ха-н(ӥ).тӥк(ӥ) тӥӥхай-кӥгэлэǯу-й-н(и)=дээпала-н(ӥ),
いない、どうしたんだ。そこいらをどこを探すけれども、床を、
накапэǯи-ки-н(и)гэлэǯу-й-н(и)=дээкэвэ〜,хай-кӥ-н(ӥ)=дээ
煙道の下を探すけれどもいない、どこも
гэлэǯу-м(и)кэвэ〜,тараахай-кӥ=дээбак(ӱ-мӥ)...тараамапа-ӈгӱ-йӥ
探してもいない、そしてどこにも見つからない、それでじいさんを
сэручу-й-н(и),"мапа〜,тээ-руу.хай-ханмээнпиктэ-пу-вэ,чӱп
起こした、「おじいさん、起きて。どうしたんでしょう、自分の子を、どこにも
вээдэк-пин.""мапа-ӈгӱ-н(ӥ)тээ-хэ(н).тӥӥгэлэǯу-й=этӥӥ=дээ
いない、失くしてしまった。」じいさんは起きた。そうして探すそれでも
кэвэ.њии-сэл-бэӈэнэ-хэ(н),њии-сэл-бэ,тӥсǯи-чи-л
いない。他の人たちの所へ行った、人々をたくさん呼んで来た、
алдачӥ-хаа-лњии-сэлди-чи-л,гэсэтӥӥгэлэǯу-й-лтаӱ〜
話した、人々が来た、一緒にそうして探す、ずうっと
хай-кӥ=дээхум,хай-кӥ=дээхумгэлэǯу-м(и)ӱм моотӥйкӥн(ӥ),
どこも全て、どこも全て探して、木の後ろも
эйхай-к(ӥ)ǯак(а)тӥйкӥн(ӥ),тӥк(ӥ)тӥӥгэлэǯу-м(и),хай-кӥ=дээхум
その何でも物の後ろを、そこをそうして探して、どこにも全て
бакӱ-м(ӥ)=даа кэвэ.тараа, тараатӥӥмама-ǯӥмапа-ǯ(и)тӥӥ
見つからない。それでそのばあさんとじいさんとは
соӈго-й〜тӥӥсоӈго(-хан)эс(и)хоон(ӥ) та-вӱ=каа(=ӱм)вэн-дии-н(и).
泣く、そうして泣いた、どうしたものだろう、と言う。
[как]хоон(ӥ)би-м(и)мутэ-ву=кээ.тараатӥӥ, тӥӥ
これからどうやって暮らしていけようか。それからそうして
соӈго-маар(ӥ) тӥӥ, тӥӥ уй,тӥӥпиктэвэн-дии-н(и),
泣いているとその男の子供が言うのだ、
хай-васоӈго-й-с(ӥ)=кээ=эм=дээ.эǯи соӈго-а-ксӱ〜вакаǯӥ
「何を泣いているのですか。泣いてはいけません。しっかり
би-й-су,хай,эйнэӈ(и)эгээ элээǯиǯу-й-ни,вэн-дии-н(и).
して下さい、今日にも姉さんはもう戻って来ます、」と言う。
"хай,тӥмай,инэӈ(и) токон,инэӈ(и) токонсии-ри-ни〜эвэс(и)
「明日、正午に、正午を過ぎる頃に、ここに
ӥсӥӈдэǯу-й-ни,вэн-дии-н(и). [аа]тӥӥдӱвэн-дии-н(и)
着くでしょう、」と言う。そこで
мама-ӈгӱ-н(ӥ)хайсоӈго-м(ӥ)=дээхай-вата-м(ӥ)тӥӥ.хай
ばあさんはどんなにか泣いたか、何をしてもそうだ。どんな
би-чэ〜тӥӥ, [как наз...]аапӱ-н(ӥ),ӱта-ва,сӱгбӱ-ва[работа...]
