風間伸次郎(採録・訳注).1998.『ナーナイの民話と伝説4』(ツングース言語文化論集12,千葉大学)より

8. мама опа-ǯӥ пуǯим-бэ аӈго-ха-њӥ

ばあさんは 粉で プジンを 作った

1997年4月8日、ダエルガ村にて、Њ. Б. Гейкер氏より録音。


э~ӈундиисиэмǯоодоо-ла-њӥэммапа-ǯӥ~мама-ǯӥ
ある家の中に一人のおじいさんとおばあさんとが
балǯӥ-ха-чӥ.тэи=тэњиисагǯӥ-чӥ=гоањ(ӥ),хаӥ-ва=даа
暮らしていた。彼らは老いていたのだ、何を
та-маар(ӥ)=даамутэ-эси=эмапа-њ(ӥ)=даасагдаӈ-го-ханмама=даа
することもできない、おじいさんも年とっていた、おばあさんも
сагдаӈ-го-хан.туиби-ми=э~туиби-ми=э=лэтэимама=ла
年をとっていた。そうしていてそうしていてそのおばあさんは
ундииси=э,такто-чӥэнэ-хэ-њи=э~эмдалӥа(н)опа-ва-њӥ=гда~л
倉の方へ行った、 一袋の粉を
путучи-м(и)ииву-гу-хэ-њи.туи та-раа~њохо-м(ӥ)
裾にのせて家の中へ持って入って来た。それから捏ね
дэруу-хэ-њи.мапа=тањӥӥхаӥ-ва=дааǯаралӥ-адаасӥхаӥ-ва=даа
始めた。おじいさんは何も言い出しはしない、何も
ун-дэдээсихэмэхэмэ~ичэǯэ-и-њи.эӈтуињохо-ми=а~
言いはしないで黙って黙って見ている。そうして捏ねて
њохо-ханњохо...тэиопа,далӥам-ба-њӥ=лахэмњохо-ха-њӥ.
捏ねた、その粉を、一袋分を 全部捏ねた。
туи та-раа=тањӥӥундииси=э~хаӥ-ха-њӥ,ичэǯэ-и-њи=лэ
それからどうした、(おじいさんが)見ていると
ундиисинаӥ-ааӈго-ӥ-њӥби-чи-њи,мама-њӥ=ла.э~ӈ
人間を作っているのだった、おばあさんは。
тэи=тэ(њии)наӥаӈго-ӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,эктэнаӥ-ааӈго-ха-њӥ
彼女は人間を作っているのだが、それは女の人間を作っていた
би-чи-њи.эси=тэњииундииситээ-гу-вээӈ-ки-њи=э~
のだった。さて今それを座らせた、
даӥ-го-а-њ(ӥ)=даанээ-хэ-њитааво-ха-њӥ,тэтуэ-гу-э-њихэм
彼女用のパイプも置いた、火をつけた、彼女の服も全部
тэтуэлэ-гу-вээн-дии~хаӥ-го-ваан-дӥӥулпи-гу-э-њиосӥњӥ
着せるし、縫い物なら
ǯэлиэ-лэ-њинээ-рии,ӈаала-jӥǯапа-ӥ=манээ-риита-м(ӥ),
前の所に置き、自分の手でつかんでいるかのように置いたりして、
туи та-раа=латэи=лэ,хаӥ-до,сиксэ-гу-учиэ-њиосӥњӥ,
それから夕方になったならば、
ихэрэ-гу-э-њ(и)тааво-ӥта-раатуитээ-вээӈ...би-эундэ.
灯かりを点けたりしてからそう座らせているという。
сиксэ-гу-учиэ(-њи)дуигээ~н ихэрэби-и-њи=гоањ(ӥ),њоан-до-а-чӥ.
