風間伸次郎(採録・訳注).1998.『ナーナイの民話と伝説4』(ツングース言語文化論集12,千葉大学)より

1. гаакта-ва тама-ӥ мама

ツルコケモモを 集める おばあさん

1996年8月19日、ダエルガ(ハバロフスク州ナーナイ自治区ナイヒン村に隣接する小村)にて、Њэсултэ Борисовна Гейкер(ゲイケル)氏(女性、1920年、Таргон村生まれ)より録音。


эммапа-ǯӥ~эммама-ǯӥбалǯӥ-ха-чӥ.туи та-раа~ туи
一人のおじいさんと一人のおばあさんと暮らしていた。それから そうして
балǯӥ-а-лундэ,мапа=тањӥӥхаӥ-ва=даата-м(ӥ)=даамутэ-эси.
暮らしているという、おじいさんは(老いて)何もすることもできない。
мама=тањӥӥ,ињи~ињигаакта-вадуиситама-нда-со-ӥ.
おばあさんは毎日毎日ツルコケモモの実を山へ集めに行っていた。
туитама-мӥ~тама-мӥ=а=лаэси=лээммодан=голаундииси,
そうして集めて集めてさてある時、
эӈ мама=мала,мама=лаǯоомбо-ха-њӥ.ǯуэпоочӥча-каам(-ба)поочӥ
おばあさんは何か思い出した。二つの小さな袋を、袋を
аӈго-ха-њӥ.туи та-раатэидоо-ла-њӥ=лаǯуэпоочӥча-каан-дола,
作った。それからその中に二つの小さな袋の中に
гаактатэучи-хэ-њи.туи та-раа=о~=ла
ツルコケモモの実を詰めた。それから
таваӈкӥ=лаэнэ-м(и)дэруу-хэ-њи.маӈбохэjэ
そこから 行き始めた。大河を下流へ
энэ-и-њ(и)=го(ањӥ),туиэнэ-ми~энэ-ми=э=лэ,хао(сӥ)=даа
行くのだ、そうして行って行くのだが、どこへ
энэ-и-њ(и)=дээнаӥ=дааабаахамачаа=дааабаа,элээсиун
行っても行っても人もいない、何もない、もう日も
туу-гу-и.чадотуитээси-и=гоањӥ=атэи-михао(сӥ)
落ちる。そこでそうして座るのだ、休んで、いったいどこへ
энэ-урихаал хаал осӥ...хамасӥ=даагоро.ǯулэси
行くべきか、途方にくれて、後ろへ戻るにも遠い。前へ
энэ-миэлээдолбо-го-ӥ.туитээси-и-ду-jи=э~эмпата
行ってももう夜になる。そうして座っている時に、ある倒木の
оjа-ла-њ(ӥ)тээси-м(и)ичэ-хэ-њи,дуjу-лэ-њи=лээмǯоо-каан
上に座っていて見た、山の方に一軒の小さな家が
ӥлӥсӥ-мӥ=а~би-эундэ."эихаӥ-м(ӥ)ичэ-вэчи-њитэи
建っているという。「これはどうして見えなかったんだ、あの
ǯоо-ватуигоӥда-м(ӥ)тээси-ми."тэиǯоо-каанбааро-а-њ(ӥ)
家を、こうして長いこと座っていたのに。」その小屋の方へ
тоо-ха-њӥ.уикэии-рии-вэ-њиичэ-ми=лэхэрэ~эм
上った。戸を入って見るになんとも素敵な一人の
пуǯин=гулэӥлӥ-ха-њӥби-чи-њи."эгэ~ ундиисиичэ-руу,"
プジンが立っていたのだった。「姉さん、見てよ、」
ун-дии,"эjээчиби-имама=дамэмэчээбоапулси-и=нуу,"
と言う、「こんなお年のおばあさんがこんな所を歩いて来たなんて、」
ун-дии-њи,"гуǯэлэ~хаӥ=даа,"ун-дии-њ(и)тэи=тэњии
と言う、「かわいそうに、なんとも、」と 言う、彼女は
чаараахӥӥjаохӥ-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ)тэипуǯин=тэњии"ичэ-руу,"
陽気ににぎやかに客をもてなすのだ、そのプジンは、「見てよ、」
ун-дии,"ичэ-руу,"ун-дии,туи та-раамама=тањӥӥтэи
と言う、「見てよ、」と言う、それからおばあさんはその
гаакта-ӈго-jӥ хаӥ-ва-њӥ,поочӥча-каам-ба=ла,тэиǯуэ
ツルコケモモの小さな袋をその二人の
пуǯин(-чи)буу-хэ-њи.гэээси=тэњиитэиэктэ=тэњии
プジンに与えた。さあその女は
агда-насӥ-ӥ=а~,ун-дии-њ(и)=гоањӥ,"хаӥ,эjээчиби-и
長いこと喜ぶ、言うのだ、「こんなにすごいんだ、
мама=маа~,"ун-дии,"эмэчээ гаакта=дам хооњ(ӥ) тама-м(ӥ)
このおばあさんは、」と 言う「こんなにたくさんのコケモモをどうやって集めて
пулси-и-њи,мутэ-и-њи,"ун-дии,"буэ=тэњииэи гаакта-чӥ=тањӥӥ
歩いたのか、よくできるわ、」と言う、  「私たちがこれだけの コケモモを
хооњаагаӈгарӥ-орӥ=а~,"ун-дии,"гаакта-ва
(集めるのは)どんなに大変なことか、」と 言う、「コケモモのことを
мурчи-и=мэ...мурчи-ми~=мањаа,буэбаа-васӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ,буэ
考えるけど、考えてばかりで、私たちは見つけられやしない、私たちは
наонǯоан-њӥӥхаӥ=даа."э~си=тэњиимама=тањӥӥэлэдэлэ~
若者であるのに、何ということだ。」 おばあさんを十分に
сӥа-вааӈ-кӥн,"гээаоӈ-го,элээсиксэ-гу(-хэн)хао(сӥ)
食べさせた、「さあ、寝ましょう、もう日が暮れました、いったいどこへ
энэ-гу-и та-ӥ-сӥ."э~мама=лааоӈга-ӥ=гоањӥњаа~рњаар
行く気ですか(どこへも行けませんよ)。」おばあさんは泊まるのだ、ゆったり
хаӥлооулээ-њи=гоањӥнаӥаа-ваан-дӥӥ-њӥ.сӥа... элэдэлэ
くつろいで、どんなにか良く人は寝かせてくれたことか。十分お腹いっぱい
сӥа-хантуи та(-раа)апсӥӈ-го-ха~н.чӥмӥӥтээ-хэ~нчӥмӥӥ
食べた、それから横になった。起きた、
тээ-п(и)=тэњии,тэипуǯиу-сэл=гулэ ундииси=э,мама=ла
起きると、そのプジンたちはおばあさんを
элэдэлэсӥа-вааӈ-кӥ-чӥэс(и)=тэњии ундииси=э,хаӥбуу-хэ-чи,
十分に食べさせた、何をくれたか、
эмхукунэбуу-хэ-њи,тэипуксу-дуби-иэктэ,
一つの包みをくれた、その右側の席にいる女、
эикэ-ǯимэпуǯин.эммэргэ-кээ(н),эм,эктэ-кээм-бэ
姉の方のプジンが。一つの小さなムルグンと、一つの小さな女の、
ǯуэ(р)акоам-ба,эмхусэ~эмэктэ=дээ.э~ӈундииси эм
二体の人形を、一つは男、一つは女だ。また一つの
хукунэ-вэ=дээ,мана(ха)хукунэ-њи,тэиэмǯиӈэ=дээ нэу-ǯимэ=дээ
包みを、魚皮の切れ端の包みを、そのもう一人の方の、妹の方も
хаӥсӥбуу-хэ-њи=э.ун-дии-њи,тэиэикэ-ǯимэун-дии-њи,
再びくれた。言う、その姉の方が言う、
"эимиибуу-хэм-би-вэ=тэњии, хаӥ,эипуǯи-кээм-бэ=тэњии
「この私があげたのを、このプジンの人形を
хаӥ-донээ-руу,"ун-дии,"гӥлон-ǯӥакалтаа-ǯӥа-ла,
あそこに置け、」と言う、「左側の席の側に(家に帰ったら)
нээ-хээри"=эун-дии,"апсӥм-боваа-хаарӥ,"ун-дии-њи,"хаjаал
置け、」と言う、「寝かせなさい、」と言う、 「まず何でも
гэсэихэрэтааво-раа=даа.эиманаха-ва=тањӥӥ,ӥсӥ-го-мӥ,
いいから灯りを点けてから、だ。こっちの魚皮の包みの方は、着いて、
уикэ-чиии-гу-и,ǯоок-чӥии-гу-иǯулиэ(-лэ-њи)
戸口へ入る時に、家へ 入る  前に
пакчӥраӈго-ӥ-до-а-њ(ӥ)ӥсӥ-го-ǯаа-чӥ,"ун-дии-њ(и),"уикэ-вэ
暗い時にあなたは着くでしょうけれど、」と言う、「戸を
њихэли-миуикэдоо-чӥ-а-њ(ӥ)ǯоо,наӈгала-хаарӥ,"ун-дии,
開けたら戸の中へ家のなかへ、投げなさい、」と言う、
"хаӥ-дотуу-гу-ми хаӥ-до=даа туу-ми=э=дээ,тэихукунэ-вэ.
