12. ǯэрчу

ジュルチュ

1996年8月18日、ナイヒン村にて、К. А. Киле氏より録音。


эикэнэу~пуǯинбалǯӥ-ха-њӥтэи=тэњиитуиби-и=гоањӥ=а~
姉と妹のプジンが暮らしていた、彼らはそうして暮らしているのだ、
гуǯэлэ.сӥа-го-ар(ӥ) мэнэ~ хаӥ-jа-лгуǯэлэ.туи
かわいそうに。自分達の食べ物も自分で得ているのだ、かわいそうに。そうして
ваа-маар(ӥ)сӥа-рӥӥ-чӥ.туи та-мӥ=а=тањӥӥэммоданэикэ-њи
獣を捕って食べている。そうしてある姉は
ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ),хаӥ=а~нэу-њи,"эгээ~,"ун-дии,"эи
言うのだ、じゃなかった、妹が、「姉さん、」と言う、「この
дуjэ-чи-jиамтакаӈаањӥ-го-арӥ,"ун-дии,"сӥа-го-ар(ӥ)
山の方へベリーを採りに行きましょうよ、」と言う、「私達の食べ物に
гаакта-ва."тэигаакта-њ(ӥ)=тањӥӥ,ӈааӥ-ха-чӥ,
ツルコケモモを。」そのツルコケモモを採りに出かけた、
эикэ-мулиэ-њи,эммуэлуу-вэǯапа-раамуэлуу-д(у)тӥас
姉と二人で、一つバケツをつかんで、バケツにぎっしり
гэрбэ-рэээу-гу-хэ-чи.эу-гу-рээмалонакан-до-а-њӥ~
集めて下りて来た。下りて来てから真ん中の席のオンドルに
нээ-хэ-чи.муэлуу-эр(и)мэӈдээн=дээамтака-ӈго-арӥ.
置いた。バケツ丸ごとベリーをだ。
чадо=тањӥӥ,хаӥ-ва,абаа,туиби-эсиэǯиэнэ(1),тэи
そこで、その
амтака-ӈго-а(рӥ)муэлуу=тэњиималонакан-до-а-њӥнээ-рээ=тэњии
ベリーのバケツを真ん中の席のオンドルに置いて
гучи,ǯӥаињи=эгучиамтакаӈааӥ-ха-чӥ.дуиси
また、次の日にまたベリーを採りにでかけた。山の方へ
эикэ-мулиэǯуэрэ-кээн=дээ.чадо=тањӥӥэикэ-њи=тэњииун-дии,
姉といっしょに二人っきりで、だ。そこで姉は言う、
"эǯиэнэ~миичиэчи-ндэ-гу-jэ,мимбиэкаокаӥлӥ-раа
「ちょっと待って、私はトイレに言って来るわ、私をちょっと立って
халачӥ-роо,"ун-дии-њ(и),эикэ-њ(и)=тэњиичиэчи-ндэ-хэ-њи.
待ってておくれ、」と言う、姉は小便しに行った。
ананатуи та-мӥоӈаака-њӥ=аоӈаак оӈаакта-аундэ,
あららそうすると赤ん坊がオギャアオギャア泣いているという、
тухилэ-хэ-њи.т(о)тарааǯиǯу-хэ-њинэу-jибааро(-а-њӥ).
両手で抱え上げた。それから戻って来た、妹の方へ。
нэу-њиун-дии-њи"хаӥ-добаа-ха-сӥ,"ун-дии-њ(и),"аjа~,"
妹は言う、「どこで見つけたのか、」と言う、「いいでしょ、」
ун-дии,"ээпаӈго,ээпиктэанаа-допиктэ-гу-jи,эǯи
と言う、「妹よ、子供がいなければ子供とし、夫が
анаа-доэǯи-гу-ури,эǯи-гу-ури,"ун-дии-њ(и).ǯуэ(р)доо
いなければ夫としようじゃあないの、」と言う。二枚の中の方の
ээлэǯуэ(р)дааээлэосӥ-раа=даа.тэипиктэ-вэ."буэ
裾と、二枚の外側の裾でくるんで、だ。その子供を。「私達は
пиктэ=дээанаа,аjа"=м."эǯи-гу-jи...эǯи-jи=дээаjа.
