風間伸次郎(採録・訳注).1998.『ナーナイの民話と伝説4』(ツングース言語文化論集12,千葉大学)より

7. Аjамӥ

アヤミ(円錐形の頭を持ち手のない木偶)

1997年4月8日、ダエルガ村にて、Њ. Б. Гейкер氏より録音。


э~ӈундиисиэмǯоодоо-ла-њӥэммамаачанэмучэкээ~н
ある家の中に一人のおばあさんが一人きりで
балǯӥ-ха-њӥ.туи та-раа~туиби-эундэтэимама=та(њӥӥ)
暮らしていた。それからそう暮らしているという、そのおばあさんは
сагдаӈ-го-ха-њӥ=гоањ(ӥ)хаӥ-м(ӥ)=даамутэ-эдээси.туи
老いてしまっていたのだ、何をすることも全然できない。そうして
балǯӥ-мӥ~туибалǯӥ-мӥ=а=ламама=ласоӈго-ло-ха-њӥ.
暮らしていてそう暮らしていておばあさんは泣き始めた。
голǯон-до-jӥтээ-гу-рээ~соӈго-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ)."эи=дэмэхаӥ
かまどの所に座って泣いているのだ。「これではどう
та-м(ӥ)балǯӥ-орӥ-њӥ=jа~,"ун-дии,"хаӥ-ва=даата-м(ӥ)=даа
やって暮らしていけるだろうか、」と言う、「何をすることも
мутэ-вэси=э,хооњ(ӥ)балǯӥ-го-ӥхооњ(ӥ)би-пу-гу-и
できはしない、どうやって暮らせようか、どうやって生きて
би-ури-њи"=мсоӈго-аундэ.туисоӈго-мӥ=а=лаичэ-гу-хэ-њи
いられようか、」と 泣くという。そうして泣いていて見た、
тахӥ-чӥ-jӥ,тэи=тэњииундиисиэмаjамӥ-каан=голакээӈдээ
棚の方を、一つの小さなアヤミがブラブラ
кээӈдээкээӈдээсӥасӥсӥ-аундэтахӥ-до-а-њӥ=ла.ǯапа-раа
ブラブラブラブラ動き回っているという、棚の所で。つかんで
наа-чӥнаӈгала-ха-њӥпалан-чӥ.аjамӥ-каанкӥчотак
地面へ投げた、床へ。小さなアヤミはスックと
ӥлӥ-го-ха-њӥ."гэээњээ,"ун-дии,"хаӥ-ва та-м(ӥ)
立ち直った。「ああ、お母さん、」と言う、「どう して
соӈго-ӥ-сӥ,"ун-дии."хооњ(ӥ)балǯӥ-орӥхооњ(ӥ)
泣いてるんですか、」と言う。「どうやって暮らせよう、こんなにも
сагдаӈ-го-хан-ǯӥхооњ(ӥ)би-ури=э"=м."гээ соӈго-ǯаа=ма,"
老いてしまってどうやって生きられようか、」と。「ああ泣きもするわよ、」
ун-дии-њи,"эмучэкээнби-ми."эси=тэњиитэи
と 言う、「一人っきりでいれば。」さて今その
аjамӥ-каа-ӈго(-њӥ)ǯиǯу-хэн=тэњии,гээ,аjамӥ-каа(н)
小さなアヤミが戻って来たらば、さあ、小さなアヤミが
абаа=гдал осӥњӥ,тооӥ-чӥ-а-њӥмэнээ,хаӥǯи-дии,ǯаӥ,
いないくなったと思ったら、家の下の岸に勝手にやって来る、小舟に
тӥас тӥасǯоа,согдатахаа-рӥӥ,туэ осӥњӥ,пӥнатӥас
ぎっしりいっぱい、夏は、魚が接岸したり、冬なら、背負い袋にぎっしり
тӥасхаӥ-чӥ-а-њӥ,такто-њӥпӥлаан-чӥ-а-њӥуликсээу-рии
いっぱい、倉の戸口の板の所へ肉が下りて来たり
та-м(ӥ)балǯӥ-а-лундэмама=тањӥӥбаjаачӥ-м(ӥ)
して、暮らすという、おばあさんは金持ちになって
балǯӥ-ло-го-ха-њӥ.туиби-ми=э~туиби-ми=э=лээм
また暮らし始めたのだ。そうしていてそうしていてある
модан=голааjамӥ-каанта-аундэ,"эњэээњээ,"ун-дии,
時、小さなアヤミが言うという、「お母さん、お母さん、」と言う、
"эихэǯиэ-лэ-њ(и)би-ихаӥ,мэргэнǯи-дии=jэ,"ун-дии,
「ここの下流の所にいるムルグンがやって来る、」と言う、
"тэисэлкиисаман-ǯӥсорӥ-м(ӥ)коороа-вабаа-ха-њӥ,"
「彼はスルキーシャーマン(名前)と戦って、不慮の大怪我を受けた、」
ун-дии,"тэи=тэњиисинǯи=мањаасоӈго-мӥсинǯи=мањаа
と 言う、「その人はあなただけを頼みに泣いてあなただけを思い出して
ǯӥлган-ǯӥǯи-дии=jэ,"ун-дии,"гуǯиэм(-би)гэлэ-ндэ-и-њи"=мдэ.