「どこかに落ちたら、どこでもその落ちた所に ほうっておけ、その包みを。
туита-п(ӥ)=мамоо-ӈго-го-jӥта-ǯаа-чӥ=ма,"ун-дии,
そうしたらそれから 薪のことをやりなさい、」と言う、
"сӥа-го-jӥпуjуу-гу-и.ǯоо ӥвачӥ-го-го-ӥ. эси=тэњииэи-вэ
「食べ物を煮るための、家の灯りを点けるためのことをしなさい。今それを
туитуи та-рааихэрэтааво-го-п(ӥ)=тањӥӥтава-аӥваӈ-го-ӥ
あれこれそうしてから灯りを点けたらば、灯りを点けるのは、
ихэрэтааво-го-п(ӥ)хаjанǯӥ=даатааво-хаарӥ",ун-дии,
灯りが点くならば何でもいいから灯りを点けなさい、」と言う、
"тааво-го-ǯаа-чӥ=ма,"ун-дии,"туи та-раа,
「点けるでしょう、」と言う、「そうしたらそこで
апсӥм-боваа-хаарӥ"=аун-дии,"сэктэпулэ-вээн-дээ=дээ."тэи
人形を寝かせなさい、」と言う、「敷物を敷かせてから、だ。」その
хаӥ-ǯӥ, њоањӥбуу-хэ-њипуǯи-кээм-бэмэргэ-кээм-бэ=дээ.
(姉の方の)彼女がくれたプジンの人形とムルグンの人形を、だ。
гӥлон-ǯӥа-ла.тэипоjаӈго=тањӥӥун-дии-њи,"мии
左側の席の側に。その妹の方は言う、「私が
буу-хэм-би-(в)э=тэњии,мало-донээ-хээри"=эун-дии-њи."туи
あげたのは、真ん中の席に置け、」と言う。「それ
та-рааǯакпа-до-а(-њӥ)=тањӥӥихэрэ-кээм(-бэ)тааво-хаарӥ"=а
からそのそばには小さな灯りを灯しなさい、」と
ун-дии-њи.ихэрэ-кээ-ӈгу-э-чи.эси=тэњиитуикэкчэ-хэ~н
言う。小さな灯りを。     そのように指示した、
мама=лаагда-насӥ-м(ӥ)ǯиǯу-и=гоањӥмээнчи,сусу-гу-хэн
おばあさんは喜んで戻るのだ、自分の所へ、出発した、
чӥмӥӥ.сиксэ~ӥсӥ-го-ханǯоо-jӥ.элээпакчӥраӈ-го-ӥ-њӥ.
朝。夕方到着した、自分の家に。もう暗くなってしまっている。
мама=ла ундииси,наӥхэсэ-вэ-њ(и)дахорсӥ-м(ӥ)баӥтэи
おばあさんは人が 言った言葉を守ってただその
хукунэ-jи=лэ,уикэ-jињихэли-рээ ун-дииǯоо-ч(ӥ)чуул
包みを、戸を開けてから家の中へまっすぐに
наӈгаачӥ-ханхаӥ-дотуу-гу-михаӥ-до туу-гу-митэиǯуэ-њии
投げた、どこかに落ちて、どこかに落ちたらそのままに、あの二人が
буу-хэм-бэ-њи.туи та-раахаӥ-ва,моо-каа-ӈго-го-jӥ
くれた物を。それから何を、薪を
баргӥ-го-ха~нтуи та-п(ӥ)=ма(т)ии-гу-хэ~нтаваӥваӈ-го-хан.
準備した、そうしてそこでやっと入った、火をおこした。
ихэрэ-кээм(-бэ)тааво-го-ха~н.ихэрэ=дээхаӥэруу-њи,
灯りを点けた。灯りも何とも粗末な物だ、
симсэ-кээн-ǯитуи,нээ-рээалӥо-каан(-до)нээ-рээ
油でこうして、置いて小皿に置いて
ихэрээчи-и-чи=гоањ(ӥ).эси=тэњиитэимама=тањӥӥундииси=э,
灯りとしていたのだ。そのおばあさんは
э~ӈхаӥjал гэсэпуjуучи-хэнсӥа-го-jӥтуи та-раа=тањӥӥ
何とかして煮た、食べ物を、それから
мапа-jӥсӥа-вааӈ-кӥн, хаӥ,наӥсомалан-ǯӥхаӥ,
おじいさんに食べさせた、人は袋で
буу-хэн=тэњии,сомала-каан-до-а-њӥǯиэктэ-вэ.туи
くれた、小さな袋に粟を。そのように
хаӥ-го-ха-чӥ,мама-добуу-хэ-чихукунэ...
どうした、おばあさんにくれたのだった、包みを、
уӈкурэ-гу-хэ-чи.чаǯӥбода-каам(-ба)пуjуу-рээмапа-jӥ
プレゼントしてくれたのだった。それでお粥を煮てからおじいさんに
сӥа-вааӈ-кӥ-њӥ.тота-раамэнэ=дээсӥа-раа,
食べさせた。それから自分も食べてから、
апсӥӈ-го-го-ӥ=тањӥӥтэипуǯи-кээм(-бэ)тэиэикэ-ǯимэ
横になろうという時に、あのプジンの人形を、あの姉の方が
буу-хэм-бэ-њ(и)=тэњии,гӥлон-ǯӥа-ла,ихэрэ-вэтааво-ха-њӥ.
くれたのを、左側の席に、灯りを点けた。
хаӥjаалгэсэихэрэ-вэтааво-ӥ-њ(ӥ)=гоањӥхаӥ-до нээ баа-гӥла-ӥ
何とかしてやっと灯りを点けるのだ、どこにすぐ見つけられようか、
мама=даада.потасааӈсимуксэ-кээм(-бэ)нээ-хэ-њи хаӥ-го-а-њӥ
おばあさんだって。微かにほのかな油の小皿を置いた、
ихэрэ-кээ-ӈгу-э-њипуксу-ǯиэ-лэ.тэи=лээдээдээдээǯоо
灯りとして、右側の席に。するとあれあれあれ、家の
доо-ла-њӥтӥасхаǯонэгǯиби-чи-њи.туи та-раа
中にぎっしりと家財がたくさんあった。それから
чава=тањӥӥполта-ко...полтала-ваан-дӥӥсэктэпулэ-вээн-дии
それを毛布有りに・・掛け布団を掛けてやったり、敷き布団を敷いて
та-ха-њӥгӥлон-ǯӥа-ла.туи та-раатэиǯуэргэсэ~
やったりした、左側の席に。それからその二つをいっしょに
нээку-хэ-њипуǯи-кээм-бэмэргэ-кээм-бэ=дээ.туи та-п(ӥ)=тањӥӥ
置いた、プジンの人形とムルグンの人形を、だ。そうしたらば
мало-чӥэнэ-хэ-њи.мало-до=даатӥасхаǯонби-эундэ.
真ん中の席へ行った。真ん中の席にもぎっしりと家財があるという。
эси=тэњии ундиисичадо=даатэи,ǯуэ пуǯи-кээм-бэ=лэ
そこでその、二人の
сэкчи... хаӥмэргэ-кээм-бэпуǯи-кээм-бэ=лэчава=тањӥӥнэу-ǯимэ
ムルグンの人形とプジンの人形を、それを、妹の方が
буу-хэм-бэ-њимало-досэкчиэ-рээапсӥм-боваа-м(ӥ)нээ-хэ-њи.
くれたのを真ん中の席に敷き布団を敷いて寝かせて置いた。
туи та-рааапсӥӈ-го-ха-њӥ.мама=лачӥмӥӥ-асэнэ-хэ-њи.
それから横になった。おばあさんは目が覚めた。
хэсэрэмǯису,ǯээхаӥлооулээнпуǯиу-сэл=гулэ,дэӈси-э-л
ひゃ~!!、二人のなんともすてきなプジンたちが、働いている
ундэ~сӥа-го-ар(ӥ)пуjуу-рэ-лундэ.ǯуэмэргэн=тэњии
という、食べ物を煮ているという。二人のムルグンは
баараǯӥ-го-маарӥби-и,мама=ла~агда-хан=тањӥӥгээ~пиктэ
出かける身支度をしている、おばあさんは喜んだ、さあ、子供が
анаа=даапиктэ-гу-jи,баа-о-ха-њӥ,боаборӥ-ха-њӥ,акпало
いなかったが自分の子供を得たのだ、天が分けてくれた、長女が
аӥсӥла-ха-њӥ тэи=тэњии,тэи,мало-чӥэнэ-рээмэргэм(-бэ)
金のような人を恵んでくれた、おばあさんは真ん中の席へ行ってムルグンに
оǯо-ӥ,пуксу-чиэнэ-рээмэргэм(-бэ)оǯо-ӥ,тэиǯуэ
口づけする、右側の席へ行ってムルグンに口づけする、その二人の
дэӈси-иэкэ-сэл-бэоǯо-кта-ӥта-ӥ=гоањӥ.туи та-раа
働いている女たちに口づけしたりするのである。それから
мапа-чӥ-jӥдао-го-ха-њӥ,"мапа~пиктэ-гу-эр(и)баа-ка-по~,"
おじいさんの方へ渡って行った「おじいさん私たちは子供を得ましたよ、」
ун-дии,"тээ-рууоǯо-нда-роо,"ун-дии-њ(и)=го(ањӥ)мапа=даа
と言う、「起きろ、キスしに行け、」 と 言うのだ、おじいさんも
тээ-хэ~н,"хавоӥхавоӥ,"ун-дии-њи,"гээтэи=jэ,"
起きた、「どれどれ、」と言う、「さあ、あれよ、」と
ун-дии,мапаӈаала-до-а-њ(ӥ)ǯапа-рааэлгэ-м(и)олбӥӈ-кӥн.