子供もいない、いいでしょ、」と。「夫としてもいい。
пиктэ-гу-jиэǯи-jи=дээаjа"=м.тотамӥчӥхала-раатуигэсэ~
子供としても夫としてもいい、」と。そうして同意してそうして一緒に
уǯи-мээр(и)туиби-и-чи=гоањ(ӥ).абаа,чиэчи-и-ду-jи
育ててそうして暮らしているのだ。違った、小便をしに行く時、
чадо=та(њӥӥ)моооӈголо-до-а-њ(ӥ)баа-рӥӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),тэи
そこで木のうろの所に見つけるのだった、その
оӈаака-ва.чиэчи-ндэ-рэээнэ-м(и)тэимоооӈголо-до-а-њ(ӥ).
赤ん坊を。小便をしに行ってその木のうろの所に。
баа-ха-њӥэмоӈаакахусэпиктэ-вэ.гээтотараа
見つけた、一人の赤ん坊、男の子供を。さあそれから
чава=тањӥӥтэиэикэ-њиэу-гу-хэннэу-њи=дээчӥхала-ӥ=гоањӥ
それをその姉が持って下りて来た、妹も賛成するのだ、
гэсээу-гу-рээ,ǯоог-доэмуэ-гу-эри,баргӥчӥ-маар(ӥ)=даа
一緒に山から下りて、家で揺り篭を、用意したり、
олгомӥла-ӥта-раа,уилэолгомӥ-го-рааэмуси-и-чи,чэӈгэ~
吊るす紐を作ったりして、上から吊るす紐を作って揺すってあやす、ブラブラ
чэӈгээмуси-и-чи.туиби-и-чи=гоањ(ӥ)чадо.туи та-мӥ,
ユラユラ揺すってあやす。そうして暮らしているのだ、そこで。そうして
эикэ-њиун-дии-њи,хаӥ=анэу-њи,"эгээ~,"ун-дии,
妹が「姉さん、」と言う、
"минду=дэээмбэ~ моданнэку-вэбуу-м(и)=дээаjа,мии=дээ
「私にも一回弟を渡してくれてもいいじゃない、私も
оӥбаӈ-го-ӥ-ва"=мда.тотарааэњуэ-jи,тӥасмуэ-вэ
可愛がりたいわ、」と。それから鍋に、たっぷり水を
нээ-хэ-чи=тэњииээтава-ар(ӥ)оjаӈ-кӥ(н)эњуэ=тэњиипуиси-и.
入れた、火をおこした、鍋が煮える。
тэи=тэњиитуӈкэ-в(э)ачо-раа,тэиэикэ-њи=тэњиикањӥ-д(о)
妹は蓋を取って、その姉はオンドルに
тээси-м(и)гэлэ-и-њ(и)=гоањ(ӥ)тэипиктэ-вэ-њи,нэу-jи
座っていて求めるのだ、その子供を、妹の
пиктэ-вэ-њи."мии=дээаласӥ-го-jабуу-руу,"ун-дии-њи,
子供を。「私も可愛がりたいわ、渡して、」と言う、
"оǯо-го-jа."гээ,тэиаласӥ-го(-а-њӥ)алоо-рӥӥ-њ(ӥ).