夕暮れになると遠くから微かに見えるくらいの灯かり なのだ、彼らの所に。
багӥа-ла-њ(ӥ)=тањӥӥэммэргэнбалǯӥ-ӥ-њӥ."э~ӈэи
反対側の川岸に一人のムルグンが暮らしている。「ウ~ム、この
мапа-нааэрдэӈгэхаӥ-маар(ӥ)ихэрэчи-и-читул тул сиксэ
じいさんたちは不思議だな、どうして灯かりを点けているのか、いつもいつも
таон-до-а-њӥ.э~ӈмии=кээичэ-ндэ-ури,"эммодансиксэ-лэ
夕暮れ毎に。私が見に行ってやろう、」とある夕方に
мэргэндао-ха-њӥ.элкээ~дао-ха-њӥ.тооӥ-ла-њ(ӥ)
ムルグンは渡った。静か~に渡った。その家の岸の所から
тоо-ха~наксо(н)паава-ва-њӥ=ласиӈму-ǯи-jи
上った、戸口の側の所にある窓を舌で
горкалӥ-рааичэ-и-њи.хэрэ~улээм-бэ=лэпуǯим-бэ=лэ
突き破って見る。おお、なんともすてきなプジンが
мало-до=ла,хэикучи-и=нуу~улпи-и=нуутээси-эундэ,тэи
真ん中の席の所に居眠りしてるんだか縫い物をしてるのか座ってるという、
чаагǯа-њӥ,улпи-и,улпи-и=кээулпи-и=мээ би-и,
その色白の女は、縫っている、縫っているといえば縫っているかのようだ、
дамхӥ-ӈго-ко~даӥ-њӥпоӥӈао~ǯэгдэ-ита-аундэ."эи
タバコがある、パイプはモクモク、火が点いていたりしてるという。「これは
хаалӥ би-ипиктэ-эр(и)агбӥмбо-го-ха-чӥ=а"=мичэǯэ-и-њи=го(ањӥ),
いつのことだ、彼らの子供を出現させたのは、」と、見ているのだ、
"тэимама-наа=каа,пиктэ=кээанаа би-чинэктэ-ǯи-jи=кээ,"
「このばあさんたちは、子供なんかいなかった、女の子でなんか、」と
мурчи-и-њи.э~ӈтуи та-раадао-го-ха-њӥичэǯэ-рээ=дээ,
考えている。それから渡って戻った、見てから、だ、
паава-ла.эӈтуиби-и~туита-м(ӥ)туитул тул
窓の所から。そうしている、そうしてそうしていつもいつも
ихэрэчи-и-њ(и)=го(ањӥ)сиксэтаон-до(а-њӥ)мамаǯоог-до-jӥ.
灯かりが点いているのだ、毎におばあさんの家に。
тотарааэммодан=голадао-ха-њӥсиксэ,хаӥ,ињи
それからある時に渡った、夕方、じゃない、昼間に
дао-рӥӥ-њ(ӥ)=гоањӥмапабааро-а-њӥ.э~ӈбаачӥ-ха~н
渡るのだ、おじいさんの方へ。挨拶をした、
хоо-ко~=даа.эӈмэдээ-вэгэлэ-и=гоањӥ,"ам ичэ-гу-рээ~
銅の徳利を持って行った。情報を求めるのだ、「若者よ、
ха-нда-ха-сӥ=а,"ун-дии-њ(и)=го(ањӥ)мапаачан."эпээ~ даака,"
何をしにやって来たのか、」と 言うのだ、おじいさんは。「おじい様よ、」と
ун-дии,"экэрэмǯи-кээӈ-гу-jипиктэ-вэ-сигэлэ-ндэ-хэм-би,"
言う、「食事の支度をしてくれる者として、あなたの娘さんを求めて来た、」
ун-дии-њи,"асӥ-го-jӥ."мапаун-дии-њи,"минду
と 言う、「自分の妻として。」おじいさんは言う、「私には
даалǯӥанаа~,"ун-дии-њи."миихаӥ-ва=даасаа-расӥм-бӥ,"
関係ないな、」と言う、「私は何も知らない、」と
ун-дии,"тэимамамэнээ мэнээмамамурун,"ун-дии-њи.
