風間伸次郎(採録・訳注).2000.『ナーナイの民話と伝説5』(ツングース言語文化論集14,東京外国語大学)より

5. kaɡba məuriini

ヤカンが シャーマンの踊りをする

1996年8月17日 ダエルガ村にて録音

N. B. Gejker氏口述


ə̂ŋundiisiəmǰoodoolani-laǰuə̂puǰinbalǰixani.
ある家の中に二人のプジンが暮らしていた。
tuibalǰiîtuibiəlundə,tuibalǰimi-aundiisiməənsiaɡoari
そう暮らしていて、そうしているという、そうして暮らしていて、自分たちの食べ物は
mənəwaaičai,mənə,əktəǰiəriosiɡopaariəktə,xusəǰiəriosiɡopaarixusə,
自分で獲る、自分で、女となれば女、男となれば男、と
balǰialundə,xusəǰiəriosiɡopaarî,ɡiwanai-la,tookoi,
暮らしているという、男となれば男のように、夜が明けると、森へ上ったり、
siunpakčiraaŋɡoočianiəuɡuitamaariwaaičai,əktəǰiəriosioɡopaari,
日が暗くなる頃には下りて来たりして(彼らは)狩りする、女となれば
təəɡupəəri,xosiaktalaxoǰaraâǰaarilaǰapaɡoraa,
起きると、星に終えたり、一番星に縫い物を手に取ったり、
ərinkuləəsəliɡurəətamaariuiləəlundətuibiəundə.
明けの明星に布をしまったり、して縫い物をするという、そうしているという。
tuibimîəmmodan-ɡolaundiisi,əikəniindəxəninəunitookoxani.
そうしていて、ある時に、姉は留まった、妹は森へ上った。
ə̂ŋsiksə̂-lənəuniəuɡui-ɡoani,əuɡuxəni-ləəikəni-ləičəini-ləundiisi,
夕方に妹は下りて来るのだ、下りて来た、姉を見るに、
dərəŋni-ləkiârbarbiəundə,ʼʼəɡəə̂siiajasi-nooxaimiosixasitui-dəə.ʼʼ
その顔は真っ青であるという、「姉さん、あなた大丈夫か、どうしてなったの、そんなに。」
ə̂ŋəikəniundii,ʼʼajâ,ʼʼundii,ʼʼmiiajaji,ʼʼundii.ʼʼənuləxəsibiəsinuu,ʼʼ
姉は言う、「大丈夫、」と言う、「私は大丈夫、」と言う。「病気したんじゃないの、」と
undii-dəə,ʼʼabaâəčiəənului,ʼʼundiini.əŋtuitaraa-taniiundiisixaixani,
言っても、「いいえ、病気なんかなってないわ、」と言う。そうしてからどうした、
ʼʼsiariidoasiɡusərəŋəi-tənii,ʼʼuŋkini,ə̂ŋəsi-təniinəuni-tənii
「食事の時に話しましょう、」と言った、妹は
ʼʼɡəəɡusəruu-dəəɡusəruu,ʼʼʼʼajâsiarii,siapixoǰiočiasiɡusərəəmbi,ʼʼ
「さあ、話せ、話せ、」と、「いいから、お食べ、食べて終ったなら話すわ、」と
undiini,ʼʼxaimi-daaosixambitui-dəə.ʼʼəsi-təniiundiisixaixani,
言う、「どうして私がなったのか、こんな風に。」どうした、
siamixoǰixânəsi-təniiundiisitəinəuni-təniiɡəəmədəsiidəəmədəsiini-ɡoani
食べて終った、その妹はさあしつこく訊ねに訊ねるのだ、
xaimi-daatuiosixambani,čadoundiini-ɡoani,ʼʼərdəŋɡə̂,ʼʼundii,
どうしてそうなったのかを、そこで言うのだ、「不思議だわ、」と言う、
ʼʼəəpaŋɡoasii-tənii,əmərdəmbiaɡbimboǰaači,ʼʼundii,
「妹よ、あんたは、いつも同じ悪い癖を現わすんだから、」と言う、
ʼʼxaiwanikətudəəmərdəŋɡəsiisi,ʼʼundiini,
「何か起こるとひどく興味を持って何かやらかすでしょう、」と言う、
ʼʼəŋəiniə-təniimoowa-taniimuəwəmuələsiisiaoriwataituitaraa-tanii,
「今日薪と水を集めて汲んで、食事の用意をするにそうしてから、
ulpimitəəɡuxəmbi,ʼʼundii,ʼʼulpimitəəɡuijə,undiisi,
縫い物をして座っていたのよ、」と言う、「縫い物をして座っていたわ、そしたら
uikə-təniikiaŋ̂kətəriixəni,ʼʼundii,
戸がギィーッ、ガラリとなって入って来たの、」と言う、
ʼʼtəi-tənii,duurduurduurduurməuriini,ʼʼundii,
「そいつは、ドンドン、ドンドンと、シャーマンの踊りをしているのよ、」と言う、
ʼʼuŋčuxumbə...jaŋpaan,uŋčuxunsiasintəi-təniiundiisiə,ičəɡuxəmbi,ʼʼundii,
「ベルトと、タイコの音が、それでそいつを見たわ、」と言う、
ʼʼtəi-təniiəmkaɡba-taniiməumi-təniixai,kəəndəliini,ʼʼundii,
「そいつときたら一つの陶製のヤカンがシャーマンの踊りをして回るのよ、」と言う、
ʼʼpalambabəsərəǰiəkəəndəlimituiməupi-əundiisi-ə,ə̂ŋŋəələxəmbi,ʼʼundii,
「床を机の側を回ってそうしてシャーマンして私は恐れたわ、」と言う、
ʼʼbalǰixanǰijixaalitamačaaǰakaičəpiŋəələwəsibirə,ʼʼundii,
「生まれてこの方いつあんな物を見て驚かずにおれましょうか、」と言う、
ʼʼəsi-məəičəuxəmbə,təi-təniibadodojija,aŋmaniočoiɡaniliɡoxani,ʼʼundii,
「今こそ見るんだもの、そいつは私の正面に、その口をアングリさせて立ったわ、」と言う、
ʼʼŋəələi...ŋəələmidabami-taniiundiisiə,niiptəŋɡiwəǰaparaa
「恐れて耐えられなくなって、クマかイノシシから採った内臓の油をつかんで
aŋmalaničuulnaŋɡalaxambi,ʼʼundii,ʼʼkaɡbaaŋmačiani.ʼʼ
その口に真っ直ぐ入るように投げたわ、」と言う、「その大きなヤカンの口へ。」
ə̂si-təniinəuni-təniiînəktəi-dəəinəktəiinəktəi-dəəinəktəi,
今や妹は笑いに笑う、笑いに笑う、
ʼʼərdəŋɡə,ʼʼundii,ʼʼxoonikaɡbaməuriini,ʼʼundii,
「可笑しいわ、」と言う、「どうやってヤカンがシャーマンの踊りをするというの、」と言う、
ʼʼuŋčuxuŋku-dəə,xaiko,ɡiasadaŋko-daa,təi-təniiundiisi,
「タイコだって持ってるし、バチだって持ってるし、そいつときたら、
jaŋpaŋko-daa,ʼʼundiini-ɡoani,təi-təniinəuninəuni-taniiəsi-tənii
ベルトだってしてるのよ、」と言うのだ、するとその妹、妹は
nakambipuəsəmiinəktəluxəni,ʼʼərdəŋɡə,ʼʼundiini-ɡoani,
オンドルの上を転げまわって笑い出した、「不思議だわ、」と言うのだ、
ʼʼxoonituiməuxəni,ʼʼundiinitəi,ʼʼərdəŋɡə̂,ʼʼundii,
「どうやってそんな踊りをしたのか、」と言う、彼女は、「不思議だわ、」と言う、
ʼʼəəpaŋɡôxamačaaiňəmuənibaaxasi,ʼʼundii,
「妹よ、いったいどんな可笑しさを見つけたというの、」と言う、
ʼʼəixaiwa-daainɡəlǰiaŋɡoǰaači,ʼʼundii,ʼʼsiixainaa-daa.ʼʼ
「これは何か悪いことをやらかすに違いないわ、」と言う、「あなたはきっと。」
ə̂ŋəsi-təniiundiisinəujisoikaačiitaini-ɡoaniəikəni-təniiundiisi,
妹を叱ったりするのだ、姉は
ʼʼəŋxamačaaiňəmuni,ʼʼundii,ʼʼŋəələpsiǰakani-tanii,ʼʼundii,
「いったい何が可笑しいことがあるの、」と言う、「恐ろしいものよ、」と言う、
ə̂ŋǰiačimanianəuniindəi-ɡoaniəikənitookoiəsi,
次の日、妹が居残るのだ、姉は森へ上る今、
əsi-təniiuikəwənixəliɡurəə̂iikə...uikəwənixəlirəəundiisi,
戸を開けてから、戸を開けてから(姉は)
niəɡudələkəkčəini-ɡoani,ʼʼəəpaŋɡôundiisi
外へ出る時までしつこく言って聞かせるのだ、「妹よ、
ərdəŋɡəxai-daakətu-dəəmaŋɡaiňəmusi...ərdə...
不思議だわ何とも、あまりにひどく笑いすぎだわ、
xooni-daaərdələǰəəčixaiwa-daaəǰiərdələrə,
どんなにかあなたは変なことをしかねないでしょうね、でも何もしてはいけませんよ、
tuiməurimixoǰiidoani-taniiundiisi-ə,
ああしてシャーマンの踊りをして終った時に、
niəptəŋɡiwəǰaparaaaŋmawaničuulnaŋɡalaxaari,ʼʼundii,
クマの内臓の油をつかんでその口へまっすぐ入るように投げなさい、」と言う、
ʼʼkaɡbaaŋmačiani.ʼʼəntuikəkčəminiəɡu...ʼʼəɡəəxoonitara,ʼʼ
「ヤカンの口へ。」そう教え諭した、「姉さん、なんで変なことなどするでしょう、」と
undiini,ʼʼxoonitaraxooni-daataasimbi,ʼʼundii.
