風間伸次郎(採録・訳注).1998.『ナーナイの民話と伝説4』(ツングース言語文化論集12,千葉大学)より

4. эњи-њи дааӥ-ǯӥма пиктэ-jи сиӈгэрэ-и-њи

母親は 大きい方の 子供を いじめる

1997年4月6日、ダエルガ村にて、Њ. Б. Гейкер氏より録音。


э~ӈундиисиэм,ǯоодоо-ла-њӥэмпуǯи~нмэргэн
ある家の中に一人のプジンとムルグンが
балǯӥ-ха-чӥ.тэи=лэтэи=лэпиктэ-чи=тэњииǯуэнаонǯокаан.
暮らしていた。その子供は二人の少年だ。
туибалǯӥ-ӥ~туиби-э-лундэ,тэинэу-ǯимэ,
そうして暮らしている、そうしているという、その弟の方、
нэу-ǯимэ=кээхаӥларааэњи-њиулээси-идааӥ-ǯӥм(а)
弟の方をどんなにか母親はかわいがる、大きい方の
пиктэ-jи=тэ(њии)улээси-эдээси=э.туибалǯӥ-аундэ.туи
子供は愛さない。そうして暮らしているという。
балǯӥ-ӥ~туиби-э-лкупи-и=дээгэсэтуикупи-и-чи=гоањ(ӥ)
暮らしている、そうしている、 遊ぶのもいっしょ、そうして遊ぶのだ、
ǯуэнаонǯокаа-њӥ,пакаачӥ-ӥ=даагэсэ,пакаачӥ-ӥ
二人の少年は。球を蹴って遊ぶのもいっしょ、球蹴りして
купи-и=дээгэсээкупи-и,хаӥ-ва=даата-ӥ=даагэсээкупи-и
遊ぶのもいっしょに遊ぶ、何をするのもいっしょに遊ぶ、
туиби-и-чи=го(ањӥ)гэсээ=дээ.туи та-мӥ=аэммодан=тањӥӥ
そうしているのだ、いっしょに、だ。そうしてある時に
амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,"гээ,эс(и)=кээтоо-вори=а,"ун-дии,
父親は、「さあ、森へ上るべし、」と言う、
"пуриг-б(ӥ)олбӥ-м(ӥ),ахоотала-нда-маар(ӥ)энэ-ури,"
「子供達を連れて、狩りをしに行くべし、」と
ун-дии-њи,туэ.э~ӈэси=тэњиибаргӥ-ха~нпиктэ-ǯи
言う、冬だ。準備した、子供と
тэвэ-гу-jи,нээ-хэн.дааӥ-ǯӥм(а)
自分の荷物を乗せた。大きい方の
наонǯокааӈ-го-њ(ӥ)=даатэвэ-гу-э(-њи)нээ-хэн.э~ӈтуи
少年も彼の荷物も乗せた。そうして
энэ-и-њ(и)=гоа(њӥ)энэ-хэ~(н)энэ-хэ(н),тэи=тэњиидааӥ
行くのだ、行った、行った、その大きな
пиктэ-њ(и)=тэњииту~л тулгэкчи-и,нэу-ǯимэ=кээаjа
子供はずうっといつも凍えている、弟の方は大丈夫、
гэкчи-эдээси,пэкуси.тэи,дааӥпиктэ-њ(и)=тэ(њии)ту~л
凍えない、熱い。その大きな子供はいつも
тулгэкчи-и-њ(и)=гоањ(ӥ)ноӈǯӥ,туи та-м(ӥ)тэтуэ-њипух
いつも凍えているのだ、寒い、そうして(弟の方の)服は
пух би-и,наӥjохаӈ-ко-ǯӥаӈго-ха-њӥ.туи та-раа
フカフカしている、人は綿で作った。それから
амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,эммоданхаӥ-хан-до-jӥ...аоӈга-ӥ-до-jӥ=ла,
父親はある何している時に、泊まった時に、
пиктэ-jитэтуэ-вэ-њипуктэ-хэ-њи.тэи=тэњиитуӈдэ
自分の子供の服を切り裂いてみた。それはドロヤナギの
карчан-ǯӥ-а-њӥ,нээ-м(и)аӈго-ха-њӥби-чи-њиэњи-њи.