声を頼りにやって来る、」と言う、「情けを乞いに来る、」と。
"элэээлээӥсӥ-ӥ=jа,"ун-дии,"элээӥсӥ-ӥ=jэ=дэ."э~ӈ
「もう 今にも到着する、」と言う、「今にも着く、」と。
ундиисиэси=тэњии"элээӥсӥ-ӥэлээӥсӥ-ӥ,"ун-дии,эӈ
「もう着く、もう着く、」と言う、
туита-мӥ"наӥ=а=каатоо-ваам-бор(ӥ)=ноохаа-ваам-бор(ӥ)=ноо
そうして「その人を上らせてやるべきか、着岸させてやるべきか、
хооњ(ӥ)та-ор(ӥ)=ноо,"ун-дии,"сиур=дээ
どうすべきでしょうか、」と言う、「通り過ぎて
энэ-вээм-бур(и)=нуу"=м.э~ӈтуита-аундэтуи та-раа=ла
行かせるべきでしょうか、」と。そうするという、それから
ундииси=э, хаӥ-ха-њӥ.гӥолӥ-ӥгурунтуигӥолӥ-ӥ=а~туи
どうした、(ムルグンの船の)漕ぐ人々はそうして漕ぐ、そうして
энэ-итуиичэ-и-њимама=дааичэ-и-њ(и)=тэњиипаава-ла
行く、そうして見ている、おばあさんも見ている、窓越しに
ичэ-и-њ(и)=тэњии,наӥгӥолӥ-ӥгурум-бэ.тэи=тэњиигӥолӥ-ӥ
見ている、人、漕いでいる人々を。その漕ぐ
гурунгӥолӥ-хангӥолӥ-хантэиǯоо-васиу~рэнэ-хэ-чи.
人々は漕いだ漕いだ、その家を通り過ぎて行ってしまった。
тоо~солӥэнэ-хэ-чи."эрдэӈгэ~эи,эи-ду
ずうっと上流の方へ行ってしまった。「不思議だなあこれは、ここらに
би-эчи=кээ=нуу,"ун-дии,"эи,эихурээнпорон-до-а-њ(ӥ)
なかったかなあ、」と言う、「この、この山の頂上に
тэиǯоо-каа(н)абааби-эс(и)=кээ=нуу,"ун-дии-чи.