言う、「どうしてするでしょう、何もしないわよ、」と言う。
əsi-təniiundiisiəikənitookoxântookoxanixamialani
姉は森へ上った、上ったその後で
təipuǰin-ɡuləundiisiəsi-təniimuəwəmuələsiixəmmoowaraŋɡoi,
そのプジンは水を汲み、全て薪を
moolsixan,tuitaraaundiisi-əxəm,dəŋsiɡumixoǰixan,undiisi,
集めた、そうしてから全部、働いて終った、
əsi-təniiundiisiə̂ŋxaiwa,aoriixəmačoktaɡoxan
寝具も全て片付けた、
tuitaraatəəɡurəə̂ulpimitəəsiiduəni-ləundiisi
そうしてから座ってから縫い物をして座っている時に、
əsi-təniiuikəni-ləundiisinixəlikəundəkəŋiimiundiisiəsi-tənii,
戸が開いたという、ガラッと入って来る、今、
duurduurduurduurkaapiarkaapiarməurəundə
ドンドン、ドンドン、ガラガラ、ガラガラ、とシャーマンの踊りをするという、
əsi-təniiičəini-ləundiisi-ə,təikaɡbabičini-tənii
見てみるにそいつはヤカンだったのだ、
moŋɡondolanituiujələnituiɡiasadaaŋko-daa,jaŋpaŋko-daa,biəundə,
首の所にこうして上にこうしてバチも持っているし、ベルトもしているという、
təi-təniiuŋčuxuŋku-dəəxooniməuriini-əinəktəi-dəəinəktəi
そいつはタイコも持ってる、そのように踊っていると、笑いに笑い転げる、
əsi-təniipuǰin-təniipuəsəminakambiinəktəəundə
プジンは転げ回ってオンドルを、笑うという、
təi-təniixamačaaiňəmuwəbaaxani-os,
彼女はいったいどんな可笑しさを見つけたのやら、
tuipuəsəmiinəktəidujiinəkəmuunɡuxəni
そうして転げ回って笑う時に、笑って静まった
duəduəni,inəktəiduəni-ləxaido,badodoaniiliɡokaundə,
その末に、笑った時に、正面の所に立ったという、
iliɡoočianiundiisiə,əŋpuǰinxaiwa,xaiwâxudəəmbə
そいつが立つとプジンは裁断用の板を
ǰaparaapaačilaxani,kaɡba,aŋmawanikərmərəmənəiǰiəni,
つかんでから叩いた、ヤカンの、口の所をバラバラに壊れるように、
təi-təniiundiisisəəksələərləərləərənəxən-ɡoanitəi,
そいつは血がタラタラと流れたのだ、それは、
əsi-təniituitaraâ-taniipuǰin-təniiorkimowabaaxani,
そうしてからプジンはひどくバツが悪い思いにかられてしまった、
ʼʼərdəŋɡəxai-daaxaiiňəmuwənibaawaaŋkini,ʼʼundii,ʼʼəi.ʼʼ
「不思議だわ何とも、なんで可笑しいと思ってしまったんだろう、」と言う、「これは。」
ə̂ŋsoŋɡoi-daasoŋɡoi-taniiiliɡoxani.əsi-təniiundiisiasamasiini-la
泣きに泣いて立っていた。今その足跡をよく見るに、
siinči-əbiəundətəi-ləəuɡuxənipoktonisəəksə̂maňabičini,
氷の穴へ向かってあったという、そいつは川の方へ下りた、足跡は血だらけだった、
əusitaosixəmsəəksəxəjəmi,ənuxənibičin,siinčiənuxənipoktoni.
あっちこっちどこにも血が流れて、去っていた、氷の穴の中へ消えていた、足跡は。
əsi-təniičawa-taniisimataǰixəm,baŋsačimixumuɡuxən,
それを雪で全部、蹴り散らして埋めた、
əsi-təniisoŋɡočimituibii-ɡoani,xaiwa,tawajimučumbəniduktəmisoŋɡoidoani
泣いてそうしているのだ、火の燃えさしを叩きつけて泣いている時に
əikənisiksəəuɡuxəni.ʼʼxoonitaxasi,ʼʼundiini-ɡoaniəikəni,
姉が夕方下りて来た。「どうしたの、」と言うのだ、姉は。
daŋsiini-ɡoaninəuji,ʼʼərdəŋɡəxai-daamiixooňaakəkčəkəjəʼʼ-m,
叱るのだ、自分の妹を、「不思議だわ何とも、私がどんなに言っておいたことか、」と、
ʼʼxamačaaiňəmuwənibaaxasi-a,ʼʼundiini-ɡoani,
「どんな可笑しさを見つけたのか、」と言うのだ、
ʼʼərdəŋɡətuiosiǰaraamurčixəmbituiosixani-ɡoani-aʼʼ-m-daa.
「不思議だわ、こうなるんじゃないかと思っていたらそうなってしまったんだわ、」と。
ʼʼə̂ŋambaambataoxaniosinitəŋkəsi-dəədabadala,
「魔物をやったのならすごい幸せもあふれるほどだろう、
najataoxanosini-taniiundiisi,porombadabadalabaitaɡojibaoxan,ʼʼ
人をやったのならば、頭のてっぺんを超えるほどの罪を背負った、」と
undiini-ɡoani,əsi-təniituisoŋɡomaarituixamačaauləənsiako,
言うのだ、そうして泣いてそうして何がいったい良く食べられようか、
xamačaauləəntəəsiku-ɡoanitəi-təniiɡasaini-ɡoani,
どうしていったい良く座っていられようか、彼女は嘆くのだ、
əikəni-dəəɡasainəuni-dəəɡasai,əsi-təniiundiisi-ə,
姉も嘆く、妹も嘆く、今、
tuidolbo-daainədələ̂tuimučuəmbə-ləduktəməərisoŋɡomaariinuxəči,
そうして夜も明けるまでそうして燃えさしを叩きつけて泣いて夜を明かした、
čimiitəəxəčitaktočiənəxəčiaxoraɡoari-la
起きた、倉へ行った、自分たちの服を、
kairasiikairasiiuləəsiiuləəsiitətuəsəlbə-ləiiwuɡuxəčiundiisi-ə,
もったいないもったいない、好きな好きな服ばかりを家へ運び入れた、
ə̂ŋəixosojičikiasiǰiundiisiɡarombaɡarolaɡoxači
このすねの下の所がぎっちりになるくらいすね当てをつけた、
ojalani-laundiisi-əxai,oilaɡoraaundiisi,
上には上着を着て、
purinantaǰiniaŋɡoxanotaǰi,otalaɡoraataxači,
若い獣の皮で作った靴で、靴を履いたりした、
tətuəosiniundiisiə̂ŋəixalijičikiasiǰiani,
服ときたら、この脇の下の所がきつくてもう着れないくらい
tətuətətuɡuxəčiundiisiuləənuləəsiikairasiikairasiitətuəwəriləundiisiə,
服を着た、良い好きな、もったいないもったいない自分らの服を、
ə̂ŋtuitaraaundiisi,korokto-daaxoipolaɡoxači-a
そうしてから耳たぶも耳飾りをつけた、
ə̂ŋčumčuəntaonǰərɡəǰiənixəmxoňakaambatətuəɡuxəči
毎にずらりと並べて全部指輪を身につけた、
əsi-təniiundiisi,sidəriləɡuxəčiundiisituitaraaundiisi
今、腕飾りをした、そうしてから
əsi-təniiələəsusui-ɡoani,tooičiəuxəčisiinkirawani
今やもう出発するのだ、岸辺へ下りた、氷の穴の縁のあたりを、
əsi-təniîxaosiənəurî,ə̂ŋəikəniundiini-ɡoani,
今、どこへ行くべきか、姉は言うのだ、
ʼʼəmbaiɡoambaačapčiənəuri-ə,ʼʼundiini,
「敵に向かって行くべきよ、」と言う、
ʼʼəisiindulə,ənəxənǰaka,xaixooni,xaosisaaori,ʼʼundii,
「この氷の穴から、行った物なんだから、何がどう、どこへ行ったか知るべきよ、」と言う、
ʼʼxaosiənəxən-usxəjiənəxən-ûssoliənəxən-us,ʼʼtuipərɡəčipəəriundiisi
「どこへ行ったか、下流へ行ったのか、上流へ行ったのか、」とそう推測すると、
maŋboxəjə...susuxəči.əŋtuiənəməərîɡoroənəkəǰiǰaənəkəundiisi
大河を下流へ出発した。そうして行って遠く行った、近く行った、
ə̂ŋəmǰookčîisixači.ə̂ŋsiinxaičiani-a-daa.
ある家へ着いた。氷の穴のそばに。
tuitaraâčado-lapərɡəčiičitaositoomiajaačaasi,əŋtəiǰookči.
そうしてからそこで熟考する、そこへ上ってよいか、ダメか、その家へ。
əsi-təniitooxači,uikəduəniǰaparaaiixəči.
上った、戸をつかんで彼らは入った。
iixəči-lətəikaɡba-laundiisi,aŋmanikərməksəə̂nbəsərəpəɡiələnibičini.
入った、あのヤカンが、口の所をボロリと欠いて机の下にあった。
ə̂ŋmalodo-taniiəmxusəniiaoraundə,
真ん中の席には一人の男の人が寝ているという、
komîlkomilkuməlirəə-dəə.
コロコロと丸まって頭からすっぽり毛布を被って、だ。
əsi-təniitəidamxiwaomimaaričadotəəsii-ɡoani,
彼女たちはタバコをのんでそこに座っているのだ、
soŋɡočimaari-laǰuəpuǰiusəl-ɡulə,əŋtuitəəsiiduəči-ə̂-ləundiisi
泣いて、二人のプジンたちは、そうして座っている時に、
lərɡuər̂ǰaralixantəimərɡən,aoriimərɡən,
急に話し出した、そのムルグンは、寝ているムルグン、
ʼʼə̂ŋəikəǰiməpuǰinundiisiəidudərǰiruu,ʼʼundiini,
「姉さんの方のプジンはここに残れ、」と言う、
ʼʼnəuǰiməpuǰin-təniiəi,maloǰiaktalabiəsi-kəə,ʼʼundiini,
「妹の方のプジンはこの、真ん中の席の側にあるだろう、」と言う、
ʼʼkolaanxailani,modandolani,duisipokto.
「家の外の煙道の端の所から、山の方へ向かっている道。
ambaanpoktonialbaala,ɡaaninpoktoniɡadarakaaundiisi
魔物の道は魔物の足跡、ガーニンお化け(魔物の名)の道はガダラカー、
ɡordoopoktoɡorola,səwəənpoktosətuələbiijə,ʼʼundiini,
気を狂わせる魔物の道は遠く、スウンの道はストゥウル、だ、」と言う、
ʼʼčalaənəruu,ʼʼundiini.əsi-təniîǰuəǰiəriboačiniəxən
「そこから行け、」と言う。二人で外へ出た、
əsi-təniiǰapa...naamaŋkaapaarisoŋɡoi-ɡoani,
抱き合って泣くのだ、
əŋtuisoŋɡomaariundii,əikəniundiini,
そうして泣いて言う、姉は言う、
ʼʼənəruu,ʼʼundiini-ɡoani,ʼʼxoonitaǰaači.ʼʼ
「行け、」と言うのだ、「(他にあなたは)どうすることができるというの。」
ʼʼəgəə~sii-ləbalǰiǰaači-ma,”undii,
「姉さん、あなたは生きていくでしょう、」と言う、
ʼʼmii-tənii,əŋxamačaaambaannii,aŋmačianiənəi-dəəsaawasi-aʼʼ-m
「私は、どんな魔物の者の、口へ入っていくのかもわからないわ、」と
tuisoŋɡoini-ɡoani.əsi-təniituisoŋɡoxan,
そうして泣くのだ、そうして泣いた、
tuinaamaŋčimaarisoŋɡoxanpuǰinənəi-ɡoani,
そうして抱き合って泣いた、プジンは行くのだ、
təimaloǰiaktalaxoolimiənəxəntəǰə-dəəbičinikolaandaačandolani,duisi-lə,
その真ん中の席の側から迂回して行った、本当だった、煙道の基の所から、森のほうへ、
ə̂ŋpokto-lačiluučiluubiiundiisi,
足跡がたくさんある、
ambaanpoktonialbaalâ,ɡaaninpoktoniɡadarɡadar,
魔物の道は魔物の足跡、ガーニンお化けの道はガダルガダル、
səwəənpoktonisəlkiiləbiəundə
スウンの道はスルキイル、とあるという、
čakpalaaundiisituiduərəəundəɡordonpoktoɡorolabii.
