4. саола

飲み水用の水槽

1996年3月13日、ナイヒン村にて、К. А. Киле氏より録音。


эикэнэу~пуǯинбалǯӥ-ха-њӥ.тэи=тэњиимээнсӥа-го-ар(ӥ)
姉と妹のプジンが暮らしていた。彼らは自分たちの食べ物を
мээндуипэахоотала-маар(ӥ)ваа-маар(ӥ)сӥа-маар(ӥ)би-э-л
自分たちで山を猟して回って獲って食べている、
хаӥ-ва=даахэм=дээ.туи та-мӥ=аэикэ-њ(и)сиксээу-гу-и...
何でも全て、だ。そうして姉がある日の夕方下りて来た時に・・・
долбо~пакчӥрааӈ-го-чӥ(-а-њӥ)эу-гу-пээр(и)=мэр,моо-вачапчӥ-ӥ,
夜、暗くなった時に下りて来たならば、木の枝を切って、
муу-вэмуэлэси-и,сӥа-орӥпуjуу-риита-ор(ӥ)горо=гоањ(ӥ).
薪を用意したり、食べる物を煮たりするのはたいへんなのだ。
(то)та-мӥэикэ-њ(и)хӥсаӈго-хансиксэ-њ(и),буэоркӥн-ǯӥ
それで姉は話した、夕方に、「私達は悪く
балǯӥ-ӥ-по,эмǯиӈэнаӥ,эмињи-эǯоог(-до)дэрэǯи-и,
暮らしているわ、片方の人間が、ある日は家に残り、
эмǯиӈэнаӥтооко-ӥта-м(ӥ),тота-п(ӥ)ǯӥаињиэмǯиӈэ
もう一方の人間が山へ上るようにして、そしたら次の日には片方の
наӥǯоог(-до)дэрэǯи-ита-м(ӥ),туиби-ур(и)осӥ-ӥ=ма(т)
人が家に残ったりして、そうして暮らすようになってこそ
аjа"=мда."долбоэу-гу-пи=мэ(т)хэ~мта-го-ар(ӥ)
良い、」と。「夜山から下りて来たところで全部しなければならないのは
маӈга-њӥ=а"=мда."ињи тӥакпулси-рээ=дээ."гээ,
たいへんだ、」と。「昼中歩きまわってから、だ。」さあ、
нэу-њ(и)=дээчӥхала-ӥэикэ-њ(и)=дээчӥхала-ӥ.эси=тэњииǯӥа
妹も賛成する、姉も賛成する。次の
чӥмањӥ,нэу-њидэрэǯи-хэ-њи.эикэ-њитооко-ха-њӥ,
日、妹が残った。姉が山へ上った、
покто-jӥӥлӥ-го-м(ӥ).гээтуи та-мӥ=а=тањӥӥ,нэу-њ(и)=тэњии
いつもの狩りの道を通って。さあそうして、妹は
њиэ-рии-ду(-jи)кэкчэ-хэ-њи=гоањ(ӥ)."хаӥ=дааосӥ-хан=даа
出ていく時に前もって指示するのだ。「何が起こっても
эǯихаӥ-ва=дааоркӥачӥ-ра.улээнби-хээри=э"=мдэ."хаӥ-ва
決して何も手を出したりしてはいけないわ、おとなしくしていてね。」「何に
оркӥачӥ-ра~,"ун-дии-њ(и).т(о)та-раасусу-хэ-њиэикэ,хаӥ
手出しなどするでしょうか、」と言う。それから出発した、姉は、じゃない、
нэу-њи,тооко-ха-њӥ.нэу-њитооко-ха~нхамӥа-ла-њӥ=ла,
妹が上った。妹が上った後、
[обеда]сии-рии-њи~наӥуунǯи-хэ~н,саманмэу-рии-њ(и)сӥасӥ-њ(ӥ).
昼御飯時もすぎる頃、人が儀式をしてる、シャーマンが交霊する音がする。
пуǯин=тэњиипаава-лӥ-гичэ-хэ-њи,гурпуӈ-кин.паава-jӥ
プジンは窓から見た、覗いて見た。窓に
хурмэлэ-рээча-лаичэ-хэ-њи.эмсаола,наӥтуимуэ-вэ
針で穴を刺してそこから見た。一つの水槽、人がああして水を
нэучэ-и-њ(и)саола,туи=тэњиимэу-м(и)мэу-м(и)тоо-рӥӥ-њӥ.