根の所のコケのような部分で、入れて作ってあった、母親は。
туӈдэкарча-њӥхаӥњамасӥ-гӥла-ӥ.э~ӈундиисипиктэ-вэ
ドロヤナギの毛では何が暖かいだろうか。子供を、
нэу-ӈги-њи,нэу-њ(и)тэтуэ-њ(и)=тэњииjохаӈ-ко-њ(ӥ)...jохан(-ǯӥ)
弟の方のは、弟の服は綿が入っている、綿で
наӥаӈго-ха-њӥ.э~ӈэси=тэњииундиисинэу-њ(и)тэтуэ-њ(и)
人が作った。弟の服を
тэту-гу-вээӈ-кинэси=тэњии,хаӥ-ва-њӥ,ао-рӥӥ
着せた(兄に)、寝る時の
тэтуэ-кээн-ǯи-jинэун-ǯи(-эри)=кээǯуэ-ǯи...ǯуэ-ǯи-эр(и)гэсэ
寝巻きで弟と二人で二人で一緒に
ао-рӥӥ-чӥ=гоањ(ӥ).эси=тэњииундииси=эхуигэсэ-гу-э-њи
寝るのだ。彼の弁当を、
эњи-њ(и)нээ-хэм-бэ-њиун-дии-њи,ǯапа-рааjаасӥ-ха-њӥ,
母親がのせたものを、つかんでよく見た、
амӥ-њӥ.тэи=тэњиихуутэ туи,гӥа-раа,сомалаан
父親は。それは、腐った木の削った物を削って、袋の
доо-чӥ-а-њ(ӥ)тэучи-рээоjаа-ла-њ(ӥ)=тањӥӥǯуэр=нуу
中へ詰めてから上に二つだか
огаса-каам(-ба)нээ-хэ-њи,пиктэ-jисӥа-го-а-њӥ,эњи-њи.
干し魚をのせた、自分の子供の食べ物に、 母親は。
амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥтэипиктэ-jихуигэсэ-вэ-њитэи=дэ(э),
父親はその息子の弁当をそんなのを、
хуутэ-вэ=тэ(њии)хэмнаӈгала-ха~н.эс(и)=тэ(њии)гэсэсӥа-рӥӥ
腐った木の削りかすを全部投げ捨てた。いっしょに食べる
осӥ-ӥ=гоањ(ӥ),хаӥгоӥда-м(ӥ)сӥа-гӥла-ӥӥлаан наӥ,ǯуэ
ことになるのだ、どうして長いこと 食べられよう、三人が、
наӥхуигэсэ-кээм-бэ-њи.тэи=тэњииэњин=тэњиипиктэ-ду-jи
人分の少ない弁当を。その母親は自分の好きな子供には
таксам-ба=дааогасам-ба=даанэу-ду-э(-њи)нээ-хэ-њи=го(ањӥ)сӥа-го-а-њӥ
煮てすりつぶした魚を、干し魚を、弟の方にはのせたのだ、彼の食べ物に
мапа-до-jӥ~=даа.[а]тэи,[на место] таксан=тањӥӥ,
父親にも、だ。一方その、煮てすりつぶした魚の代わりに、
пиктэ...тэидааӥпиктэ-ду-jи=тэњии,хуутэ-вэнээ-рээ
その大きい子供には、腐った木の削りかすをのせて
огасам-бачадооjаа-ла-њӥоткоокаан,ǯуэр-бэ=нуунээ-рии-њи.
干し魚をそこに上にほんの少し、二きれだか置いてある。
эси=тэњиитуи та-раа,хооњ(ӥ)=аахоотала-ор(ӥ)туи,
それからどうして狩りができるだろうか、そんな、
ноӈǯӥ,элэ(э)...сӥа-пта-ӈгӥ-чӥ=дааоткоокаан.эм наӥ
寒くて、もう食べる物もほんの少しだけ。一人の
хуигэс(э)[совсем]анаа.амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥэу-гу-хэ-њи=гоањ(ӥ).