「キスしたいわ。」さあ、その可愛がるために手渡す。
алоо-рӥӥ-до-jӥтэипуиси-иэњуэчуултугбу-хэ-њи,тэи
その手渡す時にその煮え立った鍋にまっすぐに落としてしまった、その
пиктэ.тота(раа)тугбу-и-ǯи-jи гэсэ,туӈкэлэгэ-хэ-чи
子供を。それから落としてしまうやいなや、蓋をした、
оjаа-ла-њӥ=тањӥӥǯоло-(в)аэгǯи-вэнээ-хэ-чи.туӈкэ
その上に石をたくさん置いた。蓋が
њихэли-гу-эси-ǯи-э-њи.туи та-раа=тањӥӥгээбу-дии=гоањ(ӥ)
開かないように。それからさあ死ぬのだ、
тэиоӈаака-њӥ.туитуӈкэ-рээǯоло-ǯ(ӥ)чирэ-рээ=тэњии,
その赤ん坊は。そうして蓋をして、石で押さえて、
ноачӥ=тањӥӥчоча-маар(ӥ)энэ-и-читэиǯуээктэ.энэ-мээри
彼らは逃げて行く、その二人の女は。行って
энэ-мээриоњӥдаа-ваӥсӥ-ха-чӥ.туи та(-раа)оњӥ-а
行って川の河口に着いた。それから小川を
њаӈгауиситоо-раа,эсидоолǯӥ-ха-чӥнаӥтоа~ктоак
少し上へ上ってから、聞いた、人がコ~ンコ~ンと
чапчӥ-ӥ-ва-њӥ.тэичапчӥ-ӥ-до-а-њ(ӥ)=тањӥӥ,таосӥэу-гу-хэ-чи
木を切る音を。その誰かが木を切っている時に、そっちへ下りて行った、
оњӥǯэрин-чи-э-њи."анда~мэргэн,"уӈ-ки,"бумбиэ
小川の端の岸辺へ。「ムルグンよ、」と言った、「私たちを
аǯӥ-роо,бумбиэхорӥ-роо"=мда."хооњаа=даадагборӥ-роо"=м,
守れ、私たちを救え、」と。「どうにかして渡らせろ、」と。
"бумбиэ.эиоњӥ-а."тотараа=та(њӥӥ)тэимэргэн=тэњии,
「私たちを。この小川を。」それからそのムルグンは、
сурэ-jимоо-ӈго-jӥнаа-донээ-рээ,оњӥ-чӥэу-рээ,бэгǯи-jи
斧を、割っていた木を地面に置いて、小川へ下りてから、自分の足を
сикулэ-хэ-њи.ǯуэтуӈубэгǯи-jи.оњӥ-(в)аjап
伸ばした。両方の足を。川を横切って
сикулэ-хэ-њи."гээчалӥдао-расӥ=к(аа),"тотараатэи,наӥ
足を伸ばした。「さあここを通って渡らないか、」それからその、人の
бэг...мапабэгǯи-лэ-њи=тэњиихаӥтэи,ǯэрчу~ǯэрчу,
じいさんの足を通ってその、ジュルチュの
бэгǯи-лэ-њ(и)=тэњиитуитэмтээ-мээр(и)дао-ха-чӥ,оњӥ-а.
足を通って、そうして細い所を通って渡った、小川を。
гээǯэрчу=тэњиитэиэкэ-сэлдаао-рааӥлӥ-го-ӥ=гоањӥ."аӥта
さあジュルチュはその女たちを渡らせてから立つのだ。「なあ、
мииǯоок-чӥ-jӥии-рээби-уу-су~,"ун-дии-њи.