言う、「あのばあさん自身の、ばあさんの気持ち次第だ、」と言う。
э~ӈэси=тэ(њии)мама=тањӥӥгээбуу-рии-њиосӥ-ханпиктэ-jи,
さておばあさんはさあやることになった、自分の子を、
"э~ӈмиипиктэ-jи-jэнаӥ-ǯӥгэсэбалǯӥ-м(ӥ)мутэ-эси,"
「(ただし)私の子供は人と一緒に暮らすことができないのよ、」
ун-дии,"мииӥра-го-ӥ-а,мэнээӥра-ам-бӥ,"ун-дии,
と 言う、「私が運ぶわ、自分で運びます、」と 言う、
дуjээ-лэ-jиǯоо-го-а-њӥаӈго-роо,ун-дии-њи,"нучикуу(кэн)
「山の方の側に彼女の家を別に作れ、」と 言う、「小さい
ǯоо-каам(-ба)аӈго-роо,"ун-дии,"наӥ-ǯӥгэсэби-м(и)
小屋を作れ、」と 言う、「人と一緒に暮らすことが
мутэ-эси,"ун-дии,"миипиктэ-jи."э~ӈмэргэн=гулэ
できない、」と言う、「私の娘は。」ムルグンは
ундиисиэну-хэ~н,эну-хэ~нǯоок-чӥ-jӥ.туи та-раатээ
去った、去った、自分の家へ。それからほうれ
дуjээ-лэ-jи=лэǯоо-каам(-ба)аӈго-ханнучикуукэн-ǯи.э~ӈ
山の方に小屋を作った、小さく。
мама=тањӥӥундииси=э,ичэ-ндэ-су-хэн=дээ ǯааро-а-њӥнаӥ
おばあさんは見に行きもしたのだろう、人が
ǯоо-вааӈго-м(ӥ)хоǯӥ-ханǯааро-а-њӥ,эӈпиктэ-jи=лэ~
家を作り終わっただろうという頃に、自分の娘を
токӥ-д(о)тэучи-хэ-њи=эундииситэиопа-м(а)пиктэ-jи=лэ
そりにのせた、その粉製の娘を、
ундииси=э,сопсӥӈкӥ-ха-њӥ(1)туи та-раа=тањӥӥэс(и)=тэњии
結びつけた、それからさて
ундииси=э,тээ-вээн-дээ=дээ,боа-чӥњиэ-рээмора-аундэ,
座らせてから、外へ出てから叫ぶという、
"куэǯэ~куэǯэкуэǯэ,"хээси-эундэ,эӈтэи=кээ,туи
「雌犬よ、雌犬よ、」呼ぶという、彼女がそうして
хээси-и-ду-э-њи=лээмвэчэнǯи-чэундэ.э~ӈундииситуи
呼ぶ時に一匹の雌犬がやって来たという。
та-раатэикуэǯэм-бэтэикуэǯэм-бэ=тэњиихалӥа-раатуи
それからその雌犬を、その雌犬をつないでからそうして
энэ-хэ-њидао-ха-њӥ,долбо,ињиэнэ-эси-њи=гоањ(ӥ).эӈ
行った、渡った、夜に、昼間には行かないのだ。
халӥа-раадао-ха~нтуи та-раа=лаундииси=э,тэиаӈго-ха-чӥ
つないでから渡った、それからその彼らが作った
ǯоо-каан-чӥэнэ...ии-хэнэси=тэњиитэипиктэ-jи=тэњии,
小屋へ行って、入った、その娘を
пуксу(н)кэркичэ-ду-э-њ(и)тээ-вээӈ-кинэси=тэњииундиисиэ~ӈ
左側の席のかまどの横の場所に座らせた、さて
хаӥсӥтуи,улпи-гу-э-њинээ-рии,даӥ-го-а-њ(ӥ)нээ-рии
再びああして彼女の縫い物を置いたり、パイプを置いたり
та-аундэтэи=тэњииундииси=э,чадо=лаундииситуи
するという、おばあさんはそこでそうして