弁当は全然なしで。父親は下りて来たのだ。
эу-гу-хэн,ӥсӥ-го-ханǯоок-чӥ-jӥ.эси=тэњииӥсӥ-го-ха~н
下りて来た、着いた、自分の家へ。着いた、
тэи,"хаӥ-маар(ӥ)туитургэнǯиǯу-хэ-су,"ун-дииэњи-њи.
その、「どうしてこんなに速く戻って来たのか、」と言う、母親は。
амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥхӥсаӈго-ӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)сиксэапсӥӈго-п(ӥ),
父親は話すのだ、夕方横になると、
пиктэ-jихэмао-рӥӥ-до-а-њӥ.наонǯокаан=тањӥӥхэмэ~
子供が全部寝ている時に。少年は黙って
досоǯо-ӥ-њӥ=го(ањӥ)тэидааӥ-ǯӥм(а)наонǯокаанамӥм-б(ӥ)
聞いているのだ、その大きい方の少年は父親が
хэсэ аӈго-ӥ-њ(ӥ)."эрдэӈгэ~,"ун-дии-њи,"буэпиктэ-п(у)
語っているのを。「不思議だ、」と言う、「私たちの子供は
тэӈǯуэхусэ,синдухооњ(ӥ) осӥ-ха-њӥ,"ун-дии-њи,
ただ二人の男の子だ、おまえはいったいどうしたんだ、」と言う、
"эмунулээн,эмуноркӥн=даа.тэипиктэ-jихооњ(ӥ)туи
「一人は良く、一人は悪く。あの子をどうしてあのように
сиӈгэрэ-и-си,"ун-дии-њи."наӥкарчан-ǯӥ,тэтуэуи
いじめるのか、」と言う。「人が根のコケ状の毛でなど服を誰が
аӈго-ха-њӥ,"ун-дии-њи,"туӈдэкарчан-ǯӥ-а-њӥ.тэи
作ったりするだろうか、」と言う、「ドロヤナギの毛で。あいつは
тул тулгэкчи-и=гоањӥ,"ун-дии-њи,"хуигэсэ-гу-э-њиочӥњӥ,
ずうっと凍えているのだぞ、」と言う、「あいつの弁当は、といえば、
поотачаандоо-чӥ-а-њӥ,хаӥ-ва,хуутэ-вэтэучи-рээ
魚皮製の小さな袋の中へ、腐った木の削ったのを詰めて
оjаа-ла-њӥогаса-каам(-ба)ǯуэр-бэ=нуунээ-хэ~н.хаӥчава
上に干し魚を二きれだかのせてあった。なんであんな物
сӥа-м(ӥ)пулси-и=нуу,"ун-дии-њи=го(ањӥ),"тэипиктэ.
食べて歩き廻れようか、」と言うのだ、「あの子は。
хооњ(ӥ)туимуруӈ-гу-jибаа-ха-сӥ=а,"ун-дии-њи.эњи-њ(и)
どうしてこんな気持ちに取り付かれたのか、」と言う。母親は
ун-дии,"улээси-эсим-би,"ун-дии,"пиктэ-jигэлэ-эсим-би,"
言う、「嫌いなんです、」と言う、「あの子は要りません、」と
ун-дии,"ӥра-роо,"ун-дии-њи,"хаӈгӥсӥ чоп тэипиктэ-вэ.
