9. Сэвдэкэ

スウドゥク

1996年8月20日、ナイヒン村にて、К. А. Киле氏より録音。


эммэргэнэмучэкээ~нбалǯӥ-ха-њӥ=гоањ(ӥ).хаӥ=даахэмуǯин
あるムルグンが一人きりで暮らしていたのだ。何でも全ての家畜が
хэмби-и-њи,ӥхан,морӥн,чӥко,эихэ,хамачаа=даа
全部いる、牛に、馬、鶏、ロバ、何でも
хэмуǯинхэмби-и-њи=гоањ(ӥ).туи та-мӥ=а~туи
全ての家畜がいるのだ。そうしてそうして
би-ми=э=лэундииси,Сэвдэкэ=тэњиисэлэ-ǯиадолӥ-ко~
暮らしていて、スウドゥクは鉄製の網も持っていたし、
давамагда-ко~боjамагда-ко~туиби-и-њи.дававаа-рӥӥ
サケ用の網もあるし、小魚用の網もあり、そうしている。サケを獲る
адолӥ-ко~,саар би-исог(да)таваа-рӥӥ-њӥадолӥ-ко~=даа.
網もあり、細かい魚を獲る網もある。
тэиСэвдэкэ=тэњиитуиби-ми=э~би-ми=э=тэњии,туи
そのスウドゥクはそうしていて暮らしていて、そうして
би-и-ду-э-њи=э=лэ,уикэ-њичолоӥга(н)энэ-хэ-њи."эи,
いる時に、戸がギギィーッと開いた。「この、
уикэ-jихаӥњихэли-хэ-њи=э,"ичэ-и,ӥлӥ-ха-њӥичэ-гу-м(и).
戸はなんで開いたんだろうか、」と見る、立ち上がった、見ようと。
уикэдаа-до-а-њӥ=ла,тэӈ,туидааӥхэрэǯэкэ,эи
戸の入り口の所に、すごく、こんなに大きいカエルが、この
кэндэрхин-ду-э-њ(и)тээси-и-њ(и)тэиуикэ-ду,хэрэ.Сэвдэкэ
敷居の所に座っている、その戸の所に、カエルが。スウドゥクは
ун-дии-њи,"эи=лэ,хао(сӥ)тэисакта-ӥ(-њӥ)хэрэ-кэ(эн)
言う、「こいつは、どこへ、このバカたれカエルめが
ха-нда-м(ӥ)тээ-ндэ-хэ-сиэуси.дэрэг-бэачаапкаалтуи
何しにノコノコ座りにやって来たんだ、ここへ。顔をめがけてこうして
сурээ-ǯикэркилэ-ǯээм-би"=эм."мимбиэ=кэээǯи ваа-ра,"
斧でぶっ叩いてやろうじゃないか、」と。「私を殺すな、」と
ун-дии-њи."мии=тэњиисиикупи-гу-э-сиǯи-чим-би~,"ун-дии,
言う。「私はあなたと遊ぼうと思って来たんだ、」と言う、
"баӥбаӈ=даа.хаӥ,морӥм(-бӥ)ваа-роо,"ун-дии-њ(и).
「ただそれだけだよ。馬を(いけにえに)殺せ、」と言う。
"мии=тэњииморӥа(-мӥ)мэу-ǯээм-би,"ун-дии,"ичэ-гу-э-си."гээ,
「私はくるくる回ってシャーマンの儀式をしょう、おまえに見せるために。」
Сэвдэкэ=тэњииун-дии,"морӥа-мӥ(1)мэу-руу,морӥа-мӥ.наӥ
スウドゥクは言う、「回って儀式してみろ、回って。人が
ичэ-гу-э-њ(и),гээ."хаӥ,тэиморӥ-њӥмэу-ги-тэ
見て楽しめるように、よし、」と。その馬のことを儀式しようと
ун-дии-њ(и)=дээмэу-рэси=э~тэихэрэ."эдэдэ,"ун-дии-њ(и).
