風間伸次郎(採録・訳注).1998.『ナーナイの民話と伝説4』(ツングース言語文化論集12,千葉大学)より

2. эикэ нэу балǯӥ-ха-њӥ

姉と 妹が 暮らしていた

1996年8月19日、ダエルガ村にて、Њ. Б. Гейкер氏より録音。


э~ӈ ундиисиэмǯоодоо-ла(-њӥ)эикэнэу~балǯӥ-ха-чӥ,
ある家の中に姉と妹が暮らしていた、
туи та-раа~ туиби-э-лундэ.туибалǯӥ-мӥтуи
それから そうして暮らしているという。そうして暮らしていてそうして
би-ми=э=лээммодан=голаундииси=э,эикэ-њи=лэундиисиэ~ӈ
いて、ある時、姉は
боа-чӥњиэ-рии~гаса-jӥ...гаса,пулси-и-вэ-њиичэǯэ-и,
外へ出る、水鳥が行き交っているのを見る、
саксӥӥ,гаакӥ,пулси-и-вэ-њидэгдээ-чи-и-вэ-њиичэǯэ-и,
カササギが、カラスが行き交っているのを、飛び回っているのを見る、
ǯоок-чӥ-jӥии-гу-и,курмии-jињихэли-и,хаӥ-раа,хоњаам-бӥ
自分の家へ入ると、白樺製の箱を開ける、匙を、
сарбӥ-вахэмjаасӥ-ӥта-аундэ.э~ӈнакам(-бӥ),
箸を、全部よく見て調べたりするという。自分の所のオンドルの、
сактам(-бӥ)њихэли-рээпэгиэ-вэ-њигучиjаасӥ-ӥ,туи та-мӥ=а~
胡座を開いてからその下をまたよく見る、そうして
э~ӈун-дии-њиэикэ-њи,"эрдэӈгэ~хаӥ=дааээпаӈгоа,синǯи
言うのだ姉は、「不思議だわ、何とも、妹よ、おまえと
минǯи=тэ(њии)хооњ(ӥ)балǯӥ-о-хан,"ун-дии,"гаксӥдаа~н
私とだけでどうして暮らして行けようか、」と言う、「連れ合いがなく
гаксӥдаан=даа.""хэсэрэмǯээ~эгэ,хавоун-дии-си,"ун-дии,
独身で、だ。」「あらまあ姉さん、何を言うの、」と言う、
"буэǯуэ-њии=мэ(т)хооњаабудэр-њи"=э,ун-дии,
「私たちは二人でしょ、こんなにもうペアじゃないの、」と言う、
"ǯуэ-ǯи-эр(и)балǯӥ-о-хан.""абаа~,"ун-дии,"ээпаӈготуи
「二人で暮らせばいいのよ。」「違うわ、」と言う、「妹よ、そう
би-эси,"ун-дии,"эмхусэ-њии~эмэктэ-њиигэсэ
じゃないわ、」と言う、「一人の男の人と、一人の女の人がいっしょに
балǯӥ-ор(и)=ма(т)будэ~р,"ун-дии-њи."хаӥ,буэ=тэњии
暮らしてこそペアというものよ、」と言う。「どうして私たちは
гаксӥдаа~нгаксӥдаанбалǯӥ-орӥ-њӥ,ун-дии-њи.э~ӈ
独身と、独身とで暮らすべきでしょうか、」と言う。
нэу-њи=лэхэмээби-рээун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ)."хаӥ-ǯӥ,эǯи-гу-jи
妹は黙っていてから言うのだ。「どうして、夫を
гэлэ-и-сихаӥ.чӥман(а)ǯи-дииэǯи-гу-э-сисиун
求めて行こうというの、何で。明日やって来るわ、あなたの夫が
токон-доӥсӥ-ǯаа=ма,"ун-дии-њи."тэǯэ,"ун-дии,"тэǯэ,"
正午には着くでしょう、」と言う。「本当?」と言う、「本当よ、」
ун-дии-њи.э~ӈэикэ-њи,хаӥ-рӥӥ-њӥ=гоањ(ӥ),"тэǯэ=нуу,"
と言う。さあ姉はどうするのだ、「本当?」と
ун-дии,"тэǯэ,"ун-дии-њи.чадоун-дии-њ(и)=тэњии
言う、「本当よ、」と言う。その時(姉が)言っていたのは、
"гаакӥ=даабудэ~рсаксӥӥ=даабудэр,хаӥ,сарбӥ
「カラスだってペアだ、カササギだってペアだ、箸や
хоњаан=даабудэ~р,пӥро=даабудэ~р,"ун-дии-њи,
匙だってペアだ、毛皮に穴開けるカツオブシムシだってペアだ、」と言う、
"буэ=нуугаксӥдаангаксӥдаанбалǯӥ-о-ха-њӥ,"ун-дии-њи.
「私たちが独身と独身とでなんで暮らすべきだろうか、」と言う。
чадонэу-њиун-дии-њ(и)=го(ањӥ),"чӥманаэǯи-гу-э-си
そこで妹が言うのだ、「明日あなたの夫が
ǯи-дии~"=эм,"сиун токон-доӥсӥ-ӥ=jэ"=м.эси=тэњииундииси,
来るわ、」と、正午に着くでしょう、」と。さて、
гэээикэ-њ(и)=тэњииундиисиагда-ха~напсӥӈ-го-хан
さあ姉は喜んだ、寝た、
ундииси=э,ǯӥа чӥмањӥ-атээ-хэ-њисӥа-го-jӥбаргӥ-ха-њӥ
次の日起きた、食べる物を準備したという、
ун-дии,эси=тэњииундииси=ээ~ӈэсињиэ-гу-иэсиии-гу-и
さてさあ出たり、また入ったり、
эсињиэ-гу-иэсиии-гу-ита-мӥ,њиэ-гу-иии-гу-и
出たり、また入ったりして、出たり入ったり
та-м(ӥ)пулси-и-ду(-э-њи),"эгээ~ноӈǯӥ=ахаӥ=дааундииси=э,
して歩き回る時に、「姉さん、寒いわとても、
э~ӈǯи-дии-њиимэнэӥсӥ-ǯаа=масиун токон-до=даа,
やって来る人は勝手に着くでしょうよ、正午には、
хамачаата-м(ӥ)њиэвээчи-ури-њи,"ун-дии-њи.э~ӈтуи
何のために出たり入ったりするの、」と言う。そう
та-м(ӥ)сиун токонӥсӥ-ха~нун-дии-ду(-э-њи)пуǯин=гулэ
して正午になった、という時に妹のプジンは
боа-чӥњиэ-хэ-њи.э~ӈхэǯиэкалтаа,хооӈко-ӈго-ла-jӥ=ла
外へ出た。下流の方の側の、絶壁の所から
пакаарӥа~эмнаӥхоолӥ-каундэ.э~ӈтуи та(-раа)
黒々と、一人の人が迂回して現れたという。それから
чиэчи-ндэ-су-иии-гу-хэ-њиун-дии-њ(и)=го(ањӥ),"гээ,
小便をすませに行ってから家に入った、言うのだ、「さあ、
ǯи-дэс(и)=кээ."эси=тэњииэикэ-њ(и)=тэњии,"тэǯэ,тэǯэ,"
来たじゃないの。」姉は、「本当?本当?」と
та-аундэ."тэǯэ,"ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ)."агда-асӥ
言うという。「本当よ、」と言うのだ。「信じないなら
ичэ-ндэ-гу."эсињиэ-гу-иэсиии-гу-иэсиии-гу-и
見に行ってごらん。」さあて出たりまた入ったり入ったり
эсињиэ-гу-ита-аэси=тэњииундиисиэ~ӈтооӥ=а...