言う、「運び去っておくれ、」と言う、「どっかへ姿が消えるようあの子を。
тэинуучи-ǯимэ-ǯи=мања-до=даабалǯӥ-орӥ,"ун-дии,
この小さい方の子だけで暮らすべきだわ、」と言う。
"пиктэ-ǯи."эси=тэ(њии)туи,амӥ-њӥэњи-њидабӥӥмаӈга
「子供として。」そうして、父親と母親はかなりひどく
марӥа-чӥ-ӥ=jа~марӥа-маачӥ-маар(ӥ)туисорӥ-маачӥ-ӥ,туи,
反論する、反論し合ってそうして喧嘩し合う、そうして、
наонǯокаантуисорӥ-маачӥ-ӥ-до-а-њ(ӥ)=та(њӥӥ)
少年はそうして喧嘩し合っている時に
оӈаса-ха-њӥ=гоањ(ӥ).чӥмӥӥтээ-хэ~нтуиэси=тэњиимоо-ва
眠り込んでしまったのだ。起きた、そうして薪を
моо(-л)сӥ-ӥхаӥ-рӥӥта-ӥ-чӥ=гоањӥ=а,ǯоог-до.эси=тэњии
集めに行ったり、何したり、するのだ、家で。
хаӥ-рӥӥ-њӥ=го(ањӥ),амӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,моо-ваӈаањӥ-ӥ-њӥ
どうするのだ、父親は、薪を取りにいくことに
осӥ-ха-њӥпиктэ-ǯи-jи,дааӥпиктэ-ǯӥ-jӥ"тоо-го-арӥ,"
なった、子供と、大きい方の子供と、「さあ、上ろう、」と
ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ).туи та-раатаваӈкӥтуи
言うのだ。それからそこから
тоо-рӥӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)амӥ-њӥ.тоо-ха~нтуитоо-хан.чо~п
森へ上るのだ、父親は。上った、そうして上った。すっかり
дуиситоо-ха-њӥ=го(ањӥ)туи та-раа=та(њӥӥ)моо-ва
山の方へのぼってしまったのだ、それから薪を
эгǯиэ-кээм(-бэ)моо-лсӥ-ха~н,ун-дии-њи=го(ањӥ)пиктэ-чи-jи,
結構たくさん集めた、言うのだ、自分の息子へ、
"ам ичэ-гу-руу,"ун-дии,"эǯи эу-гу-рэ~,"ун-дии,
「息子よ、」と言う、「下りて来るな、」と言う、
"эњи-сисоӥ-ӥ-њӥ,"ун-дии,"симбиээǯиэуву-гу-рэ=э"=мдэ.
「母さんが叱る、」と言う、「おまえを下りて来させるな、」と。
"сиимэнээнэ-руу,"ун-дии,"эвэӈкимэнэǯулэси."
「おまえは自分で行け、」と言う、「ここからは自分で先へ。」
э~ӈэси=тэњиинаонǯокаанхаӥjам(ӥ)энэ-хэн=гоањ(ӥ),амӥ-њӥ=jас
少年はどうすればいいか、途方にくれたのだ、父親は
пуӈнэ-и.эс(и)=тэ(њии)таваӈкӥ=та(њӥӥ)наонǯокаан=та(њӥӥ)
追い立てる、そこから少年は
соӈго-пӥ=а~хамасӥичэ-гу-хэ-њиамӥ-њӥэну-ми=э
泣くと  後ろを振り返って見た、父親は去って行って
би-и-њи=гоањ(ӥ).амӥ-њ(ӥ)=даахаӥ-го-jӥулээси-гилэ-ипиктэ-jи
いるのだ。父親だってどうして穏やかでいられよう、息子が
соӈго-ӥ-ва-њӥичэǯэ-ми.соӈго-пӥ=а~хамасӥичэ-гу-хэ-њи
泣いているのを見て。しばらく泣いては後ろを見たが、
хаӥс(ӥ)амӥ-њӥ,туи< та-мӥ~аба...абааосӥ-го-ӥ=гоањ(ӥ),
今度も父親は(去って)そうして見えなく、いなくなるのだ、
моодоо-ва-њӥнаӥэу-гу-и-вэ-њ(и)хооњ(ӥ)ичэ-и-с(и)гороӈкӥ-ǯӥ.
木々の中を人が下りて行くのをどうやって見るか、遠くから。
туи та-раатэинаонǯокаан=тањӥӥтуисоӈго-мӥ~
それからその少年はそうして泣いて
энэ-и-њ(и)=го(ањӥ)туиэнэ-ми~энэ-миэмǯоок-чӥ~
行くのだ、そうして行って行って一軒の家へ
энэ-хэ-њи.тэиǯоотулиэ-ду-э-њ(и)=тэ(њии)наӥ
行った。その家の中庭には人の
покто-њ(ӥ)=дааабаа.хамачаа=даапокто=дааабаа.бэjун
足跡もない。どんな足跡さえもない。獣の
покто-са-њӥ~=мањаа.туи та-раачала=лаии-хэ-њи.ии-рээ
足跡ばかりだ。それからそこに入った。入ってから
хаӥ-досӥрӥ-орӥ.бэjунао-ха-њӥбэун=мањатэидоо-ла-њӥ.