言っておいたくせに儀式をしない、そのカエルは。「ああ、」と言う。
туи та-мӥун-дии-њ(и),хаӥ-ва,"ӥхам(-бӥ)ваа-роо,"ун-дии-њ(и),
そうして言う、「牛を(いけにえに)殺せ、」と言う、
"ӥлгала(-мӥ)мэу-ǯээм-би,"ун-дии,"ичэ-гу-э-си,ӥхам(-бӥ)
「模様の様に美しく儀式しようじゃないか、おまえに見せるために、牛を
ваа-очӥа-сӥ.ту~ӈ туӈэрдэлэ-и-њ(и)."чӥӈгоӈ-го-раа
いけにえに殺してくれるなら。」ト~ントン、と不思議な声を出す。「チンゴン
мэу-гу-и-jэчӥко-jӥваа-роо,"ун-дии,чӥко-jӥ=дааваа-расӥ~
と儀式をしよう、鶏を殺せ、」と言うが、鶏を殺しても儀式をしない、
"эрдэлэ(-ми)мэу-гу-и-jээихэ-jиваа-роо,"ун-дии
「不思議な動きで儀式をして見せよう、だからロバを殺せ、」と言う、
эихэ-jи=дээваа-расӥ~баӥабаа.ту~ӈ туӈуӈ-кин.гээ
ロバも殺すが何もしない、ただの何もなしになった。ト~ントンと言った。
туи та-мӥ,т(о)тараа"чӥӈгоӈ-го-jамэу-гу-jэчӥко-jӥваа-роо,"
さあそうして、それから「チンゴンと儀式をしよう、鶏を殺せ、」と
ун-дии-њ(и)=дээмэу-рэси=э~аргасӥ-ӥСэвдэкэ=тэњиихамачаа
言っておきながら何の儀式もしない、騙すのだ、スウドゥクには何の
уǯи-њ(и)=дааанаа о-чӥ,хэ~мваа-ха-њӥ.тэихэрэǯэкэ
家畜も無くなった、ぜ~んぶ殺した。そのカエルの
хэсэ-вэ-њ(и)дахорсӥ-мӥ=мањаа.тэихэрэǯэкэ=тэњиитэи
言う言葉を信じたばっかりに。そのカエルは
уикэ...чадотээси-и-ǯи-jи=тэњии,ун-дии-њ(и)=гоањ(ӥ),
そこの座っている所から、言うのだ、
"Сэвдэкэ=лээси=лээлээ-ǯиаргала-го-ханту~ӈ туӈ.туи
「スウドゥクを十分に騙してやったぞ、ト~ントン。こうやって
эрдэ(лэ-и).""тэǯэаргала-ха-сӥ?""тэǯэаргала-хам-бӥ,"
不思議な行いをして。」「本当に騙したのか?」「本当に騙したんだ、」と
ун-дии,"эсиуǯи(н)анааби-ǯээ-чи,"ун-дии,"уǯим-бэ-си
言う、「今や家畜無しになっただろう、」と言う、「家畜を
хэ~мваа...ананаСэвдэкэ=тэњиитад(о)=тањӥӥбоа-чӥ
全部殺しちまって。」さあスウドゥクはそこで外へ
њиэ-хэ-њи,сидуэн(-ду)гӥдала-хам(-бӥ)ǯогбо-jӥтата-раа
出た、家の梁の所に刺して置いた自分の銛を引き抜いて
ǯоок-чӥ-jӥии-гу-хэн,абаа=го(ањӥ)хэрэǯэкэчоча-го-хан.
家へ入った、いないのだ、カエルは逃げた。
эси=тэњиидуjэ-лэамоаӈ-ко.эс(и)=тэњиитэи
さて山の方に湖がある。その
ǯогбо-ǯӥ-jӥ=тањӥӥтэиамоан(-чӥ)тоо-рааэjэ...поксон-ǯӥа
銛で、その湖へ上ってから、隅の方から
тэпчиу-гу-хэ~н,солӥапоксон-ǯӥа=даатэпчиу-гу-рээтуимуэ
開始した、上流の隅の側から、始めて、そうして水の
доо-ва-њӥчакпаан(-ǯӥ)гӥда-м(ӥ)пулси-и,ǯогбо-ǯӥ.хаӥ-до
中を細かい魚用の銛で刺して歩き回って、銛で。いったいどこに
баа-рӥӥ-сӥтуку~ туку~ осӥ-ӥ-ǯӥ-а-њ(ӥ)туита-м(ӥ).
見つけられるだろうか、水が濁り、ボチャボチャ泡がたつようにそうしても。
"мимбиэхооњ(ӥ)ваа-рӥӥтуӈ~ туӈ,"хэрэǯэкэагбӥӈ-го-ха-њӥ.