その道に沿って、そうして歩いて行くという、気を狂わせる魔物の道が遠くある。
ə̂ŋčalalatuiduərəmiənəmîənəmi-ləundiisi
そこに沿ってそうして歩いて行って~行って
əmǰookčîənəxəni.ičəiniəmǰooičəxəni,
ある家へ~行った。見るに一軒の家を見たのだが、
ə̂ŋɡoloŋkolaxani-taniiɡolonkoni-taniičaâiɡanbiəundə,
風除けに木などを立てかけて並べてあったその風除けは真っ白な色をしているという、
ʼʼəi-kəəmaŋɡamoŋɡoktowamoolsiinaibičini-əʼʼmurčixənipuǰin-ɡulə.
「これこそはひどくたくさん流木を集めるだわ、」と考えた、プジンは。
əŋtuiənəmi-əənəmiisixani.isixani-laxərə̂undiisi
そうして行って行って着いた。着いたらば、ああ~なんと、
naiɡirmaksani-maňabičinnaiǰokaani.
人間の骨ばかりだった、人の薪の山は。
ə̂ŋtuitaraaʼʼuidaalǰiko-os,aisixaosiənəxən-dəəburburi.
そうしてから、「さあ誰に関係があろうか、まあいいわ、どこへ行ったって死ぬんだわ。」
ə̂ŋtui-ləundiisipuǰin-ɡuləundiisi-ə,
そうしてプジンは
ə̂ŋɡoloŋkolaniiixəniundiisidookia-lapəuləənbiəundə.
風除けの内側へと入った、中の所には魚干し用の棚があるという。
təipəuləənduləundiisiilaânpuǰinəixakilanitaptap
その棚には三人のプジンがこの首の所から引っ掛けてプラプラと
nailooxanibičini,kaapiâxədunduləundə[uzhə]xolɡoxači.
人は吊るしてあったのだった、カラカラに風で乾いていた。
ʼʼəŋuidaalǰikobudiibalǰii-daaiiuriʼʼ-miixəntəiuikəwənixəlirəədəə.
「誰に関係があろう、死のうが生きようが入るわ、」と入った、その戸を開いて、だ。
ičəini-ləundiisi-ə,əmpuimurbiəundə,
見るに、一匹のヘビがいるという、
təi-təniiundiisi-ə,xaido,puksukərkičədupaǰilaa...pačinî,
そいつは、右側の席の側の竈の横の場所の壁の所に尻尾が(あって)、
maloxooliɡomi-tanii,ǰilini-tanii,ɡilonkərkičəduənibiəundə.
真ん中の席をぐるっと回って、頭は、左側の席の側の竈の横の場所にあるという。
puǰin-ɡuləundiisiəlkə̂iixəni,tuitaraapuksuxaidoanitawadoanitəəxəni.
プジンは静か~に入った、そうしてから右側の席の薪の上に座った。
ə̂ŋičəini-ləundiisi-ə,xaibičini,əňuəni-ləsuɡduərtaaundətəi-lə,
見るに、何があったか、釜が煮え立っているという、その、
puimurəŋ-ɡuləpačii-laloorčiâtatakaundə,təi-təniitataxan-tanii,
ヘビは尻尾をゆらりと引っ張り上げたという、そいつは少し引っ込めた、
əmniiǰəkaoriinibuəndu-dəə.
一人の人間がちょうどきっちり寝られるぐらいの場所が空くように、だ。
kərkičədu,puksəkərkičəduəni.
かまどの横の場所に。右側の席の側のかまどの横の場所に。
əsi-təniipuǰin-tənii,əňuəwəniičəxəni,
プジンは、釜を見た、
əmǰiməduənitiasuliksəpujuurii,əmǰimətiasbodabičini.
片方のにはたっぷりと肉が煮えている、片方のはたっぷりと粟のお粥があった。
əsi-təniipuǰin-təniijaasixanixuruxən,
プジンはよく見た、煮えてできあがっていた、
čaa-taniitəiuliksəwə-təniičadoičəičəinikotaamba,xai-daakotaan-daaabaa.
そいつをその肉をそこで、探すけれども皿を、何も皿さえもない、
xaibii,samalabiəundədaajookaan,tuidaaji.
大皿があるという、かなり大きい、こんなに大きい。
tuitaraatəidoočianitiaskərčixəniuliksəwə,
そうしてからその中へたっぷりと切って盛った、肉を、
kərčixən,tuitaraairasoxani.
切った、そうしてから運んで行った。
ə̂ŋundiisitəi-təniixəməriə̂ksiakaundətəi-ləkərčixəmbəni-lə,
そいつはものも言わずにパクリと食べたという、その切ったものを、
ə̂ŋtuitaraakotaančiičəǰərəəpuǰinčiičəǰərəətaaundə.
そうしてから皿の方を見たりプジンの方を見たりするという。
ə̂ŋtuitaraapuǰin-ɡuləundiisi-ə,ɡučiǰapaɡoraakotaambani-lamookaanǰî
そうしてからプジンは、また取って、皿を棒で、
tuianaminəərii,məənbaarojianamiǰapaɡojitaxanimooǰi.
そうして押して動かす(恐れて)、自分の方へ押して取ろうとした、棒で。
tuitaraa-taniidolindolakərčiɡurəəbuuxəni,
そうしてから真ん中ぐらいまで切って盛ってから与えた、
xaisikoorosiinibiǰərəəmurčiini-ɡoani,oisiini-a-m-daa.
再び足りないと感じているのだろうか、そう思うのだ、少ないと感じている、と。
čaa-daaxəmsiaxani.tuitaraa-taniixaiwabodawasoosiraabuuxən,
そいつも全部食べた。そうしてから粟のお粥を掬って与えた、
bodaŋɡoji-daaomiɡoxani-daa.puǰin-ɡulədoonixəəənəxəni.
お粥も飲みもした。プジンは心中ホッとした。
naiǰaaroani...naisiaptaŋɡianisiara-taniimurčixəni.
本当は人間なのじゃないか、人間の食べ物を食べたなあ、と思った。
ambaanosiniambaansia...naijaxai,naiuliksəsiaptaŋɡi...xaisiaɡilai.
魔物なら、魔物の食べ物を、人の肉を食べ物に・・・食べるはずだ。
puǰin-təniiŋəələmi-tənii,əiləčalasəkpəčirəəxoǰixani-ɡoani
プジンは恐れながらも、あちこちちょっとだけ食べて食事を終えたのだ、
xaisiaoriwamurčiuritamačaaŋəələpsi...ičəǰəmi.
どうして食べることなど考えられようか、そんなに恐ろしいものを見ながら。
ə̂ŋtuitaraa-laundiisi,kərkičəduəni-ɡuləaamasimitooraaapsiŋkini.
そうしてからかまどの横の場所に眠くなって上ってから横になった。
tuitaraačimiiərdə̂təipuimur-ɡulə...puǰin-ɡulətəəxən-dəə,
そうしてから早くそのヘビ・・・プジンは起きた、
ələətəərii-ɡoani,ŋəələiniərdətəəxən-dəə,
もう起きるのだ、恐れているのだから早くに起きた、
təisamaladoxaisitiaskərčirəətuibuuɡuxən-dəəsiaxan-daa,
その大皿に再びたっぷりと切って盛ってからそうして与えたが、食べた、
xaiwa,bodawa-daasiaxan-daatuitaraa-laundiisi-ə,siamixoǰimiundiisi-ə,
何を、粟のお粥も食べたが、そうしてから食べて終って、
əsi-təniitəipuimurundiisinialdorrrrrrniəɡuəundəboači-la.
そのヘビはニョロニョロと出て行くという、外へ。
ə̂ŋuikəwə-ləundiisipačiji,čulkiinî
戸を通るのに自分の尻尾を引き抜く、
əsiǰilinidoočiiiɡuxən,aɡbiŋɡoxani.
頭だけまた家の中へ入って来た、突っ込んで来た、
ʼʼəŋpuǰin-nuû,ɡəɡə-nuu,ʼʼuŋkin,
「プジンだか、姉さんだかよ、」と言った、
ʼʼəŋəiniə,xai,saktambaaŋɡoroo,ʼʼundii,
「今日、ござを作れ、」と言う、
ʼʼəipuksuǰiələtəpčiuxənǰi,ɡilonǰialakamorkəəndəliɡumixəm,xai,
「この右側の席の側から始めたらば、左側の席の側まですっかりぐるりと全部、
saktambaaŋɡopi-taniitəixoŋdoriɡdanixəmməŋdərsuǰiaŋɡoroo,ʼʼundiini-ɡoani.
ござを作ったら、あの葦製の細長いござを全部一面途切れなく作れ。」と言うのだ。
čaaaŋɡoasiosini,miisiksəəuɡuučiəjisaxarinsəəksənaatəəpənəəsi-ə,ʼʼundii,
「それを作らないなら、私が夕方下りたら黒い血が地にポタリと落ちるぞ、」と言う、
ʼʼičəəči-nuu,ʼʼundii,ʼʼtəituliədu...nai,biiəksəlbə.ʼʼ
「見なかったか、」と言う、「あの中庭に、ある女たちを。」
ə̂ŋpuǰin-ɡuləundiisiǰukəənnai-taniixairiini
プジンはすぐに、人はどうする、
əsi-təniibaaraǰiɡoiǰijiɡəsəundiisi-ə,
身なりを整えるやいなや
ə̂ŋboačiniəxən,təədujuləni-lətaktobiəundə.
外へ出た、ほうれあの森の方に倉があるという。
təitaktopəɡiələniundiisitəixai-daaonilanitokibičini.
その倉の下にその、何とも長いそりがあった。
čaalaǰaparaatai...čaǰi-laənəpsiŋkiniundiisiduisitooriiɡusərəini-tanii
それをつかんで、それで出発した、山の方へ上る、言っていたことには、
dujələbiijəundiiəɡǰi,xolɡakta.
山の方にある、と言う、たくさん、葦が。
waamixolɡaktapaaǰi,nəmdəxolɡaktapaaǰi,biijə,undiini.
太い葦が一ヶ所にあって、細い葦が別の所にかたまって、ある、と言う。
əŋtaduənəɡuidujiičəičəmibaariija,təixadokowa.
そこ(倉)に行った時に探して見つける、その鎌を。
əsi-təniituitaraatooxân,təitokiiričimitooraundiisiisixaniundiisi
そうしてから上った、そのそりを曳いて上る、着いた、
əsi-təniiǰoančumčuəmbi-ləxəm,səkpəčimi-lənaŋɡalaxani.