どこに隠れるべきか。獣の寝ていたらしき場所ばかりだ、その家の 中は。
уикэпоксон-до-а-њӥ~сӥрӥ-ха-њӥ.туи=дээсӥрӥ-чӥ-ӥ-до-а-њӥ=а~
戸の角の所に隠れた。そうして隠れている時に
мэӈ~осӥо-го-очӥа-њӥ,пир пир пир пир пир пирǯиǯу-кэундэ.
暗くなるとピルピルピルピルと戻って来たという。
гучи,гучипир пир пир пирта-ӥэммапа,мапа, эм
また、また一匹ピルピルピルと声がする、一匹のじいさんと、もう一匹の
мапа-каа(н)эм,моњоо,ǯиǯу-хэ-чи.ии-гу-хээл
じいさんの、猿が戻って来た。入って来た、
эси=тэњиигусэрээнду-и~туи,гусэрээн...ун-дии-њи,тэи,
話をする、そうして話をして言う、その、
наонǯокаам-ба~гусэрээнду-э-лундэ,"гээ, гээ, гээ,"
少年のことについて話をするという、「あのなあ、あのなあ、」と
ун-дии,"хаӥ,наӥпиктэ-jипуӈнэ-хэ~н,"ун-дии,"наӥ
言う、「ある人が自分の子供を追い出した、」と言う、「人間の
эњи-њи,пиктэ-jигэлэ-эси-њи,"ун-дии,"ча(в)а
母親が、自分の子供を要らないと、」と言う、「そいつを
њичиэси-гу-ибаого-ха(н)осӥњ(ӥ)=даааj(а) би-чи,"ун-дии,
軽食用に見つけられたなら、良いのだが、」と言う、
"эи-лэӥсӥ-ха-њӥосӥ(њӥ)њичиэси-ури,"ун-дии-чи.эси=тэњии
「ここに到着していたならおやつに食べよう、」と言う。
тэи=тэњииǯоогэлэ-гу-и=го(ањӥ)хаӥби-гилэ-икээндэл(и),
その家を探し回るのだ、どうしているだろうか、そこらあたりに、
хаӥ~=мањаа=кочӥ.элээ~поксом(-бӥ)ӥсӥ-го-ӥ-д(о)...
関係のない物ばっかりだ。今にも戸の角の所に着くかという時に、
поксом(-бӥ)...наонǯокаам(-ба)ӥсӥ-ӥ-до-jӥ=ǯӥ,"абаа~," эчиэ
少年の所に着こうかという時に、「いないなあ、」と、
ӥсӥ-а-њӥ=малхамасӥмочо-го-хаал.эси=тэњиитуи та-раа=ла
着かずに後ろへ戻って行った。それから
туихаӥ-рӥӥ-њӥ=гоањ(ӥ),наонǯокаанчадотээси-и=гоањ(ӥ).