また出たりする、
тоо-рӥӥ-ва-њӥ=ла,ача-м(ӥ)њиэ-кээу-кэундэ.туи та-раа,
上って来るのを、迎えに出た、下りて行ったという。それから、
хаӥ-рӥӥ=jа,гуи-jэундэ.э~ӈии-хэнундииси=э,
どうする、雪をはたいて落とすという。入った、
ота-ва-њӥгуи-и=дээ,тэтуэ-вэ-њигуи-и=дээ,тэи=тэњиихаӥлараа
靴を はたきもし、服をはたきもし、ムルグンはヘヘヘと
инэктэ-эундэтэи=лэмэргэн=гулэичэ-и-њи=лэундииси=э,э~ӈ
笑うという、そのムルグンを見てみるに、
хооњ(ӥ)=дааэикэ-њиjаохӥ-ӥ=даапуǯин=гулэичэ-хэ-њи=лэ,
どんなにか姉が客をもてなしている時に妹のプジンは見たのだった、
улпи-и-ǯи-jи=тул.тэи=тэњииундиисиэ~ӈхуктэ-њи
縫い物をしながら、だ。そのムルグンは、ああ、そいつの歯の
алдан-до-а-њ(ӥ)наӥхоӈгӥкта-њӥ=ла, чӥлбӥракби-чи-њи,наӥ-а
間には人の血管が、グチャグチャ引っかかってあった、人を
хэрчи-и-њи,наӥхоӈгӥкта-њӥ,тэи,мэргэн-дулэ.эӈтуи
かじって喰う、人の血管が、そのムルグンには。それ
та-раапуǯин=гулэ...ундиисиэикэ-њи=лэундиисисӥа-го(-а-њӥ)
からプジンは・・・姉は彼の食べ物を
пуjуу-хэ~н,сӥа-раун(дэ)...сӥа-го-а-њӥбуу-хэ-њиундииси=э,
煮た、食べるという、食べ物をやった、
эӈтэи=тэњииундииси=э,эикэ-њихаӈгӥсӥкэчэри-гу-и-ду(-э-њи)
そのムルグンは、姉が向こうを向いた時に
ундииси=э,сактам(-бӥ)пэгиэ-чи-э-њихуэпэгиэ-чи-э-њи
(食べ物を)胡座の下へ、オンドルの横の木の板の下へ
наӈгаа-чӥ-аундэ,эӈсуили-м(и)суили-м(и)та-раабуу-гу-хэ-њи.
投げ捨てるという、ほじくり返してほじくり返してそれから返した。
"э~ӈэлээ,"ун-дии,э~ӈ"эдээ,туиоӥ-(в)а
「ああ、十分腹いっぱいだ、」と言う、「あらあら、こんなに少ししか
сӥа-рӥӥ-сӥ=ноо,"ун-дии,"абаа~,"ун-дии,"тээ...хаӥ,
食べないのですか、」と言う、「いいや、」と言う、
"модан чӥа-ла-њӥсалӥа-хам-бӥ,"ун-дии,"наӥ алда-њӥгоро
「すぐそこで軽く食事を採ったんだ、」と言う、「人のいる所までは遠い
би-ǯэрээ"=м=дээ,туиун-дии-њи.эси=тэњииундииси
だろうと思ったんだ、」とそう言う。
эикэ-њ(и)=тэњииундиисиэ~ӈтакто-чӥэнэ-хэ-њиундииси=э,
姉は倉へ行った、
эмдааӥнантаииву-гу-хэн,тоонанта-ва-њӥ.туи
一枚の大きな毛皮を持って入って来た、ヘラジカの毛皮を。それ
та-раа=лапалаан-дола-jӥтуиjап туигӥалакола-ханча-ǯӥ.
から、自分の床の所に沿ってこう横に巡らして仕切りを作った、それで。
туи та-раа=лаундиисиэ~ӈхаӥ-ха-њӥ,сэкчиу-гу-рэээлээ
それからどうした、布団を敷いてからもう
апсӥӈ-го-хам(-бӥ)ǯаароа-њӥ,э~ӈэикэ-њи=лэалалалалалалата-а
   横になった頃だろうか、姉がああ痛い痛い、と言う
ундэ,э~ӈ"гээ,тэњии~эǯи-гу-jиасӥ-го-jӥбаа-рӥӥ-до-jӥ
という、「ああ、たった今自分の夫を、自分の妻を見つけたという時に
туи,туиэрдэлэ-ури-њи,"ун-дии,"туитанǯо-орӥ-њӥ,"
こんな、こんな変なことをするなんて、」と言う、「こんな風にふざけて、」
ун-дии-њи."хооњ(ӥ)наӥ-атуитанǯо-орӥ-њӥ,"ун-дии,
と言う。「どうして人をこんな風になさるのです、」と言う、
"наӥ,наӥ-ахэрэктэ-вэлоап сэкпэн-диилуӈбэ-ита-а-чӥ,"
「人の、人をその皮をガブリとかじったり、呑み込んだりするなんて、」
ун-дии,э~нэнэпуǯин=гулэундиисихэмэ~ би-и-лэ-jидоо-ла
と言う、ああ大変、とプジンはじっと黙っていてその時に
улпи-идаапо-го-ӥ-ǯӥ-jӥгэсэундииси,э~ӈхукуэ-кээм-би=лэ
縫い仕事を針を服に刺して終えるやいなや、裁縫用具一式を入れる袋を
баргӥ-ха-њӥундиисиэси=тэњииэикэ-њи,хаӥсӥэлэлээ=дэ
片付けた、今や姉は、再び痛い痛い、
элэлээта-аундэтэиэмǯиэ калтаа-ǯиа,наӥ
痛い痛いと言っているという、その仕切りの向こう側で、人が
гӥалакола-ха-њӥхооњ(ӥ)ичэ-и-си.туи та-раапуǯин=тэњии
仕切りを作ったのだ、どうして見えようか。それからプジンは
ундииси эбэ саба=лаундэтэи,хаӥ-ва,хукуэ-кээм-би=лэ
(恐くて)あたふたとするというその、裁縫袋を
ǯапа-ха-њӥ=а~хурмэ-jи=дээхаӥ-jӥ=дааулпи-и-кээм(-би)хукуэ-кээм(-бӥ)
つかんだ、自分の針も何も、裁縫道具を裁縫袋を
ǯапа-ӥ=гоањӥ,пиивээ-вэ=дээ,хаӥ-ва=даа,мэрхэ-jи=дээ,
つかむのだ、砥石も、何も、歯の細かい櫛も、
сигǯипум-би=дээǯапа-ха-њӥ.туи та-раа=латуӈгэлэ-хэ-њи
歯の粗い櫛もつかんだ。それから懐に入れた、
ундииси=э,эмсомала-каан-долахаӥ-ва,ǯиэктэ-кээм-бэ