溜めておく水槽が、そうして交霊して交霊して山の方へ行く。
сама(н)осӥ-ха-њӥ=ноохооњ(ӥ)та-ха-њӥ=ноо,саманхаӥ,
シャーマンになったのか、どうしたのか、
мэу-м(и)тоо-рӥӥ-њ(ӥ).пуǯин=тэ(њии)хаӥлооӈээлээчи-и-њ(и).
交霊して山の方へ上って行く。プジンはすごく恐れる。
палаании-хэ~н,палаам-ба=та(њӥӥ)куӈгэррр куӈгэррр куӈгэррр
家の中の床へと入って来た、床の上をガチャガチャガチャガチャと
пулси-мимэу-риипалаанудэ-вэ-њи.туи та-мӥ,уикэ-вэ
歩き回って交霊する、床のあたりを。そうして、戸から
луптуэлэњиэ-гу-хэн.пуǯин=тэ(њии)хооњ(ӥ)=дадааэчиэ=дээ
跳ね出して出て行った。プジンはどうにも何も
та-а-њӥ~эчиэ=дээтоӈгала-а-њӥ.сиксээикэ-jи
しなかったし、何も手出しをしなかった。夕方姉が
эу-гу-учиэ-њ(и)гусэрэ-гу-хэн,ун-дии-њи,"дэрэгбэчэмоо-ва
下りて来たらば話をした、言う、「こんちくしょう、って棒を
ǯапа-раа=к,камчорампаачӥла-м(ӥ)аjа=гоањӥ,"ун-дии-њ(и).
つかんで、ボコッっとへこむほど叩いてやればよかったのよ、」と言う。
гээсиитуидэул=гоањӥ="а(1)ун-дии,"оркӥачӥ-ори-д(о)=каа
「ああ、あなたは本当に天の邪鬼なのね、」と言う、「手を出すべき時なら
хаӥла-ра"=мда."наӥ-апаачӥла-п(ӥ)баӥосӥ-ӥ=ноо~,"ун-дии.
そうするでしょうけど、人を叩いたらタダではすまないわよ、」と言う。
"хамачаа=даасаа-васӥ=гоањӥ.""хамачаа осӥ-ра,"
「どうなるかなんてわからないでしょ。」「どうなるかって!?」と
уӈ-дии,"ээдэндэ-и-њи=э"=мдэ.тота-раасӥа-раахаӥ-рӥӥ
言う、「ひどいことになるに決まっているわ」と。それから食べてどうする、
тота-раа,эмунаӥ-ӈго-њидэрэǯи-хэ-њиулээн-гу-jисӥа-ор(ӥ)=даа
それから、片方の人間が残ったのだからそれは良い、食べ物も
бэлииэу-гу-ми.эси=тэњииǯӥачӥмањӥ-а,тээ-хэ-чи=э~
準備ができている、下りて来ると。次の起きた、
нэу-њи=дээтээ-хэ~нэикэ-њ(и)тээ-хэн.нэу-њитооко-ӥ
妹も起きた、姉も起きた。妹が上る、
эси,дуиси.эикэ-њидэрэǯи-и-њ(и).нэу-њ(и)туи
今度は、山へ。姉は残る。妹はそうして
ун-дии-њ(и)=гоа(њӥ),"хаӥ=дааосӥ-хан=дааэǯи оркӥачӥ-ра~,"
言うのだ、「何が起こってもムッとしてはいけないわ、」
уӈ-кин,"ӈээлэпси"=эм."бумби(э)хусэмǯи=дээанаанаӥбаӥ
と言った、「恐ろしいから、」と。「私達は男でもないんだもの、人は軽く
чукиси-ǯээ=мэ"=м."хаӥ,наӥ-jаǯапа-м(ӥ)ваа-ра,"
見くびるでしょう」と。「何よ、誰か人がつかまえて私達を殺すとでも言うの」
ун-дии-њ(и).туи та-мӥ,нэу-њитооко-ха~н,эикэ-њи
と言う。そうして妹は上った、姉が
дэрэǯи-хэнэси.тэи=дэээмуту[после обеда]-до~тэи=тул,
残った、今。姉も同じ、昼飯時の後に、
саолауунǯи-хэ-њи.куӈгэррр куӈгэррр куӈгэрррмэу-м(и)
水槽がシャーマンの儀式をして練り歩いた。ガチャガチャと交霊して