言う、おじいさんの手をつかんで曵いて連れて行った。
тэиǯуэмэргэу-сэл-бэоǯо-кта-хантуи та-п(ӥ)тэи
その二人のムルグンたちにキスをした、そうするとその
пуǯиу-сэл(-бэ)мапа=дааоǯо-кта-ханагда-насӥ-ӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ),
プジンたちにもおじいさんはキスをした、大喜びしているのだ、
"вакаǯӥа~хаӥ=даа,"ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ)."пурил-гу-jи
「ありがたいことだ、何とも、」と言うのだ。「子供たちを
баа-о-хам(-бӥ)=даа.боаборӥ-ха-њӥ,акпа(ло)аӥсӥла-ха-њӥ,"
得たなんて。天が分けてくれたのか、地が恵んでくれたのか、」
агда-насӥ-ӥ-чӥ=гоањӥ.эси=тэњиинаӥсӥа-маарӥбаӥпитэригдээ
と喜ぶのだ。人は食べてすぐにパパッと
ахоотала-нда-маар(ӥ)энэ-хэндуиситоо-хан,тэимэргэу-сэл.
狩りをしに行った、森へ上った、そのムルグンたちは。
эси=тэњиитэимама=даамапа=даахэмбаjаӈго-ха~нǯээ
そのおばあさんもおじいさんも金持ちになった、すごく
улээ(н)осӥо-го-ха-чӥ=ноотуиби-э-лундэ.ǯоо-jӥ=jас,
良くなった、そうして暮らしているという。その家も、
ǯоок-чӥ=jасǯээ би-и ǯооӈ=ноо.эси=тэњиитуи та-раа туи
家も並みの家だろうか、並みじゃない。それから そうして
би-ми~туибалǯӥ-мӥ=лаэммодан=голанэу-ǯимэмэргэн=гулэ,
いて、そうして暮らしていてある弟の方のムルグンが
њӥкомдоэу-гу-хэ-њи,эну-лу-хэ-њимаӈга-њӥ.э~ӈ
ヘナヘナになって山から下りて来た、病気になってしまった、ひどく。
ундииситуи та-раа=тањӥӥ ундииси=э,"эњэ~амаундииси,
それから「母さん、父さん、
мии=тэњии ундииси,хэсэ-jи~ аӈма-jӥӥра-го-м(ӥ)ǯиǯу-хэм-би,"
私は言葉を、言うべきことを 運ぶために戻って来ました、」
ун-дии,"миибур-бучиэ-jэ-вээǯи=дээ соӈго-а-со,"ун-дии,
と言う、「私が死んでも泣かないで下さい、」と言う、
"миибу-дэм-би,"ун-дии,"эси.тээтулиэ-думимбиэ
「私は死にます、」と言う、「今。ほれ中庭に私を
калтаала-раанээ-хээр-су,"ун-дии,"эǯи=дээ хуму-уу-су,
小屋を作って置け、」と言う、「埋めないで下さい、
эǯи=дээ соӈго-а-со,"ун-дии,туиу-ми~=нэлмэргэн=гулэ
泣かない下さい、」と言う、そう言ってムルグンは
буи-ки-њихэрэ~мама=даасоӈго-ӥасӥ-њ(ӥ)=даа
死んだ、ああ~おばあさんも泣く、彼の妻も
соӈго-ӥ-њ(ӥ)=гоањӥ.эси=тэњиихэсэ-њ(и)дахорсӥ-мӥ=ла
泣くのだ。その言葉を守って、
ундииси,тээтулиэ-дукалтаа-вааӈго-раанээ-хэ-чи.
ほうれその中庭に小屋を作って安置した。
калтаа-го-а-њӥ,калтаа(-до)нээ-хэ-чи.э~ӈ туиби-и,туи
彼のための小屋を、その小屋に置いた。そうしている、そうして
би-и-ду-э-чи=лэ ундииси,эммодан=голапуксинтоӈгала-ха(н)
いる時にある時 すごい嵐が始まった、
коӈгаралдалдакутэрэлдэлдэта-ӥ=гоањӥ.э~ӈтэи=лэ,
ガラガラガラゴトゴトゴトと音がするのだ。するとそれが、
чуӈнурэмхуэдэптэ-хэн.тэи хаӥ-њӥ,хэур,тулиэ-ду
影も形もなく消えて失くなった。その、棺桶、中庭に
нээ-хэ-чибуи-кин-њии,хуэдэптэ-хэн,хэур-ку-ǯи
置いた、亡くなった人が、消えて失くなった、棺桶に入れて
нээ-хэ-чи=гоањ(ӥ).эси=тэњии~мама=тањӥӥсоӈго-ӥ=гоањ(ӥ)тэи
置いてあったのだ。 おばあさんは泣くのだ、その
асӥ-њ(ӥ)=даасоӈго-ӥхаӥ-добао-го-го-ӥгэлэ-гу-и-њи,уи
彼の妻も泣く、どこに見つけられよう、探す、誰が
гэлэ-гу-и,ааӈ-њӥ=ла,долбо-а~ињи-этэинэу-jи
探すか、兄は、夜も昼もその自分の弟の
гирмакса-њӥгэлэ-гу-митуипулси-ми=лэчӥӥла-хан.э~ӈтуи
骨を探してそうして歩き回ったがダメだった。そうして
би-миǯоа-го-ха~нǯоа-го-хан=тањӥӥ,эси=тэњиихаӥ
いて、夏になった、夏になったが、
чӥǯам(-ба)хэjэ-ми=у~энэ-псиӈ-ки-њихэjи.туиэнэ-ми~
網を(持って)流れて行き始めた、下流へ。そうして行って
энэ-ми=э=лэ ундииси=эгоро-чӥ=дааэчиэ энэ-э-њимаӈбохэjи
行って遠くへも行きはしなかった、大河を下流へ
энэ-и-њи=гоањ(ӥ),хэjэ-ми.эмхурээнхооӈкодоо-ла-њ(ӥ)
行くのだ、流れて。ある山の絶壁の中に
тэи эмǯоо-каа~нби-чи-њи.тао(сӥ)хаа-ха-њӥ.эмпуǯин
ある小屋があった。そちらへ接岸した。一人のプジンが
би-эундэ~ хаӥ,оjа-њӥичэ-м(и)сама~=м(а)ичэ-ур(и)
いるという、その様子を見るにいかにもシャーマンと見るべき
эктэби-чинтэи=тэњии,гӥлон-ǯӥа-ла=тањӥӥэм,эктэби-э
女がいた、そいつは、左側の席に、一人の女がいる
ундэ.ао-рӥӥ-њӥ.сада~ садаǯӥлӥ-коамбаарӥӥпуǯи=ус
という。寝ている。バサバサの頭をした魔物のプジンなんだか
хаӥ=ос.тэи=тэњииэикэ-њ(и)=дээǯаралӥ-асӥ=амэргэн=дээ
何なんだか。その女も口を開かない、ムルグンも
ǯаралӥ-асӥ=амэргэнчаǯӥ,нээтэипуǯин-ǯиасӥла-хан.