一つの小さな袋に粟を
ǯапа-ха-њӥ=аэм,комбо-каам(-ба)ǯапа-ха-њӥ,туи та-раа=ла
持った、一つの柄杓をつかんだ、それから
таваӈкӥ=лаундииси=э,элкээ~њиэ-рээпагǯӥала-ха-њӥ,
そこから静か~に出てから駆け出した、
эикэ-њи,њиэ-рии-ду-э-њ(и)=ту(л)ǯӥлга-њ(ӥ)доо-ла доо-ла
姉は、彼女が出て行こうとした時には、その声はもうだんだん小さく弱く
осӥ-м(ӥ)дэруу-хэ-њитуибаргӥ-чӥ-ӥ-до-а-њ(ӥ)=тол.э~ӈ
  なり始めていた、そうして身支度している時に、だ。(視界の)
модам(-ба),элээӥсӥ-ӥ-до-а-њӥ=а=лаундиисихоолӥ-ӥ-до-а-њӥ=ла,
果てに、もうすぐ着こうという時に、崖を回り込もうという時に、
кӥтоа~нуикэ-лэкоатаањиэ-кэундэ,эӈхэjи
ガラリとドアから音を響かせて出て来たという、下流と
солӥичэǯэ-м(и)баӥлэкэтэкпуǯинби-ǯээ,"аjа,чоча-оо~
上流をよく見てすぐに感づいた、プジンのいる所を、「まあいい、逃げろ、
чоча-оо,миисиӈму-jи=э~мии,илхим-би=эхуктэ-jи
逃げろ、私の舌と、私の歯茎と歯と
хаӈгӥа-чӥ-а-њ(ӥ)=каахао(сӥ)=даа~энэ-эси-си=jэ, э~ӈ
違う方向へなど決してどこへもおまえは行けやしないのだ、まずは
мутуучи-ндэ-гу-ури=эмии=лэсим(биэ)...эикэ-вэ-сихоǯӥ-капсимбиэ
食べ終わりに戻ることにしよう、私はおまえの姉を終えてからおまえを
та-го-орӥ=амурчи-хэм-би"=э,ун-дии,"элэ=дээ~чоча-ӥ-њӥ,"
やることにしよう、と思ったんだ、」と言う、「十分なだけ逃げるが良い、」
ун-дии-њи.эӈтуи та-рааии-гу-кэундэ.эӈпуǯин=тэњии
と言う。それから家の中へ入ったという。プジンは
таваӈкӥ=латуитуту-м(и)энэ-и=гоањ(ӥ),туиэнэ-иэнэ-и
そこからそうして走って行くのだ、そうして行く行く、
хооњаа=дааэнэ-эси,ичэ-гу-и-њи=лэ,садаарӥо~ǯи-дэ
そんなにも行かない所で見る、髪の毛をバサバサ振り乱して来る
ундэхамӥа-ла-њӥ=лаэси=тэњиипуǯин=тэњиитаваӈкӥ=латуи
という、後ろから、プジンはそこからそうして
туу-гу-рээӥлӥ-го-раата-м(ӥ)туитуту-м(и)чоча-ӥ=гоањӥ.
倒れたり、立ったり   してそうして走って逃げるのだ。
э~ӈэмтопто-(в)ахусэ-ур(и)=мэ(т)ǯи-дэундэ,тэи=тэњии
さあまるで縄をたぐり寄せるように追って来るという、その
наӥхатан-ǯӥ=тањӥӥ=даа.эӈтуи та-мӥтуи та-мӥпуǯин=гулэ
者の速いことといったら。そうしてそうしてプジンは
ундиисиэ~ӈсигчипум(-би)ǯапа-раапором(-бӥ)хуэл
歯の粗い櫛をつかんで頭のてっぺん越しに
наӈгала-ха-њӥ."э~сигчипу~н,чӥчӥчӥпсӥоо-дороо,"
それを投げた。「ああ櫛よ、濃く繁った茂みになれ、」と
ун-дии-њи.э~ӈтэи=лэундииси,чӥчӥчӥпсӥоосӥ-ха-њӥ,
言う。それは、濃く繁った茂みとなった、
хамӥа-ла-њӥ=лаундииситуи та-раатаваӈкӥпуǯин=гулэ,
彼女の後ろに、それからそこからプジンは
энэ-и=гоањӥ.эӈтэи=тэ(њии)чачаасчачаасчачаас
行くのだ。その魔物はガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
"хаӥ-ǯӥ=гдаэрдэлэ-и-чи=у~с,хаӥ-ǯӥ=гдалэрдэлэ-и-чи,"соӥ-jа
「何で魔法をかけやがった、何で魔法をかけやがった、」とわめく
ундэтэи=лэ,э~ӈтуиэнэ-миэнэ-ми=э=лэундииси=э,
という、そいつは、そうして行って行って
пуǯин=дээдоо-њӥмаӈгала-ха-њӥ.э~ӈтуиэнэ-миэнэ-ми=э=лэ
プジンも心中しんどくなってきた。そうして行って行って
гучичачачаасагбӥӈ-каундэ,пуǯинхаӥгоро-чӥ
またガチャガチャと現れたという、プジンがどうして遠くへ
энэ-и-њи=этуи,ӈээлэ-и-њи.туи та-мӥтуи та-мӥ=а=ла
逃げられようか、そうして恐れる。そうしてそうして
ундиисихаӥсӥхасасӥ-а=л(а)ундиисиэси=тэ(њии)элээǯапа-ӥ
再び追いかけて来る、もう今にもつかもう
элээǯапа-ӥтэи=тэњиипуǯим-бэ=тэњиитуи та-мӥ,э~ӈ
今にもつかもうとする、そいつはプジンをそうして、
тэи=тэ(њии)энэ-идоо-л(а)...энэ-м(и)=тул,хукуэ-кээм(-би)
彼女は行くうちに、行って、裁縫袋を
агбӥмбо(-го-ӥ)хооњааэнэ-м(и)=тулэси...мэрхэ-кээм(-бӥ)
取りだした、どんなにか行った所で、歯の細かい櫛を
ачо-го-ӥ,ǯапа-ӥ-ǯӥ-jӥ гэсэнаӈгала-ха-њӥ,"эӈмэрхэ~
取り出して、つかむやいなや投げた、「ああ櫛よ、
хаӥ-ла=дааэргэӈ-гу-jигэлэ-иосӥњӥ,эӈчӥчӥчӥпсӥо
どこからでも魂を欲しいのなら、濃く繁った茂みに
осӥ-рааэи,мэрхэ,хаӥ-њӥхуктэ-њихооњаачӥӈгӥан,"
なれ、この 櫛の、歯ときたらなんて細かいことか、」と