「私をどうして殺せようか、ト~ントン、」とカエルが現れた。
"мимбиэбоjамагда-ǯӥхуэдэ-руу,"ун-дии-њ(и).боjамагда-ǯӥ
「私を細かい魚用の網で網投げ漁しろ、」と言う。細かい魚用の網で、
ӈааӥ-ӥча-го-раахуэдэ-хэ-њи.адол(ӥ)магдан-дола-њӥ
取りに行ってから投げてみた。網の真ん中の所から
агбӥӈ-го-ха-њӥхэрэǯэкэ."Сэвдэкэ,Сэвдэкэ,туӈ~ туӈ,
また現れた、カエルは。「スウドゥク、スウドゥク、ト~ントン、
мимбиэ=лэ,хооњаата-ӥ=дааваа-расӥ-сӥтуӈ~ туӈ.симбиэ
私を、どうやったって殺せやしないだろう、ト~ントン。おまえを
хооњааэрулэ-ǯээм-би=этуӈ~ туӈ.эибоjамагда-с(ӥ)хаӥ=даа
どうやって苦しめてやろうかしら、ト~ントン。この小魚用の網でも何でも
чукиси-ǯээм-би"=эун-дии-њ(и).боjамагда-њӥ
せいぜいバカにしてやろうじゃないか、」と言う。小魚用の網の
поксон-до=та(њӥӥ)...магдан-долаагбӥӈ-кӥн."эибоjамагда
隅に、じゃなかった、真ん中の所から現れた。「この小魚用の網でも
хаӥ=даачукиси-эм-би=э,"ун-дии,боjамагда-(в)асаар
何でもこけにしてやるわ、」と言う、小魚用の網をズタズタに細かく
сэкпэчи-рээњиэ-гу-хэ-њи.туи та-мӥСэвдэкэ=тэ(њии)
噛み切って出て来た。そうしてスウドゥクは
паӥӈка-ха-њӥ,гучи=тэњиидавамагда-jӥǯапа-раахуэдэ-хэ-њи.
腹をたてた、またサケ用の網を取って来て投げた。
хаӥс(ӥ)адолӥмагдан-долаагбӥӈ-го-хан."Сэвдэкэ,Сэвдэкэ,
再び網の真ん中の所に現れた。「スウドゥク、スウドゥク、
туӈ~ туӈ.симбиэ=лээлээ-ǯиаргала-хам-бӥ=атуӈ~ туӈ.
ト~ントン。おまえを十分に騙してやったぞ、ト~ントン。
эиадолӥ-с(ӥ)магдам-ба-њӥ=даахаӥ=даачукиси-ǯээм-битуӈ~
この網の真ん中の所だって何だってこけにしてやるわ、ト~ン
туӈ,"ун-дии-њ(и).туи та-мӥ,гээСээдэкэ
トン、」と言う。そうして、さあスウドゥクは
тагда-ӥ=гоањ(ӥ)."эисакта-ӥсэлэ-мэадолӥ-ǯӥхуэдэ-ǯээм-би,"
怒るのだ。「このバカ野郎、鉄製の網で投げて捕ってやる、」
ун-дии,"эси.симбиэваа-ǯаам-бӥ=а,"ун-дии,"эси."
と言う、「今おまえを殺してやる、」と言う、「今。」
сэлэ-м(э)адолӥ-ǯӥхуэдэ-хэ-њи.адолӥмагдан-дола
鉄製の網を投げた。網の真ん中の所に
агбӥӈ-го-ха-њӥ."Сэвдэкэ,Сэвдэкэ,туӈ~ туӈ,хооњаа
現れた。「スウドゥク、スウドゥク、ト~ントン、どう
та-хан=даамимбиэваа-расӥ-сӥ,"ун-дии-њ(и),"эси=тэњииэм
やったところで私を殺せやしないよ、」と言う、「今や一匹の
уǯин=дээанааэ~мадолӥ=дааанаао-ǯаа-чӥ,"ун-дии-њ(и).
家畜もいない上に、一つの網さえもなくなるぞ、」と言う。
эси=тэњииадолӥ=асаа~ркип кипсэкпэ-чи-рээњиэ-гу-хэ-њи.
網をバラバラにカリカリ齧って出てきた。
гэээсиСэвдэкэхооњ(ӥ)та-ӥ,Сэвдэкэ.тэи=тэњии,
さあスウドゥクはどうする、スウドゥクは。彼は、
аjактала-хан=тањӥӥǯогбо-jӥǯапа-го-раатэиамоанпас
怒った、銛をつかんでその湖へまっすぐ突っ込んで
гӥда-ӥхэǯиэпоксон-ǯӥаǯӥсолӥапоксон-ǯӥаǯӥ.