私の家へ入ってそこにいろ、」と言う。
"амбаа-ӈго-соэлээӥсӥ-ӥ-jа"=м."каокаби-хээр-су,"
「おまえたちの魔物はもうすぐ到着するぞ、」と。「じっと静かにしていよ、」
ун-дии,"эǯи=дээњиэ-рэ-су,мии=тэњииэи-дуби-ǯээм-би,"
と言う、「絶対に外へ出るな、私はここにいるから、」と
уӈ-ки(н),гээ.т(о)тараатэипуǯи-сэлии-хэ~н,
言った、さあ。それからそのプジンたちは入った、
ии-гу-рээ=тэњиисӥа-го-а-њ(ӥ)буу-ктэ-хэ-њи"сӥа-роо-со~,"
入ってから食べ物を与えた、「食べろ、」と
ун-дии,"ǯэ-муси-э-су=тэњии,"ун-дии-њ(и),"амбаанхасоа-до(2)
言う、「ハラがへっただろう、」と言う、「魔物が追って来る時に
пулси-мээри."тотараањиэ-гу-рээ,чадоби-и-ду-э-њи=э~эм
歩き回って。」それから外に出てから、そこにいる時に、一人の
мапаагбӥӈ-кӥн,ǯи-чин."амǯэрчу~,"уӈ-кин,"мии
じいさんが現れた、やって来た。「ジュルチュよ、」と言った、「私の
бэjуӈ-гу-jипокто,эи=лэ~би-эс(и)=кээ~,"ун-дии,
追っている獣の足跡が、こっちへ続いているじゃあないか、」と言う、
"хао(сӥ)эну-хэ-чи=э"=мдэ."эдэдэнаӥ-ǯӥӈээлэ-ибэjун
「どこへ奴らは行ったのか、」と。「あれあれ人を恐がる獣が
ханда-м(ӥ)ǯи-дэ~,"уӈ-ки-њи,"наӥ-чӥ.мии=кэээчиэ
どうして来たりするだろうか、」と言った、「人間の方へ。私は
ичэ-э-jэ"=м."гэээǯи туи та-ра~,"ун-дии-њ(и)"ǯэрчу~,
見なかったよ。」「おい、そんなことを言うな、」と言う、「ジュルチュ~、
эи,покто-њӥэи=лэ~би-эс(и)=кээ~,"ун-дии-њ(и),
この、足跡がここにあるじゃないか、」と言う、
"дагборӥ-ха-с(ӥ)=тањӥӥ"=мда."миихаӥ-ǯӥдагбор(ӥ)-орӥ"=а,
「おまえが渡してやったんだろう、」と。「私が何で渡せられるだろうか、」
ун-дии-њ(и),"огда=дааанаа-jӥ,хаӥ=дааанаа-jӥ"=м.гээ
と言う、「舟も私にはないし、何にもないぜ、」と。さあ
туиби-и-њ(и).туи та-мӥтэимапаун-дии-њ(и),"ам
そうしている。そうしてそのじいさんは言う、
"ǯэрчу~,"уӈ-кин,"мимбиэдагборӥ-роо"=мда."миихаӥ-ǯӥ
「ジュルチュよ、」と言った、「私を渡らせよ、」と言う。「私が何で
дагбор(ӥ)-орӥ,"ун-дии,"огдаанаа-ǯӥ-jӥ."тотарааоњӥ
渡らせるべきか、」と言う、「舟もなくて。」それから小川の
ǯэрин-чиэу-рээбэгǯи-jи,эмтэӈгаксӥдаанбэгǯи-jиjап
端へ下りて自分の足を、一本、ただ片方の足を川を横切って
сикулэ-хэ-њи."гээ,чалӥдао-роо,"ун-дии,"хооњ(ӥ)
伸ばした。「さあ、これに沿って渡れ、」と言う、「どうやって
даа-орӥ,чала.""бу-дэси-си,"уӈ-кин."аjа"=мда.тота(раа)
渡るべきか、こんな所を。」「死にはしないよ、」と言った。「よし、」と。それから
тэимапабэгǯи-лэ-њидао-м(ӥ)=тањӥӥтэӈоњӥтоком-ба
そのじいさんは足を通って渡ってちょうど小川の真ん中に
ӥсӥ-ӥ-њӥбэгǯи-jилоортоо-вааӈ-кӥ-њӥ.гээтэинаӥ=тањӥӥ
着こうという時に自分の足をパッと持ち上げた。さあその人は、
мапа=тањӥӥчупуктуу-рии=гоањӥ.кота-њ(ӥ)коксӥарӥа~
じいさんはドボンッと落ちるのだ。胃はパンパンに、
пухи-њ(и)пукчээри(э)хэjэ-псиӈ-кин.оњӥ-(в)а-њ(ӥ)даа-чӥ.