そうしてどうするのだ、少年はそこに座っているのだ。
гээ,чадо=та(њӥӥ)гусэрэ-и-њ(и)=го(ањӥ)ун-дии-њ(и)=го(ањӥ)
さあ、そこで話すのだ、言うのだ、
тэимоњоо,"тэээи(-ду)би-и-jэ~,"ун-дии,"эиэjээ-ǯиэ
その猿は、「ほうれ、ここらにいるぜ、」と言う、「このここから
посэнэ-м(и)гороанаа~,"ун-дии,"эммапа,
まっすぐに行って遠くなく、」と言う、「一人のおじいさん、
пиктэ-њ(и)=тэњииэнуси-и-њи~,"ун-дии,"чава=тањӥӥхаӥсӥ,
その子供は病気だ、」と言う、「そいつを再び元通りに
наӥхорӥ-хан-ǯӥ(-э-њӥ)пиктэ-гу...пиктэ-вэ-њиасӥ-го-а-њӥ
人が治したならば子供を、その娘を妻に
буу-рии-jэ,"ун-дии,"чавахорӥ-ор(ӥ)хаӥмаӈга-њӥ~,"
くれる、」と言う、「そいつを治すのに何のむずかしいことがあろうか」
ун-дии-њи.э~ӈтуи та-раа=латуигусэрээнду-и~гусэрээнду-и
と言う。それからそうして話す、話す、
хооњ(ӥ)=даахорӥ-орӥ-ва,туи та-раатэи,гусэрээнду-хэн,
どうやって治すのかを。それからそいつらは話した、
гусэрээнду-хэн=тэњиитуи та-рааапсӥӈ-го-хаал.апсӥӈ-го-хан
話したらばそれから横になった、寝た、
тэи=тэњиибаӥэрдээ,пакчӥолӥатээ-гу-мээр(и)хэм
そいつらはかなり朝早く、まだ暗いうちに起きて
пагǯӥала-го-хаалтэигу(р)сэл.наонǯокаан=тањӥӥтээ-хэн,
駆け出して行ってしまった、その者共は。少年は起きた、
хаӥ,туиӥлӥсӥ-м(ӥ)ао-рӥӥ-њӥгучиӈээлэ-чи-и-њихаӥ
ああして立って寝ていてまた恐ろしくなってどうして
оӈаса-гӥла-ӥтэидолбоинэ-дэлэтуи.таваӈ(кӥ)њиэ-гу-хэ~н
眠ったりできようか、その晩、夜が明けるまでそうして。それから外に出た
таваӈкӥ=тањӥӥ,посваӥсӥэу-псиӈ-кинтуиэнэ-ми~
そこからは、まっすぐ川の方へ下り始めた、そうして行って
эу-ми=э=лэбаа-ха-њӥ,маӈбо-чӥ~эу-хэ-њи,тэимаӈбо
下って見つけた、大河へ下りた、その大河を
таваӈк(ӥ)энэ-ми=ээнэ-ми=э=лэундииси=э,э~ӈэмиргэн-чи
そこから行って行ってある村へ
энэ-хэ-њи.эǯэ~нхаан-дола-њӥ,уикэ-ду-э-њиǯапа-раа
行った。主たる長の所で、戸をつかんで
ии-хэ-њи.ии-хэн=тэњиимапа~мамаби-эундэ.
入った。入ると、おじいさんとおばあさんがいるという。
мало-до-а-њ(ӥ)=тањӥӥ,хаӥ,ǯаӈпан.э~ӈтэи=тэњии
真ん中の席には、蚊帳。その
наонǯокаан=тањӥӥундииси=э,мапа-чӥмама-чӥњохораачӥ-ха-њӥ,
少年はおじいさんへおばあさんへ挨拶した。
"гээамичэ-гу(-рээ)сии=лэбалǯӥ-ӥ-њӥ~би-и-њипиктэ-њ(и)
「ああ、少年よ、おまえは生まれて、生きている我が子の
та-а-чӥ,"ун-дии,э~ӈоǯокта-ӥ=гоањӥэси=тэњиитуи та-раа
ようなものだ、」と言う、キスするのだ、それから
тэи,ун-дии-њи,"пиктэ-п(у)энуси-и-њи=э~,"ун-дии,
その人は言う、「私たちの娘は病気をしている、」と言う、
"хамачаасамансаман-дасӥ,хамачаадоӈмордоӈмо-расӥ,"
「どんなシャーマンも治せない、どんな賢人も治せない、」と
ун-дии,"хаӥ-ǯӥ=даахорӥ-асӥ-чӥ,"ун-дии,"уи=дээ
言う、「何によっても救えない、」と言う、「誰も
мутэ-эси-њи."э~ӈтуи та-раа=ла,тэинаонǯокаан=тањӥӥтуи
できない。」それからその少年は
та-раахаӥ-ха-њӥ.хооњ(ӥ)эну-вэтэи,хаӥ-ǯӥнаӥ
それからどうした。どうやって病気をその、何で人は
окчӥ-ӥ.э~ӈтэипаталаан,ао-рӥӥ-чӥ(-а)-њӥии-рээ,окто
治すのか。その娘の寝ている所へ入って、薬を