あの小さな家がないなんてことがあろうか、」と彼らは言う。
"хооњ(ӥ)та-ха-њӥ,ун-дии-њи.тэимэргэн=тэњиитокон-до
「どうしたんだ、」と言う。そのムルグンは真ん中に
ао-рӥӥ-њӥ=го(ањӥ)пуjэ-вэбаа-ха-њӥ."эрдэӈгэ~хаӥ=даа,"
寝ているのだ、傷を受けていた。「不思議だなんとも、」と
ун-дии,"бумбиэ,наӥгуǯиэси-эси=го(ањи)туи
言う、「我々を、人は哀れんでくれないのだ、そうして
коомӥо-хан=тањӥӥ=а,"ун-дии-њи.туи та-маарӥ=агӥолӥ-ӥ
姿を消してしまったということは、」と言う。そうして漕いでいる
гуруничэ-гу-хэ-њи,"гээ~тэибэун-ду-jибоӈгаса~н
人々は見た、「ああ、あの場所にドドーンと
ǯоо-каа(н)агбӥӈ-го-хан,"ун-дии-њи.гэээси=тэњиихамасӥ
家が現れたぞ、」と言う。さあ後ろへ
ǯиǯу-и=гоањ(ӥ).эӈхамасӥǯиǯу-хэнундииситооӥ(-до)
戻るのだ。後ろへ戻った、岸の所に
хаа-вааӈ-кӥн."гээии-вээм-бур(и)=нуухооњ(ӥ)та-ор(ӥ)=ноо,"
着岸させた。「さあ入らせるべきか、どうすべきでしょうか、」
ун-дии,"миихооњ(ӥ)саа-орӥ=а,"ун-дии,"сиихамачаа
と 言う、「私がどうしてわかろうか、」と言う、「おまえはどんな(つ
туиэрдэлэ-и-синаӥ-агуǯиэсииси-иосӥњӥулээн
もりで)このように変な行いをするのか、人を不憫に思うのならちゃんと
гуǯиэси-ур(и)=гоањӥ,"ун-дии-њимамаачан.э~ӈэс(и)=тэњии
憐れむべきなのよ、」と言うおばあさんは。さて
тоо-ха~нтэи=тэњииундииси=э,тэикоороа-вабаа-ханнаӥ=даа
上った、ムルグンは不慮の傷を受けていた、人が
тообо-ӥ=атэи=тэњииундииситэи,хаӥ-маар(ӥ),сэктэпун-ду,
上らせる、それはどうやって、布団を、
дуин наӥǯапа-раатообо-ӥ-чӥ=го(ањӥ)тэипуjэ-вэкоороа-ва
四人がつかんで上らせるのだ、その怪我を不慮の傷を
баа-ха-њӥмаӈга,тэибаӥгоан-ǯӥсорӥ-м(ӥ).эси=тэњии
受けたのはひどい、その敵と争って。
тообо-ха~нундиисимало-донээ-хэ~н.эси=тэњииундииси
上らせた、真ん中の席に置いた。
мало-донээ-рээундииситадо=латуихаӥ-рӥӥ-до-а-њӥ=ла,эӈ
真ん中の席に置いてそこでそうしてどうこうしている時に、
хуур хуур хуурхэǯиэ-ǯиэ-лэ,ǯи-дэундэундииси=эгаса=ла.
バサバサバサと下流の側から、来るという、水鳥が。
э~ӈтулиэ-ду-э-њи=лэсэлэ-м(э)саан-до-а-њӥ=латакорчӥа~
中庭に、鉄製の魚干し棚にストンと
доо-ха-њӥ.хээ~и хэимора-ӥ-њӥ=ласагǯӥ~наӥмапаачан
舞い降りた。フーイフイと叫ぶ、ひどく年とった人、おじいさんの
ǯӥлган би-чин."э~аjамӥ=а~ундииси=э,сииандӥӥ
声であった。「おおいアヤミよ、おまえは関係のない