тоо-рӥӥ-њ(ӥ)тооӥ-ла-чӥ.та(-раа)ии-хэн=дээтуибэсэрэ
上って来る、姉妹の家の岸の所から。それから入って来たが、そうして長椅子の
кээндэл кээндэлмэу-рии-њ(и).тэиэикэ-њ(и)=тэњии
回りを回って交霊する。その姉は
њиэ-гу-и-ду-э-њ(и)=тэњиипаачӥла-ха-њӥтэисаолапорон-дола-њӥ,
そいつが出て行く時に叩いた、その水槽のてっぺんを、
камчорамэнэ-и-ǯи-э-њ(и).сээксэлээ лээ лэ
ボコッとへっこむぐらいに。血がダラダラと
хэjэ-псин-дии=гоањ(ӥ),ээдэн.эӈтотарааун-дии-њ(и),
流れ出すのだ、ああバカなことをしたものよ。それから言う、
"амбаа(н)осӥњӥǯато-хам-бӥ=ауӈ-кин,"[а]наӥосӥњӥ
「魔物ならば命中していておくれ、」と言った、「でも人間ならば
порондабалбаӥта-го-jӥ баа-хам-бӥ"=м.туи,
最も重い罪を私は受けることになるのでしょうね、」と。そうして
гаса-ӥ-до-а-њӥ,нэу-њисиксэ~эу-гу-хэ-њи.гусэрэ-гу-и-ду
悲しみ嘆いている時に、妹が夕方になって下りて来た。話をすると
ун-дии-њ(и)=го(ањӥ)нэу-њи,"гээсиибаӥтуи
言うのだ、妹は、「さあ、あなたはまったくそんなふうに
дэул=гоањи~,"ун-дии-њ(и),"хаӥ-ва=дааоркӥачӥ-ор(ӥ)-до=каа
天の邪鬼なのよ、」と言う、「何でも手を出す時ならば
хаӥла-ра"=мда."хаӥ,эси хооњ(ӥ)би-и ǯака осӥ-ӥ-jа"=мда.
そうすべきでしょうけど、いったいどんなことになることやら、」
чаваун-дии-њ(и),"хаӥ=дааамаа-наабаланааун-дии
姉に言う、「何でもお父さんたちが言っていた
би-эчи=кээ"=м."хаӥ=дааоркӥнǯака-ва-ар(ӥ) та-пӥ,баӥта
じゃないの、」と。「何か悪いことをしてしまったならば、困ったことに
осӥ-ӥ,чава=тањӥӥмээн-ǯиэǯиэнэ-уригэлэ-пи,мээн-ǯиэǯи
なるならば、それを自分の方から求めて行って受ければ、自分の方から
энэ-пи=тэњииjэбэ-лээосӥ-ӥ-jэ"=м."наӥӈааӥ-ӥ-ǯӥэнэ-п(и)
行けば少し軽くなるだろう、」と。「人が連れ去るために来たなら
маӈгаосӥ-ӥ-jэ=мун-дии би-эчи=кээ,"ун-дии,"амаа-наа.
ひどいことになるだろう、と言ってたじゃないの、」と言う、「父さん達は。
энэ-гу-ури,"ун-дии,"чӥмана.покто-вахоǯа-м(ӥ)."гээ,
行くべきなんだわ、」と言う、「明日。足跡を追って。」さあ
ǯӥачӥмањӥ-а=тањӥӥ,улээнсӥа-ха-чӥ,улээнулээндоово-jӥ
次の日、よく食べた、良く、良く中も(下着も)
оово-jӥулээнтэту-(г)у-хэ-чи.улээм-бэ~=мањаатэту-гу-рээ,
外も(上衣も)良く着た。良い物ばかりを身につけて、
туиби-и-ду-э-чи=э,хаӥ,улээнулээнхаǯом(-ба)
そうしている時に、良い良い衣服を
тэту-гу-рээ,эикэ-мулиэулээнсӥа-раа,баараǯӥ-го-раа,
着て、姉と二人で良く食べて、身支度をして、
энэ-псиӈ-кин."бумбиэчомӥмǯӥӥлуӈтумǯии~балǯӥ-ваан-хаарӥ"=ам.
行き始めた。「私達を無事に順調に生きのびさせて下さい、」と
(то)та-раатуипокто-вахоǯа-маар(ӥ)=тањӥӥдуиситоо-ло-ха-чӥ.