何も言わない、ムルグンはその女で、即座にそのプジンで妻とした。
эси=тэњиитуи та-раа~чадоби-эундэ.[абаа туи
それからそこにいるという。《(語り手の言葉)違った、
би-эс(и)ǯулэсиэнэ-хэ-њи...хооњ(ӥ)та-ор(ӥ)гучи
そうじゃなかった、先を話してしまった、どうすべき、また
хамасӥмочо-го-ваам-борӥ?]асӥ-го-jӥбаа-раа
元へ戻そうか?》妻を得て
би-и-њ(и)=гоањ(ӥ),пуǯин-ǯи.эси=тэњиитэи,ǯоог=тањӥӥ
いるのだ、プジンと。その、家の方では
ǯуэтуӈэхэмхуэдэ-хэ-чи=гоањӥ.туи та-раа=тањӥӥмама=тањӥӥ
二人とも両方失ってしまったのだ。それから おばあさんは
соӈго-ӥ-њӥ=гоањӥ~ун-дии-њи=гоањ(ӥ),тэиасӥ-чӥ-а-њӥ
泣くのだ、言うのだ、その妻へ
ун-дии-њи=гоањ(ӥ),"буэ,миисумбиэтуи туиби-ибоа
言うのだ、「私はおまえたちをこれこれこのような場所を
пулси-и-до-jӥбаа-ка-jа"=м,"тэи экэ-сэл тэибуу-хэ-њи=э"=м,
歩き回っていた時に得たのだよ、」と、「その女たちがくれた、」と、
"сумбиэ,миипиктэ-гу-jи-этуитуи=дээ.гээтэи
「おまえたちを、私の子供としてああしてこうして、だ。さああの
эктэ-чимэдэ-вэгэлэ-ндэ-уу-су,"ун-дии-њи=го(ањӥ)тэи,
女たちの所へ情報を求めに行け、」と言うのだ、その、
тэипуǯин=тэ(њии)энэ-хэ~н,наонǯоан-њӥӥхаӥгоӥда-м(ӥ)
そのプジンは行った、若い者がどうして長いこと
пулси-гилэ-и.туи та-раасиксэ~пакчӥраӈго-очӥа-њӥ
歩き回っていられようか。それから夕方だ、暗くなると
ǯиǯу-хэ-њи."эпээ даака~,"ун-дии,"уӈ-ки-си,пата
戻ってきた。「お母様、」と言う、「あなたが言った、倒木は
бао-го-хам-бӥ"=аун-дии-њи,"хамачаадоо=дааабаа~,
見つけましたが、」と言う、「いかなる家もなく、
хамачаахаӥ=дааанаа~,"ун-дии,"пурээн боа=мања,"
どんな物も何もなくて、」と言う、「森の 世界があるばかりでした、」
ун-дии-њи."мии=кээичэ-эси=кээхаӥ=дааабаа,"ун-дии,
と 言う。「私も見たんですけど何もないんです、」と言う、
"дуjулэ=дээабаахаӥ-до=дааабаа,"ун-дии,"ǯоо,
「山の方にもないし、どこにもない、」と言う、「家は、
ǯоо-ко-ǯӥгэрбу-куǯака.""эрдэӈгэ~хаӥ=даахооњ(ӥ)
「家と呼べるような物は。」「不思議だわ、何ともどうして
ичэ-эчи-су,"ун-дии-њи=го(ањӥ),"хооњ(ӥ)ичэ-эчи-си=э"=м=дээ.
見なかったのか、」と言うのだ、「どうしておまえたちは見なかったのか。」
эси=тэњии ундиисимама=тањӥӥ~мэнэбаараǯӥ-го-ханэси=тэњии
 おばあさんは自ら身支度をした、
туисоӈго-м(ӥ)энэ-и=гоањӥ.туисоӈго-м(ӥ)энэ-ми~энэ-ми
そうして泣きながら行くのだ。そうして泣きながら行って行って
пата-ӈго-jӥбао-го-хантээси-хэнпататэǯэби-чи-њи
倒木を見つけた、座った、倒木は確かにあった、
ороо-њӥпокто-њӥтэи,пата=дааби-чи-њи,пата-до=даа
義娘たちの足跡もその、倒木もあった、倒木にも
би-чи-њиби-чи-њи.э~ӈичэ-иулээ~ничэ-ичэ-и-њ(и)=дээ
あった(足跡が)あった。見る、良~く見てみるのだが
тэǯэдоо=дааабаа,хаӥ=даадаабаатуисоӈго-м(ӥ)
本当に家もない、何もない、そうして泣いて
тээси-и=гоањӥ.туисоӈго-м(ӥ)тээси-и-ду-э-њи=э~туита-мӥ
座っているのだ。そうして泣いて座っている時にそうして
ичэ-гу-хэ-њи.тэиǯоо-каанӥлӥсӥ-мӥби-эундэ.мама=ла
見た。あの小屋が建っているという。おばあさんは
тао(сӥ)тоо-ха-њӥ=а~ ундииси=этуисоӈго-м(ӥ)тоо-рӥӥ=гоањӥ.
そっちへ上った、そうして泣きながら上るのだ。
тоо-раа=тањӥӥ,хаӥ-рӥӥ-њӥии-хэ-њи.тэи=лэǯуэ
上ってどうする、入った。あの二人の
пуǯиу-сэлби-эундэ,ӥлӥ-ӥхаӥ би-эундэ омол-ко=даа
プジンたちがいるという、立っていた、なんだろう、帯もきちんとしている、
хаǯонмэӈдэӈби-и.э~ӈмама=тањӥӥсӥа-го-а-њ(ӥ)
身支度も全部きちんとしている。おばあさんの食べる物を
туичи-хээлун-дии-њи=м,"сииэвэӈкиэǯи~ эǯибумбиэ
作って御馳走した、言う、「あなたは今後は決して私たちを
гэлэ-гу-рэ~, ун-дии,"буээи-дуби-игурунби-эси-пу,"
探しに来てはなりません、私たちはこの世界にいる人間ではありません、」
ун-дии-њи."сиисоӈго-м(ӥ)пулси-и-вэ-с(и)гуǯиэси-ми=мања
と言う。「あなたが泣きながら歩き回っているのを憐れんだからこそ
туу-хэ-пу,"ун-дии,"буэхэрин-дуэнэ-мээр(и)лэк
降りて来た、」と言う、「私たちは旅をして行くところだったのを急に
осӥ-ха-по"=м=даа."буээи-дубалǯӥ-ӥгурунби-эси-пу,
ここへ来たんです。 私たちはこの下界に暮らす人間ではありません、」と
ун-дии,"миисумбиээммодангуǯиэси-хэ~н,элээ,"
言う、「私たちはあなたたちを一度憐れんで助けました、もうすでに、」
ун-дии-њи,"бу-дэси,"ун-дии,"пиктэ-симэнэ
と 言う、「死んではいませんよ、」と言う、「あなたの子供は自ずと
ǯиǯу-и=jэ"=м=дээ."эǯи=дээ гэлэ-гу-э-су,эǯи=дээ соӈго-а-со,"
戻って来ます、」と。   「探すな、泣くな、」と
ун-дии,"мэнэǯиǯу-и=jэ"=м=дээ.эси=тэњиимама=ла
言う、「自分たちで勝手に戻って来ます、」と。いまおばあさんは
"гээ,"ун-дии."эсигэээну-ǯээ-чи=мэ,"ун-дии,"мии
「良かった、」と言う。「今さああなたは帰りなさい、」と言う、「私は
корпӥ-асӥм-бӥ=абуэкорпӥ-асӥ-по,"ун-дии,"буэхэрин(-ду)
時間がない、私たちは時間がないんです、」と言う、「私たちは旅をして
пулси-э-пу"=м."буээнэ-и-пу-вэичэǯэ-руу,"ун-дии-њи,
行く所なんです、」と。「私たちが行く所を御覧なさい、」と言う、
"боа-чӥњиэ-гу-рээтулиэ(-ду)."тэи=тэњиињиэ-гу-и-њитэиǯоог=даа
「外へ出て中庭で。」彼らが出ると、その家も
абана-го-ха-њӥ.мамахуэдэ-хэнтуи та-пӥичэ-гу-хэнтэи
消えて無くなった。おばあさんは見失った、そうしてから見た、 その
экэ-сэл=дээабаа.тэвэксэоjа-латээӈкулэ-рээуиси
女たちもいない。雲の上に、それを椅子にして座って上へ
тооко-маарӥ=о~би-э,"гээ~эиэнду~р,мимбиэгуǯиэси-и,"
上って上って行くところだ、「ああ、この神が、私を憐れんでくれたんだ」
эси=тэњиимама=тањӥӥтэитооко-ӥбааро-а-њӥ
おばあさんは彼らが上って行く方へ
њохораачӥ-ӥ=гоањ(ӥ).туи та-раатаваӈкӥ=лаэну-и=гоањ(ӥ)
お辞儀をするのだ。それからそこから去るのだ
хамасӥ,э~ӈтуихамасӥэнэ-миэнэ-ми=э=лэǯоо-jӥ=ла
元来た方へ、そうして後ろへ行って行って自分の家に
пакчӥпакчӥлаолаоосӥо-го-очӥ(а-њӥ)=ма(т)сӥлаа~нӥсӥ-го-хан
暗い暗い、夜の闇になってからやっとなんとか到着した、
маӈгала-ӥ=гоањ(ӥ).э~ӈӥсӥ-го-ханороо-њӥхалачӥ-ӥ-л=гоањ(ӥ),
ひどく難儀をしたのだ。着いた、義娘たちが待っているのだ、
ун-дии-њи=гоањ(ӥ),мамаӥсӥ-го-ханун-дии-њи=гоањ(ӥ)хаӥ,
言うのだ、おばあさんは到着した、言うのだ、
"ун-дии-њи=э,"ун-дии=го(ањӥ),"бао-хам-бӥ=а"=м,"тэигу(р)-сэл
「こう言っていた、」と言うのだ、「彼らを見つけた、」と、「あの人たちを
тэǯэ~,"ун-дии,"энду~р,"ун-дии-њ(и)=го(ањӥ),"тэи,наӥ
本当だ、」と言う、「神様なのだ、」と言うのだ、「その、人は
миисоӈго-ӥ-jагуǯиэси-мээр(и)наӥтуу-хэ-чиби-чи-њи,"
私が泣いているのを憐れんで人は降りて来たのだった、」と
ун-дии,"тэи=тэњии'буэ,ǯээбудури-хэ(н)=нуу,'ун-дии,
言う、「その人たちは『私たちが急いでいることといったら並みじゃない、』
наӥ.'эвэӈкиэǯи~ эǯиǯиǯу-рэ'=м 'кэкчэ-хэ~н,' ун-дии,
と人は言う。『これからは決して戻って来てはいけない、』と忠告された、
'бу-дэси=э'=м=дээ,'эчиэ будэ-эуjу~нǯиǯу-и=jэ'=м=дээ,
『死んではいない、死んではいない、生きていて戻って来る、』とも、
мэнэǯиǯу-и=jэ'=м,'эǯи гэлэ-гу-э-су'=м=дээ.'мэнэ
勝手に戻ってくる、』と、『探すな、』と。『自分で
ǯиǯу-и=jэ'=м=дээ."эси=тэњиитуи та-раа~туихоǯӥ-раатуи
戻ってくる、』と。」それからそうして終えてそうして
би-и=гоањӥмамасоӈго-ӥ=даахоǯӥ-ха~нэсинаӥǯиǯу-и
暮らしているのだ、おばあさんは泣くのも終えた、人が戻ってくる
уӈ-кин ǯакаǯиǯу-ǯээ=мэ.туиби-и-чи=го(ањӥ)чадо.