наӥ-ахаӥта-м(ӥ)мээн-чӥ-jӥǯапа-ха-сӥ=а,"ун-дии-њи,
人間をどうして自分の所へ引き取ったのか、」と 言う、
"мэнмэнбаӥта~,"ун-дии,"баӥтаоjаа-чӥ-а-њ(ӥ)баӥта
「人にはそれぞれの仕事がある、」と言う、「仕事の上にさらに仕事に
о-дӥӥ=jа,"ун-дии-њи."хаӥ-м(ӥ)баӥтао-дӥӥ-њӥмии
なるじゃないか、」と言う。「どうして仕事になどなろうか、私の
ааг-бӥсиимииичэǯэ-и-ǯи-jиваа-ӥча-ӥ-сӥ,мииааг-бӥ
兄をおまえは私が見ている目の前で殺そうというのか、私の兄が
хооњ(ӥ)та-ӥ-ваваа-ӥча-ӥ-сӥ,мииааг-бӥ=а=мтэи,"туи=э
いったい何をしたのを殺そうというのか、私の兄だ、この人は、」とそう
та-аундэаjамӥ-каан=гола.ун-дии-њи,"туи=кээача-асӥ=а,"
言うという小さなアヤミは。言う、「そんなのはだめだ、」と
ун-дии,"хаӥаак-сӥ би-рэ,"ун-дии-њи."мииааг-бӥ,"
言う、「何がおまえの兄なものか、」と言う。「私の兄さんだ、」
ун-дии-њи.эси=тэњииундиисиэ~ӈтэи=лэундииси=э,
と 言う。そいつは
хаӥ-ха-њӥ.таваӈкӥ=лахургигдэ~дэгдэ-кэундэтуи
どうした。そこからバサリバサリと飛び立ったというそうして
дэгдэ-ми=дэлэтэи=лэундииси=э,тээ~уиситоо-рааундииси=э,
飛んでほうれ上へ上って
тэи=лэǯоо-њӥмуулу-лэ-њитэрэккӥгдакола-мӥ=ла
そいつの家の真ん中の梁桁の所に正確にくちばしからぶち当たって
ǯӥлӥ-jӥтуи=э~ии-хэ-њи.эси=тэњиитэимуулу-њ(и)=тэњии
自分の頭をこのようにぶち破って入った。その真ん中の梁桁が
туикапкапӥра-го-ха-њӥ=го(ањӥ)тэигаса.э~ӈэс(и)=тэњии
そうしてガッチリ挟み込むようになったのだ、その水鳥を。さて今
ун-дии-њ(и)=го(ањӥ),"гээ,мимбиэун-ǯээ-чи=мсии,
言うのだ、「さあ、私のことをあいつはこう言うだろう、おまえは
аргала-ха-њӥ=а~"=мда."мииааг-бӥмииичэǯэ-и-ǯи-jихооњ(ӥ)
騙したのだな、と、」と。「私の兄を私が見ている目の前でどうやって
ваа-ӥча-ӥ-сӥ,"ун-дии-њи.эси=тэњиихаӥ-до=даа
殺せようというのか、」と言う。いったいどこに
гӥда-кааӈ-ко-jӥ=даа ǯааро-а-њӥǯапа-ӥ-ǯӥ-jӥгӥда-ǯӥ=ла
小槍などを持っていたのだろうか、つかむやいなやその槍で
гӥдала-ха-њӥ.тэитуичадо.туиби-и-лэ-њи=тул=дээ.
突き刺した。そうしてそこで。そうして屋根にひっかかっているのを。
тэи=лэгэллабана-го-ха-њӥ.э~ӈтуи та-рааундииси
そいつはフッと消えてなくなった。それから
тотапӥ=о~ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ),"гээаjамӥ=а,"ун-дии-њи,
そうすると言うのだ、「ああ、アヤミよ、」と言う、
"э~ӈсимбиэтуита-ǯараа=мэчиэ мурчи-э-jэ,"ун-дии.