хаӥ-рӥӥ=гоањӥчадо,мэнээтаваӥвачӥ-ӥчадоби-иундэ
どうするのだそこで、自分で火を点火する、そこにいるという
тэимама=латуи та-мӥ=аэммодан=голамама=лаǯоок-чӥ-jӥ
そのおばあさんは、そうしてあるおばあさんは自分の家へ
дао-го-ха-њӥ.ха-нда-м(ӥ)дао-го-хан=ноо.э~ӈтава-њӥ
渡って戻った。何をしに渡ったんだか。火は
осӥњӥтэӈjасӥаӈкаатава-њӥǯэгдэ-и.эси=тэњиитэи
といえば、とても強く火は燃えている。あの
куэǯэн=тэњииундиисибоа-лаби-чи-њиии-рии-ǯи-jигэсэ
雌犬は外にいたのだが、入って来るやいなや
ундииситэи=лэ,эjэтаjаголǯонтава...хаӥ-њӥтава
そいつは、こっち側とあっちのかまどの火を、火が
ǯэгдэ-и-њи,сӥалбӥ-а=лахэ~мхаабо-ха-њӥ,палантокон-чӥ-а-њӥ.
燃えている、その木炭を全部引き出した、床の真ん中へ。
туи та-раатэиоjаа-ва-њӥ=лапуэсэ-эундэ,э~ӈтэи
それからその上を転げ回るという、その雌犬が
пуэсэ-и-ду-э-њ(и)=тэњиитэи=тэњииопа-м(а)пуǯин=тэњии,
転げ回っている時に、その粉製のプジンは、
"куэǯэнпэкэ,куэǯэнпэкэ,"ундииси=э,чаӈсоп
「雌犬よ、熱いわ、雌犬よ、熱いわ、」と(言って)スックと
ӥлӥ-мӥундиисиǯапа-нда-ха-њӥ."э~ӈпэкэ~пэкэ~
立って捕まえに行った。「ああ、熱い熱い~
куэǯэнпэкэ~,"ун-дии-њи,эӈпуǯиносӥо-го-ха-њӥ.
雌犬よ、熱いわ、」と 言う、(本物の)プジンになった。
э~ӈэс(и)=тэњиитуи та-раа=тањӥӥмама=тањӥӥтотапӥ
さあてそれからおばあさんはそうしてしばらくして
ǯиǯу-хэ-њихэрэ~пиктэ-њи=тэњии,опа-м(а)пиктэ-њ(и)=тэњии
戻って来た、ああなんと、彼女の子は、粉製の娘は
наӥочо-го-ха-њӥби-чинтэи=тэњииундииси=э,"эӈэњээ
人間になっていたのだった、その彼女は「ああお母さん、
ундииси,куэǯэм-пу,тэитуиэрдэлэ-хэ-њи,ча-апэкэ
私たちの雌犬が、あれがこのように不思議な行いをした、あれを熱く
пэкэтуита-ха-њӥ,"туихаӥ-рӥӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)тэи=тэњии
熱く、そうした、」とそう言うのだ、おばあさんは
эси=тэњииундииси=э,хаӥларааагда-ханмама=тањӥӥ,"пиктэ
今、どんなにかとても喜んだ、おばあさんは、「子供が
анаа-до-jӥ=даапиктэ-гу-jи~ǯӥаанаа-до-jӥǯӥа-го-jӥ,боа
いないところに子供を、仲間のいないところに仲間を、天が
борӥ-ха-њӥакпааӥсӥла-ха-њӥ,ун-дии-њи,пиктэ-гу-jи
分けて下さった、天が黄金を恵んで下さった、」と 言う、自分の娘を
баа-хам-би.э~ӈундиисиэси=тэњиимапа-jӥ=дааӈаасо-го-хан,
見つけたことを。おじいさんも連れて来た、
э~ӈмапа-њ(ӥ)=даадао-хангэээси=тэ(њии)мапа=даа
おじいさんも渡った、さあおじいさんも