腸は球のように膨れあがって流れ出した。小川を河口へ。
оњӥдаа-до-а-њ(ӥ)=тањӥӥпоjонмаӈга-њӥ=гоањ(ӥ),хэjэ-и-њи.
小川の河口には渦がすごいのだ、激しく流れている。
[течень]туи,суэхаӥ-аун-дии-ситэихэjэ-вэ.[течень]
流れがそんなだ、おまえたちは何と言うのか、そういう流れを。流れを
хаӥ-аун-дии-си.хэjэун-дии-су?поjо(н)ун-дии,хаӥ-а
何と言うのか、「フユ」と言うのか?「ポヨン」と言う、何と
ун-дии-су.тэи[силиныйтеченьтак]туи
言うんだ?その強い流れ、そうしたそんなふうに
[течень]ла-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ).чадобэгǯи(-jи)тата-го-хан.
強く流れているのだ。その時に足を引き抜いた。
чумулиэкэнэ-и=гоањ(ӥ).туи та-раа~эситэи,оњӥдаа-чӥ
ジャブンッと落ちるのだ。それからその、小川の河口へ
энэ-хэ-њи,тэи=тэњииэњуэдааӥ-лаа-ǯӥпоjо-њӥ.доо-чӥ
行った、それは鍋ほどの大きさに渦を巻いている。河口へ
тап тапии-риитаjа-лаагбӥӈ-го-ӥта-ӥта-ӥмапа.тэи
タプタプ潜ったり、そこから浮かんで現れたりする、そのじいさんは。
хэjэ-њи.туи та-мӥ=а~=тањӥӥ,хэjэjэбэ-лээ-чи-э-њ(и)
その流れに。そうして、流れが少しはましな所へ
энэ-хэ-њи.чадо=ма(т)ǯакпасӥхаако-ӥ-њӥ.тэиǯэрчу
行った。そこでやっと岸の方へ着岸した。そのジュルチュの
ǯакпа-до-а-њӥэмǯооби-и-њ(и).тэиǯоок-чӥ=а~тооко-ӥ
家の近くに一軒の家がある。その家へ上る、
хаако-раа=даа,тэимапа.амбаа-њӥ=гоањӥ.тотараа=тањӥӥ
着岸してから、だ、そのじいさんは。化け物なのだ。それから
ǯэрчу=тэњии,апӥӥ-ла-jӥтаспаачӥла-хан.ǯэвэ(н)
ジュルチュは首の後ろをパシッと叩いた。スズメバチに
осӥ-ра(а)=о~дэгдэ-хэ-њиǯэрчу.тэимапаачаан=тањӥӥ
なって飛んだ、ジュルチュは。そのじいさんは
ǯоок-чӥ-jӥтооко-ха-њӥ.мама-њӥби-и-њи."гээ,мапа~
家へ上った。(そこには)ばあさんがいる。「さあ、じいさんよ、
хоǯӥ-о-роо,"уӈ-кин,"тэиǯэрчу=тэњиитэиэкэ-сэлсии
もうやめろ、」と言った、「あのジュルチュはあの女たちをおまえの
сӥа-го-а-сӥхаал(ӥ)=даабуу-рэси~,"ун-дии-њ(и),"бумбиэ
食べ物には何時だって渡しやしないよ、」と言う、「私たちに
сӥа-ваан-дасӥ~,"ун-дии-њ(и),"ǯэрчу,тэиэкэ-сэл-бэ.