だったか、そう、帽子を、靴を、魚皮をなめして
уйлэ-й,тӥӥуйлэ-й,тӥӥуйлэ-м(и)тарааӈаала-нӥњээс
働く、そうして働く、そう働いてそれから腕が疲れて弱く
ӈэнэ-хэ〜(н),тараатӥӥсоӈго-й,тӥӥсоӈго-й,хоон(ӥ)=даа
なった、それからそうして泣く、そうして泣く、どうにも
уйлэ-м(и)мутэ-эси〜,мапа-ӈгӱ-н(ӥ)=дааӱмӱтӱ,сакпӥ-каам-ба
働くこともできない、じいさんも同じだ、斧を
ǯапа-раабаа-тӥ, хай,моо,хадӱндаа-м(ӥ)ӈэнэ(-рээ),эмдэ
つかんでから外へ、木を切りに行っても、たった一回か
ǯуэлэтӥӥпаатӥла-ха(-нӥ),хоон(ӥ)=даа байбай-й(ӥ).ӈаала[никак
二回そうして打ったものの、どうにもやる気が出なくてできない。腕も
не...]хоон(ӥ)=даамутэ-эси-н(и)=гун.тараатӥӥсоӈго-й-н(ӥ)
どうにも(動かず)、どうにもできないのだ。それからそうして泣く、
тӥӥсоӈго-й-н(ӥ)тараатӥӥ ӱмтӥмана-н(ӥ)тӥӥвэн-дии-н(и)хусэ
そうして泣く、それからあるこう言う、
пиктэ-н(и)вэн-дии-н(и),"эǯи соӈго-а-рӱӱ, вэн-дии-н(и)амаа
息子がこう言う、「泣くな、父さん、
эǯи соӈго-аэњэээǯи соӈго-а,эгэээйнэӈ(э) тӥмай〜бала
泣くな、母さん泣くな、姉さんは今日明日にもすぐに
ǯиǯу-й-ни〜,"вэн-дии-н(и)."тӥӥ-ва,тӥӥ та-п(ӥ) ǯиǯу-й-ду-н(и)=э
戻って来ます、」と言う。「そうするとその戻って来る時のために
ǯэпуу-вэ [гото...]улээнэгдиим-баанǯӱ-кта-ксӱ."тараа
食べ物を、良い物を、たくさんを作っておきなさい。」と言う。
тӥӥмама-ӈгӱ-тӥдахӱрсӱ-ха〜(н),тӥӥњимэн-тиӈэнэ-хэ-ни
そのばあさんは賛成したその隣人の所へ行った、
њии-сэл-бэчӱпалгааǯӱ-ха〜(н),тараатӥӥ-дӱ хай,ǯэпуу
人々を全員連れて来た、それからそこで食べ物を
анǯӱ-кта-ха-н(ӥ)[всякайвсячны]ǯэпуу-вэтааанǯӱ-кта-ха(н),
作った、さまざまなたくさんの食べ物をたっぷり作った、
хаматаа〜ǯэпултэ(-вэ)анǯӱкта-й-н(ӥ)тӥӥанǯӱкта-й-н(ӥ).тараа
いかなる食べ物も作る、そうして作る。それから
тӥӥхода-хан,паачам(-ба)анǯӱ-хан,тӥӥпаачам(-ба)
そうして終わった、白樺製の平底容器を作った、その容器に
малхӱ〜паачаан(ǯӱ),тӥӥпаача-н(ӥ)доо-тӥ-нӥǯэпуунээ-ктэ-м(и),
たっぷり、容器を作って、その容器の中へ食べ物を盛って、
тараатӥӥ вайсӥэув-хэн.вайсӥэу-рэрээтӥӥ-дӱхӱмӥрам-ба
それから川の方へ下りた。川の方へ下りてそこに白樺製の小屋を
анǯӱ-ха〜(н)даайӥ〜-кээм(-бэ).тӥӥдоо-ла-н(ӥ)дэрэ-чу,
作った、大きいのを。その中には机がある、
вормӥ〜дэрэнтӥӥǯэпуутӥснээ-ктэ-в(у)-хэ(н).тараа
長い机(に)その食べ物をいっぱいに並べた。それから
халачӥ-й-тӥбаа-тӥњээ-рээ, [аа]сээксэ-чу гур-сэли,дуйлэ〜