оǯокта-ӥ=гоањ(ӥ)пиктэ-jихаӥлараа,опапиктэ=кэсулээн
キスするのだ、自分の娘をどんなにか、粉の子供だったのが素敵な
эктэо-дӥӥ=гоањ(ӥ)чаагǯаан,гучкули.туи та-раа=тањӥӥ
女になっているのだ、色白で、美しい。それから
ун-дии-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),"эӈмиимама-jӥ=а~,"ун-дии,"туи
言うのだ、「ああ、私のばあさんよ、」と言う、「このように
би-эси-лэ-њитуиэрдэлэ-хэ-њи=нуу,"ун-дии-њи."мии=лэ хаал
なるようにあのように不思議な行いをしていたのか、」と言う。「ワシは
хаал би-чэ-jэ,"ун-дии,маматуи эрдэлэ-и-вэ-њи,
全く途方にくれてしまっていたよ、」と言う、ばあさんが変な行いをするのを
хаӥ-ва=даахооњ(ӥ)=даата-ӥ-ва-њӥ,тэинаӥ-атуи
何をどのようにしているかを、その人間をああして
аӈго-ӥ-ва-њӥ.э~ӈтуи та-рааундииситадо=ла,чадо
作っているのを。さあそれからそこで、
агда-насӥ-маар(ӥ)туихаӥ-рӥӥ=jа~лӥлаан-ǯӥ-ар(ӥ)
喜んでそうしてどうするのか、三人で
би-и-чи=гоањ(ӥ)тэи,вэчээн-чи=дээби-и.эситуи
暮らしているのだ、あの、雌犬もいる。そう
та-ӥ-до-а-њӥэлээсиксэ-гу-хэн ǯааро-а-њӥтэимэргэн
している時に今にも日が暮れようという頃にあのムルグンが
тулиэ-лэ-чиэу-гу-и-вэ-њиичэ-хэ-њимама.боа-чӥњиэ-хэ-њи.
中庭の所へ、山から下りて来るのを見た、おばあさんは。外へ出た。
"аосӥ=а~эрдэӈгэхаӥ=даа,"уӈ-ки-њи,"буээуси
「婿よ、不思議だわなんとも、」と 言った、「私たちがこちらへ
дао-хан-ǯӥ-ар(ӥ)=даахооњаагоӥда-ӥ-по,сии=кэээрдэӈгэ,"
渡って来てからどんなにか長い時間がたったことか、おまえは不思議だ、」
уӈ-кин,"наӥ-аасӥ-го-jӥгэлэ-хэн=кээгэлэ-хэн,эм
と言った、「人を自分の妻として求めたことは求めておいて、
модан=даахэику-эси,сиуртоо-рӥӥсиурэу-гу-ита-м(ӥ)
度たりとも寄りゃあしない、通り過ぎて上り、通り過ぎては下り、して
балǯӥ-ӥ-сӥ,"ун-дии,"хаӥгэлэ-эси-сиби-ǯэрээ,"
暮らしているのか、」と 言う、「なんだ、要らないんだろう、きっと、」と
ун-дии-њ(и),"буэпиктэ-пу-вэ=кээхаӥнаа=даа.""э~ӈ хэхэи,"
言う、「私たちの娘を、たぶんそうだ。」「ああなんと、」
тэимэргэнун-дии-њи,"хэхэимии=хэиоӈбо-ха~н,"
そのムルグンは言う、「ああなんと、私は忘れていたんです、」
ун-дии-њи,"мурчи-и-jэ,"ун-дии,"тооко-ӥ-до-jӥхэику-ури=э
と 言う、「考えていましたよ、」と 言う、「山へ上る時に寄るべきかと
мурчи-хэноӈбо-раатуиэнэ-и,эу-гу-и-ду-jихэику-ури=э
考えたが忘れてそうして行ったり、下りる時に寄るべきかとも
мурчи-хэнтуиоӈбо-раатуиэу-гу-ита-ам-бӥ=а,"ун-дии-њи.