食べさせやしないよ、」と言う、「ジュルチュは、あの女たちを。」
"аjа~,"ун-дии,"сӥа-ра(сӥ)осӥ(њӥ),тэипуǯиу-сэл-бэ
「いいんだ、」と言う、「食べないなら、あのプジンたちを
сӥа-расӥ-ла-jӥ~хоǯӥ-асӥм-бӥ,"ун-дии-њ(и)тэимапа,
食べないうちはやめないぞ、」と言う、そのじいさんは、
"сӥа-го-ӥ та-ам-бӥ"=аун-дии-њи.гээтэи,туи
「きっと食べてやるつもりだ、」と言う。さあ、
та-раа=тањӥӥтуиби-и=гоањ(ӥ).хэмэ~ичэǯэ-и-њ(и).тэи
それからそうしているのだ。黙って静か~に見ている。その
ǯэвэносӥ-раадоо-ха-њӥ=гоањ(ӥ),чооӈко-до-а-њ(ӥ)тэи,
スズメバチになってとまっているのだ、窓の所に、その、
мапа-ваичэ-ндэ-хэ-њи.тэимапа=тањӥӥ,асӥ,мама-ǯӥ
じいさんを見にやって来た。そのじいさんは、妻の、ばあさんと
ǯуэрэ-кээн=дээмама-њӥосӥсӥ-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),"абаа,"ун-дии,
二人っきりだが、ばあさんは嫌がるのだが、「いいや、」と言う、
"миитэиǯуэпуǯим-бэсӥа-расӥ-ла-jӥхоǯӥ-асӥм-бӥ,"
「私はあの二人のプジンを食べないうちはやめない、」と
ун-дии-њ(и)."чӥмана=тањӥӥ=даа,ноӈǯӥмаӈгаосӥо-ваам-борӥ,"
言う。「明日は、寒さをものすごくしてやる、」と
ун-дии,"чӥман(а).хаӥ-м(ӥ)=даамутэ-(в)эсиноӈǯӥ=а."
言う、「明日は。どうにも何もできないくらいに寒く、だ。」
гээчадоэси=тэњииǯэрчу=тэњиитэичооӈко-до-а-њ(ӥ)
さあそこでジュルチュはその窓の所に
доосӥ-м(ӥ)досӥǯа-раа=тањӥӥǯоок(-чӥ)ǯиǯу-и-њ(и)=гоањ(ӥ).
とまって聞いてから家へ戻るのだ。
ǯоок(-чӥ)ǯиǯу-рээтэиэкэ-сэл-чиун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ),"эси
家へ戻ってからその女たちへ言うのだ、「今
моо-ваэгǯи-вэчапчӥ-рааииву-у(у)-су,"ун-дии,"аксон(-до)
薪をたくさん斧で切って家に運び入れよ、」と言う、「入り口の所に
тӥас=даа,тотараачӥмана=тањӥӥэњуэ-д(у)тӥасмуэ-вэ
ぎっしりと、だ。それから明日は鍋にたっぷり水を
нээ-рээтаваоjачӥ-маар(ӥ)полчӥ-маар(ӥ)би-хээр-су,"
入れて火を焚いて暖をとっていろ、」と
ун-дии-њ(и)."наӥ,тэимапа=тањӥӥ,маӈганоӈǯӥ
言う。「人が、あのじいさんが、ものすごく寒く
осӥо-ваан-дӥӥ-њӥ,"ун-дии-њ(и),гэээси=тэ(њии)туи
させる、」と言う、さあそう
гусэрээнду-хэн.тэиǯэрчу=тэњиитэиǯуэпуǯин-ǯи
話をした。そのジュルチュはその二人のプジンと
асӥла-ха-њӥ=гоањ(ӥ),асӥла-раа~би-и-њи.эсихаӥ
結婚したのだ、結婚している。今やどうして
буу-гилэ-и-чи.наӥ,асӥ-jӥамбаансӥа-го-а-њӥ.туи
やったりするだろうか。人が、自分の妻を魔物の食べ物になんか。
та-раа,хаӥ-ва,туихӥсаӈго-ваан-даа=тањӥӥ,чӥмана=тањӥӥ,
それから、そう話をさせておいてみると、その次の日は、
би~-м(и)балǯӥ-м(ӥ)мутэ-вэси,пэкуосӥо-ваан-дӥӥ-њӥ,
いてもたってもいられないほど暑くさせる、と
ун-дии,тэимапа,чӥмана.эси=тэњиимуэ-вэмуэлси-рээ,
言う、そのじいさんは、明日。水を汲んで、