祈ってそれからそうして足跡を追って、山の方へ上り始めた。
тэисаола-ва,покто-вахоǯа-м(ӥ).туитоо-мӥ~тоо-мӥ
その水槽を、足跡を追って。そうして上って上って
кут(э)горо=дааанааби-чи,эмǯооби-чин.тэи
あまり遠くもなかった、一軒の家があった。その
ǯоо-ла~ӥсӥ-ха-чӥ.тулиэ-ду~ӥлӥсӥ-ӥ-чӥ
家に着いた。中庭には着いたが、(家に入るのを)
боолдаǯӥ-ӥ-чӥ=гоањ(ӥ).т(о)та-мӥ,эмхусэнаӥуикэ-вэ
躊躇するのだ。すると、一人の男の人が戸を
њихэли-ндэ-хэ-њи."хаӥ-маар(ӥ)ии-рэс(и)-су~,"ун-дии,
開けに出て来た。「どうして入らないのか、」と言う、
"ии-руу-су=м,"аjа"=м.хаӥтэиǯоотулиэ-њ(и)=тэњииту(и)=бэк(ии)
「入れ、」と、「良い、」と。その家の中庭にはなんと
алпаалааби-инаӥпокто-њӥ.тэӈхаӥ-ва=дааӥрчӥ-(г)о-хан=маа
そこいら中一面にある、人の足跡が。まるで何かを引きずって来たかのようで
би-ипокто.пуимурпокто-њӥ.ии-хэ-чи.тэипуǯин,аjа
ある、足跡が。竜の足跡だ。彼らは家に入った。その
мэргэнун-дии-њи,"эикэ-ǯимэпуǯинэи-дудэрэǯи-руу,"
ムルグンは言う、「姉の方のプジンはここに残れ、」と
ун-дии-њ(и)."нэу-ǯимэпуǯин,эиколаан-доладуиси
言う。「妹の方のプジンはこの煙突の先の少し山の方に
би-и-jэ,"ун-дии,"покто.амбаанпокто-ваалпаалаа,
ある、」と言う、「足跡が。魔物の足跡がぎっしり、
сэвээнпокто-њӥсэтуэлээби-и-њ(и).чаватоо-роо,"
スウン(木偶)の足跡がどっさりある。それを追って上れ、」と
ун-дии-њ(и),"дуиси."гээ,нэу-њ(и)=тэ(њии)њиэ-гу-и=дээ
言う、「山の方へ。」さあ妹は出て行くのだが
соӈго-ло-ха-њӥ.эикэ-jиун-дии-њи,"сии=лэнаӥ
泣き始めた。自分の姉に言う、「あなたは人が
дэрэǯи-хэ-њиуjунби-ǯээ-чи=мэ,мии=тэњииамбаан
残したのだから生きていられるでしょう、私は魔物の
покто-ва-њ(ӥ)тоо-рӥӥ-њи=тэњиихаӥуjунби-ӈэ-jэ"=м.наӥ
足跡を追って上るのですからどうして生きていられましょう、」と。
"ӥсӥ-ӥ-васиэӈгулчэклуӈбэ-ǯээ=мэ"=мдэ.нэу-њ(и)=дээ
「魔物は私が着いたところを一呑みにしてしまうでしょう、」と。妹も
соӈго-ха-њӥ~,эикэ-њ(и)=дээсоӈго-ха-њӥ~тулиэ-ду.т(о)та-мӥ
泣いた、姉も泣いた、その中庭の所で。そうして
тэимэргэнњиэ-хэ-њи,"хаӥ-раасоӈго-ӥ-со,"ун-дии,
そのムルグンが出て来た、「なんで泣いているのか、」と言う、
"абааǯака-ва.гээаjатоо-ги-њи,"ун-дии-њ(и).туи
「何も問題はないぞ。さあもうよい、上らせよ、」と言う。
та-рааэикэ-њ(и)=дээ,нэу-jидаалӥадалаӥлӥсӥ-ха-њӥ
それから姉は、妹の姿が見えなくなるまで立っていた、
боа-ла.туи,соӈго-м(ӥ)ии-гу-хэ-њи.нэу-jиǯуэркээн
外に。そうして、泣きながら家に入った。妹と二人っきりで
би-и,нэу-jигуǯиэси-и-њ(и)=гоањӥ,тэиамбаа(н)покто-ва
暮らして来た、妹を哀れむのだ、その魔物の足跡が
алпаалаа,сэвээнпокто-васэтуэлээби-ичавахоǯа-м(ӥ)
みっしり、スウン(木偶)の足跡がどっさりある、それを追って
тоо-рӥӥ-њ(ӥ).пуимурпокто-ватэӈхаӥ=даадаралаа-њӥ=гоањӥ,