ун-дии,тэи=тэњииундииси=э,наӈгала-ха-њӥдааӥчӥчӥчӥп
言う、彼女は投げた、大きな濃く繁った
осӥ-ӥ=гоањ(ӥ)."эктэ-њи~хаӥ-њӥ,ундииси,аргаӈга-њӥ
(茂みに)なるのだ。「あの女め、ずる賢いことは
маӈга,наӥун-дии-њитэǯэ-њи,"ун-дии,"хаӥ-ǯӥ=гдэ
すごい、人が言っていたのは本当だな、」と言う、「いったい何で
эрдэлэ-и-њи=ус,хаӥ-ǯӥ=гдээрдэлэ-и-њи=ус,"ун-диитэи=тэњии,
魔法を使ったのか、何で魔法を使ったのか、」と言う、そいつは、
"хооњаасӥо=даахооњаачӥчӥчӥпби-и=дээ,дуэ мода(н)хаӥ
「どんな茂みでも、どんなに濃く繁っていようとも、その終わりがどうして
анааосӥ-раа,"ун-дии,эипурмээӈкулэтэиаӈго-хан
ないなんてことがあろう、」と言う、そのヨーロッパノイバラをそう作った、
тэи=тэњии,чачаачӥ чачаасчачаас чачаастуи
魔物は、ガチャガチャガチャガチャそうして(後ろに)
дэрэǯи-исӥа(сӥн)...олгалӥгда туидэрǯи-хэн,сӥасӥ-њӥ.
取り残され、その物音はだんだん小さく遠ざかって取り残された、物音は。
эси=тэњиипуǯин=тэњиичӥа-ла-њӥ=лаундиисиэ~ӈхаӥ-jа,
プジンは後ろから
хаӥ-ха-њӥ,комбо-каам(-ба)ачо-рааундииси=э,э~ӈ
どうした、小さな柄杓を取って、
ǯиэктэ-кээм-бэтэњиипӥлаарӥоосӥњӥ,элээ чачачаас элээ
粟を(煮るが)やっとほんの生煮えになるところで、もうガチャガチャ今にも
ӥсӥ-ӥ-њ(ӥ)сӥасӥ-њ(ӥ)туи та-раапуǯин=гулэкомбо-каам(-ба)
到着しようという物音が(する)、それからプジンは小さな柄杓(の粟)を
jукпуу-гу-и=го(ањӥ)эситаваӈкӥтуиэнэ-и=гоањӥ.э~ӈ
すぐに吹き出すのだ、そこからそのまま行くのだ。
хооњаа=дааэнэ-пиичэ-гу-хэ-њихэрэ~хаӥсӥпакаарӥ(а)ǯи-дэ
どんなにか行くと見えた、ああ、再び黒々とやって来る
ундэ,эси=тэњиитуиэнэ-иэнэ-иэнэ-иэнэ-и,элээ
という、そうして行く行く行く行く、今にも
ӥсӥ-ӥэлээǯапа-ӥэси=тэ(њии)пуǯин=тэњии,"ээпиивээ~ундииси
着く、今にもつかむというプジンは、「ああ、砥石よ、
jаалӥ-васӥjааӈӥ,хоолӥ-васӥхооӈкоосӥ-роо,"уӈ-ки-њи,
通り抜けようもない高い雪山に、迂回もできない絶壁になれ、」と言った、
"э~ӈхаӥ-ла=дааэǯэн,эргэӈ-гу-jигэлэ-ндэ-гу-jэ."э~ӈ
「ああ、どこからでも主人を、自分の魂を求めて行け、」と。
туи та-раа=лаундииси=э,пором(-ба)хуэлнаӈгала-ха-њӥ
それから自分の頭のてっぺん越しに投げた、
тэи=тэњииундиисиэ~ӈхэсэ-њиаӈма-њ(ӥ)дахорсӥ-м(ӥ)=ла
その砥石は、彼女の言葉を、口を守って、
ун-дии,ǯоло=лахаӥхооӈкоосӥ-ха-њӥ.эӈбоа-чӥгэӈдэӈ
石の絶壁となった。天へぎっちりと
наа-чӥгэӈдэ(ӈ)ǯэргэ-ǯи-э-њихооӈко...хаӥ,хурээн.
大地へぎっちりと隙間なく上から下まで絶壁、山だ。
э~ӈхоолӥ-васӥхооӈко,jаалӥ-васӥjааӈӥосӥ-ха-њӥ.
迂回もできない絶壁、通り抜けようもない高い雪山になった。
"сактӥ-њӥ=а~хооњааэрдэмсу-хэн=дээ,хооњаахаӥ-хан=даа
「こん畜生、なんて魔法を使いやがったんだ、どうやってどうしたんだ、
ундииси=э,э~ӈмиихуктэ-jи=э,мииилхим-би
オレの歯から、オレの歯茎から
хаӈгӥа-чӥ-а-њӥ=каа энэ-эси-си,"ун-дии,"эӈ jааӈӥ=даа
違う方へなんか おまえは行けやしないのだ、」と言う、「高い雪山にだって
дуэ-ку=тэњиихоолӥ-васӥхооӈко=даадуэ-ку=тэњии,"ун-дии,
端があるものだ、迂回できないような絶壁でも終わりがあるものだ、」と言う
"хаӥ-м(ӥ)=даада."туимора-ӥ-њи.тэичӥа-ла-њӥ=ма(т)
「どうしても、だ。」そう叫ぶのだ。その後になってやっと
бода-каам-ба=ла,ǯиэктэ-кээм(-бэ)комбо-каан-ǯӥ-jӥхаӥ-ха~н,
お粥を、少しの粟を小さな柄杓で煮た、
бокпуjуу-рээ=лэлумбу...омӥ-насӥ-раатаваӈкӥ=ла
ボコボコ煮え始めてから、ゴクリと何度か飲んでからそこから
энэ-и=гоањ(ӥ).туиэнэ-ми~энэ-миэмоњӥ-чӥэнэ-хэн,
行くのだ。そうして行って行ってある小川へ行った、
тэиоњӥ=лаундииси=э,эмǯиэкалтаа-ǯӥа-лаǯоо-каанби-чин,
その小川の、もう一方の側には小屋があった、
тао(сӥ)дао-ха-њӥ.э~ӈтао(сӥ)дао-рааундиисиэ~ӈ
そこへ渡った。そこへ渡ってから
чала=лаии-хэнтэиǯоо-каан-чӥ=ла.эӈǯуэ~хусэ-њии
そこに入った、その小屋へ。二人の男の人が
ǯапа-ӥ-њӥхаǯонби-эсимало-до,эмун, эмунпуксу, пуксу-ǯиэ-лэ
手にする道具があった、真ん中の席に、一人のが、右側の席に
эмунби-чи-њи.э~ӈэктэ-њиихаǯо-њӥ=каахаӥ-до=даада
もう一人のがあった。女の人の道具といったらどこにも
абаа.эӈпуǯин=гулэундиисиэ~ӈэњуэ-вэjаасо-ха-њӥ.