「おまえがこんなふうにするだろうとは思わなかったよ、」と言う。
"сэвээн,амбаан,хоjо-до-а-њ(ӥ)ǯооӥсӥ-го-ор(ӥ)=ноо
「スウンか、魔物かの手助けで家にたどり着いたのか、
абаа=ноо,"ун-дии-њи.э~ӈундииси=э,"бур-ми=у балǯӥ-мӥ=о
着かないのか、」と言う(アヤミは)。「おまえが 死のうが 生きていようが
мииааг-бӥ=осимбиэваа-ваан-дӥӥ=го(ањӥ)ичэǯэ-ми,"э~ӈ
私の兄をおまえに殺させたりなどするものか、目の前に見ていて、」
туисоӥ-jаундэтуи та-рааундииси=э,эси=тэњиитэи
そうやって叱るという、それから、その
мэргэм-бэ=тэњииундииси,тэимама=ла~ундииси=э,хурээн
ムルグンを、そのおばあさんは山の
халокта-ва-њӥ~њоӈгӥансоӥракта-ва~=лаундиисипуjуучи-эундэ,
リスの真皮を、緑のクマの目玉を煮るという、
пуjуу-хэ-њи=э~уњуэ-ду-jи=лэундииситэи=лэмэргэм-бэ=лэ
煮た、鍋に、それでムルグンを
ундииси=э,модода-чӥ-ӥ~=дааомӥ-насӥ-ваан-дӥӥ=даата-хан
塗りもするし、何度も飲ませもした、
мэргэн=гулэмэнмургэн-ду-jиосӥо-го-ха-њӥ.э~ӈтуи та-раа
ムルグンは本来の自分のムルグンに再びなった。それから
ундииси=э,"э~ӈаапаӈгоǯи-хээри,"ун-дии-њи,"э~ӈмии
「弟よ、後で来てくれ、」と言う、「私には
пондаǯоо-ко-jа,"ун-дии,"асӥ-го-а-сӥбуу-гу-ӥ-jа."эӈ
妹がいる、」と言う、「おまえの妻にあげたいのだ。」
туи та-рааэну-хэнтэимэргэнагда-насӥ-м(ӥ).э~ӈ
それから去った、そのムルグンは喜んで。
тэи=тэњииундиисихаӥ,аjамӥ-каан=тањӥӥтаваӈк(ӥ)тэи,
その小さなアヤミはそれから
энэ-и=гоањ(ӥ),тэисэлкиисаман.туиэнэ-ми~энэ-ми
いくのだ、あのスルキーシャーマン(を求めて)そうして行って行って
гэлэ-ндэ-гу-м(и)энэ-миэнэ-ми=э=лэ,эмбоа-до=лаундииси
探しに行って行って行って、ある場所で
эмхэлгэ,дао-го-мӥ=лабуи-ким-бэ-њибао-го-ха-њӥ.туи
ある小さな入り江を渡った所で死んでいるのを見つけた。
та-раача-а=лаундииси,хаӥ-лагӥда-jӥ=лалоор лоор
それからそれを、(背中に)自分の槍がブラブラしてるのを
тадора-го-рааǯиǯу-хэ-њи.э~ӈтуи та-раатуиби-эундэ,
引き抜いてから戻って来た。それからそうしているという、
эси=тэњиитуиби-и~ǯоог(-до)туиби-ми~би-миундииси
そうして暮らしている、家にそうしていていて、
эммодан=гола,"э~ӈэњээ~ундиисимии,эну-гу-jэ-вэ
ある時に、「ああ、お母さん、私は出かけます、
аак-чӥ-jӥǯӥӥма-го-ӥ-jа.""э~ӈхоо-каам(-ба)агбӥмбо-м(ӥ)=даа
お兄さんの所へお客に行きます。」「ああ、銅の徳利を出しても
аjа."э~ӈмама=лаундиисихоо-каам-ба=ла,хоо-каам(-ба)
いいな。」おばあさんは銅の徳利を、銅の徳利は
агбӥмбо-асӥаjам-баагбӥмбо-ӥ-њи.аjандоо-ла(-њӥ)
出さずに粘土製の水さしを出して来た。水さしの中に
аракӥ-каам(-ба)нээ-рээбуу-хэ-њи.гэээси=тэњииаjамӥ-каан
酒を少し入れて与えた。さあ小さなアヤミは
ǯапа-го-рааэнэ-и=э.э~ӈтэи=лэ,хооӈкохэǯиэ-њи
それをつかんで行く。彼は絶壁の下流の所へ
ӥсӥ-ӥ-ǯӥ-jӥ гэсэ=лэундииси=э,апӥ-jӥтаспаачӥла-ха-њӥ.