омӥ(-в)аан-дӥӥ-њӥ=гоањ(ӥ).[парасоока]-вабаа-ха-њӥтэи
飲ませるのだ。粉薬([порошок])を得た、その
наонǯокаантэи,моњоо-сал-до=тол=даа.э~ӈтуи та-раача-ва
少年はあの猿たちの所で、だ。それからそれを
омӥ(-в)ааӈ-кӥн.эӈтэи=тэњиихора-го-ха-њӥ=го(ањӥ)тэи
飲ませた。その人は助かったのだ、その
пуǯин,наӥокто-вабуу-хэм-бэ-њӥ.туи та-раатэи=тэњии
プジンは、人が薬を飲ませたので。それから彼は
асӥ-го-jӥбаа-рӥӥ=гоањ(ӥ)чадо.гээчадотуиби-чи~н
自分の妻を得るのだそこで。さあそこでそうしていた、
гоӥда-м(ӥ)би-чинхадолта.гоӥда-ха-њӥ=го(ањӥ)та-д(о)туи
長いこといた、数日。長居したのだ、そこで
та-раа~таваӈкӥэлээǯиǯу-и=гоањӥǯоок-чӥ-jӥ.э~ӈ
それからそこからもう戻るのだ、自分の家へ。
аӈпа-го-jӥэӈпэ-гу-jибаа-ханнаонǯокаан,эӈмапа=тањӥӥ
義父を、義母を見つけた、少年は、おじいさんは
ун-дии,"ам ичэ-гу-руу,"ун-дии-њ(и),"буээнэ-эси-пу,"
言う、「息子よ、」と言う、「我々は行かないよ、」と
ун-дии,"буээи-дуби-и=дээаjа,"ун-дии,"буэ
言う、「我々はここにいるのが良い、」と言う、「我々が
бу-дии-пу-вэ=дээсиисаа-ǯаа-чӥ=маа,"ун-дии,иргэм-би=тэњии
死んでもおまえが知ることだろう、」と言う、自分の村を
калтаа~обола-ӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)пиктэ-ду-jи.э~ӈтуи та-раа
半分分けるのだ、自分の息子に。それから
таваӈкӥ=лагааǯо-м(ӥ)ǯиǯу-и-њ(и)=го(ањӥ)тэииргэ-њи
そこから引き連れて戻るのだ、その村の
калтаа-ва-њӥ.ǯоог-бӥӥсӥ-го-хаал.э~ӈтадо=ла
半分を。自分の家に着いた。そこで
ундииси=э,ǯоог(-бӥ)ӥсӥ-го(-ха-њӥ)эси=тэњиихаӥлараа
自分の家に着いた、なんとも驚いた、
ундиисиамӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,эм-ǯиэ-лэ(-jи)багӥа-ǯӥа-ла-jӥǯоо-го-jӥ
父親は、一つの側、向こう岸の側に自分の家を
нээ-кэ~наонǯокаам-баǯоог-до-jӥосӥо-вааӈ-кӥн.эси=тэњии
置いた、少年を自分の家に落ち着かせた。
эњи-њ(и)...амӥ-њ(ӥ)дао-ха~нпиктэ-чи-jиоǯокта-хан.
母親・・・父親は渡った、自分の息子にキスをした。
эси=тэњииэњи-њ(и)=тэњииун-дии-њ(и)=гоањӥ,"хаӥ-до
母親は言うのだ、「どこで
баа-ха-њӥ~=дааасӥ-го-jӥ~=даа,хооњ(ӥ)баа-ха-њӥ~=даа,
見つけたんだ、自分の妻を、どうやって見つけたんだ、
иргэӈ-гу-jибаа-ха-њӥ=даа,буэпиктэ-пуулээнпиктэ-пу
自分の村を見つけたんだ、私たちの子供なら良い方の子供が
энэ-иосӥњӥ=ма(т)эгǯи-(в)эгааǯо-ӥ~=даа."эси=тэњии
行くことになればもっとたくさんを引き連れて来るだろう。」
амӥм-ба-њ(ӥ)=тањӥӥтэипиктэ-jиӥра-роо=даа
父親にその自分の(小さい方の)息子を連れて行けと言って
пакпарӥ-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ).гээамӥ-њ(ӥ)пиктэ-jиӥра-ӥ
叱るのだ。さあ父親は自分の子供を運んで行くことに
о-дӥӥ=го(ањӥ).э~ӈтуи та-раа,тэинаонǯокаан-чӥ
なるのだ。それからあの(兄の方の)少年に
мэдэси-и-њи=го(ањӥ),туитуибаа-хам-бӥ,
訊くのだ、ああしてこうして見つけたのだと
гусэрэ-и-њ(и)=го(ањӥ)тэинаонǯокаан.туитуиǯоо-ва
語るのだ、その少年は。かくかくしかじかで家を
баа-хам-бӥ,туитуиби-чи-њи,туигусэрэ-и-њи=го(ањӥ).