待つ、外へ出て、月経期間中の女たちは、森の方に
би-й-ти,эњэ-ву тавасӥэув-[рить](ми). [аа],сээксэанаањии
いる、タブーを犯さないように、下りずに。月のものの血のない人は
[с бабками]гэсэтӥӥ-дӱвайсӥэву-ри.эњэ-ву би-чинтӥӥ.тараа,
ばあさんたちと一緒にそこに川の方に下りる、決まりだった、そういう。
тараатӥӥ-дӱ, тӥӥ-дӱ=гдалтӥӥээктэ,тӥӥмама,мама-сал
それからそこでその女たち、そのばあさん、ばあさんたち
тӥӥэтэву-ри-тӥ〜ичэǯэ-й-ти〜та-м(ӥ)=дээичэǯэ-й-тӥ,таӱ〜
そうして見張っている、見る、そうして見る、ずうっと向こう
доо-ла хай,намӱ-н(ӥ), намӱ=тамӱ тӥӥнамӱтаӱ〜 тӥӥ
海平線から、海、海のずうっとかなたに
ичэптӥн. "хай,анайӥхоон(ӥ)=дааичэ-м(и),њиидаӱрӥ-й-н(ӥ)=маат
見える。「おやおやどう見ても、人が海を渡って来るよう
би-эс(и)=кээ.њиидаӱ-рӥ-н(ӥ), тараадаӱ-рӥ-т(ӥ) би-эс(и)=кээ〜."тӥӥ
ではないか。人が渡って来る、渡って来るのじゃあないか。」そう
даӱ-маар(ӥ)тӥӥдаӱ-маар(ӥ)тӥӥǯӥǯаочӱван(-дӥ-тӥ)..тӥӥдаӱ-рӥ-тӥ,
渡って渡ってそうして近づいて、そうして渡って来る、
эйсапсӥ кӥра-тӥ-н(ӥ)хаа-ӈда-ǯӱ(-й)гэсэ,мээн[св(ойв)сёсняли
その海岸に着岸して来るやいなや、自分の
шкурувсёсняли,человекомстали и это..нерпчьюсебя
毛皮を全部脱いだ、人の姿になった、アザラシの姿に自らを
оделиони,нерпа. а тамонаоказывается, ой...]наан=гдэл,
装っていた、彼らは、アザラシに。彼女もそういう姿だった、彼女を、
наан,тӥӥээктэ-вэмууэǯэ-ниǯапа-ха-н(ӥ)асӥ-ǯӱ-йӥ.муу
その娘を水の主が取ったのだ、その妻として。水の
эǯэ-н(и)ǯапа-хантӥӥээктэ-вэ.та-хан-ǯӥтӥӥээктэгэсэ
主が取ったのだ、その娘を。そうなるとその娘はすぐ
наан-ǯӥ-н(ӥ)тӥӥэдилэ-хэ(н),тӥӥнаан-ǯӥ-н(ӥ)би-чи-т(и)=гун
彼でそう夫としたのだ、そうして夫といっしょにいたのだ
тӥӥ-сал.тараатӥӥэдилэ-хээ-л, тӥӥтаванчӥтӥӥ
彼らは。それからそうして結婚した、それからそうして
ǯиǯу-хэн,ǯиǯу-хэн-ду эй,сапсӥ кӥра-н(ӥ)ӥс(ӥ)-ǯу-хэ(н),
戻って来た、戻って来たその時に、海岸に着いた時に、
мээпичӱп(ал)ачӱ-кта-ǯӱ-хаа-л,[ужечеловек]очӱ-ха(-нӥ),њии
自身をすっかり脱いだので、すでに人の姿になっていた、人に
очӱ-ха(-нӥ).тараа, тарааэни-н(и)амӥ-н(ӥ)=дээнаамансӥ-й=даа
なった。それから母親も父親も抱くし、
хоон(ӥ)та-й=даа,тӥӥалавсӱ-й=даа,наамансӥ-йтӥӥ=мэт
どうするし、そうしてキスもするし、抱く、そのようにして
ǯоонǯӱ-хантӥс=дээ,тараатӥӥ-дӱсалӱ-мачӥ-хаа〜-л,ǯэ-м(и)
さびしがる、ひどく、それからそこで愛を表現し合った、食べるのも
ходӱ-ха(н).тараатӥӥ-сал,тӥӥдаӱ-ǯӱ-ха-тӥ.