[ванначто,]хаӥ-ва=даадахэммуэлси-м(и)=тањӥӥ,муэ-вэ
風呂だなんだ、何でも全て汲んで、水を
эгǯи-вэмуэлси-хэ-чи.тэи=тэњиичаǯӥэлбуси-мээр(и)туи
たくさん汲んでおいた。それはそれで水浴びをしてそうして
би-чи-читэипуǯиу-сэл,тэиǯуэпуǯин.ǯэрчу=тэњиитул
いた、そのプジンたち、その二人のプジンは。ジュルチュは常に
тулбоа-ла,чаваэтуу-рии-њ(и),туиби-и-њи.гээ
いつも外にいて、彼らを見守っている、そうしている。さあ、
чӥӥла-хан,хооњ(ӥ)хооњ(ӥ)ваа-ӥча-м(ӥ)ǯэрчухооњ(ӥ)
失敗に終わった、どうやってもどうやって殺そうとしてもジュルチュがどうして
ваа-ваан-дӥӥ=лэ,би-м(и) балǯӥ-м(ӥ)мутэ-вэсипэку
殺させたりなどするだろうか、いてもたっても生きていられないほどに暑く
осӥ-очӥа-њӥ,би-м(и) балǯӥ-м(ӥ)мутэ-вэсиноӈǯӥ
なったり、いてもたっても生きていられないほどに寒く
осӥо-ваан-дӥӥ.туи та-мӥ,чадо=тањӥӥ,тэиǯэрчу=тэњии
したりするが。そうして、そこでそのジュルチュは
хаӥ-рӥӥ-њ(ӥ)=гоањӥпаӥӈка-насӥ-ӥ-њ(ӥ)."эситэимапа-ва
どうするのだ、ひどく腹をたてる。「今あのじいさんを
хооњ(ӥ)та-орӥ"=мда.эситэиǯуэ(р)эктэ-вэолбӥ-м(ӥ)
どうすべきか、」と。その二人の女を連れて
энэ-хэ-њи."буээнэ-учиэ-пу=тэњиинаӥаркӥ-вабуу-ǯэрээ,"
行った。「我々が行ったらば、人は酒を振る舞うだろう、」
ун-дии,"тэимама-њӥ.эǯи~омӥ-а-со,тэиаркӥ-(в)а-њ(ӥ).
と言う、「あのばあさんは。決して飲んではならないよ、その酒を。
омӥ-ханосӥ(њӥ)элээбу-дии-су=рэгдэ.""хэмээмии
飲んだならば、すぐに死んでしまうだけだ。」「はい、黙って私は
хаалӥ=дааомӥ-асӥ-jӥ=гоањӥ"=аун-дии-њ(и).энэ-хэ-чиулээн
何時だって飲みはしません、」と言う。行った、良く
гусэрээнду-рээ=дээ.хаӥла-раамамаагда-ха-њӥ,мама=тањӥӥ
話をしてから、だ。どんなにかばあさんは喜んだことか、ばあさんは
ун-дии-њи,"эси=мээǯӥӥма-хам-ба-чӥаркӥ-ваомӥ-ваам-борӥ~"=а
言う、「今こそお客に来てくれたお前たちに酒を飲ませなければ、」と
ун-дии-њ(и).эси=тэњиитахӥ-чӥэнэ-рээ,аркӥ-ватэучи-рээ,
言う。食器棚の方へ行って、酒を載せて来て、
ӥтаӈгӥ-до-jӥкочӥ-до-jӥчичи-чи-м(и)буу-ктэ-и-њ(и).тэи,
受け皿の上のおちょこに注いで皆に振る舞った。
тэи,мапар=тањӥӥ,хаӥ-рӥӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),мама-до,би-и
その、ジュルチュは、どうするのだ、ばあさんの所にある、
тукуру-лэ-jихаӥ,хоо-jӥǯапа-го-рааэси=тэњии,тэи
徳利を、銅製の酒の徳利をつかんで今、その
мамаоjа...мапаоjа-чӥ-а-њ(ӥ)масал-кӥн,тэи
じいさんの上へ浴びせかけた、その
аркӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ).мапахуртааво-хан.мама-чӥ-а-њ(ӥ)
酒を、だ。じいさんはパッと燃え上がった。ばあさんへ
наӈгала-ха-њӥ=го(ањӥ),масал-кӥн,гучи,тэихаӥ,
投げたのだ、浴びせかけた、また、その、
ӥтаӈгӥ-докочӥ-доби-иаркӥ-(в)амамахуртааво-хан.