見つけた、かくかくしかじかだった、とそう語るのだ。
эӈтуи та-раатэинаонǯокаан=тањӥӥундииси,хаӥ-ха~н,
それからその(小さい方の)少年はどうした、
гээ,амӥн-ǯӥ-jӥтоо(-хан),амӥ-њ(ӥ)тэи,ааг-ба-њ(ӥ)
さあ父と上った、父親はあの、兄を
наӈгала-го-хан-чӥэнэ-хэнчадомоо-ӈго-го-jӥ,поо-ха-њӥ
捨てた所へ行った、そこには自分が薪を鋸で切って
би-и-њи=го(ањӥ)мэӈдээн=дэ(э)[готови]-ла-ханчаватэучи-гу-рээ
あるのだ、そのままだった、また切って準備した、それをそりに積んで
эу-гу-и=го(ањӥ)пиктэ-њ(и)=тэ(њии)таваӈ(кӥ)ǯулэсиэнэ-хэ-њи.
下りるのだ、子供はそこから前へ行った。
ӥсӥ-ха~нтэиǯоо-ва-њ(ӥ)=тањӥӥсиксэ-гу-хэнэси=тэњии
着いた、その家に、夕方になった、
ундиисиэ~ӈхаӥ-рӥӥ=гоањ(ӥ).эси=тэњиитэиааг(-бӥ)
どうするのだ。その兄が
сӥрӥ-хан-до-а-њӥсӥрӥ-ха-њӥ.эси=тэњиитэиǯи...моњоомапа
隠れた所に隠れた。その、猿のじいさんが
ǯиǯу-и=го(ањӥ)ӥсӥ-го-ӥ-ǯӥ-jӥгэсээси=тэњии=дээгучи
戻って来るのだ、着くやいなやすぐ今度もまた
гэлэ-гу-мээр(и)дэруу-хэн.элээ~ӥсӥ-го-ӥ-до(-а-њӥ),
探し始めた。今にももう着こうという時、
"аба-њӥ=а~"=мал,кэчэри-гу-и-ду(-э-њи),"эи-дуби-эм-би,"
「いないようだぜ、」と振り返る時に、「ここにいるよ、」と
мора-псӥӈ-кӥ-њӥ.гээ,чавањоам-ба-њӥсӥа-раа
叫び出した。さあ、そいつを、彼を、食べてしまって
хоǯӥ-ӥ=гоањ(ӥ).эси=тэњиитуита-раатуи,бу-дээ
ハイそれまでなのだ。それからそうして、死んでしまって
хоǯӥ-ӥ=гоањ(ӥ)тэинаонǯокаан.туи та-раатуи,эњи-њи
おしまいなのだ、その少年は。それからそうして、母親と
амӥ-њӥ=та(њӥӥ)халачӥ-маар(ӥ)чӥӥла-ханпиктэ-вэр(и).
父親は待ってもダメだった、自分たちの子供を。
халачӥ-ханхалачӥ-ханабаа~халачӥ-ханхалачӥ-ханабаатуи
待った、待ったが、だめだ、待った待ったが来ないそう
би-мээриундииситэиоркӥнпиктэ-ǯи-эр(и)улээн
してその悪く思っていた子供の方がすばらしい
пиктэлэ-гу-рээбалǯӥ-ӥ-чӥ=го(ањӥ)элээ.
子供となってしまってそうして暮らしているのだ、終わり。