ない。プジンは鍋をよく調べて見た。
эњуэ=дэээмǯиӈээњуэтӥасбода,эмǯиӈээњуэ-ду=лэтӥас,
鍋も 一つの鍋はぎっしりとお粥が、一つの鍋にはぎっしりと
уликсэ~би-чи-њи.уликсэ-лэ=лэ,эмупасӥкоо-каам(-ба)
肉があった。肉のうちから、一つ小さいかけらを
ǯапа-раадоо-jӥоркӥм-ба-њӥ=лакэрчи-рээсӥа-ха-њӥ,
つかんで、心中飢えと疲れで気持ち悪いのでナイフで切って食べた、
бода-каам(-ба)эмкомбо-каам-басоопола-рааомӥ-ха-њӥ.э~ӈ
お粥を一杯小さな柄杓分を汲んで  飲んだ。
наӥхаӥ-ва,тава-вахуму-хэм-бэ-њи=лэ,эӈхумучэм(-бэ)
人が火を埋めておいたのを、埋もれ火を
дэгбэли-рээполчӥ-м(ӥ)тээси-и-ду-э-њисиксээлээсиксэ-гу-и.
掘り起こして開いて暖を取って座っているうちに夕方でもう日が暮れる。
эӈ тэи=тэњииундиисихаӥ-ха-њӥ.наӥ=лаǯӥлга-њӥjуп=лэ
それから彼女はどうした。人の声があっちからこっちへ
мора-маарӥ=а~эу-гу-э-лундэундииси=э,"эрдэӈгэ~
横切って叫びながら下りて来るという、「不思議だ、
хаӥ=дааундииси,буэхумучэм(-пу)хаӥ-м(ӥ)дэгбэли-хэ-њи,"
なんとも、オレたちの埋もれ火はどうして開かれたんだろう、」と
ун-дии,"эи-лэби-и=мэ(т)балǯӥ-хан-ǯӥ-ар(ӥ)би-мээри,
言う、「これまでいたように、暮らしてきていて、
хаал(ӥ)=дааэчиэ=дээ,хумучэ(н)дэгбэ-рэ."хумучэ(н)
いつだって、埋もれ火が開いたりなんかしなかった。」埋もれ火が
дэгбэ-хэнколаан-долапоӥӈаоота-ӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ."э~ӈамбаан
開いていた、煙突からモクモクと煙が出ているのだ。「ああ、魔物
осӥњ(ӥ)дээмби-уу-су~,наӥосӥњӥундиисиэǯи оркӥсӥ-ра,"
ならば静かにしていろ、ならば気を悪くするな、」
ундииси=э,эӈпуǯин=гулэундиисиэлээтулиэ-вэ
(と言う)。プジンはもう戸口の所へ
ӥсӥ-го-ӥ-до-а-њӥ=ла,њиэ-гу-хэ-њи,качама-jӥǯапа-го-раа=даа.
彼らが着くという時に外に出て来た、自分の手袋をつかんで、だ。
"э~ӈанда~ мэргэу-сэл,"уӈ-кин,"мии=тэњииундииси
「ああ、ムルグンたちよ、」と言った、「私は
эсиэњии=кээнаӥ-jа=ма(т)та-ам-бӥ,"уӈ-ки-њи,"амбаан
今のところはまだ 人間のままなんですよ、」と言った、「魔物が
хосо-ва-нда-м(ӥ)пулси-м(и)амбаан-доосӥ-ор(ӥ) би-ǯээ=мэ,
追いかけて来て逃げ回って魔物になってしまうかもしれませんが、
гањӥхосо-ваан-даапулси-м(и)гањӥндаосӥ-ор(ӥ) би-ǯээ=мэ,"
魔物が追いかけて来て逃げ回って魔物になってしまうかもしれません、」
уӈ-ки-њи,"эи,эи,эињэ-њи...эсиэњии=кээнаӥ-jа,"
と言った、「今のところはまだ人間です、」と
ун-дии-њи."эӈанда пуǯинэǯи оркӥсӥ-ра,анда пуǯин
言う。「ああプジンよ、気を悪くするな、プジンよ
эǯи оркӥсӥ-раии-гу-уу=дээии-гу-уу,буэхаӥлаваа~дасӥ
気を悪くするな、入れ入れ、我々はとても恐ろしい所に
би-м(и) би-ибоа-доби-мээр(и)эрдэӈгэси-ур(и)=гоањӥ,"
暮らしているのでこんな所にいるので不思議に思ったのだ、」と
ун-дии,"буэбалǯӥ-хан-ǯӥ-а,буэхумучэ-пуэчиэ
言う、「我々が暮らし始めてから、我々の埋もれ火が開けられていた
дэгбэли-э-вээǯи оркӥсӥ-ра~,"ун-дии,"хаӥлаваадасӥоркӥн
ことはなかったので、気を悪くするな、」と言う、「すごく悪い
боа-добуэбалǯӥ-ӥ-по"=м=дэ.э~ӈпуǯин=гулэнаӥии-гу-уу
世界に我々は暮らしているからな、」と。プジンは人が入れ
ии-гу-уута-ӥии-гу-и=гоа(њӥ)хаос(ӥ)энэ-гу-иэлээ
入れと言うので入るのだ、(他に)どこへ行けようか、もう
сиксэ-гу-хэн.э~ӈэсиии-гу-хэ~нундииситэимэргэу-сэл,
日も暮れた。入った、そのムルグンたちは
ота-ар(ӥ)ачо-го-ӥ-чӥэмбиэ-чиачо-го-ӥ-чӥэмбиэ-чи
靴を脱ぐ、片方づつ脱いでは片方づつ
лоо-кта-ха~нундиисиэси=тэњиињаар њаар осӥо-го-ӥ-чӥ
掛けて干した、ゆったりとくつろいだ、
ундиисиэ~ӈуликсэ-ӈгу-э-чи=лэǯапа-рааундиисихаӥ-до
(プジンは)彼らの肉を取って、
котаан-до-а-чӥкэрчи-хэ-њи.эӈǯуэкотаам(-ба)чокчорам
皿にナイフで細かく切った。二つの皿を山盛りになるよう
кэрчи-рээбуу-гу-хэнтэи=лэундииси=э,э~ӈхэмсӥа-ха-чӥ=а
切って盛って渡した、彼らは全部食べた、
ундииситуита-ӥ-ǯӥ-jӥгэсэундиисигучиǯӥа-jа модан,
そうするやいなやまたおかわりの時に、
ичэǯэ-рээпуǯин-чиичэǯэ-рээкотаан-чӥичэǯэ-рээта-а-л
ただ見て、プジンを見たり、皿を見たりする
ундэǯаралӥа...кэрчи-гу-си=нуу=мдэун-дэдээси.э~ӈтуи
という、切ってくれないかとも言いやしないのだ。