と言ったのだもの、戻ってくるだろう、と。そうして暮らしてるのだ、そこで。
эси=тэњиитэиаан-ǯима=тањӥӥэнэ-хэм(-би)дуэ-лэ-њ(и)тэи,
あの兄の方は出かけた末にあの、
хурээнпороон-до-а-њӥасӥ-го-jӥбаа-раачадотуи
山の頂上に妻を見つけてそこでそうして
би-и-њи=гоањ(ӥ).эси=тэ(њии)туиби-и-ду-э-њи=э~эм
暮らしているのだ。そうして暮らしている時に
модан=голаасӥ-њӥ=ла ундииси=э~ хаӥ-мӥ=а,тээ-хэ~нэм
ある時妻は、朝起きた、
"ињи-э=тэњииǯоо-jӥ=тањӥӥоосӥ-го-ӥ=гоањӥ=а,ǯоо-jӥ=тањӥӥхэм
ある日に自分の家の中を片付けるのだ、自分の家を全て
та-го-ха~нхэмахӥрӥчӥ-го-ханхэмгуичи-гу-хэн
片付けた、全部掃除をした、全部はたき落とした、
гумухим-бэри.эси=тэњиитуи та-раа=ла ундииси э~ӈ
塵やほこりを。それから
пуǯин=гулэ ундииси=э,сӥа-орӥ=а=лапуjуу-э-лундэ
プジンは食べる物を煮る、という、
пуjуучи-и=дээпуjуучи-ипуjуучи-и=дээ пуjуучи-и,"хаӥ-го-jӥ
煮るも煮る、煮るも 煮る(たくさん煮る)、「何のために
пуjуучи-и-си,"ун-дии-њи=го(ањӥ)тэиэǯи-њи."нэу-си
そんなに煮ているのだ、」と言うのだ、その夫は。「あなたの弟が
эињи(э)ӥсӥ-го-ӥсиксэӥсӥ-го-ӥ,"ун-дии,хаӥ=а,"сиун
今日到着する、夕方着く、」と言う、〈違った、〉
токонсии-учи(э)-њиӥсӥ-го-ӥ,"ун-дии-њи.туи та-раа=тањӥӥ
「正午がすぎたら着く、」と言う。それから
гучи=тэњиитэи,тэипулси-имэргэн=тэњиигээнэу-jи
また、その、その歩きまわっているムルグンはさあ弟のことを
доолǯӥ-хан=тањӥӥичэ-ндэ-су-и-њ(и)=го(ањӥ)хооӈко-jӥ
聞いたムルグンは、見に行くのだ、自分の所の絶壁の
пороон-чӥ-а(-њӥ),тулиэ-чи.туи та-мӥичэ-гу-хэ-њи
てっぺんへ、中庭へ。そうして見た、
нэу-њи=лэǯиǯу-эундэ,гӥла,эгǯиогда,эгǯинаӥ
弟がやって来るという、船、たくさんの舟、たくさんの人を
гааǯо-ӥ-њӥиргэм-бэ,далӥго-м(ӥ).э~ӈтэи=лэтооӥ-(в)а-њӥ
連れて来る、村を率いて。その家の所の岸に
ӥсӥ-го-мӥтаваӈкӥ=ланэу-њи=лэ ундииси,пуику-м(и)
着いてそこから弟は飛び降りて
хулун-дии=гоањӥ,аак-чӥ-jӥ.гээнаамаӈ-каапаар(ӥ)бао-го-и=а~
岸に下りるのだ、兄の所へ。さあ抱き合って再会する、
ааг-ǯӥманэу-jиоǯо-кта-ӥ=гоањӥбао-го-хан-до-jӥ.эси=тэњии
兄の方が弟にキスをするのだ、再会した時に。
туи та-раатооко-ха~ннаӥ-салэгǯи=гоањӥтэи=тэњии,
それから上った、人々はたくさんなのだ、彼女は、
асӥ-њ(ӥ)=тањӥӥнаӥ-салхэмтообо-ӥсӥа-ваан-дӥӥ
妻は人々を全員上らせたり、食べさせたり
та-ӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)ǯи-чингур-сэл-бэ.тэипуjуучи-хэм-бэр(и)
するのだ、来た人々を。その煮た物を
уи-вэ=дээбооло-асӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ)чуӈнунаӥ-jа
誰一人として与え損なうことはないのだ、全員の人々を
сӥа-ваан-дӥӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ)асӥ-њӥ.э~ӈтэимэргэн=тэњии,
食べさせるのだ、妻は。そのムルグンは、
нэу-ǯимэмэргэн-ǯихаӥ-рӥӥ=а~асӥ-њ(ӥ)=тањӥӥхаӥлооулээн
弟の方のムルグンとどうする、その妻はとても良い
эктэби-чинпуǯин,асӥ-њӥ.тэи=тэњии,эǯи
 女であった、プジン、その妻は。彼女は、夫が
хаӈгӥа-ла-њӥ=даао-дадаасӥ=атултулэǯи-jиэтуумээчи-э
間違った変なことにならないようにいつもいつも自分の夫を見守っている
ундэ.тэигӥлон-ǯӥакалтаа-д(о)би-ипуǯин=тэњиитуи
という。あの左側の方にいるプジンはそのように
ао-рӥӥ-њ(ӥ)чадо.хэмээӈгу-ǯи-э-њ(и)туиби-и,уи=дээ
寝ている、そこで。黙っている、そのようである、誰も
ǯаралӥ-адаасӥ=ачала.туи та-мӥ=а ундииситэимэргэн=гулэ
話しかけはしない、彼女に。そうしてそのムルグンは
эм модан=гола ундииси,асӥ-jӥоӈаса-хан-до-а-њ(ӥ)долбо,
ある時自分の妻が眠り込んだ時に、夜、
элкээ~дао-ха-њӥ.дао-раа=латэипуǯим-бэ=лэтэњии
静か~に渡って行った。渡ってからそのプジンを今にも
хаӥ-ха-њӥ,туӈгэн-дулэ-њипасоала-ӥча-ха-њӥ,ӈаала-ǯӥ.
どうしようという時、胸の所に手を突っ込もうとした時、手を、
тэи=тэњиикучэлэ-хэнтэипуǯин."а~нанаэнэ эхэ~,"
彼女はナイフで刺した、そのプジンは。「ああ、痛い痛い、」と言って
энэ-и=гоањ(ӥ),наӥкучэлэ-и-ду-э-њи,гээнаӥчаӈсоап
行くのだ、人がナイフで刺した時に、さあ人はガバッと
тээ-гу-хэн=дэээс(и)=тэњииэикэ-њ(и)=тэњиинэу-jи=тэ(њии)
起き上がったが、姉は自分の妹を
тоӥкан-дӥӥ=даатоӥкан-дӥӥ,"сиихооњ(ӥ)та-ха-сӥ,наӥ-а
叱りに叱る、「おまえは何をしたのか、人を
хооњ(ӥ),туиэрдэлэ-хэ-си=дээ, хаӥчукин-дулэ-jи=дээээдэн
どうした、こんなふうに変な魔法を使ったのか、悪い心からバカな
та-а-чӥ=даа,"нэу-њ(и)=тэњииэнэ=дээдээнэнээ=дээун-дэси
ことをしたのね、」と、妹はアア痛いとも、ウウ痛いとも言わない、
хаӥ=даадаун-дэси-њи=гоањ(ӥ).эси=тэњиитуихаӥ-рӥӥ=го(ањӥ)
何も言わないのだ。そうしてどうするのだ、
туи та-мӥ ундииси э~тэи=тэњииињиињи
そうしてその姉は毎日毎日
тоӥкан-дӥӥ-њӥ=го(ањӥ)нэу-jитэи=тэњиитуита-мӥ
叱りつけるのだ、自分の妹を彼女はそうして
нэу-њ(и)=тэњиитолкӥчӥ-ӥ-њӥ=го(ањӥ)тэи,амбаарӥапуǯин.