上って行くのだから。竜の足跡を、それはなんとも広いのだ、
тэинаӥпулси-хэ-њи.тоо-ха-њӥ.эмǯооби-чин.тэи
その者が歩き回った跡は。上った。一軒の家があった。その
ǯоо-лаии-хэ-њи.гээ,бу-диибалǯӥ-ӥ=дааии-вури
家に入った。さあ、死のうが生きようが、入らなければ
гэлэ-и=гоањ(ӥ),хооњ(ӥ)та-ӥ-сӥ.эмпуимур=тэњии,
ならないのだ、どうすることができようか。一匹の竜が、
пуксу кэркичэ-ǯиэǯи-њ(и) чиптулэ-хэн.пуксум(-бэ) суӈгурэ мало-ва
右側の席のかまどの横の場所で何かを枕にして、右の席からずっと真ん中の席を
суӈгурэтуигӥлон-долахоолӥго-м(ӥ),тэигӥлон
通ってずっとそうして左側の席まで長々と回って、その左側の席の
кэркичэ-ду-э-њипачӥӥ-њ(ӥ),апсӥӈ-кӥн.пуǯин=тэњииуикэ
かまどの横の場所には尾びれがあって寝そべっていた。プジンは戸の
даа-до-а-њӥ~туиӥлӥсӥ-ӥ-њ(ӥ)=гоањ(ӥ),пуǯинэси
入り口の所にそうして立ちすくんでいるのだ、プジンは
ӈээлэ-и-њ(и)=гоањӥту(и)=букии,патарӥ-м(ӥ)сиргун-дииӈээлэ-м(и).
恐れるのだ、そうして、震えて悪寒がする、恐ろしくて。
туи та-мӥтэипуимур=тэњии,хуигу-jичӥмӥ-ха-њӥ.тэи
そうしてその竜は、尻尾を尻の下に巻き込んだ。その
гӥлонкэркичэ-дуэмнаӥчики-ӈгээосӥ-ӥ-ǯӥ-а(-њӥ).
左側の席のかまどの横の場所に一人の人間の座る場所が空くようにして。
"пуǯи(н)=нуу~,гугу=нуу.чалатээ-ндэ-руу,"ун-дии-њ(и).
「プジンだか、姉さんだかよ、そこに来て座れ、」と言う。
тэи-ǯихуигу-jичӥмӥ-хан-дотэи,сактан...хаӥ,накан
それで、尻尾を巻き込んだ所に、その胡座の上、オンドルの
гэун-чи-э-њ(и).пуǯин=тэњииӈээлэ-и=дээхооњ(ӥ)та-ӥ-сӥ.
空いた場所へ。プジンは恐ろしいけれどもどうすることができよう、
тээ-ндэ-хэ-њи=гоа(њи)чала.гээтуиби-и,"лаламӥ-роо,"
座りに行ったのだ、そこに。さあそうしていると、「おかゆを作れ、」
ун-дии-њ(и)."ǯиэктэ-вэǯапа-раалаламӥ-роо"=м"тэи
と言う。「粟を取っておかゆを作れ、」と、「その
комбо-ǯӥ.тота-раатэимуксу-дутӥаснээ-руу,"ун-дии,
柄杓で。それからその木の鉢にたっぷりと盛れ、」と言う、
"лала.симиэ-риита-роо"=м.тэипуǯин-чи
「おかゆを。油を少し加えよ、」と。そのプジンへ
ун-дии-њ(и)тэипуимур.наӥхэсэ-ǯи-э(-њи)хӥсаӈго-ӥ.
言う、その竜は。人間の言葉で話す。
пуǯин=тэњиикоӈбо-ва-њ(ӥ)ǯапа-раа,сӥлкочӥ-раалаламӥ-ха-њӥ.
プジンは柄杓を取って、洗ってからおかゆを作った。
т(о)та-раатэимуксу-дутӥаснээ-рээбуу-хэ-њи.туи
それからその木の鉢にたっぷりと盛って与えた。そうした
дааӥмуксу.чадотӥаснээ-рээбуу-хэн.токонкалтаа~
大きな木の鉢。そこにたっぷり盛って与えた。真ん中半分ほどまで
сӥа-ха-њӥчава,туи та-рааун-дии-њ(и)тэипуǯин-чи,
食べた、それを、それから言う、そのプジンへ、
"чаваǯапа-го-роо,"ун-дии,"ǯапа-го-раасӥа-роо,"
「それを取れ、」と言う、「取って食べろ、」と
ун-дии-њ(и).[а]пуǯин=тэњииӈээлээчи-и-њ(и)=гоањ(ӥ).