着くやいなや、うなじをパンッと叩いた。
хаӥлаваа~дас би-имэргэносӥ-ха-њӥ.ӥнокса-њӥчала~
なんともメッチャクチャなムルグンになった、鼻水はそこに垂れ、
коӥ-њ(ӥ)чала,чакӥ,тэи=тэњииӥнокса-њӥсэсхэ-лэ-њи
耳垢はそこに垂れ、白内障で、そいつの鼻水は顎の所まで
сабда-го=макоӥ-њӥосӥњӥмуирэ-лэ-њисабда-го=ма,осӥ-ха-њӥ,
滴っているし、耳垢といえば肩の所にまで滴っているように、なった、
хото,туиэнэ-и=гоањӥ.туиэнэ-хэ~нэнэ-хэнундииси
ハゲだ、そうして行くのだ。そうして行った、行った、
тэи=лэиргэм(-бэ)баа-хантэимэргэниргэм-бэ-њи.сиур
その村を見つけた、あのムルグンの村を。彼の家を通り過ぎて
тоо-ха-њӥ.сиуртоо-раа=лаундииситэидуjээ-лэ-њи
上った。通り過ぎて上ってから、その山側の方に
би-и-њи=го(ањӥ)тэипондаǯоо-њӥпуǯин,э~ӈуикэ-ду-э-њ(и)
いるのだ、その妹のプジンは、戸を
ǯапа-рааии-хэ-њи.ии-рээмало-дотээ-ндэ-хэ-њи.э~ӈ
つかんで入った。入ってから真ん中の席に行って座った。
мало-дотээ-рии-ду-э-њи=лэундииси=э,эӈтэи=лэпуǯин=гулэ
真ん中の席に座っている時に、そのプジンは
ичэ-и-ǯи-jи гэсэдэктуу-jи=лэ,ǯапа-мӥдаӥ-jа
見るやいなやすぐに自分のタバコ用の小箱をつかんで自分のパイプに
коӈгоро-ӥ-до-а-њӥ=лаӥлӥ-го-раањиэ-гу-хэ-њи.э~ӈтуи та-раа
タバコの葉を詰めているとその時に立ち上がって出て行った。それから
ундиисихаӥ-ха-њӥ,њиэ-гу-хэнэу-гу-и-ду-jи=лэундииси
どうした、出て行った、下りて行く時に
хаӥ-ха-њӥ,уикэ-вэњихэли-хэ-њи."ага~ундииси=э,эӈ
戸を開けた、「兄さんよ、
пондаǯоо=тањӥӥундиисимимбиэгаакӥ=ма(т)гало-ӥ-њӥ,"уӈ-кин.
妹さんは私をカラスのように嫌がったよ、」と言った。
"эӈхооњ(ӥ)тээси-ури=э"=мдэ.э~ӈтуи та-рааэну-хэ-њи
「どうして座ってなどいられようか、」と。それから去った、
ǯӥпдасӥ-го-раа=даа.э~ӈтуи та-рааǯоок(-чӥ-jӥ)ǯиǯу-хэ-њи.
バタンッと戸を閉めてから、だ。それから自分の家へ戻って来た。
ǯоок(-чӥ-jӥ)ǯиǯу-хэнхаӥ,хооӈко-ӈго-jӥ,элээ
自分の家へ戻って来た、自分の家のそばの崖の所にもうすぐ
ӥсӥ-го-ӥ-до-jӥмэнэаjамӥ-каан-до-jӥосӥо-го-рааǯоок(чӥ-jӥ)
着くという時に自身本来の小さなアヤミになってから自分の家に
ǯиǯу-хэ-њи."эдэдэтуитургэнпулси-хэ-си.""хаӥ
戻った。「あらら、こんなにも速く行って来たのかい。」「どうして
та-м(ӥ) гоӥда-орӥ=а,"ун-дии.э~ӈундииси=ээс(и)=тэњии
長いことなどいられようか、」と言う。
туиби-этуи та-раатуиэну-хэ-њихамӥа-ла-њӥ
そうしている、それからそうして(アヤミの)去った後で
мэргэн=тэњии,тоо-ханнэу-чи-jи."аапаӈго~ундииси,
ムルグンは、上った、自分の妹の所へ。「妹よ、
эрдэӈгэсии,тамачаамэргэу-сэл,тамачаагуру-сэл,
不思議だおまえは、あのようなムルグンたちは、あのような人々たちは、
хамачаа-ǯӥ=даахэмэрдэӈ-ку~,"ун-дии-њи."наӥии-хэм-бэ-њи
何をするにも全て優れた能力があるのだぞ、」と言う、「人が入って来たら
дамхӥ-а=даатэучи-ур(и)=гоањӥ=а"=мда."агаа~,"ун-дии,
タバコの葉をでも詰めるべきなのだぞ、」と。「お兄さん、」と言う、
"мии=тэњиинакан...мало-д(о)тээ-рии-њидамхӥ-а,
「私は真ん中の席に座っている時にタバコの葉を、
коӈгоро-м(ӥ)=хӥлэчиэ корпӥ-а-jа,"ун-дии,"наӥ
巻いていて間に合わなかったのよ、」と言う、「あの人は
њиэ-гу-хэ-њи=э"=мдэ."гэээлээ~,"ун-дии,"туи
出て行ってしまったんです、」と。「ああ、もういい、」と 言う、「こうして
оркӥӈ-го-jӥгэлэ-и-њ(и)=гоањӥ,"ун-дии,"буэоркӥӈ-го-по-ва."