その妹は夢を見るのだその、魔物のプジンは。
хаӥ,эммамаии-хэ-њи,сагǯӥ=о~мама.тэи=тэњии, "эњи
一人のおばあさんが入って来た、年老いたおばあさんだそれが
ичэ-гу-руу~,"ун-дии,"наӥхаӥ-го-ӥкоорхӥǯӥ-о-ха-њӥ=а"=мда.
「娘よ、」と言う、「人をどうしてうっかり傷つけたのか、」と。
"эимии,ǯуэхачӥноктоӥра-хам-бӥ,"ун-дии,"эи-ǯи
「これは私が、二つの種類の薬を持って来たものだ、」と言う、「これで
окчӥ-роо,"ун-дии,"наӥ-акоорхӥǯӥ-ха-сӥ
治せ、」と言う、「人をおまえがうっかり傷つけてしまったのは
маӈга-њӥ=гоањӥ=а"=мда."ǯуэабаха,"ун-дии,"соогǯо
ひどいようなのだ、」と。「二つの紙包みだが、」と言う、「黄色の
хукучэ-ку(-ду)би-и,соогǯоокто,сээгǯэнхукучэ-ку-дуби-и
包みをつけてある、黄色の薬は、赤い包みに包んである、
сээгǯэнокто,"ун-дии-њи."эмǯиӈэчуусоогǯон(-ǯӥ)хукучэ-ку
赤い薬は、」と言う。「一方の最も黄色い包みに包んで
би-и=дээбоӈго-донээ-хээри,"ун-дии,"тэи=тэњиимуǯи
あるのを最初に使え、」と言う、「それはカラス麦の
бода-њӥхуруӈгэ~наӥ-адэлу-ǯэрээ,"ун-дии-њи.туи
お粥の生煮えので、人は気を失うだろう、」と 言う。
та-п(ӥ)=тањӥӥ,ǯӥачӥмањӥ-а=тањӥӥ,сээгǯэнокто-ǯӥ,
そうしたらば、次の日に赤い薬で
окчӥ-хаарӥ,"ун-дии-њи."чаǯӥњаӈга~дэлу-и=э,"ун-дии,
治せ、」と言う。「それで少し 気を失う、」と言う、
туи та-м(ӥ)мэнэаjана-го-ӥ=а"=мда.гээтуи та-раа,
そうして後は勝手に良くなる、」と。さあそれから、
ээдэн=дээтолкӥчӥ-хам-ба[сразу]сэнэ-и-њихаӥ-го-ха-њӥ
バカだが夢を見たのを、すかさず目が覚めるとどうした、
[подушки]пэгиэ-лэ-њи хаӥ-ха-њӥпасоала-ха-њӥтэǯэ=дээ
まくらの下に手を突っ込んでみたら本当に
би-чи-њиǯуэ хаӥхачӥн,окто.инэ-учиэ-њи=лэ,эикэ-ду-jи
あった、二つの種類の薬。夜が明けると自分の姉に
буу-хэ-њи.эикэ-чиун-дии,"мааэи-jэ,"ун-дии,
渡した。姉へ言う、「ほうら取れ、これを、」と言う、
"окчӥ-роо=мда.эикэ-њ(и)=тэњиичава=тањӥӥ,"туитуи
「薬で治せ、」と。姉にそれを、「ああしてこうして
окчӥ-роо"=мгусэрэ-хэ-њиэикэ-чи-jи.гэээикэ-њ(и)=тэњии
治せ、」と話した、姉へ。さあ姉は
хаӥ-ха~нокчӥ-ӥ=гоањӥ,эси=тэњииту~лтулсоӥ-м(ӥ)
どうした、治すのだ、いつもいつもお叱りを
баа-рӥӥ-њӥ=го(ањӥ)тэи,пуǯин,ао-рӥӥпуǯинкол кол
受けているのだ、その、プジンは、寝ている、プジンは丸まって寝て
би-и-њи=гоањ(ӥ)сӥа-рӥӥ-њӥ=осабаа-њӥ=осуи=дээǯаралӥ-адаасӥ
いるのだ、食事は採っているのか、食べてないのか、誰も話しかけやしない
њоан-чӥ-а-њӥ.эси=тэњиитуиби-и~туиби-иэси=тэњии,
彼女へ。そうしている、そういている今、
наӥаj(а)очо-го-ханэну-иосӥ-ӥ=гоањӥнаӥǯоок-чӥ-jӥ.
人は良くなった、帰ることとなるのだ、人は自分の家へ。
эси=тэњиинаӥхэ~мбаргӥ-го-ӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)эси=тэњии,тэи,
人は全て支度を整えるのだ今、その、
пуjэ-вэбаа-ханмэргэн=тэњииǯаралӥ-адаасӥ
傷を受けたムルグンは話し出しもしない、
ǯӥлган-дадаасӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)хэмээӈгу-ǯи-э-њиби-и-њи=гоањ(ӥ).
声を出しもしない、ずっと黙ったままでいるのだ。
ко~л колтээси-и-њ(и)=гоањ(ӥ),наӥхэ~мхаǯом(-ба)
丸くなって座っているのだ、人は全ての家財を
ээву-гу-хэн=дээээву-э-лњиэ-гу-э-лњиэ-рэдээсихаӥ-радаасӥ
持って下りたが、人々は持って下りた、出たのに、出やしない、何もしない、
кол колдамхӥ-ваомӥ-м(ӥ)тээси-эундэтэихуэ-ду.
丸くなってタバコを吸って座っているという、そのオンドルの端に。
асӥ-њ(ӥ)=тањӥӥ"гээбала~наӥсусу-гу-гу-ихалачӥ-ӥгээ
妻は、「さあ早く人は出発します、待っています、さあ
бала,"асӥ,тэиасӥ-њ(ӥ)=тањӥӥтул тулуикэ даа-чӥ-а-њӥ
早く、」妻は、その妻はずうっと戸口の所へ
уикэ даа-чӥ-а-њӥтоо-кпаачӥ-аундээǯи-jи.туи та-мӥ=а=ла
戸口の所へ来るのを待っているという、夫を。そうして
ундииси э~ӈхаӥ-ха-њӥ.мэргэнтээси-хэм(-би)дуэ-ду-э-њи
どうした。ムルグンはずうっと座っていた 末に
ундиисидааӥкоӈгоро-jӥмана-мӥтэи,амбаарӥапуǯин
大きく巻いてあったタバコも尽きてその、魔物のプジンの
ǯӥлӥ-чӥ-а-њӥ катара-мӥээву-гу-хэ-њи.ээву-гу-и-ǯи-jигэсэ
頭へ その髪の毛をひっつかんで連れて河へ下りた。連れて下りるやいなや
хаӥ-чӥ,гӥла-чӥнаӈгала-го-ха-њӥ.эси=тэњиитаваӈк(ӥ)
大きな船へぶん投げた。そこから
эну-и-л=гоањӥ~туиэну-хэнэну-хэнӥсӥ-го-ха~нǯоо-варӥ.