言う。しかしプジンは恐れるのだ。
хооњ(ӥ)сӥа-орӥтамачаанаӥсӥа-хам-ба-њӥ.энэнэ.гээ
どうして食べられようか、そんな人が食べた物を。ああ恐ろしい。さあ
туитээси-и-њ(и)."сӥа-роо=даасӥа-роо,"ун-дии-њ(и).
そうして座っている。「食べろ、食べろ、」と言う。
туи та-мӥ,гээсӥа-ха-њӥњаӈга~сӥа-ха-њӥ.туисӥа-раа
そうしてさあ食べた、少~し食べた。そうして食べて
нээку-хэ-њи=гоањ(ӥ)."ǯапа-го-раагучисӥа-роо=даасӥа-роо,
元に置いたのだ。「取ってもっと食べろ食べろ、
сӥа-роо=даасӥа-роо,хэмсӥа-роо=даа,"та-ӥ-њ(ӥ).пуǯин
食べろ食べろ、全部食べろ、」と言う。プジンは
ун-дии-њи,"миихэмтуиэгǯи-вэ сӥа-м(ӥ)мутэ-эсим-би,"
言う、「私は全部こんなにたくさんを食べられません、」と
ун-дии-њ(и).гэээситуиби-и.тэи=тэњиидуиси
言う。さあそうしている。その竜が山の方へ
тооко-ло-п(ӥ)=тањӥӥ,боа наа њирги-и-ǯи(-э-њи)бэгǯи,хаӥхуjгу
ひとたび上ろうとすると、天地をとどろかせて、尻尾を
хамачаа чӥмдор,уикэ-вэлуптуэрњиэ-гу-хэ-њи.хаӥ=даа
ユサユサ揺すって、戸を通って出て行った。何もかも
њирги-и-ǯи-э(-њи),пуǯин=дээӈээлээчи-хэн=дээби-и-њ(и)=гоањӥ.
とどろかせて、プジンも恐ろしかったけれども暮らしているのだ。
т(о)та-раадуиситооко-ӥ.ӥлалта~=ноохадолта~=нооби-чи
それから山の方へ上る。三日ほどか何日かたって、
пуǯин,туи та-мӥун-дии-њ(и),мурчи-и-њ(и),"мии=кээ
プジンはそうして言う、考える、「私は
ичэ-ндэ-ури,тооко-очӥа-њӥињи,тэи-вэ.хаос(ӥ)
見に行くべきだ、竜が上ったならば昼に、それを。どこへ
пулси-и-њи."тэиэу-гу-и-њитакто-чӥ-а-њӥуликсэтӥас
歩き回っているのか。」竜が下りて来ると倉へは肉がぎっしりになって
эу-рии-њ(и).т(о)та-рааэм чӥман(а),ǯӥачӥман(а)
下りて来るのだ。それから翌日、次の日に、
тооко-очӥа-њӥ=тањӥӥпуǯин=тэњии,ичэ-ндэ-хэ-њидуиси.тэи,
竜が上ると、プジンは見に行った、山の方へ。その
пуимурǯоптом-бӥ=тањӥӥ,тоо-ватуу-хэ-њиоjаа-ла-њӥ,моо
竜の覆いが、ヘラジカを倒したその上に、木の
оjаа-ла-њӥсуӈгурээ~нээ-хэ-њитуи=дээ,туинээ-хэ-њи.
上からずっと続いて置いてあった、そうして、そう置いてあった。
таваӈк(ӥ)дуиси=тэњии,дарамӥ~соктапокто-њӥ,хусэнаӥ
そこから山の方へ、広~いスキーの跡が、男の人の
покто-њӥсоктапокто-њӥ=мањаадуиситоокпаачӥ-ӥ-њ(ӥ).