終わった。それから彼らはそうしてまた渡って去って行った。
даӱǯӱ-хан-дӱ-н(ӥ)=дээтӥӥӱм ања-нӥ〜би-чи-н(и).
渡って行った時からそうして一年がたった。
даӱǯӱ-хан-ǯӥ=мал=дээ,тӥӥ-дӱ,тараатӥӥтайал(а)гой
渡って去って行ってから、そこで、それからその村に別の
гасанча=тама,тӥӥ-сал наам-ба тэнээтӥӥ ээктэ-вэпанӥ-ӈда-м(ӥ)
村の人、彼らのあの娘を(ずっと前に)最初にあの娘を求めていた
ди-чи-ти.амӥ-н(ӥ)эни-н(и)=(г)дэлэтӱа [совсем]аǯасӥ-ха-т(ӥ)
人が訪ねて来た。父親も母親も全く乗り気ではなかった、
наан-ǯӥ-н(ӥ)эдилэ-й-вэ-ниаǯасӱ-ха-тӥ,уй-ду=дээбуу-рэси
彼で夫とすることは反対だった、(なにしろ)誰にもやらない気
тӥӥээктэ-вэ.тараатӥӥ муу,мууэǯэ-н(и)тӥӥ,
だったのだから、あの娘は。それからあの水の主が
наам-ба-н(ӥ)ǯапа-хантӥӥээктэ-вэ.тараа, тараатаванчӥ
彼女を取って行った、その娘を。それから彼の所へ
тӥӥǯапа-хаа-л [аа] тӥӥтайалаби-йгойнаа-дӱби-йгур-сэл,
連れて行った。そこにいる、別の土地に住む人、
тӥӥпанӥ-ӈда-ха-нӥтӥстагда-хан.тагда-раа тӥӥ,тӥӥ=гдал
その訪ねて来た人はひどく怒った。怒ってその
њии-сал-ба(-нӥ)[тоже]њии-сал-ба(-нӥ)вэн-чин,гарпа-н(ӥ),
海の人たちを、海の人たちを(殺す)、と言った、その
ǯабдӱ(-нӥ)вэн-дии-н(и),тӥӥ-ǯӥ,тӥӥӈэнэ-хэ-ти.тӥӥњавǯака
矢と、彼は言う、弓矢で(殺す)と、そうして行った。その若者は
саӈгал-ва-н(ӥ)улээничэ-хэ(н),та(ра)атӥӥ-дӱдээӈгурэпос
穴をよく見た、それからそこに自動弓を端から端まで貫いて
тӥа-ха-тӥ,дээӈгурэтӥа-хан.тӥӥтӥа-рараатаванчӥ[как]
広げておいた、自動弓を仕掛けた。そう仕掛けてから、そこから
агбӱн-чӥн,агбӱмба-мӥтӥӥдээӈгурэ,наам-ба-н(ӥ)ваа-ра(раа)
(水の主が)現れた、現れて、その自動弓は彼を殺して
ходӥ-й-н(ӥ).гээтараатӥӥтаванчи=гдэ(л),тӥӥта-ха-тӥ
しまった。さあそれからそうそこから、そうした、
тӥӥ, тӥӥгур-сэлтӥӥ-ва.тӥӥта-ха(н), тӥӥээктэмээн
その人たちは、彼を。そうした、女は自分の
эди-ǯи-эр(и)элээ даӱǯӱ-й-тӥ,инэӈи-н(и)ӥсӥ-хан.даӱǯӱ-й-дӱтӥӥ
夫といっしょに渡っていくところだった、その日になった、渡る時にその
хусэ њиивэн-дии-н(и),"бииǯулэсињээ-ри-йи,"вэн-дии-н(и),
夫は言った、「私が先に出る、」と言った、
эй, эйсаӈгал-кӥ(тӥӥ) та-п(ӥ)минхамӥкӥ-н(ӥ)сиињээ-ӈэ-с(и)=тэнии,"
この穴からそしたら私の後ろからおまえは来てくれ、」
"гээайа=гуни,"тараатӥӥсаӈгал-кӥ〜элээњээ-ри-н(и),тӥӥ
「はい、いいですよ、」それからその穴から今にも出ようという時、その
дэӈгурэ-н(и)топ осӥ-йэлээваа-хантӥӥ њии(-ва),хоон(ӥ) би-й, њии
自動弓がまっすぐその一点にまさに殺してしまった、その夫を、どうなる、
маӈгӱ-амаӈгӱ...намӱчӱпа(л)сээгǯэнэ-хэн,наансээксэ-ни=мэл.