十本の指を全部、噛みちぎって投げた。
ʼʼə̂čumčuə̂nmiixailaərɡəŋkujiosini,naioǰaaso,ʼʼundii,
「さあ、指たちよ、私に何か魔法の力があるなら、人間となれ、」と言う、
ʼʼmiibələčiɡoji.ʼʼəsi-təniitəičumčuənnaŋɡaačixan-taniixəmpuǰinosixani,
「私を助けるために。」今その指を何度も投げたのは全てプジンとなった、
ǰoanpuǰinňoanǰianiǰoanəmunosixani-ɡoani.
十人のプジン、彼女と併せて一人になったのだ。
ə̂si-təniitəi-təniitarxolɡaktaposiiɡurunposii,
彼らはす早く葦を、刈る者は刈る、
xaixuəlbiɡuiɡurunxuəlbiitəi-tənii,tar-ɡoani,xooňaaəɡǰiwə,
束ねる者は束ねる、それは早いのだ、どんなにかたくさんを、
əəwuɡuxənundiisi-ə,əəwuɡuxənpuǰin,
持って運び下りたことか、持って下りた、プジンは、
čumčuənnosoočiɡomiǰooisiɡo...iračiɡomiəuɡuxəniundiini,əuɡuiǰijiɡəsə,
指を元に戻して、家へ着く、運んで下りて来た、という、下りて来るやいなや、
əsi-təniixaisičumčuəmbisəkpəčixənnaŋɡalaxanxaisipuǰiusəlosioɡoxan...
再び自分の指を噛みちぎった、投げた、再びプジンたちになった、
əsi-tənii,xolɡoktatəsisiiniitəsisii,dəlkiiniidəlkii,
今、葦の皮を取る者は皮を取り、割いて棒で滑らかにする者は滑らかにし、
kapirainaikapiraiəsi-təniiundiisiə̂ŋaŋɡomaaritəpčiuxəniaŋɡoiniaŋɡoi,
圧搾機で圧する者は圧し、彼らは作り始めた、作りに作る、
təi-təniipuksukərkičələtəpčiuxənǰiə-tənii,kəəndəlimiilɡalamaariaŋɡoxači.
彼らは右側の竈の横から始めてから、ぐるりと回って飾って行って作った。
təi-təniixə̂mxoǰixankəəndəli-dəə,aŋɡomaari.
彼らはぜ~んぶ終えた、ぐるりと、だ、作ることを。
tuikəəndəlimitui-dəə.
そうしてぐるりとめぐらして、そのように、だ。
tuitaraaxəmxoǰiiči-ləundiisiəsi-təniipuǰin-təniiičəini,
そうしてから全て彼らは終える、プジンが見るに、
siuŋɡuniələə̂moosuəmbəniisiɡoi,əsi-təniipuǰin-ɡuləundiisi
太陽は今にも木の梢にかかっている、今プジンは
xəmaxirii-ɡolačaalaundiisiə,čumčuənnosooktaɡoraaaxirii-ɡolaundiisi,
全て掃除する、そこを、指を元に戻してから、箒で掃く、
boačiniərii-ɡoani,taarimsakaambaǰaparaanaŋɡalaxan,
外へ出るのだ、おが屑をつかんで投げた、
ʼʼəəsiûnmimbiə,miixailaa-daabiɡiləiosinitəəuisitookoǰaačiʼʼ-m-daa.
「ああ、太陽よ、私を、私が何程かの者であるならば、さあ上へ昇れ、」と(言って)、
uisinaŋɡalaxani,siuŋ-ɡulətəə̂uisitookoxani.
上へ投げた、太陽はするすると上へ昇った。
əsi-təniipuǰin-ɡuləəsi-təniiundiisitəi,iiɡuxəniəbəsabatəi,
プジンは彼女は、家に入った、あたふたと彼女は、
tuitaraasiaɡojibudurii-ɡoani,ə̂ŋsiamipuǰin,
そうしてから食事を急ぐのだ、食べてプジンは、
pujuumixoǰiinînialdorrrrrriiɡui-ɡoani,
煮るのを終えると、ニョロニョロと入って来るのだ、
uikəwənixəlimičokčokčokčokčokčok,
戸を開けてシュルシュルシュルと
aŋmalajiərdələəundətəi-tənii,bəunduləjitərə̂kapsinindaɡoxani.
口の所で変な音を出すという、そいつは自分の場所にきっちり行って納まって横になった。
tuitaraaəsi-təniiundiisi-ə̂xaixani,tuitaraa-lapuǰin-ɡuləundiisi-ə,
そうしてからどうした、そうしてからプジンは
kaokaapsiŋɡoini-aəsi-təniiundiisixaiwa,
じっと横になっているが、
siaɡoani-lakərčiɡurəəɡučiiraɡoi-ɡoani,əsi-təniiuidaalǰiko,
彼の食事を切って盛ってまた運んで行くのだ、今誰に関係があろう、 ŋəələədəəsi,bəjəǰimodančianisiakirasoxani. 恐れもしないで、自身で最後の所まで運んで行った。
əsi-təniiundiisitəi,xaixân,puǰin-ɡuləundiisi,
その、どうした、プジンは
ələdələsiawaaŋkinmənə-dəəňaŋɡakňaŋɡaksiaxanŋəələčii-dəədə.
十分に食べさせた、自分もちょっとずつちょっとづつ食べた、恐れながらも、だ。
əsi-təniituitaraalaundiisiə̂xairii-ɡoani,
そうしてからどうするのだ、
təisiawaaŋkindoji-taniiundiisimənəsiksəɡuxən,apsiŋɡoi-ɡoani,apsinɡoxan...
その食べさせた時に勝手に日も暮れた、横になるのだ、寝た、
čimiitəəxənɡučiniəɡui,siamixoǰimîniəɡuxəni.
起きた、また出て行く、食べて終って出て行った。
ə̂ŋxaisičadodəŋsimi...niəxə̂n,tuinialdorrrrrrrniəɡui-ɡoanipuimur-ni.
再びそこで出て行った、そうしてニョロニョロ出て行くのだ、そのヘビは。
təi-təniiundiisixaiwa,pačijičulkiinixamasikəčəriɡuxəni,
そいつは尻尾を引き抜くと後ろへ向き直った、
xamasikəčəriɡurəəundiini-ɡoani,ʼʼpuǰin-nuû
後ろへ向き直ってから言うのだ、「プジンだか、
ɡəɡə-nuu,tuičawataxambiələəmurčiisi-nuu,ʼʼundiini,
姉さんだかよ、ああしてあれをやったから終わりだと思っているのか、」と言う、
ʼʼəsi-təniibiəsi-kəə,ʼʼundii,ʼʼtəitalomauikənidoolani,
「今度はあるじゃあないか、」と言う、「あの白樺製の小箱の中に、
naijaaŋɡoxanǰakaxai-daaxəmbiičaǰi-taniiundiisi-ə,
人が作った道具が何でも全てある、あれで、
ə̂ŋtaktodoxamačaa-daaxəmbosonibii,ʼʼundii,
倉にどんなのでも全ての布がある、」と言う、
ʼʼxəmčaǰixaǰombaaŋɡoroo,ʼʼundii,ʼʼxusəniitətuənixaǰosalba.ʼʼ
「全てそれで衣服を作れ、」と言う、「男の人の服や身につけるものを。」
ə̂si-təniipuǰin-təniiundiisi-ə̂ǰukəən-dəəxairiini-dəə
プジンはすばやくどうする、
əsi-təniitaktočiənəxəniundiisi-əpuǰin-ɡuləundiisiəsi-təniiundiisi,
倉へ行った、プジンは
ənəxəni-lətəǰə-dəəbičinnaiɡuisəduənitiastiasxamačaa-daaxəmbosobiəundə,
行った、本当だった、人の衣装箱にはぎっしりといかなるのも全ての布があるという、
xamačaasubəxəanaaxamačaaxaianaa.
いかなる絹の糸でもないことがあろうか、いかなる何であろうとないことがあろうか。
tuitaraaundiisičaalaiiwuɡuxənituxisimitəičumčuəmbixaisi
そうしてからそこから家へ運び入れた、両手に抱えて、その指を再び
naŋɡalaɡoi-ɡoani,ǰoanpuǰinosixanəsi-tənii,wajaataxidoanibičin
投げるのだ、十人のプジンとなった、今、戸口の方にある棚にあった
ilɡa-taniiňaŋɡadolindola-daaulpiuxən-dəəbii
模様のついた布切れは、少し真ん中へんまで縫ったのもあるし、
əmǰiməkočipombaaŋɡooxan-daabiibiəundə,
一つの渦巻き模様を作ってあったのもあるのだという、
təi-lə,čawa-taniiəsi-təniipuǰiusəl-təniiulpiiɡurunuiləi-dəəuiləi,
その、それをプジンたちは縫う者は縫いに縫う、
xaosi-daaxəmilɡawaaŋɡomaari-taniixə̂mnaisooxaǰon-daa,
どこにも全て模様を作って、ぜ~んぶ晴れ着の衣装も、
naičipulsiurixaǰosal-daaxai,axootalaoritətuəsəl-dəəaŋɡoktaxači.
人の所へお客に行く衣装も、狩りに出る服もみんな作った。
ǰooɡdolaloŋîloŋilooɡoi-ɡoanitəi-dəəbosopurtuəni-lə,
家の中にずらりと掛けるのだ、彼女も布の屑を、
siksə-ɡulənanɡalaaundəpuǰin-ɡulə,xurmədaapombatəŋkiəsini,
夕方投げ捨てるという、プジンは針にも糊にもかからないような、
tamačaakaan-daanaŋɡalaptaini-ɡoaninaido,bosokaasalpasini.
そんなものも捨てるのだ、小さな布のきれはし。
tuitaraaəsi-təniitui,xaixân,təi,
そうしてからそうして、どうした、彼女は、
xoǰiraairaɡomikukpuŋɡujiboačinaŋɡalawaandii
終えてから運んでゴミを外へ捨てさせる、
xaisisiun-ɡulətəə̂pəɡiləosioɡoxanibičinələəsiunmoolaiiɡui
再び太陽はほうれ下になっていたのだった、今にも太陽は木々の中へ入って行く、
əsi-təniixaisimoowaǰaparaanaŋɡalaɡoi-ɡoani,
再び木をつかんで投げるのだ、
ʼʼmiixailaa-daaərɡəŋɡujibaariiosini,xaiɡorooʼʼ-m-daa,ʼʼtəəuisitookorooʼʼ-m-daa.
「私が何程かの魔法の力を得るなら、ああしろ、」と、「そうれ上へ昇れ、」と。
ə̂ŋxaisisiuŋɡunitəə̂uisitookoxani.
再び太陽はほうれ上へと昇った。
əsi-təniiundiisipuǰin-ɡuləundiisiəsibudurii-ɡoani,
プジンは急ぐのだ、
siaɡoipujuuxə̂n,xoǰixanundii,siaɡoixaaboɡoinîǰiǰuxəni-dəə,
食事を煮た、終ったという、食事を皿に掬って~(台所から)戻ってきたらば、
təi-təniiloŋiiloŋinaimalodosuŋɡurəəlooxani-ɡoani.