突きまくる、下流の隅から上流の隅から。
алӥса-мӥ=а=тањӥӥхэрэǯэкэ=тэњии,тооӥ-чӥмаӈбо-чӥпуику-хэ-њи.
あきらめてカエルは、岸へ、大河へ、跳びはねて行った。
гэээсихооњ(ӥ)бао-го-ӥ.тэичӥса-раа
さあどうやって見つけられよう。彼は河の真ん中の方へ行ってから、
дасолтао~м-ба-њӥтэиǯогбо-ǯӥгӥда-ӥ-њ(ӥ).(то)та(раа)хаӥ,
低木ごとにその銛で突き刺す。それから、
абаа=го(ањӥ)тэи.туи та-раатуи,чӥӥла-ха-њӥ=гоањӥ
いないのだ、カエルは。それからそうして、ダメだったのだ、
гуǯэлэ,Сэвдэкэ.уǯим-бэ-њихэмваа-хан,адолӥ-(в)а-њ(ӥ)
かわいそうに、スウドゥクは。家畜は全部殺してしまった、網は
хэммана-хан,эси=тэњии,ǯогбо-jӥдуэ-вэ-jисиру-рээхэмэ~
全て尽きてしまった、今、自分の銛の先端を研いでから静かに
тэиамоа(н)поксон-чӥ-а(њӥ)тээ-ндэ-хэ-њи.долбоинэ-дэлэ
その湖の隅へ行って座っていた。夜が昼になるまで
тээси-и.лӥа~с лӥаспуику-нэси-м(и)агбӥӈ-го-ӥхэрэǯэкэ.
座っている。ペッタリペッタリ飛び跳ねて現れる、カエルは。
Сэвдэкэ=тэњиихэмэ~ичэ-и.масӥ-ӈго-ǯӥ-а-њӥǯогбола-ха-њӥ.
スウドゥクは黙って見ている。力いっぱいに銛で突き刺した。
чипэнэ-и=гоањ(ӥ)тэиСэвдэкэǯогбола-ӥ-до-а-њ(ӥ).
ぐっさり刺さったのだ、そのスウドゥクが銛を投げた時に。
эси=тэњиихэрэǯэкэ=лэ,хаӥ-рааǯапа-раасаа~рчапчӥ-м(ӥ)
カエルをつかんで、ズタズタに引き裂いて
ваа-ха-њӥтэи,Сэвдэкэ.аjактала-ха-њӥ=гоањ(ӥ).адолӥ-а-њӥ
殺したその、スウドゥクは。怒っていたのだ。網も、
уǯим-бэ-њихэм,ээдэ-њи,ноањ(ӥ)=дааээдэ-њи=гоа(њӥ)
家畜も全て、バカだ、彼もバカなのだ、
ханда-м(ӥ)уǯим(-бӥ)ваа-орӥ.хэрэǯэкэ=кээхаалӥэрдэлэ-м(и)
なんで家畜を殺さなければならないのか、カエルがいつか不思議に
мэу-хэ-њи,чавахаӥ,ичэ-ичэ-и-њи.тотараа
儀式を行うのを、それを見たかったのだ。それから、
Сэвдэкэ-ӈгу-э(-њи)хаӥ,Сэвдэкэ=лэхэ~моосӥ-о-ха-њӥтэи
スウドゥクは、全部片付けた、その
удэ.уǯим(-би)ваа-хам-ба-њӥ=даахэмтуиоосӥ-о-ха~н,
場所を。家畜を殺してしまったのも全部そうして片付けた、
эмучэкээнхаӥ.хооњ(ӥ)сӥа-ор(ӥ)туиэгǯи=лэ,ӥхан
一人っきりで。どうして食べられるだろうか、そんなにたくさんを。牛に
морӥнолгӥанчӥкохаӥ=даада.хэ~моосӥ-го-хангӥӈгогӥӈго
馬に豚に鶏に何でも、だ。全部片付けた、きれいにきれいに
оосӥ-о-ха-њӥ=гоањ(ӥ),элээ.хэмСэвдэкэбуи-ки(м-бэ),
片付けたのだ、終わり、全部スウドゥクは死んだ物を、
хамачаа=дааадолӥ=дааанаа~хаӥ=дааанааосӥ-о-хан.
何もかも網もなく、何もなくなった。
элэ-њи.
終わり。"

(1) морӥаはНморӥнと頭韻を踏んでいる。以下もӥлгала-とӥхан「牛」、чӥӈгон-とчӥко「鶏」、эрдэлэ-とэихэ「ロバ」と韻を踏んでいる。