我らが良くない所を求めているのだ、」と 言う、「我々の悪いところを。」
э~ӈтуигаса-м(ӥ)=мањаэу-гу-эааӈ-њӥ.эӈтуи та-раа
そう嘆くばかりで下りて行った兄は。それから
эси=тэњиигучихаӥ-рӥӥ=гоањ(ӥ),туи та-пӥ=о~гучи,
さてまた行くのだ、そうしてしばらくしてからまた、
ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ),"эњи мама,эну-гу-jэбуу-руу
言うのだ、「お母さん、出かけます、下さいな、
аjа-каам-ба."гэээс(и)гучиаjам(-ба)буу-хэ-њи.
粘土製の水さしを。」さあまた水さしを与えた。
эси=тэњиичава=лаундиисиэ~ӈтуиэнэ-и=гоањ(ӥ).хаӥсӥ
それを(つかんで)そうして行くのだ。再び
тэиэс(и)=кээтэимэргэн-дулэӥсӥ-ха-њӥ.эс(и)
彼は今度もそのムルグンの所に着いた。今度は
аjамӥ-ǯӥ=толби-и-њиэнэ-хэ-њиӥсӥ-ха-њӥ.э~ӈӥсӥ-хан
アヤミの姿のままでいる、行った、着いた。着いた、
ундиисиэс(и)=тэњииундииси,чадо=даамэргэнаракӥ-ва
そこでムルグンは酒を
омӥ-ӥ=гоањӥ~jаохӥ-ӥ=гоањ(ӥ)тэиаjамӥ-каанǯи-чин-ду-э-њи.
飲むのだ、客を暖かく迎えるのだ、その小さなアヤミがやって来た時に。
эси=тэњиитуиjаохӥ-ха~нундииси=э,"гээ,кэкэ~эǯэн
そうして暖かくもてなした、「さあ、女奴隷よ、御主人様の
пуǯин-чиӥра-роо,"уӈ-кинтэи,аjамӥ-каам-ба.эси=тэњии
プジンの所へ運べ、」と言ったその、小さなアヤミを。
аjамӥ-каам-ба=тањӥӥтэикэкэ=тэњиихооњ(ӥ)=дааǯапа-м(ӥ)=даа
小さなアヤミをその女奴隷はどうにもつかむことも
ача-асӥ-њӥ=го(ањӥ)мулту мулту би-и.тэи=тэњииундиисиэи
できないのだ、ツルツルと滑って。その女奴隷はこの
хакӥ-ла-њӥэи-лэ-њитӥап хаӥ-ǯӥ,гултухин-ǯи,сии-рээ
柳のある岸辺、ここらにたっぷりある葉のない柳の細枝で、差し通してから
пӥнала-рааэнэ-хэ-њиӥра-ха-њӥ.э~ӈундииси=э,туи
背負って行った、運んだ。そうして
уикэ-вэњихэли-рээии-хэ-њи,"ээ~ундииси,њихэли-руу,"
戸を開けてから入った、「ああ、開けろ、」と
ун-дии,"мииӥра-хам-бӥ,"ун-дии,"аjамӥ-каам-ба."э~нэнэ
言う、「私は運んで来た、」と言う、「小さなアヤミを。」ああ、
пуǯин=тэњиисоӥ-ӥ-њӥ=го(ањӥ)эи,"хооњ(ӥ)наӥ-атуи
プジンは叱るのだ、それを、「どうして人をそんなふうに
олбӥачӥ-орӥ-њӥ=а,"ун-дии-њи."хооњ(ӥ)ǯапа-орӥ-њӥ,"ун-дии,