去るのだ、そうして去った、去った、着いた、自分たちの家に。
ǯоо-jӥ=тањӥӥ ундииси, хаӥ,баӈсала-го-хан=тањ(ӥӥ)ǯоан
自分の家を蹴っとばしたらば、
даа-њ(ӥ)ǯоо,хуjундаахурбуосӥо-го-ха-њӥ.э~ӈ
メートルの家に、メートルの小屋になった。
амӥ-њӥэњи-њи=лээсикуэх куэ~хсагдаӈ-го-хам-ба-њ(ӥ)=тањӥӥ,
父と母が今やヨボヨボに年老いてしまっていたのを、
тооко-ӥ нолǯӥн-ǯӥ-а-њ(ӥ)=та(њӥӥ)эњим(-би)ǯапа-раапором(-бӥ)
家に上るやいなや自分の母をつかんで自分の頭のてっぺん
дабалнаӈгала-ха-њӥ,киркэ~ би-имамаосӥо-го-хан,амӥ-м(ӥ)
越しに投げた、やや老いたぐらいのおばあさんになった、自分の父を
ǯапа-раапором(-бӥ)дабалнаӈгала-хантэимапа=даакиркэ~
つかんで越しに投げた、そのおじいさんもやや老いた
би-имапаосӥ-го-ха~н.гэээси=тэњии=эпиктэ-эр(и)
ぐらいのおじいさんになった。さあ自分たちの子供が
ǯиǯу-хэм-бэ-њ(и)=тэ(њии)агда-насӥ-ӥ-чӥǯуэнаӥ-вахуэдэ-хэ-чи
戻って来たのを喜ぶ、二人の人を失ったのが
хэмтугэсэǯиǯу-хэ-чи.туи та-раа~туиби-эун-дии
両方いっしょに戻って来た。それからそうしているという、
ааг-ǯӥмаваӥлаби-и,иргэн-дуосӥо-го-ха~н,дуjу-лэ-њи
兄の方は岸の方にある、村に落ち着いた、森の方には
бунǯиэмэргэносӥо-го-ха(н)...тэи,нэу-ǯимэмэргэн
我らがムルグンが落ち着いた、その、弟の方のムルグンが
осӥо-го-хантуибалǯӥ-а-л=гоањ(ӥ).туибалǯӥ-ӥ-до-а-чӥ=а~=ла
居を構えた、そうして暮らしているのだ。そうして暮らしている時に
ундииси=э,наӥхаӥ-рапулси-и=гоањӥ,тэи,мэргэн=тэњии
人は狩りをして歩き回るのだが、その、ムルグンは
тэиамбаарӥапуǯим-бэтултултоӥкан-дӥӥ-њ(ӥ)=го(ањӥ)тэи
その魔物のプジンをいつもいつも叱るのだ、その
сада~ сада би-иǯӥлӥ=даа анаахаӥ=даа анаа.тэи=тэњии
バサバサで頭も何も わからないのを。その
асӥ-њ(ӥ)=тањӥӥун-дии-њи=гоањӥ,"анда мэргэ~н,наӥ-а
妻は言うのだ、「ムルグンよ、人を
эрулэ-э-чи хаӥ, саакса-до=даааjа=тањӥӥ,палаан-до=даа
お責めになるのは、窓の霜を落とさないとかならいいけど、床掃除をしないとか
аjа=тањӥӥ,"ун-дии,"хаӥ-го-ӥкэту=дээмаӈгаэрулэ-и-си=э=м
ならいいけれども、」と言う、「どうしてあまりにひどく苦しめすぎですよ
наӥхооњ(ӥ)=даата-ка=м=даада."туи,хаӥ-рӥӥ-њӥ=гоањ(ӥ),
人がいったい何をしたというのです。」と、そうしてどうするのだ、
наамбӥча-ӥ-њӥ=го(ањӥ).туи та-мӥ~jэбэ-лээ~осӥ-хан
なだめ、説得するのだ。そうして少しましになった、
тоӥкан-дӥӥ,индэ-пи=э~тоӥкан-даата-ӥ.туи та-мӥ
叱るのが、数日間を空けては叱ったりするようになった。そうして
тоӥкан-дадаасӥосӥо-го-ха-њӥ.туиби-мээриундииси
全く叱らなくなった。そうして暮らしていて
ваӥ-ла=ла~экэ-сэл=гулэ ундииси,мэлǯэ-мээр(и) дэруу-хэн мэн
岸辺のあたりで、女たちが 競争をし始めた、 めいめい
мэнулээн-ǯи-эри.уи=дээчууулээнбалǯӥча-ко-њӥ,чуу
それぞれの良さを競って。誰が最も良い顔立ちに生まれついたかを、最も
улээн,нуктэ-њиоњӥмӥ-њӥ.э~си=тэњиитэиǯуээукэ-њи=дээ
良く、髪の毛が長いかを。あの二人の兄嫁も、
тэињоањӥгааǯо-ха-њӥасӥ-њӥ=даатуихаӥ-рӥӥ=jа~лтэи,
その彼が連れてきた妻もそうして競う、
туита-маарӥ=а ундииси=э~хаӥ-ха-њӥ.эситэипуǯим-бэ
そうしてどうした。そのプジンを
гэлэ-и=гоањ(ӥ),нээээву-гу-псиӈ-кин,тэи=лэпуǯиӈ-гу-jи,
来るよう求めるのだ、すぐに連れて下りて来た、そのプジンを、
амбаарӥатэисада сада би-ипуǯинун-дии-њи=гоањ(ӥ),
魔物のようなその頭もバサバサのプジンが言うのだ、
"гээ~суэхоалааӈ-кӥ-со~,суэтуидаӥча-ха-со,
「さあ、あなたたちが騒いで、あなたたちがこうも大声をあげていたら、
мэдэ-куосӥо-го-ǯараа,"ун-дии-њи."хаӥ=дааосӥ-ӥ=даа
知れわたることでしょうよ、」と言う。「何でもなるように
осӥ-ǯараа"=мда.эси=тэњиитэи=тэњии,"гээаjа~
なるでしょう、」と。彼女は「さあ、いいわ、
мэлǯэ-гу-ури,"ун-дии,"уи=дээулээм-бэ-њи,уи=дээ
競争しましょう、」と言う、「誰こそが顔が良いかを、誰こそが
хаӥ-ва-њӥнуктэ-њиоњӥмӥ-ва-њӥ=даа."эси=тэњиитэи=лэ
髪の毛が長いかを。」その
пуǯин=гулэ ундииси,порон-дола-jӥ=ла ундииси=э,чоӥр
プジンは自分の頭のてっぺんからビリビリと
тата-ха-њӥ.э~ӈомолгӥча-ла=даа.тэи=тэњии,тэи=тэњии
破いて引き裂いた。帯の、腰の所まで、だ。それはそれはその
наӥчаагǯа-њӥӥ,наӥнуктэ-њиоњӥмӥ-њӥӥ=тањӥӥуи=дээдэ
人の色の白いことといったら、人の髪の毛の長いことといったら誰も
ӥсӥ-адаасӥ=а,баӥǯупукэнэ-хэ-њи.туи ǯупук туи
かなわなかったが、すぐにガバッと元に戻ってしまった。そしてガバッと閉じて
очо-го-хантуи та-мӥ=даасо~ӈго-м(ӥ)тооко-ханундэ,
元通りになってしまった、そうして泣き泣き家に上ったという、
соӈго-ӥ=даасоӈго-ӥдааӥǯӥлган-ǯӥтуинаӥмээп(и)
泣くも泣く、大きい声で、ああして人が自分を
тоӥкан-дӥӥ=дааэчиэ соӈго-а.эси=тэњиисоӈго-ӥ=даасоӈго-ӥ
叱っても泣かなかったというのに。泣きに泣き
та-аундэ,"суэтуибалǯӥ-ха-сотуиосӥ-ха-со,хамачаа
するという、「あなた達はそう生まれてそうなった、何でも
осӥ-ӥ=дааосӥ-ǯараа,"ун-дии-њи.эси=тэњиитуи
なるようになるでしょう、」と言う。そうして
соӈго-ӥ-до-а-њӥ=а=дааэǯи-њиэлэ=бэк(и)эу-гу-хэ-њи.туи
泣いているうちにも夫はもう森から下りて来た。
та-ӥ-ǯӥ-jӥгэсэун-дии-њи=гоањ(ӥ),асӥ-њӥ=лахаӥ-м(ӥ)туи
下りてくるとすぐ言うのだ、妻はどうしてこんなに
тургэнǯиǯу-хэ-њи=э=мэрдэӈгэси-м(и)мэдэси-и-њ(и)=дээкол кол
速く戻って来たのかと不思議に思って訊いてみるのだが丸くなって
би-итэимэргэнхаӥ=дааǯаралӥ-адаасӥ=а.эси=тэњии,
いるばかりでそのムルグンは何も言い出さない。
сӥа-го-а-њӥбуу-хэм-бэ-њ(и)=дээсӥа-радаасӥ,туи та-раа=даа,
食事を出したのだがそれも食べやしない、それから
даӥ-лагогда-ǯӥкоӈгоро-ӥ-ǯӥ-jӥгэсэбоа-чӥњиэ-рээваӥс(ӥ)
パイプに高くタバコを筒に巻くとすぐに外へ出て岸の方へ
эу-хэ-њи.ваӥс(ӥ)эу-хэ-њиааӈ-њӥби-ми~би-эундэ
下りて行った。岸の方へ下りると、兄が住んでいるという、
ǯоог-дола,ǯиǯу-хэ-њиэлээ,пулси-хэн-ǯи-jи.э~ӈундииси
家に、戻って来ているもう、 狩りに歩き回っていたのから。
туи та-рааун-дии-њи=гоа(њӥ),"гээаапаӈ(гоа)эси=мэ~
それから言うのだ、「ああ弟よ、今頃になってやっと
ǯи-чи-њи.э~ӈаапаӈгоундииси,эси=тэњииэукэ-нээ-њи
来たのか。ああ弟よ、さて兄嫁たちよ
гээсӥа-го-а-њ(ӥ)туjуу-руу=дээтуjуу-уу-су,"
さあ食事をもてなせ 御馳走しろ、」(と言う。)
эси=тэњиикоатаа баргӥ-чӥ-ӥ=а~наӥтуjуу-хэн=дээсӥа-радаасӥ.
