風間伸次郎(採録・訳注).1995.『ナーナイの民話と伝説』(ツングース言語文化論集5、小樽商科大学言語センター)より.

6(1). калгама

カルガマ

1994年3月14日、ダエルガ(даерга、ハバロフスク州ナーナイ自治区ナイヒン村に隣接する小村である)にて、Њэсултэ Борисовна Гейкер(ゲイケル)氏(女性、1920年 Таргон村 生まれ)より録音。


калгама,ǯӥлӥ-нӥтуйби-й,би-чиун-дэс(и)=кээ.
カルガマは、頭がこんなふうである、であった、と言うんじゃないか、
туй=тэ(нии)сулуӈсулуӈ=дээ.тэй=тэнии,масӥгур-сэл
こう、尖って尖っている。そいつは強い人々と
ваачӥ-йби-чи,ун-дии,тэйкалгама-ǯӥ.тэй=тэниибортӥӥ
取っ組み合いするのだった、と言う、そのカルガマと。そいつはいつも
найǯули-вэ-н(и)тадора-йби-чи,ǯапа-йча-йби-чиун-дии,
人の股間の物を(1)引っ張るのだった、つかみ取ろうとするのだったと言う
чава=танӥӥсаа-рӥӥгурун=тэнии,тало-ǯӥэй-дутуй
そのことを知っている人々は、白樺の皮でそこにそうして
хэркэ-й-чи=гоа(нӥ)дэӈдэӈ=дээ.тэй,ǯулиинайтата-асӥ
まきつけるのであった、ガッチリと。その、前の部分を奴が引き抜かない
осӥ-й=гоанӥ.тэй=тэниињоам-ба-н(ӥ)=даатуйваача-м(ӥ)=танӥӥ,
ように、なのだ。人はそいつとそうして取っ組み合いすれば
њоанӥǯули-вэ-н(и)туй,лопторамтата-йосӥнӥ,тэй=тэнии
奴のいちもつをこう、パッと引き抜いたならば、そこには
хайби-й-ниун-дии,усэлтэхосакта-нӥбаа-рӥӥосӥнӥ
何があるかと言うと、獣の爪を見つけたならば
усэлтэби-й-вэ-нибаа-рӥӥосӥнӥтэй=тэнииусэлтэмэргэн
獣のがあるのを見つけたならばその人は獣のメルゲンと
осӥ-й,[а]тэй,найхосакта-нӥ=мањаби-йби-чиун-дии
なる、しかしそこに、人の爪ばかりあるのだったと言うと、
тэйкалдамӥӥ-до-а-нӥ.чавабаа-ха-нӥ=та(нӥӥ)най-а ваасо
そのカルダミ(その袋)に。それを見つけた人は 殺人鬼と
осӥ-й-н(ӥ)=гоан(ӥ).хай-доэнэ-хэн=дээнай-аваа-ха-нӥ=а,
なってしまうのである。どこに行っても人を殺した、
най-аваа-хантуйо-дӥӥби-чиун-дии,туй.эй,уй
人を殺した、そうなってしまうのだったと言う、そう。あの、
моконатээлуӈгу-эси=кээ,наа най,тээлуӈгумокона
モコナの伝説がそうじゃあないか、ナーナイの、伝説にモコナというのが
би-й-ни=гоан(ӥ),тэй,тамачаабаа-ха-нӥби-чин
あるのだ(2)その、そのような物を見つけた人だったと
ун-дэ-с(и)=кээтэй,най,сампар-ǯӥ-а-нӥгалӥ-ас(ӥ)
言うじゃあないか、その、人、素早いので捕まえることができない
уй=дээдэ,хао(сӥ)энэ-хэн=дээнай-аваа-рӥӥ.калгама,
誰も、どこへ行ったとても人を殺す、と。カルガマ、
калгаманайамбаан.
カルガマは(そんな)人の魔物であるよ。

(1) 直訳すれば「前に あるもの」である。

(2) Пассар(1983)として出版されている。