運ぶべきでしょう、」と 言う。「どうやってつかむべきでしょう、」と 言う、
"ǯапа-м(ӥ)=даамулту мулту би-иǯака-ва."эс(и)=тэњиитэи
「つかもうとしてもツルツルしている物を。」今度はその
аjамӥ-каан=тањӥӥхаӥ-ха~н,наӥао-го-ӥсэкчиэ-рии-њ(и)
小さなアヤミはどうした、人が寝具を敷いている
доо-ла-њ(ӥ)=тол,ӥлӥ-го-рааэну-хэн.эс(и)=тэњиитотараа~
その最中に、立ち上がって去った。それから
туихаӥ-рӥӥ=гоањӥ,туиби-и=э~эну-рээ=дээ.мама
そうして暮らしているのだ、そうしている、去ってから、だ。おばあさんは
ун-дии,"хаӥтуитургэнǯиǯу-хэ-си,"ун-дии,"гээ
言う、「何をこんなに速いこと戻って来たのか、」と 言う、「ああ、
хаӥ-вата-орӥ-њӥ,"ун-дии,"чадо."э~ӈэси=тэњиитуи
いったい何をすべきでしょうか、」と言う、「あそこで。」そうして
би-и,туиби-ми,эӈтуиби-ми=эундиисиун-дии,"эњиэ
いる、そうしていて、そうしていて言う、「お母さん、
мама,минǯигэсээнэ-гу-ури=э,"ун-дии-њи.э~ӈ
私と一緒に行きましょう、」と言う。
эс(и)=тэњиитэимама-ваолбӥ-м(ӥ)энэ-и=гоањӥ,аjамӥ-каан.
そのおばあさんを連れて行くのだ、小さなアヤミは。
э~ӈтуиэнэ-хэ~нӥсӥ-ха~нундииси=э,э~ӈэси=тэњии
そうして行った、着いた、今度は
аjамӥ=тањӥӥнаӥочо-го-ха-њӥ,эси=мэ(т)наӥбэjэ-ǯи
アヤミは人間の姿になった、今になってやっと人間の体に
осӥ-ха-њӥ.эси=лэундиисиэ~ӈмэргэн-дулэӥсӥ-ха~н
なった。さてムルグンの所に着いた、
эс(и)=тэњиичадоаракӥ-ваомӥ-ӥ,мама=jасчадоби-и=гоањӥ
そこで酒を飲む、おばあさんもそこにいるのだ、
тэи,тэиасӥ-њӥпуǯим-бэ=дээгэлэ-ндэ-су-хээлэси=кээчадо,
その、その妻のプジンをも呼びに行った、今度こそそこで、
њаараракӥ-ваомӥ-ха~н,тэиасӥ-до-jӥ,њаар би-чин.
くつろいで酒を飲んだ、その妻の所で、ゆったりとくつろいだ。
э~ӈхадолтахадолтааракӥомӥ-паарӥ=о~эну-и=гоањ(ӥ).э~ӈ
数日数日間酒を飲んでからやっと去るのだ。
туи та-рааундииси,туиэну-хэн-ду-э-њ(и)=тэњиигучичадо,
それからそうして去った時にまたそこで、
хадолтахадол(та)би-пээри=у~тэиасӥ-ва-њӥгучигӥамата
数日数日間経つとその妻をまた花嫁として
ӥрасо-ха~н.э~ӈтуи та-раатуибалǯӥ-ӥ-чӥэлээ,
運んだ。それからそうして暮らしている、終わり、
хао(сӥ)=дааэнэ-эдээси=э.
どこへも行きはしない。