足跡が、スキーの跡だけが山の方へ上っているのである。
наӥ-њӥ=ммурчи-хэ-њи.наӥби-эси-лэ-jихаӥсокта-ǯӥ
人間なんだな、と思った。人間でなかったらなんでスキーで
пулси-рэ=м.чаваичэǯи-рэээу-гу-хэн.туи та-п(ӥ)=та(њӥӥ)
歩きまわったりするものか、と。それを見てから下りた。そうすると
гоӥда-ха~н,хадолтаби-чи=нуу.туилаламӥ-чӥ-ваан-дӥӥ,
それから長いこと待った、何日たったことか。そうしていつもかゆを作らせる、
тээмлала-васӥа-рӥӥ-њ(ӥ).туи та-мӥ,эммодан,
ただおかゆばかりを食べるのだ。そうしてある時、
тооко-очӥа-њ(ӥ)=тањӥӥ,"уидаалǯӥ-ко,мимбиэваа-мӥ
竜が上った時に、「誰に関係があろうか、私を殺すなら
ваа-ӈа-с(ӥ)=тањӥӥ.бэjэ-њиичэ-гу-и та-ам-бӥ"=м.пуимур
殺せばよい。その姿を見てやろうじゃないの、」と。竜の
ǯоптом-ба-њӥ=тањӥӥнамо-раахуку-рэээуву-хэ-њи.эуву-гу-рээ
覆いを畳んで包んで持って下りて来た。持って下りて来て
ǯака~олӥндоо-лагуисэ-jидоо-ла-њӥнээ-хэ-њи.туи
いろんな物の間に挟み、衣装箱の中に入れて置いた。
та-мӥ=а=тањӥӥ,"анда~,хаӥ,"тэимэргэн=тэњии,сиксэ
そうして、「ムムッ何だ、」そのムルグンは夕方
эу-гу-и,ǯопто-њӥчуӈнуабаа."гэээлээ,тэиэктэ
下りて来る、覆いが影も形もない。「さあ、これまでか、あの女が
ӈаӥсо-ха-њӥ,"мурчи-и-њ(и).т(о)та-раатэи=тэњиибоа наа
持ち去ったのだな、」と考える。それから彼は天地を
орал-дӥӥ-ǯӥ-а(њӥ)пакпарӥ-м(ӥ)эу-гу-и-њ(и)=гоањ(ӥ).хаӥ=даа
轟かせて怒って下りて来るのだ。何者も
хэтэ-эси-ǯи-э-њ(и).чава=тањӥӥ,тэипуǯин=тэњии,
かなわない勢いで。それをそのプジンは
ӈээлээчи-и-њ(и)=гоањӥ.эи=тэ(њии),эу-гу-хэм-бэ-њиичэ-хэ-њи,улээн
恐れるのだ。それが下りて来たのを見た、素敵な
хусэнаӥби-чин.нуктэ-њи=дээвањӥмӥ~,балǯӥ-ха-њӥ=даа
男の人であった。髪の毛も長く、生まれついた顔立ちも
улээн би-чин,ǯээулээннаӥ=ноо.гээтуимурчи-и-њ(и).
良かった、並みの素敵な人ではない。さあそう考える。
тэи=тэњиипакпарӥ-ӥ-до-а-њ(ӥ)=тањӥӥтэипуǯин=тэњии,хээп
彼が叱りつける時にそのプジンはガバッと
наамањӥ-ха-њӥ,"миихаӥ-го-ӥпакпарӥ-ӥ-сӥ~,"ун-дии-њ(и).
抱きしめた、「私を何のために叱るのか、」と言う。
"асӥ-го-jӥǯапа-хам(-бӥ)осӥњӥ,улээн-ǯиасӥлача-рооминǯи.
「自分の妻に取ったのならば、きちんと結婚しろ、私と。
улээн-ǯиасӥлача-роо,"ун-дии,"минǯи."туи та-мӥ,
良く結婚しろ、」と言う、「私と。」そうして
асӥ-jӥ=даачӥнда-го-ха~н,логдачӥ-хам(-бӥ).т(о)та-раа~туи
自分の妻を放した、つかんで振り動かしていたのを。それからそうして
би-и.тэиэктэпуимурǯоптом-бахооњ(ӥ)=даата-асӥ-њӥ.