та-раагучикотаам-ба-чӥǯапа-го-раагучикэрчи-гу-хэн
それからまた彼らの皿をつかんでまた切ってやった、
долӥн-доладолӥн-долакэрчи-гу-рээбуу-гу-хэнчава=ла
皿に半分ぐらい半分ぐらいづつ切って盛ってから渡した、そいつを
хэмсӥа-го(-хан)чадо=ма(т)ун-дии-њи=го(ањӥ),"эи-лэбуэ=дээ
全部食べた、そこでやっと言うのだ、「こんなに我々は
ээдэм-пу=лэхаӥ=дааӥсӥ-асӥ,"ун-диитэиааг-ǯӥмамэргэн
大喰いのバカだ、いくらでも足りない、」と言う、その兄の方のムルグンは
пуксу(н)кэркичэ-дууӈ-ки-њи,нэу-ǯи(мэ)=тэњиимало-до
右側のかまどのそばで言った、弟の方は真ん中の席に
би-и-њи."э~ӈундииси=э,андаха-ӈго-jӥмэнэ=мања
いる。「お客がいるのに自分たちばかりが
котала-ӥ=мањата-орӥ-њӥ,"ун-дии,"буэбалǯӥ-хан-ǯӥ-jӥхусэ
ガツガツ喰ってばかりしてしまった、」と言う、「我々は生まれてこの方、
эктэ-њии,ӈаала(-ǯӥ)та-хам-ба-њӥэчиэ сӥа-о...эси=мэ(т)
女の人の手で作った物を食べなかった、今になって
сӥа-о-хан=тањӥӥǯээ улээ(н)=нуу~ǯээ хэмбэрун=кээ=нуу,"
初めて食べたんだからそのなんと良いことか、なんと喉越しの良いことか、」
ун-дии,"бӥлга-лаии-рии-њи,наӥкэрчи-хэ-њи."э~ӈ
と言う、「喉を通って行く、人の切ってくれたものが。」
ундииси=э,"эси=мэээмэчээнаӥкэрчи-хэм-бэ-њисӥа-орӥ-њӥ,"
「今になってやっとこのように人が切ってくれた物を食べる、」と
ун-дии,"балǯӥ-хан-ǯӥ-jа=даа.э~ӈхаӥсӥэнэ-и-ǯи-jӥ,
言う、「生まれてから初めて。(ところで)どこへ行くために、
хао(сӥ)пулси-и-ǯи-jи,эӈкӥӥрӥ-ха-сӥ=а=м=даамэдэ-вэ
どこを訪れるために、あなたはここへ立ち寄ったか、そんな情報さえ
гэлэ-вэси."э~ӈпуǯинун-дии-њи,"анда~ мэргэу-сэ(л)
まだ訊いていなかったね。」プジンは言う、「ムルグンよ、
ундииси хаос(ӥ) энэ-и энэ-э=мун-ǯээм-би хао(сӥ)пулси-и
いったいどこへ 行くか、どこかへ行くと私が言えるでしょうか、どこへ行くか
пулси-э=мун-ǯээм-би,"ун-дии,"э~ӈмии=дээээнэу
私にだって言えないのです、」と言う、「私も姉と妹で、
эикэ-кубалǯӥ-хам-бӥ"=а,ун-дии,"э~ӈэикэ-jитуита-ӥ,
姉と一緒に暮らして来たんです、」と言う、「自分の姉がああなって、
амбаанта-ӥ-дочоча-хам-бӥ"=аун-дии-њи.э~ӈааг-ǯӥма
魔物がそうした時に逃げて来たんです、」と言う。兄の方の
мэргэн=тэ(њии)"аjа~,"ун-дии,"анда пуǯин,эӈ би-руу,"
ムルグンは「よし、」と言う、「プジンよ、ここにいろ、」と
ун-дии-њи,"эи-ду.амбаа-ӈго-jӥӥсӥ-ӥ-чӥ-а-њӥ=а=даа."э~ӈ
言う、「ここに。魔物が到着するまで。」
ундиисипуǯин=гулэундииси,пуксу-ǯиэкалтаакэркичэ-ду
プジンは左側の方のかまどの横の場所に
апсӥӈ-кӥнсиксэ-гу-хэннаӥапсӥӈ-го-ӥ-до-а-њӥ.эӈдолбо~
横になった、日が暮れた、人が寝る時に。夜、
"сэнэ-хэ-њи.э~ӈтэи=лэмало-доби-имэргэн=гулээлкэ~
目が覚めた。あの真ん中の席にいるムルグンが静か~に
њоан-чӥ-а-њӥхаӥ-рӥӥ-њӥ,дасӥча-ла-њӥхаӥ-рӥӥ-њӥ=гоањ(ӥ),
彼女の方へ、被っていたのを、(もぐり込んで来る)のだ、
тэтуэ-кээн-ǯидасӥ-рааао-рӥӥ-до-а-њӥдасӥ-раа..дасӥча-ла-њӥ
服でちょっと掛布団代わりに被って寝ている時に、被っていた所へ
ии-рии-њи."анда~ мэргэн,ундиисихаос(ӥ)энэ-и-си,"
もぐり込んで来た。「ムルグンよ、どこへ行くのです、」
ун-дии,"э~ӈэвэӈк(и)даа-чӥ~энэ-иосӥњӥуикэ-jи
「ここから出口の方へ行くのなら戸を
бао-го-ǯаа-чӥ=ма,доо-чӥ=а энэ-и осӥњӥ=даа бэум(-би) бао-го-ǯаа-чӥ=ма,"
見つけるでしょう、中へ 行くの なら、自分の場所を 見つけるでしょうに、
ун-дии,симуэчи-и-њи=го(ањӥ)пуǯин.ун-дии-њи,"ии~,"
と言う、ささやくのだ、プジンは。すると言う、「うん、」と
ун-дии,"миисииалоосӥ-ӥ-ва-сӥгэлэ-и=нуу,"ун-дии,
言う、「私があなたに教えてもらおうとするだろうか、」と言う、
"э~ӈбалǯӥ-хан-ǯӥ-jӥ~эиǯоог-дохамачаа,пакчӥа
「生まれてこの方ずっとこの家にいるんだ、どんなに暗くったって
пулси-эсим-би,хамачаасиӈкэлтээнпулси-эсим-би,"ун-дии,
行けないことがあろうか、どんな闇だって行けないことがあろうか、」と言う
"эчиэбэум(-би)хуэдэ-jэ=м=дэ."сиибааро-а-сӥǯи-дии=гоањӥ,"
「自分の場所を見失ったことなどない、あなたの方へ来たんだ、」と
ун-дии-њи.э~ӈэси=тэњиитэимэргэн-ǯитадо
言う。そのムルグンとそこで
эǯилэ-и=гоањӥ,хао(сӥ)эну-и-њи."аjа~,"ун-дии,"анда
夫婦となるのだ、いったいどこへ去るだろうか。「よし、」と言う、
"пуǯи(н),амбаа-ӈго(-jӥ)ӥсӥ-далабундуби-руу,"ун-дии-њи.