それはずらりと人は真ん中の席の壁に沿って吊るしてあったのだ。
xamačaa-daaxəmtətuə,əmtətuə-təniiundiisi,
いかなる種類のも全ての衣装、ある衣装は、
tətuəni,pəruuni,otani,aaponi,xəmməŋdərsuǰiaŋɡoxani.
服に、ズボンに、靴に、帽子に、全てセットで作った。
ə̂ŋəsi-təniiundiisi-ə,əsi-təniiilɡa,
その模様は、
ilɡalaminaiaŋɡoxani-ɡoaninaanitətuəsəl,
模様をつけて人は作ったのだ、ナーナイの服、
andaxačipulsiurixamačaa-daaxəmtətuə,əsi-təniičokčokčokčokčokiiɡui-ɡoani,
お客の所へ行く服や、どんな種類も全ての服、シュルシュルと入って来るのだ、
əsi-təniitəibəundujîapsinɡoxanituitaraa,xaisi,xaiɡoxani,apsiŋɡoini,
その自分の場所に横になった、そうしてから、再びどうした、横になる、
soosiɡomiɡučiirasoi-ɡoani,siaɡoaniəsipuǰindoonijəbələəosixan.
すくってまた運ぶのだ、彼の食事を、今プジンは心中ややましになった。
əsi-təniiɡuči,čimiiərdətəəxə̂nəsi-təniisiaxanxaixantuitaiǰijiɡəsə,
また、朝早く起きた、食べた、どうした、そうするやいなや、
xaisiniəɡui-ɡoani,ʼʼə̂ŋtujəə̂taxambitəǰəuləənosijâmurčiisi-nuu,ʼʼundii,
再び出て行くのだ、「あのようにしたから本当にもうよくなったと思っているか、」と言う、
ʼʼpuǰin-nuu,ɡəɡə-nuu,xaisibiəsi-kəə,ʼʼundii,
「プジンだか、姉さんだかよ、まだあるじゃないか、」と言う、
ʼʼmiiəilə̂waaičaxanbəjunsiŋaktanixamačaa-daaxəmbii,ʼʼundii,
「私がここらで獲った獣の毛皮がどんなのも全てある、」と言う、
ʼʼnanta,takto-daa.čaǰi-tanii,xəməiniəxoǰiasiosini
「毛皮、倉に、だ。そいつで、全て今日のうちに終らないなら
saxarinsəəksətəəsnaačiənəmibuǰəəči,ʼʼundii,
黒い血がポタリと地面に流れておまえは死ぬことだろうよ、」と言う、
ʼʼəŋtəinanta.ʼʼəsi-təniipuǰin-təniiŋəələi-ɡoani
「その毛皮を。」プジンは恐れるのだ、
əsi-təniiniəɡuinibaaraǰiɡoiǰijiɡəsəundiisitaktočiənəxəni
出て行くと身支度をするやいなや倉へ行った、
taktotiasbii-ɡoaninaixaiwaninaiwaaxanbəjunsiŋaktasalni
倉にはぎっしりあるのだ、人が獲った獣の毛皮が
xamačaa-daaxəmbiisəəpə-dəəbii,ɡormaxon-daabii,
どんなのでも全てある、クロテンもあるし、ウサギもある、
xai-daaxəmbiiwaaŋkoli-daabii.
何でも全てある、黄色いイタチもある。
xamačaa-daaxəmbəjunsiŋaktadaajibəjunsiŋaktani-daa.
いかなるものも全ての獣の毛皮、大きな獣の毛皮も、だ。
əsi-təniičawa-taniiundiisi,xaisi,iiwui-ɡoani,
それを、再び運び入れるのだ、
təiǰoančumčuənǰinaŋɡalaɡoxansəkpəčiɡurəəxaisiǰoanpuǰinosioɡoxan,
その十本の指を投げた、噛みちぎってから、再び十人のプジンとなった、
əsi-təniičawa-tanii,iiwuiniiiiwui,xuəriiniixuərii,
それを、運び入れる者は運び入れたり、なめし具で油を取る者は取ったり、
ɡəǰiiniiɡəǰiitaaundə,təitəniiundiisixuəriiniixuərii
挟み式圧搾器で柔らかくする者はそうしたりするという、彼らは油を取る者は取り、
əsi-təniitar-ɡoani,ǰoanniiǰoboini,puǰin,ǰoanəmunnii.
早いのだ、十人の人が働く、プジンと、十一人の人だ。
ňoaniŋaalaanaaosixanibaiičəǰəini-osxoonibusəsiini-us.
彼女は手がなくなったけれど、ただ見守っているのか、どうやってがんばっているのか。
tuitaraâtəi,əsi-təniituiaŋɡoi-ɡoanixamačaaotaaŋɡoasi,
そうしてからその、今そうして作るのだ、どんな靴だって作らないだろうか、
xamačaatətuəaŋɡoasi,xamačaapəruuaŋɡoasi-lətəi-tənii,
どんな服だって作らないことがあろうか、どんなズボンだって作らないだろうか、彼らは、
ə̂ŋɡərənəksəl-tənii,tuitaraaundiisiəmtətuə,
その者たち、女たちは、そうしてから一つの服を、
daajibəjunǰi-lə,uləənəmbočo-maâosiiǰianinaiuixən-tanii
大きな獣で、良く、まるで布みたいになるように人が縫ったのを
čawa-taniipəruuniotanixainitətuəniməŋdərəsuǰiaŋɡoxači,kombinǰombaaŋɡoxačidaa.
それをズボンに、靴に、何に、服に、セットで作った、つなぎの服も作った。
tuitaraatəixə̂milɡalai-daaiiwəučii-daatamaaritəixaidoji,
そうしてから彼らはぜ~んぶ模様をつけもし、飾りもつけたりしてその、そこに、
səəpəsəl-dəəxamačaa-daaxəmbiini-ɡoani,
クロテンもどんなのも全てあるのだ、
təisiŋaktaǰiani-taniixamačaawa-daaxəmaŋɡoxačibičini,iiwəučiməəriilɡamaari,
その毛皮でどんなのも全て作ったのだった、飾りをつけて模様もつけて、
xamačaaotaanaaxamačaatarbaǰaanaaxamačaatətuəanaa
どんな靴だってないことがない、どんなブーツもある、どんな服もある、
xamačaaaaponanaanaiaŋɡoxantaxači-daa.
どんな帽子だってないことがない、人は作ったのだった。
əŋxəmxoǰixačipuǰin-ɡuləundiisi,čaa-daaxaisi,
全て彼らは終えた、プジンはそいつを再び、
xurmədaapombiisiasiwani,tuikučəən...ɡirsooǰiɡirimi,
針にも糊にもかからないようなのを、そうした女性用裁断ナイフで裁断して、
təŋkiwəsini,tamačaapasikaasaldərəǰixəni-ɡoani.
きれはしが残る、そのようなきれはしが残ったのだ。
puǰin-təniičawa-taniiundiisixəmǰapaɡoraaundiisi
プジンはそれを全てつかんでから、
axiriɡoraaundiisiboačinaŋɡalaxani.
掃いてから、外へ捨てた。
ə̂ŋpəîpuuxpuxəminaŋɡalaini-ɡoanixai,
フーップッと吹いて投げ捨てたのだ、
ʼʼbəjunbəjunǰiusəltəusəltəǰiosioɡooso-aʼʼ-m-daa.
「獣は獣の姿に毛皮獣も毛皮の獣の姿に元通りになれ、」と(言って)。
təi-təniixə̂mboŋɡalpaɡǰialaɡoxači.xai-daaxəmbəjunosioɡomaar.
それらは全て丸々とした姿に戻り駆け出して行った。どれもみな元の獣の姿となって。
əsi-təniituitaraaundiisi,xaisisiuntəəuisitooboɡoi...tuɡbuxəmbəni,
そうしてから再び太陽がほうれ沈んで行くのを、
tuuɡuxəmbənixaisixaiwaǰaparaanaŋɡalaini-ɡoani,taarimsakaamba.
落ちて行くのを再びあれをつかんで投げるのだ、おがくずを。
ʼʼxailaa-daaərɡəŋɡujiɡələiosinitookoosoʼʼ-m-daa,ʼʼujə,təəuisi-ə-dəə.ʼʼ
「何程か不思議な力を求めるならば、昇れ、」と、「上へ、ほうれあの上へ。」
əsi-təniitəəuisitookoxani.tuitaraatəi-təniipuǰin-təniiundiisi
ほうれ上へ昇った。そうしてから彼女はプジンは
əsi-təniibudurii-ɡoani-âsiaɡojipujuuxən-dəəxoǰixan-daaxaaboɡoinî,
急ぐのだ、食事を煮た、終えた、すくいあげた、
xəmňaarňaarosioɡoini-ləčildorrrrrriiɡukəundə,
全て(やって)やっとゆったりと落ち着くとニョロニョロと入って来たという、
čokčokčokčokčokčokaŋmalaji-laundiisiə̂ŋəsi-təniiundiisi-ə,
シュルシュルシュルと口から(恐ろしい音を出し)、
tuitaraaundiisikəəndəliičəičəini-ɡoanitəi-təniipuǰin,
そうしてからぐるりと見回すのだ、そのヘビは、プジンが、
nailooɡoxambani-taniituitaraaaŋmalajičokčokčokčokčokčokərdələini-ɡoani.
人が掛けたものをそうしてから口からシュルシュルと不思議な音を出すのだ。
ə̂ŋtuitaraaundiisi,nildorsoonbəundujiapsiŋɡoxani.
そうしてからニュルリドーンッと自分の場所に横になったのだ。
əsi-təniituitaraa-latui,ŋəələčii-dəə
そうしてからそうして、恐ろしいけれども
puǰin-ɡulədoojijəbələəosixan-ɡoaniəsi-tənii,xaixani.
プジンは心中いくらかましになったのだ、今どうした。
siaɡoanibuuxən,siaxanxoǰixanapsiŋɡoxanǰiačimani-la
彼の食事を与えた、食べた、終った、横になった、次の日に、
əsi-təniisiaraâxəmə̂niəɡuxəni.əčiə-dəəxai-daadaundə,
食べてから黙って出て行った。何も言わなかった、
puǰin-ɡuləmurčixəni-ɡoani,əsi-kəəuləən-təniixainaa-daa,təi,ilaanmodan,maŋɡaačixani.
プジンは考えたのだ、今度こそ良いわ、たぶん、この回、苦しんだのだから。
əŋtotaraâtuibiəundə,əŋtuibiîtuibalǰii
それからそうしているという、そうしている、そう暮らしている、
puǰin-təniiǰia-kaaǰiako,ǰiači-daaǰaraliwadaasi,ǰilɡambowadaasi,
プジンは仲間といえば仲間がいるが、仲間へも話しかけもしない、話しかけられもしない、
puǰin[]tačixantəipuimurtuiǰiaǰijibalǰimi.