いる。その女は竜の覆いをどうしもしないのだ。
"эǯихооњ(ӥ)=даата-ра~,"ун-дии-њи."амаа-ǯӥэњиэ-ǯи
「決してどうにもしてはならない、」と言う。「父と母とが
буэбу-дии-пу-вэ,амбаангало-го-а-њ(ӥ)
私が死んでしまいそうだったのを、魔物が嫌がるように、
ǯоптоло-вааӈ-кӥ-њӥ=э"=мдэ."миичавахооњ(ӥ)=даата-ӥ-ǯӥ-э-с(ӥ)
覆いを着せたのだ、」と。「私は、それをどうにかおまえがするや
гэсэбу-ǯээм-би=мэ,"ун-дии-њ(и)."абаа~,"ун-дии,
いなや死んでしまうだろう、」と言う。「いいえ、」と言う、
"хооњ(ӥ)=даата-асӥм-бӥ,ун-дии-њ(и).гээ,туи та-мӥ~
「どうもしませんわ、」と言う。さあ、そうして
туиби-и-чи=гоањӥ.пуǯин=дэээикэ-jиǯооӈго-ӥ,соӈго-ӥ.
そうして暮らしているのだ。プジンも自分の姉を思い出し、泣く。
"хаӥ-мӥсоӈго-ӥ-сӥ~"=ммэдэси-итэиэǯи-ӈээ=тэњии."эгэ
「どうして泣くのか、」と訊く、その夫は。「姉と
ǯуэр-кээнби-чим(-би)ǯооӈго-ӥ-jа,"ун-дии-њ(и)."тээ
二人っきりで暮らしていたことを思い出すんです、」と言う。「ほうれ、
ваjа-лаби-эс(и)=кээ,"уӈ-ки,"эикэ-си.хаӥ-м(ӥ)
岸の方にいるじゃあないか、」と言った、「おまえの姉は。どうして
эу-рэси-си,"ун-дии-њ(и)."хаӥ-до би-и-вээу-ури-њи,"
下りて行かないのか」と言う。「どこにいるのをどっちへ下りればいいの、」
ун-дии-њ(и),"тэрэк=дээ.""тоо-м(ӥ)хооњ(ӥ)тоо-ха-сӥ~,"
と言う、「正しく行くには。」「上って来たのはどうやって上って来たんだ」
ун-дии-њ(и),"тэитоо-хам(-бӥ)покто-ла-jӥэу-м(и)
と言う、「その上って来た道に沿って下りてどうして
хаӥ-расӥ-сӥ"=ам.гээтуипакпарӥ-а~эǯи-њи,хооњ(ӥ)=даада
行かないのか、」と。さあそう叱ったが、夫は、どうも
та-асӥ.туи та-ӥ-до-а-њӥ~,аба=гда~ло-чинтэимэргэн.
しなかった。そうする時に、どこかへいなくなった、そのムルグンは。
туи та-пӥ=о~ǯиǯу-хэ-њи.хамӥа-ла-њӥ=тањӥӥэикэ-њи
そうすると戻って来た。その後ろから姉と
аосӥ-њӥтоо-ха-њӥ.гэээикэ-jиаосӥ-jӥбао-го-ӥ=гоањ(ӥ).
義兄が上って来た。さあ自分の姉と義兄に対面するのだ。
т(о)та-раа"соӈго-м(ӥ)би-и-њи~,"ун-дии-њ(и),"хаӥчала
それから「泣いているぜ、」と言う、「なんであそこへ
эу-м(и)мутэ-эси=нуу,"ун-дии,"эи-лэтоо-хам(-бӥ)
下りて行けないんだろうか、」と言う、「ここに上って来ることが
мутэ-м(и)."т(о)та-рааэикэ-њ(и)=тэњиинэу-jиоǯокта-ӥ=гоањӥ,
できたくせに。」それから姉は妹にキスするのだ、
аосӥ-ӈатоун-дии-њи,"аjа~,"ун-дии,"ǯооӈго-ӥ-до-jӥбуэ
義兄は言う、「よし、」と言う、「また思い出す時には私達の
бааро-по-аэу-рии,буээуситоо-рӥӥта-ǯаа-по=ма."гээ,
方へ下りてきたり、私達がこっちへ上ったりしよう、」と。さあ、
туихаӥ-рӥӥсӥа-рӥӥхаӥ-рӥӥта-паарӥ=о~эу-гу-хэ-чи.
そうして何したり、食べたり、何したりしてから下りて行った。
т(о)та-раатэимэргэн=дээулээночо-(г)о-ха~н,наӥ
それからそのムルグンも良くなったし、人間に
очо-(г)о-ха~н,туиби-и=гоањ(ӥ).элээ.
なったのだし、そうして暮らしたということだ、終わり。

(1) Оненко(1980)ではдэурで、「副詞、言われたことに反して、逆らって」とある。