「プジンよ、魔物が着くまで我々の所にいろ、」と言う。
э~ӈтуиби-эундэ.чадоэǯи-гу-jибаа-раатуи
そうしているという。そこで夫を見つけてそうして
би-и=го(ањӥ),туиби-ми~туибалǯӥ-мӥундии(си)эм
いるのだ、そうしていて、そうして暮らしていて、ある
модан=голаундииси,эǯи-њи=лэундиисичӥмӥӥтээ-хэ-њи.
時に夫は起きた。
"анда~ пуǯин,"ун-дии,"суэ,амбаа-ӈго-соэињиэсиун
「プジンよ、」と言う「おまえたちの魔物が今日
токон-доӥсӥ-ǯараа,"ун-дии-њи.э~ӈ"анда~ мэргэнмии...
正午に到着するだろう、」と言う。「ムルグンよ、
хао(сӥ)эињиээǯи энэ-рэ,"ун-дии,"эǯи тооко-ра,"
どこへも今日は行かないで、」と言う、「森へ上るな、」と
ун-дии."аjа~,"ун-дии-њи,"эǯи ӈээлэ-рэ,"ун-дии-њи.
言う。「大丈夫だよ、」と言う、「恐がるな、」と言う。
э~ӈ"курээн хаӥ-до,гусиэ тоорабадо-до-а-њӥ=лаэм
「煙道の所の、聖なる柱の真ん中の柱のそばに一枚の
макӥ би-э," ун-дэ,"нантапасӥ-њӥ.эи-вэ=тэњииэлкэк
頭付きの大型獣の毛皮がある、毛皮の一片が。そいつを軽くちょっと
паачӥла-хаарӥ,"ун-дии-њи."амбаа-ӈго-jӥӥсӥ-очӥа-њӥ."
叩け、」と言う。「魔物が到着したらば。」
э~ӈундииси,"эǯи ӈээлэ-рэ,"ун-дии-њи,"симбиэ
「恐れるな、」と言う、「おまえを
хооњ(ӥ)=даата-асӥ,"ун-дии-њи.э~ӈундииэси=тэњии
どうにもしないさ、」と言う。
пуǯин=гулэундииси=э,ӈээлээчи-и-њи=гоањӥэмхабдата-каан=маа
プジンは恐れるのだ、まるで木の葉のように震えて
осӥ-хантуитуту-хэ-њихооњ(ӥ)ӈээлэ-эсиби-гилэ-и.э~ӈ
いた、あんなに走って逃げたのだ、どうして恐れずにいられようか。
тэигуру(н)туиосӥсӥ-ӥ-ва-њ(ӥ)туиэну-хэ~н,"аjа,эǯи
その兄弟はそんなに嫌がっているのにそうしてでかけた、「大丈夫、
ӈээлэ-рэ,"ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ)эǯи-њи,тэи,ааӈ(-њи)=даа
恐がるな、」と言うのだ、夫は、その彼の兄も
"эǯи ӈээлэ-рэ,ун-дии,"аjа"=м=даа.э~ӈундииситуи
「恐れるな、」と 言う、「大丈夫だ、」と。
та-раа=лаундииситэи,тооко-ха-чӥхамӥа-ла-њӥсиун токон
それから彼らが森へ上った後、正午に
ӥсӥ-ха~нун-дии-ду-э-њи=лэтэи,э~ӈкэтэ~ӈуикэ-вэ
なったなあという時にあの魔物が、ガラリと戸を
њихэли-м(и)гокӥаал гокӥаалии-рэундэ."эи-ду~би-мимимбиэ
開けてびっこを引き引き入って来るという。「こんな所にいて私に
гэлэ-гу-вээн-диисии,"ун-дии-њи.э~ӈпуǯин=гулэӈээлэ-м(и)
探させたのか、おまえは、」と言う。プジンは恐れも
даба-мӥ=ла,эӈтээ-рии-њи=хилǯулиэ-лэ-њи=лэундииси=э,
きわまって、座っていたそこの前においておいた
хаӥ-ха-њӥ,макӥ-чӥэнэ-рээпаачӥла-ха-њӥ.эӈпаачӥла-ӥ-њӥ
毛皮の所へ行って叩いた。叩くと
эи jэпуртэи-сэ(л)jэпурии-гу-кэ-лтээ,тулиэ-лэ-њи=э,
サッとすぐに彼らがサッとすぐに入って来た、ほうれ中庭の所へ
эу-гу-кэ-лундэтэи=лэǯуэмэргэу-сэл=гулэундииси=э~
下りて来たという、あの二人のムルグンたちが
ии-гу-мээритэи=лэ,хаӥ-ва=ла,хаӥ-го-ха-чӥ,тэи
入って来てそいつを、どうした、その
амбаа-ӈго-а-њ(ӥ)ǯапа-го-маарӥњиэву-гу-хэ-чи.эӈтуи
魔物をひっつかんで外へひきずり出した。そうして
та-пӥ=о~ии-гу-хэ-њиэǯи-њи."анда~ пуǯин,ундииси,
ちょっとすると入って来た、夫が。「プジンよ、
амбаа-ӈго-jӥичэ-ндэ-уу,буэваа-ха-по-ва.наӥбаланаа~
魔物を見に来なさい、私たちがやっつけたのを。誰かがずっと前に
сэлэ-эчапчӥ-ха-њӥ,сэлэ амо-њӥамбаапчӥ-ха-њӥ,"ун-дии-њи.
鉄を  叩き切った、その鉄屑が魔物になったのだよ、」と言う。
"тэǯэ,"ун-дии,"агда-асӥ-сӥичэ-ндэ-руу,"ун-дии-њи.