考えたがそうして忘れてそうして下りたりしていたんです、」と 言う。
"хэику-ури=э=мдэмурчи-и-jэ,туи та-м(ӥ)оӈбо-ӥ-jа,"
「寄るべきだなあと考えていましたよ、そうして忘れていたんです、」
ун-дии,"хэику-гу-ита-раа=даа."эси,эси=мэ(т)ии-хэн
と 言う、「寄ろうとはしていたんですが。」さて今になってやっと入った
тэимамахээси-и-ду-э-њи=мээ=дээ.гээичэ-и-њихаӥлараа
そのおばあさんが呼びかける時になってやっと、だ。さあ見るになんとも
тэипуǯиндэӈси-исӥа-орӥ-апуjуучи-и=дээхаӥ-рӥӥта-ӥ,
そのプジンが良く働いたり食べる物を煮たりもどうしたりする、
гэээси=кээхаӥ,эси=мээтэимэргэнњаарчадо
さあ今こそ今になってやっとそのムルグンはくつろいでそこに
аоӈга-ӥ=гоањ(ӥ).э~ӈчадоњаараоӈга-ха~нǯӥачӥмањӥ-а
泊まるのだ。そこでゆったりと泊まった、次の
тээ-хэ~нун-дии=го(ањӥ),"анда~пуǯин,"ун-дии,"эи-ду
起きた、言うのだ、「友たるプジンよ、」と 言う、「ここに
хооњ(ӥ)би-пу-гу-ур(и) та-ӥ-с(о)дао-го...эу-гу-м(и)
どうして留まっているべきだろうか、川の方の私の家へ下りたら
аjа-њ(ӥ)=тањӥӥтаос(ӥ)эикэтэ=дээнуучиǯоо-каан.э~ӈ
良い、あっちへ、ここはあまりにも小さい小屋だから。
мапамама=дааби-и."эс(и)=тэњиитэи,хаǯо-каам-ба-чӥтуи,
おじいさんもおばあさんもいる。」さて今その、彼らの服や家財をそうして
токӥ-каан-до-а-њ(ӥ)тэучи-гу-рээтуиӥрчӥ-го-ар(ӥ)ваӥсӥ
小さなそりに積んでからそうして曵きずって行く、川の方へ
эу-гу-и=го(ањӥ)тэимэргэнǯоок-чӥ-а-њӥ.э~ӈтуи та-раа~
下りるのだ、そのムルグンの家へ。それから
чадотуибалǯӥ-ӥ-чӥ=гоањ(ӥ)мапа=jасагда-насӥ-ӥмама=jас
そこでそうして暮らしているのだ、おじいさんも喜ぶ、おばあさんも
агда-насӥ-ӥпиктэ-гу-эр(и)бао-го-хам-барӥ.тэи=тэњиихаӥ,
喜ぶ、自分の子供を授かったことを。その、
мапа=jасваӥсӥкэчэри-гу-хэнсиупу~нмама=дааваӥсӥ
おじいさんは川の方へ振り返っても大御馳走の熊肉の櫛焼きが、おばあさんも
кэчэри-гу...сиупу~ндуисикэчэри-гу-хэнсиупу~нтуи,
川の方へ振り返っても御馳走が、山の方へ振り返っても櫛焼きが、そうして
ǯӥрга-маар(ӥ)балǯӥ-маар(ӥ)очо-го-ха-чӥэлээ.
御馳走を食べて暮らすようになったという、終わり。"

(1)Оненко(1985)にはсопсӥн-という形であがっている。したがってこのсопсӥӈкӥ-ха-њӥという語形は二重に過去を表示している形ということになる。