受け皿に、おちょこにある酒を、ばあさんはパッと燃え上がった。
њиэ-гу-и-ду-jи=тэњииголǯон-до-а-њӥмучуун-сэл-бэ...тэи
出て行く時にかまどにあった燃えくすぶっている木片を(つかんだ)、
асӥ-наа-jӥ=тањӥӥтургунњиэ-гу-вээн-дии-њ(и)боа-чӥ.мучуун,
自分の妻たちを急いで出させた、外へ。くすぶる木片の
тава-(в)ањиэву-гу-хэнбоа-чӥ.тэиголǯом(-ба)оjамбо-хан
火を持ち出した、外へ。そのかまどを点火していた
тава.њиэ-гу-рээ=тэњииǯооӈ(-њӥ)гуичэ-лэ-њ(и)гӥдала-ха-њӥ.
火を。出てからその家の屋根の所へ突き刺した。
паjа-кта-м(а)гуичэ.хуртааво-ӥ=гоањ(ӥ).эси=тэњиитэи
干し草でできた屋根だ。ボウッと燃え上がるのだ。その
мапа-ǯӥмама-ǯӥхэмǯэгдэ-хэ~н,ǯооӈ-њӥ=даахэпухэпу
じいさんとばあさんと全部燃えた、その家もパチパチ燃えて
ǯэгдэ-хэн.эсихаӥ=дааамбаан=дааабаа
崩れ落ちて燃えた。何も魔物もいなくなった、
хаӥ=дааабаа.эси=тэњӥӥǯэрчу=тэњииэситэи
何もいなくなった。ジュルチュはその
ǯуэ(р)асӥ-jӥњиэву-гу-рээ,тэиǯоо-ва-њӥǯэгǯичи-хэн.
二人の自分の妻を外へ出して、その家を焼いた。
эсимээнǯоок-чӥ-jӥэну-и=гоањ(ӥ).тэиǯуэасӥ-jӥ
自分の家へ去るのだ。その二人の妻の
бааро-а-њ(ӥ),ǯооксӥ-ǯӥгэсэ=дээ.хаӥ-дота-ӥ-њ(ӥ)таjа-ла.
方へ、家といっしょに、だ。どこにする、そこに。
(то)та(раа)асӥ-ǯӥ-jӥтуи,ǯэгǯичи-хэ~нтэиǯуэ
それから自分の妻とそうして、焼いた、その二人の
пуǯин-ǯиасӥла-го-раа~туиби-и=гоањ(ӥ),гээгаса-(в)а
プジンと結婚してそうして暮らすのだ、さあ水鳥を
гарпа-ӥ,бэjум(-бэ)бэичи-и,тоо-ватоӥкан-дӥӥта-м(ӥ),
射たり、獣を狩ったり、木を打ったりして、
хачӥ(н)бэjум(-бэ)ваа-мӥ,сӥа-маар(ӥ)балǯӥ-ӥ-чӥ=гоањ(ӥ),
さまざまな獣を獲って、食べて暮らしているのだ、
гэээлээ.
さあ終わり。

(1) 訳せば、「ない、そうじゃない、ちょっと待て、」だが、不要なので訳さなかった。

(2) хасӥсӥ-хан-до-а-њӥ「追って来た時に」と解釈すべきか。

なおやはり二人の姉妹が森で赤ん坊を拾って来るが、それは実は魔物で、鍋に落とす、という話がオロチにある。拙著『オロチ語基礎資料』(ツングース言語文化論集7)を参照されたい。