海はすっかり真っ赤になった、彼の血だけで。
тараатаванчӥтӥӥ,тӥӥээктэтӥӥ мээнтитӥӥииǯу-хэ-н(и).
それからそこからその女は自分の所へそうして入ってしまった。
мээнтиӈэнэ-рээхӱдӥ-ханхамасӥ.хоон(ӥ)?эдибэ-чи-н(и).
自分の所へ行ってしまった、後ろへ。どうする、夫は死んでしまった。
тараа таваӈчӥ,тӥӥээктээни-ниамӥ-нӥт(ӥӥ)-васаа-ха-тӥ,
それからその女の母と父はそのことを知った。
саа-ха(-нӥ),эсихӱкчӱн-ди-ниэс(и)ваа-ӈда-м(ӥ)
知った、襲撃する、殺しに行く、
тӥӥ-сал-ба,[другой] гойгур-сэлтӥӥ ваа-ханњии-ва,тараа
彼らを、別の村の人々、その(主を)殺した人を、それから
ǯӥа-сӥл-бичӱпал[собирай-раа〜]тӥӥ (диду-хэ(н)...)ӈэнэ-хэ-ти
仲間たちを全て集めてから、行った、
чӱпа(л)йактан-чӱ〜таахай-чӱ=даахум,тӥӥ ӈэнэ-хэ-ти,тӥӥхагдӱ,
矢を持ち、ほれ、あれも持って、皆、そうして行った、その家、
гасам-баӥс(ӱ)-ха〜(-н),гасандувэ-ǯи-нињии(-вэ)ваа-кта-маар(ӥ)тӥӥ,
その村に着いた、村の端から人々を殺しまくってそうして
ваа-кта-маар(ӥ) т(ӥӥ),[пол(овину)],калтакалта-ва-нӥ хай,њии-вэ
殺しまくって、村の半分を、半分の人々を
ваа-кта-ха-тӥчӱпал=даа,[аа]калта-нӥ[такостались].тараатаванчӥ,
殺しまくって、すっかり、だ、半分はそうして残った。それからそこから
хамасӥ тӥӥӈэнэ-й-су,ӈэнэ-й-су,вэн-дии-титӥӥӈэнэ-хээ-л
「後ろへ戻ろう、帰ろう、」と言う、そうして帰った、
хамас(ӥ)ӈэнэ-хэ-ти.тараатӥӥ-дӱта-хан-ǯӥтӥӥ-дӱби-мээр(и)
後ろへ戻った。それからそこでそれからそこで暮らしていて
тӥӥээктэ[время]элээӥсӥ-ǯӱ(-й-нӥ)[ужегод,]ӱм ања-н(ӥ)
その女には里帰りの時がもう来た、もう一年だ、一年
ӥс(ӥ)-хэ,ӱм ањан-дӱби-чинэсиэлээдаӱǯӱ-й-н(ӥ).тараа
たった、一年になっていた、もう渡るのである。それから
тӥӥ=мээтǯэпуу[готовила-н(ӥ)]тӥӥ,вайсӥэу-хээ-л[уже]
あのように食べ物を準備した、そうして、海辺へ下りた、もう
наам-ба-нӥхалачӥ-й-н(ӥ)тӥӥ-сал,халачӥ-й-ду-н(ӥ)ой-ǯӥ
彼女を待っている、人々は、待っているときに、そこから
ичэǯэ-й-титӥӥ-вэтӥӥсаӈгал-кӥњээ-ри-вэ-н(и)ичэǯэ-мээр(и)вэн-дии-т(и),
見ている、そこを、その穴から出てくるのを、見ていて言う、
анай=е〜хай-м(ӥ)=кээтэнǯуу-ни=кээ,ӥлаа њии[долженбыть,]