食器をカチャカチャいわせて 準備する、人がもてなしたが食べもしない。
"мииэсиэу-гу-исӥа-хам-бӥ,"ун-дии,"ǯулээ=дээ."э~ӈ
「私は下りるのに食べて来たばかりだ、」と言う、「先に、だ。」
эукэ-нээ-њ(и)=тэњиитэиǯуэ,пуǯин=тэњиихаӥ-до
兄嫁たちは、その二人のプジンはどこに
тээси-и-чи=гоањ(ӥ),голǯ(он)кӥра-до-а-њӥдамхӥ-ваомӥ-маар(ӥ)
座っていたのか、かまどの際にタバコを吸って
тээси-эундэ.эммэргэн=гулэњиэ-гу-и-ду-jи=лэтэи,
座っているという。ムルグンは出ていく時にその、
даӥ-jӥтааво-нда-ха-њӥ.њоанчӥǯуэ гурунтуитээси-и-њи
自分のパイプに火を点けに行った。彼ら二人がそうして座っている
алдан-дола-њӥ,"эукэ-нээ~,"ун-дии,"эрдэӈгэхаӥ=даа"=мда.
その間へ、「義姉さんたちよ、」と 言う、「不思議だ、何とも、」と。
"суэдааӥгур-сэлњаӈгахамасӥ-ло-орӥ осӥњӥ аjа=гоањӥ"=мда.
「あなたがた年上の人たちが少し後ろに下がってくれたなら よいのだが、
"эси=тэњиихаӥ=дааоркӥнǯака,хаӥ=даамаӈга би-и=дээ
何やかやと悪い事が、何やかやと困った事があるのも
минчиӥсӥ-ǯараа~ хаӥ=даа,кӥӥрӥ-ӥ=дааминдулэкӥӥрӥ-ǯараа,
私にふりかかってくるだろう、起こる事件も私に触れて来るだろう、」
ун-дии-њи,туи у-ми њиэ-гу-хэ-њи."хамасӥ-ло-ха-сӥ хаӥ
と 言う、そう言って 出て行った。少し遠慮して身を引いてくれていたならば
туи о-дам(ӥ)нуучикээнǯуэн туи гоо анаада-ӥ-ва-њӥ."
こんなふうになりはしなかった、小さい者達がああしてメチャクチャな時に。」
э~си=тэњиитэи=тэ(њии)ааӈ(-њӥ)=тањӥӥуикэ-вэ
さあて今その兄は(弟が)戸を
дасӥ-го-ӥ-њӥ=та(њӥӥ)эус(и)таас таас таас таас
閉めるとすぐにそこへ来てバチバチ、バチバチと
тоӥкан-даундэасӥ-jӥ=лаундииситэиǯуэпуǯим-бэ.
叩いて叱るという、自分の妻をその二人のプジンを。
э~ӈ"нэу-jи=jэ,"ун-дии,"хаӥ=даабаӥтаанаа,хаал(ӥ)=даа
「私の弟は、」と言う、「何も問題がなければいつだって
ǯи-дэси,"ун-дии,"хамачаа=ла улкиэндэ-хэ-су=дээ,хамачаа-ва
来たりはしない、」と言う、「何かおまえたちが悪ふざけをしたか、何か
эрдэлэ-хэ-су=дээ,"пакпарӥ-аундэтэи=тэњиидуктэ-и=дээдуктэ-и,
不思議な行いをしたのだな、」と叱るという、彼は叩きに叩く、
таас таастаас таасдуктэ-эундэтэи=лэǯуэ
バチバチ、バチバチ、叩くという、その二人の
пуǯим-бэ=лэ,ǯуэ-туӈэнуктэ-вэ-њ(и)=дээкап,ǯуэǯӥлӥ-ва-њ(ӥ)
プジンを、二人ともその髪の毛をむんずと二人の頭を
ǯапа-раатад(о)дуктэ-и-њ(и)=го(ањӥ)ǯуэ-туӈэмоо-ǯӥ.
ひっつかんでそこで叩くのだ、二人とも棒で。
э~ӈмэргэн=гулэтооко-ха-њӥун-дии
ムルグンは上ったという、
тооко-ӥ-ǯӥ-jӥ гэсэ ундииси э~ хaӥ,такто-чӥэнэ-хэ-њи
上るやいなやすぐに倉へ行った、
гӥда-jӥǯапа-го-рааии-гу-хэ-њи.эси=тэњииундииси=э,туи
自分の槍をつかむやいなや入って来た。そう
та-ӥ-до-а-њӥэлчиу-сэлхоалаан-да,"амбаанǯи-дии=jэ~,амбаан
する時に奴隷達が大声で騒ぐ、「魔物が来るぞ、魔物が
дао-рӥӥ=jэ"=м,"багӥа-ǯӥадао-рӥӥ=jэ,пукчи-м(и)дао-рӥӥ=jэ,
渡ってくる、」と、「向こう岸から渡って来る、跳ねて駆けて渡って来る、
амбаанǯи-дии=jэ"=мээр(и)хоалаан-даундэ.э~ӈэс(и)=тэњии
魔物がやって来るぞ、」と大声で騒ぐという。
ундиисимэргэн=тэњииундииси=э,хаӥ-ха-њӥ,уикэ
ムルグンはどうした、ドアの
даа-до-а-њӥ=лаундииси,уикэкэндэрхин-ǯи-э-њисикулэ-рээ,
戸口の所にドアの敷居で足を押さえて、
тээ-хэ-њи.э~ӈтэи=лэамбаа-њӥ=лаундиисиуикэ-вэ
座っていた。その魔物が戸を
њихэли-и-ду-jиа~ӈаӈма-jӥтоӥга-ӥ-до-а-њӥ=ла
開ける時に、その口を大きく開く時に、
гӥдала-ӥ-до-а-њӥ=лаундииси=ээ~ӈтэи=лэгӥдала-ӥ-њ(ӥ)
槍で刺す時、彼は槍で刺す、
моӈман-дола-њ(ӥ)=тањӥӥэмарчокаан=голанаса-jӥморо моро
その時に一人の娘がその目を大きく見開いて
доо-чӥпагǯӥала-ха-њӥ.э~ӈтуи та-рааэси=тэњиитэи=тэњии
家の中へ走り込んで来た。それからその
ундиисимэргэн=гулэхамӥакто-ла-њ(ӥ)тэиарчокаам(-ба)доо-чӥ
ムルグンがその後を追ってその娘を家の中へ
гэлэ-ндэ-гу-и-ду-э-њи=лэундииси=э,асӥ-њ(ӥ)ǯапа-ха-њӥ
探しに行こうとする時に、彼の妻がつかんだ、
кэркичэ(-ду)тээси-иасӥ-њӥ."анда~ мэргэн,"ун-дии,
かまどの横の場所に座っている妻が。「ムルグンよ、」と言う、
"хаӥ-го-jӥта-ӥ-сӥ,наӥ-ахорӥ-хам-бӥ=даахаӥ-ва-њ(ӥ)
「どうしようとしているのか、人を救ったのを、それを
туи, ваа-ӥча-ӥ-сӥ=даа,"гээǯапалаачӥ-ӥ=гоањ(ӥ),туи
殺そうとなさるのですか、」とさあ離さずつかんでおくのだ、
та-мӥ=а~туруу-хэ-њи."э~ӈсаакса-долахаӥсарга-раа
そうして止めた。「霜にだってどうして飽きて、
палаан-долахаӥпаӥхало-раа,"ун-дии,"наӥ-ахаӥ-го-jӥ,
床にだってなんで退屈で気が滅入って、」と 言う、「人を何のために、
наӥ-ахорӥ-хам-бӥ,хаӥ-го-jӥваа-ӥча-ӥ-сӥ"=м.э~ӈтэи
人を助けたのに、何のために殺そうとなさるのか、」と。その
арчокаансоӈго-ӥ=даасоӈго-ӥ-њ(ӥ)=гоањӥ.э~ӈтуи,
娘は泣きに泣くのだ。そうして
хаӥ-рӥӥ-њӥ=а,туруу-хэнасӥ-њӥ.туи та-п(ӥ)=ма~тэи
止めた、彼の妻が。そうしたところでやっとその
амбаарӥапуǯин=тэњиихаӥлаваа~дасулээнэктэочо-го-ха-њӥ,
魔物のプジンはなんとも良い女になった、
гээтэичаǯӥулээнасӥла-го-ӥ=гоањ(ӥ).э~ӈтэи
さあ彼はそれで良く妻をめとるのだ。その
пуǯин=тэњии,доо-jӥпаава-доочо-го-ха~н,тэи,
プジンは、中の窓の所に落ち着いた、あの、
ваа-ӥча-ха-њӥтэи,амбаа(н)арчокаан=тањӥӥби-чи-њи,
殺そうとしたあの、魔物の娘がいた、
дао-ханарчокаам-бахорӥ-хан=тањӥӥтэи=тэњииундиисихаӥ,
渡って来た娘を救ったのはそれは
талгаа-доби-и=гоањӥхамачаа=даа каока о-дасӥ ǯээ
奥から離れた戸口の方の場所にいるのだ。なにしろ じっとしていない、並みの
хатан=нооǯээмэргэн=нуутэи=тэњии,бэjэ-њихэњуу-њи
速さじゃない、並みのムルグンじゃない、その、体の軽く敏捷な
тэиарчокаан.чаǯӥ=латуибалǯӥ-ӥэлээ.
その娘。それでそうして暮らす、終わり。