プジンはもう慣れてしまった、そのヘビがそうして仲間として暮らしていて。
ə̂ŋtuibalǰimi-əbalǰimi-əəmmodan-ɡolaundiisi,
そうして暮らしていて暮らしていてある時に、
ʼʼmii-kəəičəndəuriərdəŋɡəxamačaanaibiini,xai,tuibiini.ʼʼ
「私は見に行くべきだわ、不思議だわ、いったいどんななのか、どうしてこうなのか。」
əsi-təniipuǰin-təniiundiisi-ə̂baaraǰiɡoxaniundiisi
プジンは身支度をした、
tuitaraapoktowani-lačuulənəpsiŋkini.
そうしてからその足跡を真っ直ぐに行き始めた。
tuiənə...toomîtoomitəə̂dujulə-ləbičinimoolsiimočandujuləni-lə
そうして上って上ってほうれ山の方にあった、薪を集める一番奥の所、その山の方に
əmdəsiu.əŋtəidəsiuǰiə-təniidarami-âsoktakoniduisitooxanipokto.
一つの板張りの台。その台の側には広~くスキーが山の方へ上っていた、足跡が。
čado-laniiduiɡənaoraundətəixaiŋɡoanibiini,puimurəŋɡuəni.
その台にはニョロリと寝ていたというあの、何がいる、あのヘビが。
onimiômoowaǰaparaaəlkə̂bəičimiənərəətoŋɡalaxani,
長~い棒をつかんでそうっと忍び寄って行ってから突ついてみた、
kəptərəmdooniɡuən.ə̂ŋəsi-təniiundiisiǰaparaaəəwuɡuxəni.
カサリッとその中身は空だ。つかんで持って下りて来た。
əəwuɡuxənəsi-təniiundiisiə̂ŋwajaataxi,
持って下りて来た、今下の置き棚に、
tuɡbuxəni-ə̂talomauikənidoolanitəučirəənəəxəni,ǰajixan.
落とした、白樺製の箱の中に詰めてから置いた、隠した。
ə̂ŋundiisi,əŋsiksə̂ləjupurrrrrrsusuɡukəundəpuǰin-ɡulətəi,
夕方、シュルシュルとスキーで来るという、プジンは彼の、
əŋdajalataomiboačiniəxəni.
パイプに火を点けて外へ出た。
ə̂ŋxailoouləənmərɡənbičinipuǰin-ɡulənasalbatolpaamîičəxəni.
何とも良いムルグンだった、プジンは一目惚れしながら見た。
əŋkadal-daakaltaakoǰolo-daaǰoraŋkobičin,təimərɡən-təniiundiisi-ə,
崖だって欠けている、石だってキズがあるものだが、そのムルグンときたら、
xaidaâǰoran-daaanaa,kaltaa-daaanaanai,piŋtonaijaičəxəni.
何とも、キズ一つもない、欠けている所もない人、完璧な人であると見た。 влюбиласьсразу.ə̂ŋtuitaraa-laundiisi 惚れてしまった、すぐに。そうしてから
ə̂ŋtəimərɡən-təniiajakatalaxaniǰəəbii-nuu,
そのムルグンが怒ったことといったら並みだろうか(並みではない)、
ʼʼandâpuǰinundiisi,sii-ləundiisiarɡansî,
「ああ、プジンよ、おまえの悪賢いこと、
sii-lədəəniəsi,ǰəəbii-nuu,ʼʼuŋkin.ə̂ŋundii,
おまえのずるいことは並みだろうか、」と言った。
ʼʼsii-məəbii,siiərdəŋɡəsiɡuəsi,miiaminaiaŋɡoxani-nuu,ʼʼundiini.
「おまえのような、おまえが変なことするために私の父達は作ったんじゃないぞ、」と言う。
ʼʼə̂ŋandamərɡənaja,andamərɡənaja,ʼʼ
「ムルグンよ、大丈夫、ムルグンよ、だいじょぶよ、」と(言って)
əsi-təniidamxiadai,aloočaini-ɡoani,
タバコを、パイプを手渡すのだ、
əsi-təniiundiisiə̂ŋlapoaǰapaxaniundiisi
パッとつかんだ、
tuitaraadamxiaomimîiiɡuxənimərɡən.
そうしてからタバコを吸いながら~家に入った、ムルグンは。
ʼʼəŋandâmərɡənundiisi,tuiǰiako-kaaǰiako,
「ムルグンよ、あのように友がいるといえば友がいるけれども、
tuiləəiɡənɡusərəəndumibalǰioriajani-ɡoani,ʼʼundii,
こうして楽しく話しをして暮らしてこそ良いのよ、」と言う、
ʼʼxoonibalǰiori-a,ʼʼundii,ʼʼəŋtultulŋəələmitultulpuimurǰiaǰiji-daa.ʼʼ
「どうして暮らせるでしょう、」と言う、「いつもいつも恐れていつもヘビを友として。」
ə̂ŋəsi-təniiundiisi-ə,tuitami-atəimərɡən-təniiundii,
今、そうしてそのムルグンは言う、
ʼʼandâpuǰinbuuɡuuǰoptombiwaundiisimiiməənǰijidəŋsisiəmbi,ʼʼundiini,
「プジンよ、返せ、覆いを、私は自身の身を心配するのだ、」と言う、
ʼʼmiiaminajipiktəɡujixusəwəbaariibudiibudiitainiundiisi
「私の父たちはその子供に男の子が生まれては死に、また死に、するので、
ə̂ŋmimbiətui-əərdələxəči,ʼʼundiini.
私をあのように特別な扱いをしたのだ(ヘビの覆いを着せた)、」と言う。
ʼʼə̂ŋundiisiə,miiŋəələəmbi-əʼʼ-m-dəə.
「私は恐いんだもの、」と(言う)。
ʼʼajâandamərɡənaja,ʼʼundii,
「大丈夫よ、ね、ムルグン、大丈夫、」と言う、
tuibijə̂,tuibalǰimiundiisipuǰin-ɡuləbəjəduosixani.
そうしていて、そうして暮らしていてプジンは体にできた(身ごもった)
ə̂ŋələəələəbiini-ɡoanipiktəɡujibaarii.
今にも今にもであるのだ、子供が生まれる。
tuitaidoani-a-laəmmodan-ɡolaundiisi-ə,
そうしている時に、ある時に、
ǰuəpuǰiniikəlundənasalči-aundiisixai-maabiəundə,
二人のプジンが入って来たという、彼らの目といえば、あれみたいであるという、
piola-maabiəsi,biiəksəl.iiməəripuǰin-ɡuləəjətajalanitəəxəčiundii,
燃える白樺の欠片じゃないか、そんな女達。入ってプジンの両側に座った、言う、
ʼʼandâsiiəǰiji,xaiwani,simbiəǰapaxanundəsil-kəə,ʼʼundii,
「友よ、おまえの夫の、あれを、おまえは取ったと言うではないか、」と言う、
ʼʼǰoptombaninai,dəčəmbəǰəərirəə̂
「覆いを、人々が、噂をしているぞ、
xai-daaxəmudəwəni,mədəəbiəsi-kəə,ʼʼundii,
そこいらじゅう全ての場所で、ニュースになってるじゃないか、」と言う、
ʼʼərdəŋɡə,ʼʼundiini,ʼʼxaidonəəxəsi,ʼʼundii,
「不思議だ、」と言う、「どこにおまえは置いたんだ、」と言う、
ʼʼəǰijiǰoptombani.ʼʼʼʼərdəŋɡə̂,nainiinaixooniǰoptoŋkobijə,ʼʼundii,
「夫の覆いを。」「不思議だわ、人間なのにどうして覆いなんかあるでしょう、」と言う、
ʼʼmiiəǰijiǰopton-daaanaaxai-daaanaa,ʼʼundiini-ɡoani.
「私の夫は覆いもなければ何もないわ、」と言うのだ。
əsi-təniibuuɡuu-dəəbuuruu,ɡusəruu-dəəɡusəruu
返せだよこせだ、言えだ、白状しろ、だ、と、
əsi-təniipuǰimbə-təniiələəələəbiini-kəs,maŋɡalaxani-ɡoani,
プジンを(くすぐって)今にもというように、ダメになってしまうほどにした、
lipənəsərəə̂ənərəəsaakəripsiŋɡurəətaaundə
息が苦しくなって、ハーフゥーッと息をついたりするという、
təi-təniinaičiičiini-taniitəiǰuəǰiəriəjətajaǰiaǰia,
その人がくすぐるのは、その二人でこちらとあちら側から
ə̂ŋpuǰin-ɡuləwaliiwaliimaŋɡalaxaniundiisi
プジンはクタクタに疲れてしまった、
tuitamiəŋxaônčokənəiduji-təniiuŋkin-tənii,
そうして意識を失ってしまう時に言ってしまった、
čawa-ɡdalxaiɡo...saamsaataxani.
その隠し場所を、わずかに記憶があったが、
ʼʼxaidotalomauikəndubiijəʼʼ-m-dəə.
「あそこに、白樺製の小箱にあるわ、」と。
tawaŋkixaončokənəxəninaijadəluxəni.
そこからパッタリとなってしまった、気を失ってしまった、
tuitapi-ôsaaɡoxani,ǰoodoanikəktəriə̂ktaaundə
そうしばらくして気がついた、家の中が煙たい、煙りの匂いがするという、
əsi-təniipuǰin-təniiundiisičaŋsoptəəriiǰijiɡəsətawači-maaənəxəni.
プジンはガバッと起きるやいなややっと火の所へ行った。
suilimisuilimipačiakaambanibaoɡoxaniəǰijixaiwani,ǰoptombani.
掘り返して掘り返して小さなかけらを見つけた、夫のあれを、覆いを。
əsi-təniîpuǰin-təniisoŋɡoi-ɡoaniəsi-təniixooniačaininai,
プジンは泣くのだ、どうにもいけないことをしてしまった、人が、
ǰomtombaninaiɡələɡuiduənibuuɡuxənosinixaituiosira,
覆いを人が求めた時に返しておいたなら、どうしてこんなことになろう、
əsi-təniituisoŋɡoidoanitui
そうして泣く時にそうして
əsi-təniiəsiniəɡuiəsiniəɡuitamiičəndəsui-ɡoaniboači.
出たり、また出たりして、何度も見に行く、外へ。
əŋtuitaidoaniičəɡuxənixərə̂əǰini-təniikiliiɡən,
そうしている時に見た、ああ、夫がボウボウと
ǰəɡdəmiəuɡuəundədujuuǰiə-ləundiisi,ʼʼandâpuǰin,ʼʼundii,
燃えて下りて来るという、森の方から、「プジンよ、」と言う、
ʼʼsii-məəarɡaŋɡasi,sii-məəǰaaliŋɡasi-laxaiǰočoanibaara,ʼʼ
「おまえのように悪賢く、おまえのようにずるければどんな災難にだって遭うだろう、」と
undiini,ʼʼəŋmiixaiuŋkəjə,buuɡuubuuɡuuundəsim-kəəʼʼ-m-dəə.ʼʼ
言う、「私は何と言ったか、返せ返せと言ったじゃあないか、」と。
ə̂ŋpuǰin-ɡuləundiisi,əŋsoŋɡomi-la
プジンは泣きながら
simatakaambaǰaparaanaŋɡalaini-daabaǰitaawoi.