「あれれ、どうして二人きりなんだ、三人いるべきなのに、
ӥлаа њии=кээ=нуу осӥнӥ=гӱнӥ〜вэн-дии-н(и),"[аа] хай-м(ӥ)
三人ではなかったのか、」と(人々は)言う、「どうして
тэӈ ǯуу-ни=кээ."тӥӥ-салхаӱ〜даӱ-рӥӥ-тӥǯиӈ (ǯи)ӈ[нерпа
二人だけなんだろう。」海の人はバチャバチャ渡って来る、すごい、アザラシ
идёт]ди-дин[бабка]баа-н(ӥ).[мама]мээнэн-тии
の姿で、来る、おばあちゃんのほうへ。(女は子供を連れて)自分の母の所へ
амӥ-тӥǯиǯу-й-титӥӥ-салӥ,тараатӥӥǯиǯу-мээр(и)сапсӥ
父の所へ戻って来る、彼らは、それからそうして戻って来て、海の
кӥра-дӱ-н(ӥ)очо-хаа〜(л)мээп(и)ачӱǯӱ-хаа-лњии очӱ-ха(а-л).тараа
岸辺に到着した、アザラシの覆いをぬいだ、人の姿になった、そして
тӥӥ,тӥӥ-дӱ тӥӥбаарачӱ-маар(ӥ)тӥӥурчулу-м(и)тӥӥта-маар(ӥ)=дээтӥӥ
そこで再会して、そうして話して、そうして
элээӈэнэ-й-ду-итӥӥ, тӥӥээктэвэн-дии-н(и),"амаа,эњээ,эǯи
もう去ろうという時に、その女は言う、「お父さん、お母さん、
соӈго-ксӱ,њии-ǯиэǯисормачӥ-ксӱ,оркӥӥвэн(-дии-ни)њии-ǯи
泣かないで、人と決して争わないで下さい、良くない、」と言う、「人と
вакаǯӥби-вуу,эвэнчи [не]уй-ǯи=дэээǯи=дээсормачӥ-ра"
仲良くいてください、これからは誰とも決して争ってはいけません、」
вэн-дии-н(и).та-хан-ǯӥтаванчӥтӥӥмээн-тиӈэну-хэ〜-н(и),
と言う。そう言ってそこからそうして自分の所へ去った。
ǯэпуу=дээсинду,хаматаа[р(ыба)],хайсӱгдатахай-ва
「食べ物もあなた方の所に、どんな魚だって、どんな魚だって、何でも
гэлэ-й-с(и)хай,чӱпалби-йбиисиндубуу-рии-йивэн-дии-н(и).
望めばなんでも全てある、私があなたにつかわします、」と言う。
[нуу]тӥӥта-хан.таванчӥтӥӥ-салмээнтитӥӥ
さあ、そうした。それから、彼らが自分たちの所へそうして
ӈэну-хэн-ду-н(и) хай,[уже] наанхай,тӥӥмама-ǯӥмапа-ǯӥ
帰ってからは、もう、そのおばあさんとおじいさんが
вайсӥэу-риисӱгдата,[какую]хаматаа осӥн(ӥ)гэлэ-м(и)
岸に下りれば魚が、どんな種類のでも欲しいと思えば
хаматаасӱгдата,дуйситоо-хо〜,хаматаанэпултэчӱпал
どんな魚も岸の方へ上って来た、どんな獣も全て
наан-тӥ-н(ӥ)дӥ-дӥӥ,тӥсбайа-маар(ӥ)тӥӥби-чи-ти.[всё.]
彼の所へやって来る、すごく豊かにそうして暮らしたとさ、終わり。