「本当?」と言う、「信じないのなら見に来いよ、」と言う。
э~ӈундиисипуǯин=гулэичэ-ндэ-хэнтэǯэби-чи-њи.сэлэ
プジンは見に行った、本当であった。鉄の
амо-њӥ~=мањатэиамбаа-ӈго-њӥ.наӥхэмсаардуктэ-хэ-њи,
屑ばかりであった、その魔物は。人は全てバラバラに叩き壊した、
хамачаа=дааабаатаваӥвачӥ-го-ха-чӥ.сэлэамо-њӥ=мања
何も残らなくなるよう火を点けた。鉄の屑ばかりに
осӥо-го-хан.гээ,эси=тэњиитуи та-раатуиби-и=го(ањӥ),
なっていた。さあ、それからそうしているのだ、
туиби-ми=э~пуǯин=тэњиисоӈго-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),эикэ-jи
そうして暮らしていてプジンは泣くのだ、自分の姉を
ǯооӈго-хан.э~ӈэǯи-jитооко-ӥсоӈго-ӥ,эу-гу-и-њихэмэ
思い出した。自分の夫が森に上ると 泣く、下りて来ると黙って
осӥо-го-ӥ,туи та-рааэǯи-њимэдэси-и-њ(и)=го(ањӥ),"анда~
いる、それから夫が訊ねるのだ、
"пуǯинхаӥ-мӥсоӈго-ӥ-сӥсии,"сӥӈ-го-раа=даа,ун-дии-њи,
「プジンよ、どうして泣くのか、おまえは、」言う、
"хаӥсоӈго-асӥби-рэ~,"ун-дии,"буэ=дэээикэ-jи
「どうして泣かずにいられましょうか、」と言う、「私は姉のことを
ǯооӈго-орӥ-њ(ӥ)=гоањӥ,"ун-дии,"суэаанэуǯуэр-кээн,
思い出していたんです、」と言う、「あなた方は兄と二人きりだけれど
би-и,буэ,буэ=дэээикэ-ǯиǯуэр-кээнбалǯӥ-о-ха-њӥ=гоањӥ"=м.
私たちも姉と二人きりで生きてきたんですもの、」と。
"эикэ-вэ-сиагааба~ла(на)асӥ-го-jӥхорӥ-го-хан,"ун-дии-њи.
「おまえの姉さんは兄さんがとっくに自分の妻に救ったよ、」と言う。
"агда-асӥ-сӥэнэ-гу-ури,"ун-дии-њи.эси=тэњииундиисиэ~ӈ
「信じないなら行ってごらんよ、」と言う。
энэ-и=лэ=гоањӥ,ǯӥа чӥмањӥ-аэнэ-и-њиосӥ-хан,огда-ǯӥ
行くのだ、次の日行くことになった、舟で、
ǯоа-го-хан=даа ǯааро-а-њӥ.э~ӈундиисиӥсӥ-ха-чӥундииси,
夏になっていたんだろう、到着した、
эикэ-њи=лэколаан-дола-њ(ӥ)би-пи=эпоӥӈарби-пи=эпоӥӈар
姉の所の煙突からはしばらく間があってからモクモクちょっとしてモクモク
та-аундэ.э~ӈтооӥ-лахаа-рӥӥ-ва-њӥичэ-и-ǯи-jи гэсэ
と煙があがっているという。家の岸の所に着岸するのを見るやいなや
эикэ-њи=лэтуту-м(и)эу-хэнǯӥлган=дааанаа~гуǯэлэ
姉は走って下りて来た、声もなく、かわいそうに
соӈго-мӥ~=мањаǯӥлган=даахэм,хаӥ-хан,сиjэ-хэн.
ただ泣くばかりで声も 全く、涸れてしまった。
эси=тэњиибао-го-хан=тањӥӥнаамаӈго-каапаар(ӥ)соӈго-ӥ=гоањӥ,
見つけた、抱き合うやいなや泣くのだ、
нэу-њисоӈго-ханнуучибӥра~эикэ-њисоӈго-хандааӥбӥра~
妹が泣いたのは小さな川に、姉が泣いたのは大きな川に
хэjэ-гу-м(и).э~ӈ"ээпаӈгоа~ундииси,туиосӥ-го-ӥ...
なって流れて。「妹よ、
туиосӥо-хан=тањӥӥэрдэӈгэ~би-ихаӈгӥакто-ла(-њӥ) хао(сӥ)
こんなふうになったのは不思議だわ、どう変わった目に遭って、どう
осӥ-ханби-чин=дээмиисаа-расӥм-бӥ,"ун-дии,"хао(сӥ)=даа
なってしまったんだかも私自身わけがわからないわ、」と言う、「どう
би-чим(-бӥ)=даасаа-расӥм-бӥ,тэиэркиэ-лэ."э~ӈ
なってしまったんだかわからないわ、あの時に。」
эси=тэњииундииси=э,хаӥ-ха~нгусэрээнду-хэнтадо
語り合った、そこで
аркӥ-ваомӥ-каачӥ-ха~н,аосӥ-њӥњоањӥ,эикэ-jи=э,
酒を飲んだ、義兄と妹は、自分の姉を
эǯилэ-гу-вээн-дии=гоањ(ӥ),наӥ-ваасӥ-го-jӥхорӥ-ха-њӥ
結婚させるのだ、人を自分の妻として救ったのだもの、
асӥла-го-ӥ=гоањ(ӥ).туи та-раа~чадоэикэ-вэр(и)
結婚するのだ。それからそこで自分の姉を
гааǯо-маар(ӥ)ǯӥа чӥмањӥ-аэну-и=гоањ(ӥ).чадохадо(лта)
連れて次の日去るのだ。そこで数日間
хадо(лта)аоӈга-паарӥ=а=даа.ǯоо-каам-бар(ӥ)хаǯо-каам-бар(ӥ)
数日間泊まってから、だ。家を、家財を、
балǯӥ-хан-ǯӥ-ар(ӥ)уилэ-хэм-бэр(и) ǯака-ар(ӥ)хэмтэучи-гу-хэ~н,
暮らしていた所から、細かい細工して作った物なども全て舟に載せた、
э~ӈтуи та-раа=тањӥӥундииси=э,таваӈк(ӥ)эну-хэ~н
それからそこから去った、
ǯоок-чӥ-ар(ӥ)эу-гу-и-ду...эу-гу-мээр(и)=тэњии,хаӥсӥ
自分たちの家へ下りる時に、下りながら、再び
паачӥла-ӥпаӥӈам(-бӥ),хаӥсӥкумур би-икумчиэн,гадар би-и
パチンと叩いた、自分の掌を、再びデコボコした丘に、高台のある
гаоња-каа(н)осӥо-го-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ)ǯоок-чӥ,хаӥ=даада абаа.
ただの細長い丘になってしまったのだ、彼らの家は、何にも なくなった。
таваӈкӥэну-рээтуибалǯӥ-ӥ-чӥ=гоањ(ӥ),эикэ-њи,ааг-ǯӥ-а-њӥ
そこから戻ってそうして暮らしているのだ、姉は兄で
эǯи-ку,нэу-ǯимэнэу-ǯи-э-њиэǯи-кутуибалǯӥ-ӥ
夫を得た、妹の方は弟で夫を得た、そうして暮らしている、
элээ.
終わり。