少しでも雪をつかんで投げるのだが、もっと火がつくばかりだ。
ʼʼandapuǰinmimbiəxəpəǰuəndəsi,ʼʼundii,
「プジンよ、私を今は助けようとするな、」と言う、
ʼʼə̂ŋsiɡǰipumbəmərxəwə,čaalindaraačaalindaroo,ʼʼundiini.
「大きい櫛と小さい櫛を、切りに行け、切りに行け、」と言う。
əŋpuǰin-ɡuləundiisiiiɡurəəmərxəjisiɡǰipumbičaaliraaniəɡuxəni.
プジンは家に入って自分の小さい櫛と大きい櫛を切ってから出て来た。
əŋbuuɡuxəniundiisi,ʼʼandapuǰinundiisi
(その半分を)渡した、「プジンよ、
xai-daaərinduəniajaǰibiiosinidoolǰiǰaači-maʼʼ-m,
いつの時にか、元気でいるならば、聞くことであろう、」と、
ʼʼə̂ŋmərxə̂siɡǰipunačaɡoinaiɡələijəʼʼ-m,
「小さな櫛と、大きな櫛がぴったり合う者を求めることを、」と、
ʼʼə̂ŋdoolǰipi-məturɡənǰixəəri,ʼʼundiini,
「聞いたならば急いで来い、」と言う、
ə̂ŋpuǰin-ɡulətuibii-ɡoani,tuiəmučəkəəntuibii-ɡoani,
プジンはそうしているのだ、そうして一人きりでそうしているのだ、
ələəələəbiini.tuitamibaaxanipiktəɡuji,xusəkəəmbə.
今にもという臨月である。そうして産んだ、子供を、男の子を。
əsi-təniitəipiktəji-təniîtuisoŋɡomi-laundiisi-ə,əŋbəəlɡəǰiji,əmuəǰijî
その子供をそうして泣きながらも、膝の上で、揺り篭とし、
xoiranǰijiduriǰijituibalǰiloxantuiətəxiəundə,
胸で夜用白樺製揺り篭とし、そうして成長し始めた、そうして見守って育てるという、
əŋtuitami-apiktəni-ləundiisiboapapulsiluxənambaankəətəkəənosixan.
そうして子供は外を歩き回り出した、けっこう大きくなった。
əsi-təniiundiisipiktəji-lələləəkəəŋɡuni-ləaŋɡoxanî
子供の胸当てを作った、
puǰin-ɡuləilɡalami-laundiisi,tuitaraaundiisi-ə,
プジンは模様をつけて、そうしてから
əŋtəi,lələəduəni-təniiačaktanioroondolaniundiisi,təiamini,
その、胸当てに縁飾りの代わりにその父親の
ǰoptonipačiiwanibaoɡoxambičawatuləktəxəni.
覆いの尻尾の所を見つけたのをそれを据えつけた。
ə̂ŋtuitaraaundiisi-ə,tuibii-ɡoani.
そうしてからそうしているのだ。
tuibiiduənîičəǰəini-ləundiisimuəwəmuələsiitooiičəini,
そうしている時に、注意して見ている、水を汲む時も岸辺を見ていると、
ə̂dədənai-laəɡǰini-ləsolî-maňaənərəundəoɡda,
あれあれ、人々がたくさん上流へばかり向かって行くという、その舟は、
əŋɡaksidaanxai-daabartakaan-daabii,ǰuəɡara-daabii,
片側で漕ぐのも、何も、オール受けが一組ある舟や、二つオール受けのあるのもあるし、
ə̂ŋtuiənəəlundə,baɡiawa-daaənəiňoanǰiači-a-daaənəi,naiənəini.
そうして行くという、向こう岸の側も行くし、彼女の側も行く、人々が行く。
əŋtuitamiičəini-ləundiisiə̂ŋxəǰijixooŋkoŋɡoǰiani-laundiisi
そうして見ている、下流の崖の所から
xoolikaundəundiisiə̂əmkəkəǰîəmpuǰinǰiǰidəlundə.
回って現れたという、一人の女奴隷と、一人のプジンが来るという。
əŋadaɡoraâčisaɡoraatamaariɡiolimaariǰidəundii,
岸の方へ流されたり、川の中の方へ流されたりしながら漕いで来るという、
ə̂ŋčaalaxalačimaarituitəəsii-ɡoani,tooido,
そこで待っていてそうして座っているのだ、岸辺の所で、
tuitəəsiiduəčiundiisiisiɡoxan,isixanibadoači.
そうして座っている時に着いた、着いた、その向かい側の所に。
ʼʼandaxəikuu,andakiirioo,anda,
「友よ、寄れ、友よ、着岸しろ、友よ、
əŋxaosiənəməərituiənəisu,ʼʼundiini,
どこへ行こうとしてそうして行くのか、」と言う、
ʼʼadaɡoraačisaɡoraatamaari,
「岸の方へ流されたり、川の中の方へ流されたりしながら、
andâundiisi,xəikuu-ɡoani-daaxəikuruu-daaxəikuruu,ʼʼundii,
友よ、寄れ、寄れや寄れ、」と言う、
ə̂ŋəsi-tənii,əŋtookoɡoari-dəəundiipuǰini-təniitooboɡoxan
岸を上るという、プジンは上陸させた、
təipuǰimbəkəkuəwə,əsi-təniisiawaaŋkinundiisi-ə,
そのプジンを、女奴隷を、今食べさせた、
siaɡoačituičixənundiini-ɡoani,ʼʼandâxaosiənəməəribusəsiisu,ʼʼundii
彼らの食事を御馳走した、言うのだ、「友よ、どこへ行こうと頑張っているのか、」と言う、
təi,ʼʼandâundiisixaosiənəi,ənəəmbi-əunǰəəmbi,
彼女は、「友よ、どこへ行くかって?私が行く所を話しましょう、
xaosipulsiipulsiəmbi-əunǰəəmbi,ʼʼundii,
どこへ行こうとして行くところなのか話しましょう、」と言う、
ʼʼəŋǰəčənǰəərirəə̂,xotonxoandaataija,ʼʼundii,
「人々は噂したり、街は騒いだりしている、」と言う、
ʼʼəimaŋbosoliâlani-tanii,naixai,
「この大河の上流で、人が、
mərxə̂siɡǰipunačaɡoiwanaiɡələijəʼʼ-m-dəə.
小さな櫛と大きな櫛がぴったり合う者をさがしている、」と。
ʼʼəŋtaosiənəipu,ʼʼundii,ʼʼdoolǰiraa-daa.ʼʼ
「そこへ向かって私たちは行くところだ、」と言う、「それを聞いてから、だ。」
əŋanda~,”undii,“bumbiəooworoo,mii-dəəənəgujəwə”-m.
「友よ、」と言う、「私たちを乗せろ、私も行くわ、」と。
ə̂ŋ,ɡəə.əsi-təniiundiisi,əsiǰuəɡaraosii-ɡoani,kəkəǰi,puǰinǰiɡiolii.
さあて。今、二組のオール受けとなるのだ、女奴隷と、プジンとで漕ぐ。
tuiənəəlundə,piktənitokndotəəsii
そうして彼らは行くという、子供は真ん中に座る、
tuiənəməəri-ə̂ənəməəriəmirɡəndulə̂isixači.
そうして行って、行って、ある村に着いた。
irɡən-ɡuləmodambaxoolimibiəundə.
村の端を迂回してあるという、
ə̂ŋčaalaundiisiičəini-lətəi-ləirɡəntooidoanisûŋɡurə
そこに見るに、その村の岸辺の所に沿ってず~っと
xamačaamaikaananaaxamačaaxaianaa.
いかなるテントだってないものはない、どんなのだって何がないことがあろう、
ə̂ŋəsi-təniipuǰin-ɡuləundiisiičəini,
プジンは見る、
təi-təniičuûirɡənxəǰiəduəduənibii-ləəmǰookaanbičini.
その最も村の下流の端の所にある、一軒の小さな家があった。
ə̂ŋtaosixaaxači.ʼʼə̂ŋandâ,ʼʼundii,
そこへ着岸した。「友よ、」と言う、
ʼʼbuəboalaxoonibiuri,ʼʼundii,ʼʼnəku,ənəluǰəə-mə,ʼʼundii,
「私たちは外にどうしていられよう、」と言う、「子供が、風邪をひいてしまうわ、」と言う、
ʼʼpərɡəmimədəsindəmiaja,ʼʼundiini,ʼʼtaosi.ʼʼ
「試しに訊いてみたらいいわ、」と言う、「あそこに。」
ə̂ŋtəibunǰiəpuǰin-təniiundii,
その我らがプジンは言う、
ʼʼɡəəmii-dəətookoiwa,ʼʼundii,ɡəətooxači.
「ええ、私も上るわ、」と言う、さあ上った。
ə̂ŋəmmapamamabičiči,xailoouləənmapamama,
一人のおじいさんとおばあさんがいた、何とも良いおじいさんんと、おばあさんで、
xailootəiɡurumbə-lətəŋjaoxii-ɡoani.
何ともその人々をすごく暖かく迎えるのだ。
ʼʼə̂ŋəniičəɡuruuxaosipulsiičəisu,xaositaiso,ʼʼundii,
「娘さん方、どこへ行こうとしているのか、どこへというのか、」と言う、
ʼʼiijə̂,ʼʼundiisi,ʼʼnaixoalandiiwanidaxamaariǰičipu,ʼʼundiini.
「入れ、」と、「人々が騒いでいるのを後を追って来たんです、」と言う。
ʼʼəpəə̂daakaundiisi-ə,əŋməənduəri,naixairiiǰiani,
「お爺様お婆様、あなた方の所に、子供が風邪をひかないように、
osiowaandoosô,ʼʼundii,ʼʼbumbiənəku,boalabimi,ənuluijəʼʼ-m,
泊まらせて下さい、」と言う、「私たちの子供が、外にいると、病気になってしまいます、」と、
ʼʼnoŋǰisîxairiitami.ʼʼʼʼamičəɡuruuaja-ɡoani,ʼʼundii,
「寒いやら、何やら言って。」「娘さん方よ、良いのだ、」と言う、
ʼʼəiduosiowooso,ʼʼundii,əsi-tənii,čadoosixan,
「ここにお泊りなされ、」と言う、今、そこに落ち着いた、
puǰin,təi,kəkəŋɡunitəiǰuəpuǰinosixači.
プジン、その、女奴隷と、その二人のプジンはそこに落ち着いた。
ə̂ŋəsi-təniipiktənimənəəboalapulsiini-ɡoani
子供は勝手に外をうろつき回るのだ。
ambaandaajiniixai-daaxəmudəwənitutui.
けっこう大きな人だもの、何でも全てそこいらじゅうを走り回る。
əŋtuitaraa-laundiisiəsi-təniiundiisixaixani,
そうしてからどうした、
ʼʼxaosi-daaəǰiənərə,ʼʼuŋkin,
「どこへも決して行くな、」と言った、
ənininəkuwəəsixaosi-daapulsiwəsipamaori-a-mnaiboadoani.
母は子供にどこへも行くな、迷いますよ、他人の土地では(、と言う)。
ə̂ŋundiisiəsi-ləundiisinaonǰokaan-ɡolatuikupimipulsiikupimipulsiiundii
少年はそうして遊んで歩き回り遊んで歩き回るという、
təi-ləirɡəmbə-ləsuŋɡurəəsoliənəpsiŋkini.
その村に沿ってずうっと上流へ歩き始めた。
əŋtuiənəmîənəmi-ləundiisiəǰə̂nxaambaniisixan
そうして行って、行って主たる長の所に着いた、
təiəǰənxaantuliəduəni-təniiundiisi-ə̂xai,
その主たる長の中庭の所に、
pəuləənduəni-təniiəmmərɡən-ɡuləsəruusimi-ə̂biəundə.
二段の棚の所に、一人のムルグンが涼んでいるという。
ə̂naonǰokaambaičəxəni,laŋaktaka.
少年を見た、近くに来て見た。
ʼʼə̂aapaŋɡôǰiǰuruu,ʼʼuŋkini,
「少年よ、こっちへ来い、」と言った、
ʼʼəusi,ə̂ŋsii-ləundiisibiiniibalǰiiniipiktənitaači-a,ʼʼundii,
「こっちへ、おまえはいる人の、生きている人の子供だろう、」と言う、
əsi-tənii,tuixəəsirəəičəxəni,ňoanipačiinibičintəipiktəniačaktani.
そうして呼んでから見た、彼の尻尾であった、その子供の縁飾りは。
ə̂ŋəsi-təniinaonǰokaamba-laǰapaiǰijiɡəsəbəəlɡəsii,oǰoktaitai,
少年をつかむやいなや、膝の上に座らせたり、キスしたりする、
ʼʼamičəɡuruu,ʼʼundii,ʼʼmiisiiamisitaambi,ʼʼundiini,
「息子よ、」と言う、「私はおまえのお父さんだよ、」と言う、
ʼʼabaâ,ʼʼundii,ʼʼmiiamianaaji,buəəniəǰuərukəənbiipu,ʼʼ
「いや、」と言う、「僕は父さんはいない、僕たちは母さんと二人きりなんだ、」と
undiini-ɡoani,ʼʼabaa,miiamisitaambi,ʼʼundii,
言うのだ、「いいや、私がおまえの父さんだ、」と言う、
əsi-təniipiktəwə-ləiiwuɡuxəni-ə̂ələdələsiawaandii-ɡoani
子供を家に入れた、お腹一杯食べさせるのだ、
əsi-təniixaiwa-daaxəmputunduənitiasbuuxəniɡaaǰoɡoani.
何でも全て服の前掛けのような部分にたっぷりと与えた、持って行くように。
ʼʼə̂ŋundiisičimanaməlǰəkutəpčiuluwəəmburi,ʼʼundiini,
「明日櫛比べを始めさせるべき時が来た、」と言う、
əŋtuitaraa-laundiisiəsi-təniiundiisixaixani,
そうしてからどうした、
naonǰokaan-ɡolaputuləɡurəə̂ənəi-ɡoani
少年は前掛けに食べ物を載せて、行くのだ、
naiɡaaǰowaandiiwanisiaoriǰakaxai-daaxəmbiini-ɡoanitiasputunduəni.
人が持って行かせるのを、食べる物が何でも全てあるのだ、たっぷりと前掛けに。
əŋtuitaraaəninčijiisiɡoxaniundiini-ɡoani,ʼʼxaidobaaxasi,ʼʼundii,
そうしてから母親の所へ着いた、言うのだ、「どこで見つけたの、」と言う、
ʼʼəňəə̂miiamaabaoxambi,ʼʼundiini,
「母さん、僕は父さんに出会ったんだよ、」と言う、
ʼʼmiiamimbi-â,ʼʼundiini,ʼʼuŋkijə̂,ʼʼundii,
「僕の父さんが、」と言う、「言ったんだよ、」と言う、
ʼʼmiisiiamisitaambijaʼʼ-m-daa.
「私はおまえの父さんだ、」と。
ʼʼxaidobiinî,amisibuəǰuərukəənbalǰiipo-tanii,
「どこにいるというの、おまえの父さんが、私たちは二人きりで暮らしているんじゃないの、
xaidobiinibuəami...amianaapo,ʼʼundii,
どこにいるの私たちのお父さんが、お父さんはいないのよ、」と言う、
ʼʼičəruu,ʼʼundii,ʼʼɡaaǰowaaŋkini,ʼʼundii,ʼʼsiaɡopowa.ʼʼ
「見てよ、」と言う、「持って来させたんだ、」と言う、「僕らの食べる物を。」
ə̂ŋtəi,piktəkəənimədəsiiduənituiundiini-ɡoani,ʼʼuiǰiǰičisi-ə,ʼʼundiiduəni,
その子供は訊かれた時にこう言うのだ、「誰と来たのか、」と言う時に、
ʼʼəmandaxaəňəə,mii,kəkə,ǰičipu,ʼʼundii,ʼʼmiiənimbi-dəə.ʼʼ
「一人のお客さんの母さんと、僕と、女奴隷とで来た、」と言う、「僕のお母さんも。」
təiandaxaəniundiiandxapuǰinbəundiinibiǰəə.
彼女のことをお客さんの母さんと言う、お客さんのプジンのことを言うのだろう。
ə̂ŋundiisitui,əsi-təniiǰiačimaniačimiitəəxə̂n,
そうして、今次の日の起きた、
əsi-təniiiniə-ləundiisinaiməlǰəkuləmitəpčiuxə̂n-məltai.
昼に人は櫛合わせの競争をするのを始めたぞ~と、言う。
ə̂ŋačaɡoiwaniɡələijə-məl.
櫛を合わせてみることを欲している、と。
əsi-təniičuŋnunaixaiwa,ačaiwaniɡələini-ɡoani,siɡǰipunmərxəwə-dəə.
全ての人々が合わせることを求めるのだ、大きな櫛と小さな櫛を。
uiŋɡi-dəədəačaasi-apoaniŋɡi-laɡoro.
誰のものも会わない、ある者の櫛などは全然違う。
əsi-təniitəŋǰuəɡurunosioɡoxanibunǰiəpuǰinǰitəi,ǰičinipuǰinǰi-dəə.
たった二人の者だけとなった、我らがプジンと、あの、やって来たプジンと、だ。
ə̂ŋtəi,təi-ləǰianipuǰin-ɡuləmərxəjîsiɡǰipumbibuuxəni.
その友だちのプジンは小さな櫛と大きな櫛を渡した。
ačai,undii,ačaasiosiitaa,ačaasi,kətəələačaxani,xaŋɡisilaabiini.
合う、と言う、合わないといえば合わない、もう少しで合いそうだが、ちょっと違っている。
ə̂ŋpuǰiŋɡi-dəə,puǰinčuuxamoroini-ɡoani,piktəkəən-dəəňoandoniɡəsəbii.
プジンのも、プジンは一番最後となったのだ、子供も彼女と一緒にいる。
ə̂ŋpuǰiŋɡiǰapaɡoraajaasixani.tərəkačaɡoi-ɡoani.
プジンのものを取ってからよく調べて見た。ぴったりと合うのだ。
əsi-təniiundiisiɡəəəsi-məəəǰijibaoɡoi-ɡoani.soŋɡomi,bičimbi.
さあ今こそ夫と再会するのだ。泣いて、いた。
əǰijibaoɡoxântado-taniiundiini-ɡoani,
自分の夫と再会した、そこで言うのだ、
ʼʼbuə-lə̂bainaiəǰijipiktəjibaoɡoɡoani...
「私たちはただ他人が自分の夫と子供と出会うために、
asijipiktəjibaoɡoɡoanibuə-lə,baiǰobomiǰiuxə̂n,ʼʼ
妻と子供と再会するために、私たち自身は、無駄に苦労してやって来たのか、」と
mənəɡəmuriməərinaiənəi-ɡoaniəɡǰiɡursəlǰičinɡursəl,
自分にぶつぶつ独り言を言いつつ人々は去るのだ、たくさんの人々、やって来た人々、
ə̂ŋundiisituitaraatəi-dəə,xorian-daaundiini-ɡoani,ʼʼbuə...
そうしてからその、お客のプジンも言うのだ、「私たち、
mii-ləbaiəruuləmiǰiuxə̂n,ʼʼundiitəi.
私は無駄に苦労して来たんだわ、」と言う、彼女は。
ʼʼandâxaosi-daaəǰiənəuusu,ʼʼundii,
「友よ、どこへも行くな、」と言う、
ʼʼmiisumbiəənəwəəndəsimbiʼʼ-m,
「私はあなた方を行かせないわ、」と、
ʼʼɡəsə̂balǰiorixorianosioɡoraabalǰiori,ʼʼundiini.
「一緒に暮らすべき、年上の妻と年下の妻となって暮らすべきだわ、」と言う。
ə̂ŋtəiǰooɡdo-daabiitəipuǰin,
その家にもいるまた別のプジン、
mərɡən-daaasikô-daa,čado-daada.
ムルグンも妻がいるのだ、そこにも、だ。
əsi-təniimərɡənilaanǰiasikoosii-ɡoani.
ムルグンは三人の妻持ちとなるのだ、
tuitaraačadobiiči-ɡoani,tuibičîtuibalǰiiundiisi
そうしてからそこにいるのだ、そうしていた~、そうして暮らしている、
tuitaraaundiini-ɡoani,ʼʼbalǰixanboačiənəuri-ə̂,ʼʼ
そうしてから言うのだ、「生まれた土地へ行こう、」と
undiini-ɡoanimərɡən,irɡəmbiɡaaǰomi.
言うのだ、ムルグンは、自分の村を引き連れて。
ə̂ŋtawaŋki-laundiisi-ə,əŋtəiirɡəmbəɡaaǰomituiǰiǰuxə̂n,ǰiǰuxən,
そこからその村を引き連れてそうして戻った、戻った、
təiňoaniǰooŋni-tanii,ələə̂tuumuləəbiini-ɡoaničawa-tanii,xai,
その彼の家ときたら、今にも倒れそうになっているのだ、そいつを、
ǰoandaaǰooxujundaaxurbuosioɡoiǰianituuɡuiǰianixairiini-ɡoani,
尋の家、尋の小屋となるようにそうして落ちてくるように蹴るのだ、
təinaijalooxambi-daanaŋɡaačiɡoxan...irasoɡoi-â,
あの人間を吊るして干していたのも捨てた、どっかへ片付けた、
təimərɡəntəiɡoloŋkojinaiɡirmaksawani-daaxəmbaalairasoɡoxan.
あのムルグンはあの風除けの囲いを人間の骨でできていたのをずっと前に片付けた。
təinaiočoɡomi-daa.čawasiurənəxəmbi,[пропустила],ələə.xurmikuukəən.
彼は人になって、だ。それを語るのを忘れて通り過ぎてしまった、終り。短い話だね。